医療的ケア児(者)入院前支援加算とは、どんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「医療的ケア児(者)入院前支援加算」っていう加算があるって聞いたんですけど、初めて聞く名前です。どういう場面で出てくるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬でいうと、区分番号A246-3の加算です。医療的ケアが必要なお子さんや方が入院する前に、医師または看護職員がご自宅などを訪問して状態を確認し、入院前の支援計画を作ったときに評価される加算になります。
みらい(新人医療事務)
「入院前に訪問する」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。人工呼吸器を使っているお子さんなど、在宅でのケアが複雑な患者さんが入院すると、病棟側がケアの引き継ぎに苦労することがあります。そこで、入院前に自宅等を訪問して人工呼吸器の設定や普段のケアの状態を把握し、療養支援計画を立てておくことで、在宅から入院への切れ目のないケアを確保しようという趣旨で新設された加算です。
みらい(新人医療事務)
新設ということは、最近できた加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。令和6年度診療報酬改定で新設された加算です。厚生労働省の資料には「医療的ケア児(者)が入院する際の在宅からの連続的なケアを確保する観点から、事前に自宅等を訪問し、患者の状態や人工呼吸器の設定等のケア状態の把握を行った場合について、新たな評価を行う」と記載されています(令和6年度診療報酬改定の概要 Ⅲ-4-2-⑦より)。令和8年度時点でもこの加算自体は継続しています。
点数はいくらですか?(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数も知りたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の点数はこちらの表のとおりです。
| 支援方法 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|
| 医師・看護職員が患家等を訪問して対面で支援した場合 | 1,000点 | 保険医療機関ごとに患者1人につき1回・入院初日に限る |
| 情報通信機器を用いて入院前支援を行った場合 | 500点 | 同上(対面の点数に代えて算定) |

みらい(新人医療事務)
対面だと1,000点、オンラインだと500点なんですね。半分になるのは意外でした。
あおい(元・医療事務)
告示の注2には「入院前支援を情報通信機器を用いて行った場合は、所定点数に代えて、500点を所定点数に加算する」と明記されています。対面訪問と情報通信機器を用いた場合とで、点数が置き換わる関係にある点は誤解しやすいので注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
この加算、月に何回も算定できたりするんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、算定回数の考え方は限定的です。「保険医療機関ごとに患者1人につき1回に限り、入院初日に限り」所定点数に加算すると定められています。同じ患者さんについて、同じ入院で複数回算定することはできません。
併算定の注意点
告示の注3では「区分番号A246の注7に掲げる入院時支援加算は別に算定できない」とされています。入退院支援加算の入院時支援加算とセットで算定できるかどうかは、自院のレセプトシステムでの取り扱いも含めて確認が必要です。
対象患者・対象医療機関の範囲
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?子ども限定ですか?
あおい(元・医療事務)
名前に「児(者)」とあるとおり、お子さんだけでなく成人の医療的ケアが必要な方も対象になり得ます。厚生労働省の資料では対象患者を「医療的ケア判定スコア16点以上の医療的ケア児(者)」としています。
みらい(新人医療事務)
「医療的ケア判定スコア」というのは何ですか?
あおい(元・医療事務)
人工呼吸器の管理や気管切開部の管理、経管栄養など、必要な医療的ケアの内容ごとに点数がついていて、それを合計したものが医療的ケア判定スコアです。詳しい配点は障害福祉サービス等の基準でも使われているものと同じ考え方です。このスコアが16点以上であることが、まず対象患者としての前提になります。
みらい(新人医療事務)
病院ならどこでも算定できるんですか?診療所は対象外なんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は入院基本料等加算の一種で、対象は病院の入院診療です。外来や在宅医療での算定はできません。診療所は入院基本料そのものを算定する体制が前提になるため、基本的には病院が対象になります。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
算定要件の原文では「入院前に別に厚生労働大臣が定める患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)及び第3節の特定入院料のうち、医療的ケア児(者)入院前支援加算を算定できるものを現に算定している患者に限り、当該保険医療機関の入院期間が通算30日以上のものを除く。)」とされています。つまり、対象となる入院料区分を算定している患者さんであることに加えて、その保険医療機関での入院期間が通算30日以上になっている患者さんは対象から除かれます。
対象患者の確認ポイント(令和8年度)
医療的ケア判定スコア: 16点以上であることが前提 算定する入院料: 対象となる入院基本料・特定入院料を算定する患者に限られる 入院期間の制限: 当該保険医療機関での入院期間が通算30日以上の患者は対象外
みらい(新人医療事務)
入院期間が長い患者さんは対象から外れるということは、あくまで「これから入院する(入院したばかりの)患者さん」向けの加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。入院前の支援を評価する加算なので、既に長期入院している患者さんの状態確認とは趣旨が異なります。
施設基準(届出要件)はどうなっていますか?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
必要です。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが算定の前提とされています。届出をしていない病院は、要件を満たしていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の資料では、施設基準として「直近1年間の医療的ケア判定スコア16点以上の医療的ケア児(者)の入院患者数が10件以上であること」と定められています。つまり、実際にそうした患者さんを一定数受け入れてきた実績がある病院を対象にしている基準です。
| 施設基準の項目 | 内容 |
|---|---|
| 実績要件 | 直近1年間で、医療的ケア判定スコア16点以上の入院患者数が10件以上 |
| 届出 | 地方厚生局長等への届出が必要 |
| 経過措置 | 令和7年5月31日までの間に限り、実績要件を満たしているものとみなす措置があった |
みらい(新人医療事務)
「経過措置」というのがあったんですね。今はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
