データ提出加算(A245)とは——病院が診療データを提出することで評価される加算
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「データ提出加算」って名前は聞いたことあるんですが、具体的に何をするための加算なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
病院が厚生労働省に診療データを提出することを評価するための加算です。正式名称はA245 データ提出加算(令和8年度)。入院患者の診断・手術・在院日数などのデータを継続的に提出した病院が、入院初日や一定期間ごとに加算を算定できる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
データを出すと点数がつくんですね。どんなデータを出すんですか?
あおい(元・医療事務)
主に「DPC調査(DPC/PDPS評価・検証等に係る調査)」の退院患者調査に準拠したデータです。要件には「診療報酬の請求状況、手術の実施状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している」ことが明記されています。
みらい(新人医療事務)
ということは、DPCに参加している病院が対象になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
DPCに参加していない病院でも届出は可能ですが、「DPC調査に適切に参加できる体制を有すること」「退院患者調査に準拠したデータを提出すること」が施設基準に含まれています。実務上はDPC病院が中心になりますが、DPC非参加病院でも届出可能かどうかは地方厚生局への確認が必要です。
令和8年度の点数——200床以上と200床未満で異なる
みらい(新人医療事務)
点数はいくつですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の点数は、病院の許可病床数によって異なります。入院初日に算定する加算1・2と、療養病棟などで入院期間が90日を超えるごとに算定する加算3・4があります。

| 区分 | 200床以上 | 200床未満 |
|---|---|---|
| データ提出加算1(入院初日・入院データのみ) | 145点 | 215点 |
| データ提出加算2(入院初日・入院+外来データ) | 155点 | 225点 |
| データ提出加算3(90日超ごと・入院データのみ) | 145点 | 215点 |
| データ提出加算4(90日超ごと・入院+外来データ) | 155点 | 225点 |
あおい(元・医療事務)
出典: 令和8年度診療報酬点数表 A245 データ提出加算。許可病床数と提出データの種別によって4区分が設定されています。
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2の違いは何ですか?
あおい(元・医療事務)
入院患者のデータだけを提出しているか(加算1・3)、それに加えて外来患者データも提出しているか(加算2・4)の違いです。外来データも合わせて提出している場合は、加算1より10点高い加算2(または加算4)が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
200床未満の病院の方が点数が高いんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。小規模な病院はデータ提出の整備にかかるコストや負担が相対的に大きいため、200床未満の施設は高めに設定されています。ただし点数の高低はあくまで計算上の差で、算定可否は施設基準と届出の状況で決まります。
加算3・4の対象——療養病棟など「長期入院」の病棟
みらい(新人医療事務)
加算3と4はいつ算定するんですか?
あおい(元・医療事務)
療養病棟入院基本料、精神病棟入院基本料、特定入院基本料など、長期入院が想定される特定の病棟に入院している患者について、入院期間が90日を超えるごとに1回算定候補になります。一般病棟に入院した患者には原則として適用されない点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんに加算1と加算3の両方を算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
加算1(入院初日に算定)と加算3(90日超ごとに1回算定)は算定タイミングが異なるため、同一入院中に両方が発生する場合があります。ただし具体的な算定のルールは施設基準の届出内容や診療内容によっても変わりますので、実際の算定前に審査支払機関や厚生局への確認をおすすめします。
施設基準——4つの要件を満たす必要がある
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、どんな施設基準を満たす必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく4つの要件があります。令和8年度時点で確認できる主な施設基準は以下のとおりです。
データ提出加算の主な施設基準(令和8年度)
- 診療録管理体制加算の届出: 区分番号「A207」診療録管理体制加算に係る届出を行っている保険医療機関であること
- DPC調査参加体制: 厚生労働省が実施するDPC調査に適切に参加できる体制を有すること(厚生労働省保険局医療課およびDPC調査事務局と常時電子メールおよび電話での連絡が可能な担当者を必ず2名指定)
- 退院患者調査データの提出: DPC調査に適切に参加し、退院患者調査に準拠したデータを提出していること
- 適切なコーディングに関する委員会の設置: 「適切なコーディングに関する委員会」を院内に設置し、年2回以上開催していること(構成員: コーディング責任者、診療部門の医師、薬剤部門の薬剤師、診療録情報管理者)
みらい(新人医療事務)
診療録管理体制加算の届出が先に必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。データ提出加算の算定候補になるには、まず診療録管理体制加算(A207)の届出が済んでいることが前提になります。診療録管理体制加算の届出がない場合は、先にそちらの要件充足から確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
担当者を2名指定するというのは具体的にどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省保険局医療課とDPC調査事務局の両方に対して、常時メールと電話で対応できる担当者を院内で2名指定することです。担当者の変更があった場合には届出が必要になります。これはデータ提出作業の継続性と連絡体制を確保するための要件です。
届出——地方厚生局への届出が必須
みらい(新人医療事務)
届出はどこにすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局(または支局)に届け出ます。様式は主に「様式40の5」(新規届出)、「様式40の7」(区分変更)、「様式40の8」(担当者変更等)が使われます。初めて届け出る場合は、スケジュールの確認が必要です。
届出に関する注意点
データ提出加算の算定は、施設基準に適合した上で地方厚生局長等への届出が受理されてから開始できます。届出前に算定した場合は返還が求められる可能性があります。届出のタイミングや書類については、担当の地方厚生局に事前確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
届出の受理後すぐに算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
通常、届出が受理された月の翌月から算定が可能になりますが、年度によって手続きスケジュールが異なる場合があります。令和8年度の具体的なスケジュールについては、厚生労働省や地方厚生局の案内資料を確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定でデータ提出加算は何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度改定の主な変更点は、精神病棟入院基本料への適用拡大です。具体的には、精神病棟入院基本料の「15対1入院基本料」「18対1入院基本料」「20対1入院基本料」について、施設基準の一つとしてデータ提出加算の届出が新たに追加されました。
令和8年度改定のポイント(前回改定からの差分)
- 前回(令和6年度): 精神病棟入院基本料「10対1入院基本料」「13対1入院基本料」等が主な対象だった
- 今回(令和8年度): 「15対1入院基本料」「18対1入院基本料」「20対1入院基本料」にもデータ提出加算の届出が施設基準として新設
- 経過措置あり: 令和8年3月31日時点で当該入院料を届出済みの医療機関は、令和10年5月31日(経過措置期間の満了)までにデータ提出加算の届出を行う必要がある
あおい(元・医療事務)
出典: 令和8年度診療報酬改定 個別改定項目「データ提出加算の届出を要件とする入院料の見直し【Ⅲ-2-1-①】」をもとにまとめています。
みらい(新人医療事務)
つまり、今まではデータ提出加算の届出が不要だった精神病棟の入院料でも、届出が必要になったということですか?
