精神疾患診療体制加算とは?まず全体像を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「精神疾患診療体制加算」って名前だけ見るとよく分からないんですが、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表で、区分番号A248に定められている入院基本料等加算のひとつです。精神疾患の患者さんが身体的な病気やケガを併せ持つ場合に、総合病院や救急対応可能な病院が精神科医療の体制を整えて受け入れることを評価する加算になっています。
みらい(新人医療事務)
「身体合併症」というのがキーワードですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。精神科の患者さんが骨折や内科疾患など身体の病気を併発すると、精神科単科の病院だけでは対応が難しい場面があります。そこで、身体合併症に対応できる体制を持つ病院が受け入れたり、救急搬送された患者に精神科医が診察したりする場面を評価する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
診療所は関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、対象は病院の入院医療に限られます。当サイトのデータベースでも、外来・在宅・診療所は対象外、病院の入院のみが対象と整理されています。届出も施設基準の適合も必要な加算です。
点数・区分の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか知りたいです。
あおい(元・医療事務)
精神疾患診療体制加算には1と2の2区分があります。令和8年度時点で確認できる内容は次の表の通りです。
| 区分 | 点数 | 算定回数 | 算定される場面(概要) |
|---|---|---|---|
| 精神疾患診療体制加算1 | 1,000点 | 入院初日に限り | 他の保険医療機関からの求めに応じ、精神病棟に入院していた身体合併症のある精神疾患患者の転院を受け入れた場合 |
| 精神疾患診療体制加算2 | 330点 | 入院初日から3日以内に1回に限り | 救急搬送された身体疾患・外傷や抑うつ・せん妄等の精神症状を有する患者に、精神保健指定医等の精神科の医師が診察を行った場合 |

みらい(新人医療事務)
加算1と加算2、対象になる患者さんの場面がだいぶ違うんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。加算1は「他院からの転院受け入れ」、加算2は「救急搬送された患者への精神科医の診察」が起点になっています。どちらも、精神疾患診療体制加算を算定できる入院基本料または特定入院料を現に算定している患者が対象という条件が付いています。算定できる患者の範囲は限定的なので、対象患者に該当するかどうかをまず確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2、同じ入院で両方算定することはできるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは公式資料の記載を精査した上で自院で確認が必要なポイントです。加算1は「転院受け入れ」、加算2は「救急搬送」という異なる算定の起点が定められているため、通常は該当する場面がそれぞれ独立していると考えられますが、断定はできません。レセプト作成時には算定要件の原文と照らし合わせてご確認ください。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算を取るには、どんな体制が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
届出のために地方厚生局へ提出する添付書類(様式40の12)を確認すると、大きく3つの観点でチェックする形になっています。
施設基準のチェック観点(届出様式ベース・令和8年度)
① 標榜診療科
- 内科を標榜しているか(有・無)
- 外科を標榜しているか(有・無)
② 病床の状況
- 医療機関全体の許可病床数
- 精神病床の許可病床数
- 精神病床数が全体に占める割合
③ 24時間の救急医療提供体制
- 第2次救急医療機関
- 救命救急センター
- 高度救命救急センター
- 総合周産期母子医療センター
- その他の体制
みらい(新人医療事務)
つまり、精神科だけじゃなくて内科・外科もあって、救急も受け入れている総合病院向けの加算ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのように読み取れる内容です。ただし、届出様式のどの項目をどう満たせば施設基準に適合するかという具体的な基準値(例えば病床割合の下限など)は、届出様式そのものには数値基準として明記されていませんでした。施設基準の詳細な充足条件は、告示・通知の該当箇所を自院で必ず確認してください。届出は地方厚生局長等に対して行い、区分番号「(精疾診)」として管理されています。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば、すぐ算定できるようになるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出が受理されて初めて算定候補になります。「届出をしたら自動的に算定できる」という意味ではなく、施設基準に適合していることが前提です。届出内容と実際の体制が一致しているかどうかは、常に自院の責任で確認する必要があります。
届出の確認: 自院で見るべき書類
みらい(新人医療事務)
実際に確認するとしたら、何から見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順を追って確認すると、こんな流れになります。
自院で確認する順番
- 対象病院かどうかを確認する — 精神科と、身体合併症に対応できる内科・外科の体制、24時間救急医療提供体制があるかを確認します
- 届出様式を確認する — 「基本診療料の施設基準等に係る届出書(別添7・精疾診)」と「様式40の12(添付書類)」の内容を、自院の現状と照らして確認します
- 地方厚生局への届出状況を確認する — 届出が受理され、有効な状態になっているかを確認します
- 算定場面に該当するかを確認する — 加算1は「他院からの転院受け入れ」、加算2は「救急搬送患者への精神科医の診察」のどちらの場面かを確認します
- 算定回数の制限を確認する — 加算1は入院初日のみ、加算2は入院初日から3日以内に1回のみという制限を確認します

みらい(新人医療事務)
これだけ確認することがあると、事務の方だけで判断するのは大変そうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。施設基準の充足は医事課だけで判断できるものではなく、医師の配置や病棟の体制など診療部門との連携が欠かせません。届出内容に変更が生じた場合(例えば救急体制の区分が変わった場合など)は、速やかに変更届出が必要になる点にも注意してください。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに、特に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかポイントがあります。
算定上の注意点(令和8年度)
- 精神疾患診療体制加算1は入院初日に限りの算定です。転院受け入れの当日以外には算定できません
- 精神疾患診療体制加算2は入院初日から3日以内に1回限りです。3日を超えてからの診察では算定候補になりません
- 対象患者は「精神疾患診療体制加算を算定できる入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料を現に算定している患者」に限られます。すべての入院患者が対象になるわけではありません
- 加算2は「精神保健指定医等の精神科の医師」が診察を行った場合が要件です。診察した医師の要件についても自院で確認してください
みらい(新人医療事務)
「精神保健指定医」というのは、どんな医師なんですか?