この経過措置は令和7年5月31日までの期限つきでした。令和8年度時点では既にこの経過措置の期間は終了しているため、原則どおり「直近1年間で10件以上」の実績要件を満たしているかどうかを、自院のデータで確認する必要があります。新設当初の緩和措置がそのまま続いていると考えるのは誤りなので注意してください。
経過措置終了後の確認
令和7年5月31日までの経過措置はすでに終了しています。届出時点だけでなく、直近1年間の実績が継続して基準を満たしているかを、届出後も定期的に確認しておくことが望ましいです。
算定要件・算定タイミングを確認しましょう
みらい(新人医療事務)
実際にどういう手順を踏めば算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
算定要件の原文には、当該保険医療機関の医師またはその指示を受けた看護職員が、入院前に対象患者の患家等を訪問し、患者の状態、療養生活環境及び必要な処置等を確認した上で療養支援計画を策定し、入院前または入院した日に当該計画書を患者またはその家族等に説明し、文書により提供した場合に加算する、と定められています。
みらい(新人医療事務)
訪問して終わりではなく、計画書を文書で渡すところまでがセットなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。「訪問して確認する」「療養支援計画を策定する」「入院前または入院した日に文書で説明・提供する」という3つの工程がそろって初めて算定要件を満たす形になります。どれか一つが欠けている場合は、算定候補として扱えるかどうか改めて確認が必要です。

自院で確認する順番
自院で医療的ケア判定スコアを算出し、対象患者に該当するか確認する 直近1年間の該当患者の入院実績が10件以上かどうか、施設基準の実績要件を確認する 届出済みかどうか、施設基準の届出状況を確認する 入院前に患家等を訪問し、状態・療養生活環境・処置等を確認したか、療養支援計画を策定したか確認する 入院前または入院した日に計画書を文書で説明・提供したか確認する 対面か情報通信機器を用いた支援かで、1,000点・500点のどちらに該当するか確認する
みらい(新人医療事務)
情報通信機器を使う場合も、訪問と同じ手順を踏む必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
算定要件上、情報通信機器を用いて入院前支援を行った場合は点数が500点に代わるという定めであって、確認すべき内容(患者の状態・療養生活環境・必要な処置等の確認、療養支援計画の策定、文書提供)自体は変わりません。手段が訪問かオンラインかという違いです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和8年度の改定で何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬改定の資料を確認した範囲では、医療的ケア児(者)入院前支援加算そのものの点数や算定要件・施設基準の見直しは確認されていません(2026年7月確認時点)。令和6年度新設時の1,000点・500点の枠組みがそのまま続いています。
みらい(新人医療事務)
何も変わっていないなら安心ですね。
あおい(元・医療事務)
加算そのものの枠組みは変わっていませんが、注意したいのは前のセクションでお伝えした施設基準の経過措置が令和7年5月31日で終わっている点です。これは改定の変更点というより、令和6年度新設時から決まっていたスケジュールどおりの終了ですが、令和8年度に届出内容を見直す際には見落としやすいポイントです。
似ている別の見直しと混同しないための注意
令和8年度改定では、療養病棟入院基本料の医療区分について「超重症児・準超重症児に該当する小児を医療区分2・3に追加する」という見直しがありました。これは療養病棟の医療区分の話であり、医療的ケア児(者)入院前支援加算(A246-3)とは別の見直しです。名前が似ている情報を混同しないよう注意してください。
| 時点 | 医療的ケア児(者)入院前支援加算の状態 |
|---|---|
| 令和6年度改定(新設時) | 1,000点(対面)/ 500点(情報通信機器)で新設。施設基準の実績要件は令和7年5月31日まで経過措置あり |
| 令和8年度改定 | 加算自体の点数・要件変更は確認されていません(経過措置は既に終了) |
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
算定を見送ってしまいがちなケース、他にもありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。整理してみましょう。
取り漏れが起きやすいポイント
判定スコアの記録漏れ: 医療的ケア判定スコアを算出・記録していないと、対象患者かどうかの確認自体ができません 入院期間の見落とし: 通算入院期間が30日以上になっている患者さんは対象外ですが、転棟・再入院が絡むと見落としやすいです 文書提供のタイミング: 訪問はしたものの、計画書の文書提供が入院前・入院した日のいずれにも該当しないタイミングになっていないか 施設基準の実績更新: 直近1年間の実績が基準を下回っていないか、届出後も定期的な見直しを行っているか
みらい(新人医療事務)
どれも「確認していたつもりだったのに」となりそうな内容ですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に医療的ケア判定スコアは記録の仕組みがないと算出自体を忘れがちなので、対象患者のスクリーニングの段階で仕組み化しておくことをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか気になる点を質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです、どうぞ。
みらい(新人医療事務)
情報通信機器を使う場合、どんな機器でもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
公表されている資料では機器の種類までは細かく限定されていませんが、患者の状態や療養生活環境、必要な処置等を確認できる通信環境であることが前提になります。実際に使う機器やシステムが要件を満たすかどうかは、自院の届出内容や地方厚生局への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
医療的ケア判定スコアは誰が計算するんですか?
あおい(元・医療事務)
判定は医療機関側で行うことになりますが、具体的な配点や算出方法は公式の判定基準に基づいて行う必要があります。院内で判定を行う担当者や手順をあらかじめ決めておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)より前は、こういう加算はなかったんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和6年度改定で新設された加算なので、それ以前にはこの区分番号・加算名での評価はありませんでした。医療的ケア児・者への入院前支援を診療報酬で直接評価する仕組みとしては比較的新しいものです。
みらい(新人医療事務)
うちの病院が対象になるか、自分たちだけで判断するのは難しそうです。
あおい(元・医療事務)
医療的ケア判定スコアの算出や施設基準の実績要件の確認は、事務だけで完結しない部分もあります。最終的には自院の届出状況や実際の患者データと照らし合わせて確認することになります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。