みらい(新人医療事務)
先日、先輩から「うちの病院も病棟薬剤業務実施加算を取れるかもしれない」って聞いたんですが、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
病棟薬剤業務実施加算は、薬剤師が病棟に常駐して薬剤関連業務を担うことを評価する加算です。医師の負担軽減と薬物療法の安全性・有効性の向上を目的にしていて、令和8年度(2026年度)は1・2・3の3区分で構成されています。
みらい(新人医療事務)
えっ、3種類もあるんですね。それぞれ何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
大きな違いは「算定単位」と「点数」です。加算1と加算2は週1回算定で、加算3は1日につき算定します。令和8年度(2026年度)改定では点数と区分の見直しが行われました。詳しくは後の表でまとめますね。
令和8年度(2026年度)の点数と算定単位(病棟薬剤業務実施加算 入院基本料との関係)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を知りたいです!
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の点数はこちらです。病棟薬剤業務実施加算は入院基本料等加算(A章)に分類されていて、入院基本料を算定している入院患者に対して算定候補になります。

| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 病棟薬剤業務実施加算1 | 300点 | 週1回 |
| 病棟薬剤業務実施加算2 | 120点 | 週1回 |
| 病棟薬剤業務実施加算3 | 100点 | 1日につき |
みらい(新人医療事務)
加算1が一番高いんですね。加算1と2の違いって何ですか?
あおい(元・医療事務)
加算1は、より高い実績要件を満たした場合に算定できる上位区分です。後でご説明する施設基準のうち、薬剤総合評価調整加算の実績や退院時薬剤情報管理指導料の算定割合など、追加の要件を満たすことが必要とされています。一方、加算2はそれ以外の施設基準を満たした場合の区分です。加算3は精神病棟など特定の病棟向けの日単位の加算です。
みらい(新人医療事務)
薬剤業務向上加算というのも聞いたことがありますが、これは別の加算ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、薬剤業務向上加算(週1回100点)は、令和8年度(2026年度)から新たに追加された区分です。病棟薬剤業務実施加算1または加算2を算定している患者に対して、さらに充実した研修体制を持つ医療機関が届出要件を満たした場合に算定候補となります。研修体制の詳細は後の施設基準でご説明しますね。
点数のポイント(令和8年度)
- 加算1(300点・週1回): 高実績要件を満たした上位区分
- 加算2(120点・週1回): 基本施設基準を満たした標準区分
- 加算3(100点・1日につき): 精神病棟等向け日単位区分
- 薬剤業務向上加算(100点・週1回): 研修体制充実施設の追加評価(加算1または2との組み合わせ)
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな病院で、どんな患者さんに算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者」です。病院が届出を行い、施設基準を満たしていることが前提になります。届出が完了している病院であれば、算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
全部の患者さんに算定できるわけじゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、対象には制限があります。算定できるのは、第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く)または第3節の特定入院料のうち、病棟薬剤業務実施加算1から3のいずれかを算定できるものを現に算定している患者に限られます。
8週間制限に注意
療養病棟入院基本料・精神病棟入院基本料・特定機能病院入院基本料(精神病棟に限る)を算定している患者については、入院した日から起算して8週間を限度として算定します。この制限は確認が必要です。
施設基準と届出要件
みらい(新人医療事務)
うちの病院が算定候補になるかどうか、何を確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の主なポイントを整理しますね。大きく「人員配置」「業務時間」「設備」「業務内容」の4つで確認する必要があります。
人員配置・配置体制
あおい(元・医療事務)
まず人員面です。常勤の薬剤師が2人以上配置されていること、そして全病棟に病棟薬剤業務を行う専任の薬剤師が配置されていることが基本要件です。非常勤薬剤師の常勤換算の可否・上限については、施設基準の詳細(告示・通知)で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
全病棟に専任が必要なんですか!それはかなりの体制が要りますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ただし「専任」は「専従」とは異なります。他の業務との兼任を認めつつ、その病棟の業務を主として担う状態のことです。それでも複数病棟がある病院では、相応の薬剤師数が必要になります。
業務時間要件
みらい(新人医療事務)
週20時間というのも聞きましたが?
あおい(元・医療事務)
病棟専任薬剤師が病棟薬剤業務を1病棟(または治療室)につき1週間につき20時間相当以上実施していることが求められます。複数の薬剤師が実施する場合は合算して計算できます。1か月の実績で確認し、この基準に満たない病棟があると算定要件を満たさないことになります。
週20時間要件の確認ポイント
- 1病棟あたり週20時間以上(複数薬剤師の合算可)
- 直近1か月の実施記録で確認
- 20時間に満たない病棟が1つでもあると要件を満たさない可能性がある
- 業務記録の整備が必須(指摘事項で頻出)
医薬品情報管理体制
みらい(新人医療事務)
設備面では何が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
医薬品情報の収集・伝達を行うための専用施設として「医薬品情報管理室」の設置が必要です。院内からの相談に対応できる体制を整え、病棟専任の薬剤師を通じて医薬品安全性情報等を積極的に収集・評価し、関係する医療従事者に速やかに周知する機能が求められます。
みらい(新人医療事務)
医薬品情報管理室って、どんな規模のものが必要なんでしょう?