あおい(元・医療事務)
精神保健福祉法に基づき厚生労働大臣が指定する精神科の医師です。措置入院や医療保護入院の判断など、精神科医療において特別な役割を担う資格を持つ医師を指します。加算2の算定では、この精神保健指定医、またはそれに準じる精神科の医師が診察を行うことが要件になっています。該当する医師が診察したかどうかは、カルテ記載で確認できるようにしておくことが望ましいでしょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、今回の改定で何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬改定の精神医療分野の資料を確認したところ、精神疾患診療体制加算(A248)そのものの新設・廃止・点数変更についての記載は見当たりませんでした(2026年7月確認・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変わってないなら、特に気にしなくていいということですか?
あおい(元・医療事務)
確認できた資料の範囲では、精神疾患診療体制加算自体の新設・廃止・点数変更は見当たりませんが、施設基準・算定要件まで含めた全項目の変更有無は資料上明示されていないため、届出内容は自院で最新の届出様式と照らして確認してください。なお同じ「総合病院での精神科医療体制の確保」というテーマの中で、関連する加算が令和8年度に新設・見直しされています。
令和8年度改定 精神医療分野の主な動き(関連加算・参考)
- (新設)精神科地域密着多機能体制加算 — 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に貢献する小規模多機能病院向けの評価
- (新設)精神科慢性身体合併症管理加算 700点 — 糖尿病など慢性疾患を持つ精神科入院患者の診療を評価
- (新設)精神病棟看護・多職種協働加算 — 精神病棟における多職種協働の評価
- 精神科リエゾンチーム加算の見直し — 対象患者の範囲拡大等
みらい(新人医療事務)
精神疾患診療体制加算とは別に、こういう新しい加算も出てきているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。身体合併症を持つ精神疾患患者への対応という同じテーマの中で、精神疾患診療体制加算(転院受け入れ・救急搬送時の診察を評価)に加えて、入院中の慢性疾患管理を評価する加算などが新たに整理された形です。自院がどちらの加算に該当するか、あるいは両方に該当する可能性があるかは、対象患者の状態や体制に応じて個別に確認が必要です。
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
最後に、自院で確認すべきことを一覧にしてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
まとめると、次の流れで確認していただくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 精神科があり、身体合併症に対応できる内科・外科と24時間救急医療提供体制を持つ病院かを確認する
- 「精神疾患診療体制加算」の届出(別添7・様式40の12)が地方厚生局に受理されているかを確認する
- 対象患者が「他院からの転院受け入れ(加算1)」または「救急搬送+精神科医の診察(加算2)」のどちらの場面に該当するかを確認する
- 算定回数の制限(加算1は入院初日のみ、加算2は入院初日から3日以内に1回のみ)を確認する
- 診察した医師が精神保健指定医等の要件を満たしているかを確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ(精神疾患診療体制加算)
- 加算2で「精神症状の診察」だけに注目し、対象患者が「精神疾患診療体制加算を算定できる入院基本料等を現に算定している患者」という条件を満たしているかの確認を見落とすケース
- 加算1で「入院初日に限り」という算定回数の制限を見落とし、転院受け入れから日をおいて算定しようとしてしまうケース
- 届出をしているつもりでも、体制変更(救急区分の変更等)後に変更届出をしておらず、施設基準との不一致が生じているケース
- 精神疾患診療体制加算と、精神科身体合併症管理加算・精神科リエゾンチーム加算など類似名称の加算を混同してしまうケース
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算がいくつかあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、身体合併症や精神科入院に関連する加算はいくつかあります。あわせて確認しておくと理解が深まります。
| 加算名 | 主な内容 |
|---|---|
| 精神科身体合併症管理加算 | 精神病棟に入院中の患者が身体合併症の治療を受けた場合を評価 |
| 精神科リエゾンチーム加算 | 一般病棟等に入院する患者への精神科医療チームによる支援を評価 |
| 精神科慢性身体合併症管理加算 | 精神科入院患者の糖尿病等の慢性疾患管理を評価(令和8年度新設) |
みらい(新人医療事務)
名前が似ているものが多くて混同しそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「精神疾患診療体制加算」は転院受け入れ・救急搬送という受け入れ時点の体制を評価する加算で、「精神科身体合併症管理加算」や「精神科慢性身体合併症管理加算」は入院後の継続的な診療を評価する加算という違いがあります。どの加算が自院の状況に当てはまるかは、それぞれの算定要件を個別に確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
精神疾患診療体制加算は病院の入院医療が対象で、当サイトのデータベースでも診療所・外来・在宅は対象外と整理されています。診療所での算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
精神科の単科病院でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準として内科・外科の標榜や24時間の救急医療提供体制が求められる内容が届出様式に含まれているため、精神科単科の病院よりも、身体合併症に対応できる総合病院や救急対応病院が主に想定されていると考えられます。ただし、自院がどの区分の救急医療提供体制を満たしているかによって判断が変わりますので、断定はできません。届出様式の内容と自院の体制を照らし合わせてご確認ください。
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2、どちらから確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
まず自院にどちらの算定場面(他院からの転院受け入れか、救急搬送された患者への精神科医の診察か)が実際に発生しているかを確認するのがおすすめです。場面が特定できれば、対応する区分の算定要件と施設基準を重点的に確認できます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。