あおい(元・医療事務)
特定の区分に限ってはそうなります。15対1・18対1・20対1の精神病棟入院基本料を算定している施設で、まだデータ提出加算の届出をしていない場合は、令和10年5月末までに届出が必要です。この経過措置の期限を見落とさないよう注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
点数の変更はありましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点で確認できる範囲では、加算1〜4の点数(145点・155点・215点・225点)は前回改定(令和6年度)から変更されていません(2026年6月時点・厚労省告示ベース)。ただし改定の詳細は必ず公式資料で確認してください。
機能強化加算とデータ提出加算の関係——よくある質問
みらい(新人医療事務)
「機能強化加算 データ提出加算」という言葉で検索してくる方が多いみたいなのですが、機能強化加算(A003)と何か関係があるんですか?
あおい(元・医療事務)
機能強化加算(A003)は外来診療での「かかりつけ医」機能を評価する加算で、データ提出加算(A245)とは目的も対象医療機関も異なります。ただし、どちらも診療内容の体制整備と情報管理を重視している点では共通しています。
みらい(新人医療事務)
では、機能強化加算の届出をしている診療所はデータ提出加算(A245)を算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
データ提出加算(A245)は「入院基本料等加算」に位置づけられており、入院基本料の届出を行っている病院が対象です。外来のみの診療所(入院なし)は原則として対象外になります。機能強化加算を算定している診療所がデータ提出加算(A245)も算定したいという場合、まず入院機能の有無と施設基準の確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
つまりデータ提出加算(A245)は「病院が、入院患者データを継続提出することで評価される加算」ということですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。外来のみの施設への加算とは性格が異なりますので、自院の施設形態に合わせて確認してみてください。
よくある取り漏れと確認ポイント
みらい(新人医療事務)
実務で特に注意すべきことはありますか?
あおい(元・医療事務)
よくある確認漏れをまとめました。
取り漏れ・確認ポイント
- 診療録管理体制加算(A207)の届出状況: データ提出加算の前提条件。届出がなければデータ提出加算は算定候補にならない
- 担当者2名の指定: 常時連絡可能な担当者を2名指定し、変更があれば都度届出が必要
- コーディング委員会の開催記録: 年2回以上の開催が必要。議事録・開催記録を整備しておくこと
- 外来データ提出の有無: 外来データも提出していれば加算2・4の算定候補になる
- 精神病棟の場合の経過措置期限: 15対1・18対1・20対1精神病棟の届出は令和10年5月31日まで
みらい(新人医療事務)
データ提出が遅延したときはどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注では「データ提出が遅延した場合には算定できない期間がある」旨が定められています。具体的な遅延時の算定制限については、届出後に厚生労働省の説明資料や事務連絡を確認してください。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 自院が入院基本料の届出を行っている病院か確認する
- 診療録管理体制加算(A207)の届出済みかどうか確認する
- DPC調査参加体制(担当者2名の指定)が整っているか確認する
- 適切なコーディングに関する委員会を年2回以上開催できているか確認する
- 退院患者調査に準拠したデータを継続提出できているか確認する
- 外来データの提出も行っているか確認する(加算2・4の算定候補となる)
- 上記を満たしていれば、地方厚生局への届出内容を確認し、算定候補かどうか判断する
よくある質問
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
データ提出加算(A245)は「入院基本料等加算」に分類される加算で、入院基本料の届出を行っている保険医療機関が対象です。外来のみの診療所は原則として対象外です。ただし、有床診療所の場合は施設基準と届出状況によって判断が異なる可能性がありますので、地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
データ提出加算1と2の両方を同じ患者さんに算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
加算1と加算2は択一の関係にあります。入院患者データと外来患者データの両方を提出している場合は加算2(または4)を算定し、入院データのみの場合は加算1(または3)を算定します。同時に両方を算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
精神科病院でデータ提出加算を算定するには何が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
精神科病院であっても、基本的な施設基準(診療録管理体制加算の届出、DPC調査参加体制、コーディング委員会、データ提出の継続)を満たした上で届出することが必要です。また令和8年度改定では、精神病棟入院基本料の15対1・18対1・20対1入院基本料を算定している施設で、令和8年3月31日時点で届出済みの場合は経過措置(令和10年5月31日まで)が設けられています。まだ届出をしていない場合は早めの準備が必要です。

自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。