あおい(元・医療事務)
「専用施設」とされていますが、規模の詳細は施設の実情に応じて確認が必要です。告示・通知の要件を実際に満たせるかどうかは、地方厚生局への届出前に施設基準の詳細を確認することをおすすめします。
業務内容の要件
みらい(新人医療事務)
どんな業務をやっていないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
病棟薬剤業務として実施が必要とされる主な業務を整理すると以下のようになります。
自院で確認する順番
- 入院時の持参薬の確認と服薬計画の提案(書面による提案)
- 2種以上の薬剤を同時投与する場合の相互作用確認(注射薬・内用薬含む)
- ハイリスク薬等の投与前における患者等への詳細な説明
- 医薬品安全性情報の収集・評価・医療従事者への周知
- 患者の状態把握と処方提案(多職種への情報提供含む)
- 抗がん剤等の適切な無菌調製
- 病棟での薬剤保管管理
- 病棟業務に関する記録の作成・管理
みらい(新人医療事務)
業務記録の作成も必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、記録の整備が指摘事項として挙がりやすい点のひとつです。どの業務をいつ実施したかが記録に残っていないと、施設基準の適合確認で問題になることがあります。日常的な記録管理が大切です。
加算1の追加要件について
みらい(新人医療事務)
加算1はさらに高い要件があるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。加算1の算定候補になるためには、加算2の基本要件に加えて実績面の要件を満たすことが確認のポイントとなります。
加算1の実績要件(確認が必要な項目)
- 薬剤総合評価調整加算: 直近3か月間で一定回数以上の算定実績があること
- 退院時薬剤情報管理指導料: 直近3か月間の退院患者に占める算定割合が一定以上であること
みらい(新人医療事務)
これは具体的な数字があるんですか?
あおい(元・医療事務)
詳細な数値要件は告示・通知で定められているため、公式資料での確認が必要です。算定候補かどうかは、まず自院の実績を集計して照合することをおすすめします。
届出のポイント
みらい(新人医療事務)
届出はどこにするんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局(または支局)への届出が必要です。令和8年度(2026年度)から新点数等を算定する場合は、可能な限り5月18日までの届出が推奨されていました。今後も改定のたびに届出状況を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
一度届け出たら終わりじゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。施設基準を継続的に満たしていることが必要で、定期的な実地指導の対象にもなります。人員体制の変化(薬剤師の退職・異動など)があった場合は、すぐに要件を満たせなくなる可能性があるため注意が必要です。
届出後も継続確認が必要な事項
- 薬剤師数の変動(退職・育休など)による常勤要件への影響の確認
- 週20時間要件の継続的な記録確認
- 医薬品情報管理室の機能維持
- 加算1の場合は実績要件の毎月の管理
薬剤業務向上加算との関係
みらい(新人医療事務)
薬剤業務向上加算はどうすれば算定できますか?
あおい(元・医療事務)
薬剤業務向上加算は、病棟薬剤業務実施加算1または2を算定している患者に対して、さらに届出要件を満たした医療機関が追加で算定できる加算です。令和8年度(2026年度)から新設されました。
みらい(新人医療事務)
新設なんですね。施設基準はどんなものですか?
あおい(元・医療事務)
主な要件として、免許取得直後の薬剤師を対象とした病棟業務等に係る総合的な研修体制の整備が挙げられています。研修を総括する責任者の配置、研修の計画・実施に関する委員会の設置、調剤・病棟薬剤業務・チーム医療・医薬品情報管理等を幅広く修得できる研修プログラムの実施、さらに都道府県の薬剤師確保の取組と連携して自施設の薬剤師を他の保険医療機関へ出向させる体制も要件とされています。
みらい(新人医療事務)
かなり体制が整っている病院でないと難しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。薬剤業務向上加算は、ある程度の規模と体制を持つ病院を想定した設計と考えられます。自院が研修体制の要件を満たせるかどうかを確認するには、告示・通知の詳細と自院の体制を照合する必要があります。
令和8年度(2026年度)改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度(2026年度)の改定で、病棟薬剤業務実施加算は大きく変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、前回改定(令和6年度、2024年度)からいくつかの変更が確認されています。主な変更点を整理しますね。
令和6年度(2024年度)改定から令和8年度(2026年度)改定への主な変更点
- 区分の再編と点数見直し: 令和6年度(2024年度)は加算1(週1回120点)・加算2(1日につき100点)の2区分だったものが、令和8年度(2026年度)は加算1(週1回300点)・加算2(週1回120点)・加算3(1日につき100点)の3区分に再編されました
- 加算1の上位化: 令和8年度(2026年度)の加算1は、従来の加算1(120点)から独立した上位区分(300点)として新設され、実績要件が追加されました
- 薬剤業務向上加算の新設: 令和8年度(2026年度)から週1回100点の薬剤業務向上加算が新たに設定されました(研修体制充実施設向け)
みらい(新人医療事務)
令和6年度(2024年度)の加算1が120点だったのが、令和8年度(2026年度)では加算2(120点)に相当するようになったということですか?
