みらい(新人医療事務)
あおいさん、病棟に「認知症ケア加算」って貼り紙があるんですけど、これはどんな加算ですか?
あおい(元・医療事務)
認知症ケア加算(区分番号A247)は、認知症の症状があって身体疾患の治療に影響が出る可能性がある入院患者に、専門的なケアを提供した場合に評価される加算です。令和8年度(2026年度)現在、入院基本料等加算(A章)のひとつとして位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
「身体疾患の治療に影響が出る可能性」って、具体的にはどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
認知症の行動・心理症状(BPSD)や意思疎通の困難さがあると、手術後の安静が保てなかったり、点滴を自己抜去してしまったりと、身体的な治療が円滑に進まない場面があります。この加算は、そういった患者に対して病棟の看護師等や専門的な多職種が適切に関わることで、認知症症状の悪化を防ぎつつ身体疾患の治療を受けやすくすることを目的とした評価、という理解で合っています。
認知症ケア加算の点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は区分ごとに違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、加算1・2・3の3区分があって、さらに入院日数によっても分かれます。区分は施設基準の充足度で決まります。

| 区分 | 入院期間 | 点数(1日につき) |
|---|---|---|
| 認知症ケア加算1 イ | 14日以内の期間 | 186点 |
| 認知症ケア加算1 ロ | 15日以上の期間 | 39点 |
| 認知症ケア加算2 イ | 14日以内の期間 | 115点 |
| 認知症ケア加算2 ロ | 15日以上の期間 | 31点 |
| 認知症ケア加算3 イ | 14日以内の期間 | 47点 |
| 認知症ケア加算3 ロ | 15日以上の期間 | 13点 |
あおい(元・医療事務)
上の表は令和8年厚生労働省告示第69号(区分番号A247)に基づく点数です。1日につき算定する加算で、入院日から起算した入院期間によって点数が変わります。
身体的拘束を実施した日の点数
(区分番号A247 注2)身体的拘束を実施した日は、所定点数の100分の20に相当する点数により算定します。詳細は公式資料で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
入院して14日目が境目になるんですね。最初の14日間のほうが点数が高い。
あおい(元・医療事務)
そうです。認知症患者の入院初期はケアの集中度が高いため、14日以内が高く設定されています。加算1が最も高く、加算3が最も低い設定になっています。どの区分で届け出ているかが実際の算定点数を左右しますので、自院の届出内容の確認が出発点になります。
算定対象となる患者(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
どんな患者が対象になるんですか?認知症なら誰でもいいわけじゃないですよね?
あおい(元・医療事務)
対象患者には明確な基準があります。留意事項通知(A247(2))では「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランクⅢ以上に該当すること」と規定されています。
算定対象患者の確認ポイント(令和8年度)
- 「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」(平成18年老発第0403003号)におけるランクⅢ以上に該当すること
- ただし、重度の意識障害がある患者は除く: JCS(Japan Coma Scale)でⅡ-3(または30)以上、またはGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下は対象外
- 入院基本料(特別入院基本料等を除く)または特定入院料のうち認知症ケア加算を算定できるものを現に算定している患者であること
- 出典: 令和8年度診療報酬留意事項通知 A247(2)
みらい(新人医療事務)
ランクⅢって、どんな状態ですか?
あおい(元・医療事務)
日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする状態が目安になります。実際の判定は主治医や担当者が判定基準に沿って確認します。算定対象かどうかは判定結果を診療録で確認することが基本です。
認知症ケア加算の施設基準と届出(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
施設基準って、加算ごとに違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、加算1・2・3でそれぞれ施設基準が異なります。まず届出が必要という点は共通ですが、求められる体制の内容が変わってきます。
認知症ケア加算1の主な施設基準
あおい(元・医療事務)
加算1では「認知症ケアチーム」の設置が核心になります。
認知症ケア加算1 施設基準の確認ポイント
- 認知症ケアに係る専門知識を有した多職種からなる認知症ケアチームを設置すること
- 認知症ケアチームは以下の定期活動を行うこと:
- 認知症患者のケアに係るチームによるカンファレンスを週1回程度開催
- 週1回以上、各病棟を巡回し、実施状況を把握して病棟職員・患者家族に助言
- 認知症患者に関わる職員を対象として、認知症ケアに関する研修を定期的に実施
- 算定対象外の患者についても医師・看護師からの相談に速やかに対応
- 出典: 令和8年度診療報酬留意事項通知 A247(6)エ
みらい(新人医療事務)
カンファレンスを週1回、病棟巡回も週1回以上…けっこう体制が必要ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。加算1は認知症ケアチームが組織的に機能していることが前提ですので、届出前に体制が整っているかをチームで確認することが大切です。
認知症ケア加算2の主な施設基準
みらい(新人医療事務)
加算2は加算1より体制要件が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
加算2は、病棟の看護師等が主体となってケアを実施する体制です。加算1のような専門チームは必須ではありませんが、専門知識を持つ職員のサポートが必要です。
認知症ケア加算2 施設基準の確認ポイント
- 病棟の看護師等が行動・心理症状等を把握し、対応について看護計画を作成した日から算定開始
- 認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師、または認知症患者の看護に従事した経験5年以上の専任の常勤看護師(認知症看護に係る適切な研修修了者)が、病棟における認知症患者ケアの実施状況を定期的に把握し、必要な助言を行うこと
- 身体的拘束を実施した場合は解除に向けた検討を少なくとも1日に1度行うこと
- 出典: 令和8年度診療報酬留意事項通知 A247(7)ウ・エ
認知症ケア加算3の主な施設基準
みらい(新人医療事務)
加算3はどうですか?
あおい(元・医療事務)
加算3は、加算2の要件のうち「病棟の看護師等による看護計画の作成・実施」と「身体的拘束を実施した場合の日次検討」を満たすことが要件とされています。留意事項通知では「(7)のア、イ及びエを満たすものであること」と規定されています。
施設基準の確認は必ず公式資料で
施設基準の詳細要件(届出に必要な様式・人員配置等)は、令和8年厚生労働省告示第70号および厚生労働省の通知をご確認ください。本記事は一次情報に基づく概要であり、施設基準の充足判定は自院で行う必要があります。
届出に関する確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
届出が必要ということですが、どこに届け出るんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局長等(実際には各地方厚生局の事務所)に届け出ることになります。届出済みであれば加算の算定候補になりますが、届出が済んでいない場合は算定できませんので、自院の届出状況の確認が最初の一歩です。
自院で確認する順番
- 自院の届出一覧(地方厚生局への届出内容)で「認知症ケア加算」の届出の有無と区分(1・2・3)を確認
- 届出がある場合: 対象患者の判定基準(認知症高齢者自立度ランクⅢ以上)を診療録で確認
- 対象患者に該当する場合: 入院日からの日数(14日以内/15日以上)を確認して算定区分を確定
- 必要なケアの実施記録・看護計画の作成と保管状況を確認
- 身体的拘束を実施している場合: 算定点数が100分の20になることを確認(記録も必須)
- 不明点は審査支払機関(支払基金・国保連)や都道府県の指導担当窓口に確認
みらい(新人医療事務)
実は届け出ているのに知らないで算定していなかった、なんてケースもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
それは意外とあります。過去の届出一覧を改めて確認すると、算定できているはずの加算が取れていなかった、というケースは少なくありません。まず自院の届出状況から確認するのが確実です。
算定タイミングと併算定の注意(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
算定は1日単位なんですよね。始まるタイミングはいつですか?
あおい(元・医療事務)
区分によって開始時点が異なります。
| 加算区分 | 算定開始のタイミング |
|---|---|
| 認知症ケア加算1 | 認知症ケアチームが当該患者の状況を把握・評価するなど関与し始めた日から |
| 認知症ケア加算2 | 看護師等が行動・心理症状等を把握し、対応について看護計画を作成した日から |
| 認知症ケア加算3 | 同上(加算2の基準に準ずる) |
あおい(元・医療事務)
この算定開始日の根拠は令和8年度診療報酬留意事項通知 A247(6)ア・(7)アです。
みらい(新人医療事務)
別の加算との関係はどうですか?
あおい(元・医療事務)
重要な制限が2点あります。
併算定の注意(令和8年度)
(区分番号A247 注1)
- 精神科リエゾンチーム加算(区分番号A230-4): 認知症ケア加算1を算定する場合に限り、別に算定不可
- せん妄ハイリスク患者ケア加算(区分番号A247-2): 認知症ケア加算を算定した場合、別に算定不可
(出典: 令和8年厚生労働省告示第69号 A247 注1、同留意事項通知(5))
みらい(新人医療事務)
精神科リエゾンチーム加算は加算1だけが対象なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。加算2・3を届け出ている場合は、精神科リエゾンチーム加算との関係は直接的な制限とはなりません。ただし、個々の状況については審査支払機関に確認することをおすすめします。
外泊・外来・在宅医療との関係(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
外泊のときはどうなりますか?認知症ケア加算は算定できますか?