あおい(元・医療事務)
そのように理解できます。令和8年度(2026年度)の加算2(120点・週1回)は、令和6年度(2024年度)の加算1(120点・週1回)に概ね相当すると考えられます。令和8年度(2026年度)の加算1(300点)は、さらに高い実績要件を満たした場合に算定できる上位区分として新設されたものです。点数・施設基準の詳細は一次資料(告示・通知)で必ずご確認ください。
自院で確認する順番(チェックリスト)と入院基本料との関係
みらい(新人医療事務)
実際に自院で確認するとしたら、どういう順番で進めればいいですか? 入院基本料との関係も教えてください!
あおい(元・医療事務)
病棟薬剤業務実施加算は、入院基本料(第1節の入院基本料)または特定入院料を算定している患者が対象です。外来患者には算定できません。まず自院が算定している入院基本料の種類を確認することが起点になります。

あおい(元・医療事務)
こちらのステップで確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- 入院基本料の確認: 自院が算定している入院基本料が病棟薬剤業務実施加算の対象(第1節・第3節の特定入院料)かどうかを確認する
- 薬剤師数の確認: 常勤薬剤師が2人以上いるか、全病棟に専任配置ができているかを確認する
- 業務時間記録の確認: 全病棟で週20時間以上の業務記録が取れているかを確認する
- 医薬品情報管理室の確認: 専用施設・院内相談対応体制が整っているかを確認する
- 届出状況の確認: 施設基準届出が地方厚生局に受理されているかを確認する
- 加算1を目指す場合: 薬剤総合評価調整加算・退院時薬剤情報管理指導料の算定実績を集計する
みらい(新人医療事務)
一つひとつ確認していくんですね。どこから手をつければいいかわかりました!
よくある取り漏れ・確認ポイント
みらい(新人医療事務)
よくある取り漏れって何ですか?
あおい(元・医療事務)
実地指導や自院のチェックでよく指摘される点をまとめますね。
よくある取り漏れ・注意点
- 業務記録の不備: 誰がいつどの業務を実施したかが記録に残っていない
- 週20時間の未達病棟: 複数病棟があるのに、特定の病棟で20時間を下回っている
- 持参薬確認の書面: 服薬計画の提案が書面で残っていない
- 相互作用確認の未記録: 2剤以上の同時投与時の相互作用確認が記録されていない
- 医薬品情報周知の証拠: 安全性情報をどのように周知したかが確認できない状態
- 8週間制限の見落とし: 療養病棟・精神病棟の患者で8週間を超えて算定してしまう
- 届出の年度確認: 改定年度に届出の更新・変更が必要になった場合の対応漏れ
よくある質問
みらい(新人医療事務)
薬剤管理指導料との違いって何ですか?
あおい(元・医療事務)
薬剤管理指導料は薬剤師が個々の患者に対して行う薬学的管理指導(面談・説明など)を評価するもので、患者1人ごとに算定します。一方、病棟薬剤業務実施加算は薬剤師の病棟常駐(医師の負担軽減・薬物療法の安全管理体制)を評価するもので、病棟を単位とした体制整備に対する評価です。両方の届出をして算定している病院もあります。ただし算定の対象患者や要件が異なるため、確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも取れますか?
あおい(元・医療事務)
病棟薬剤業務実施加算は「入院基本料等加算(A章)」に分類されている加算であるため、入院基本料を算定する病院が主な対象です。入院機能のない診療所は算定候補に該当しないと考えられますが、具体的な状況は公式資料と届出状況で確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から加算1を届け出ていた病院は、令和8年度(2026年度)から自動的に新しい加算2を算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
改定によって区分の名称・点数が変わっているため、届出の扱いは告示・経過措置通知で確認する必要があります。自動的に移行できるかどうかは自院で確認してください。改定時には地方厚生局への届出更新が必要な場合があります。
みらい(新人医療事務)
加算3は精神病棟でしか算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
加算3(1日につき100点)は、要件を満たす病棟であれば療養病棟等でも算定候補となります。ただし療養病棟・精神病棟は入院から8週間を限度とする制限があります。具体的な対象病棟は告示の要件で確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院が算定候補かどうか、もっとくわしく確認したいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況・薬剤師体制・入院基本料の種類を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(告示・通知)・地方厚生局への確認および審査支払機関の判断でご確認ください。本記事は令和8年度(2026年度)診療報酬告示第69号・第70号をもとに作成していますが、個別の算定可否を保証するものではありません。