あおい(元・医療事務)
認知症ケア加算は「入院している患者」に算定する加算です。外泊を実施した日については、基本的に入院料の算定ルールに準じた取扱いになりますが、外泊日の加算算定の可否については公式資料および審査支払機関に確認が必要です。この記事では断言できません。
みらい(新人医療事務)
外来の場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
認知症ケア加算は入院に限定された加算です。告示第69号の注1に「入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は特定入院料のうち、認知症ケア加算を算定できるものを現に算定している患者に限る」と規定されており、外来患者は対象外です。認知症の外来患者へのケアは別の評価体系になります。
みらい(新人医療事務)
在宅の患者さんへはどうですか?
あおい(元・医療事務)
在宅医療(訪問診療等)でも算定対象外です。入院基本料を算定している入院患者を対象としていますので、外来や在宅は対象になりません。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で認知症ケア加算は何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定における認知症ケア加算の変更点については、令和8年厚生労働省告示第69号(点数条文)および令和8年度診療報酬留意事項通知(A247)の一次情報の範囲では、前回改定(令和6年度)との具体的な差分(点数変更・施設基準変更・算定要件変更等)を直接確認できていません。
令和8年度改定 確認状況(2026年6月時点)
- 本記事作成時点(2026年6月)で確認できている一次情報: 令和8年厚生労働省告示第69号の区分番号A247条文、留意事項通知
- 前回改定(令和6年度)からの具体的な差分(点数変更・要件変更等)については、上記一次情報(告示第69号・留意事項通知A247)の範囲内では確認できていません(確認日: 2026年6月)
- 自院への影響確認: 前回改定からの変更の有無は、厚労省の改定資料(個別改定項目)で直接ご確認ください
みらい(新人医療事務)
なるほど。改定の内容は厚労省の公式資料を直接確認するのが確実なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。特に前年度比での点数変更や体制要件の変更は、厚労省の「令和8年度診療報酬改定について」のページで個別改定項目を確認するのが最も確実です。
よくある取り漏れと確認ポイント(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
この加算でよくある取り漏れや見落としはありますか?
あおい(元・医療事務)
現場でよくあるパターンをまとめると、こんな点が確認のポイントになります。
認知症ケア加算 よくある取り漏れポイント
- 届出区分の確認不足: 加算1で届け出ているつもりが加算2の届出しかない、または届出自体がない
- 算定開始日のずれ: 看護計画の作成日やチームが関与した日ではなく、別の日で算定している
- ランク判定記録の不備: 認知症高齢者の日常生活自立度ランクの判定根拠が診療録にない
- 身体的拘束の記録漏れ: 拘束を実施した日の点数を通常点数で算定してしまっている(100分の20が正)
- 拘束の解除検討記録: 1日に1度の検討を記録していない
- せん妄ハイリスク患者ケア加算との重複請求: 認知症ケア加算を算定しているのにせん妄加算も同時算定(不可)
みらい(新人医療事務)
身体的拘束の日は点数が減るんですね。知らないで通常点数で請求していたら問題になりますね。
あおい(元・医療事務)
査定や返戻の対象になる可能性があります。身体的拘束を実施した日の記録(開始日・解除日・必要な状況の記録)と点数の確認は、レセプトチェックの際に必ず確認する習慣を持っておくといいと思います。
よくある質問(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
そのほかによくある疑問はありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか多い質問をまとめてみますね。
みらい(新人医療事務)
「いつから」認知症ケア加算は始まったんですか?
あおい(元・医療事務)
認知症ケア加算の新設年度については、令和8年度の一次情報(告示・留意事項通知)では明示を確認できていません。現行の令和8年度(2026年度)の算定要件・点数は令和8年厚生労働省告示第69号に基づきます。新設の経緯を確認したい場合は、厚生労働省の過去の改定資料(平成28年度以降)で直接確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
診療所(クリニック)でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
認知症ケア加算は「入院基本料等加算」であり、入院基本料を算定する病院が対象です。診療所(無床または有床診療所)での算定は基本的に対象外となりますが、有床診療所での入院料算定状況によっては異なる場合もあります。自院の施設種別と届出を確認してください。
みらい(新人医療事務)
転院した場合、入院日数の起算はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
入院日数の起算は「当該患者が入院した日から」と規定されています。転院の場合、転院先の入院日が起算になるのか通算なのかは、個別の状況と審査支払機関の取扱いに依ります。レセプト請求時は審査支払機関に確認するのが安全です。
みらい(新人医療事務)
加算1・2・3のどれで届け出るかはどう決めますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の要件(専門チームの設置・担当職員の資格・研修状況など)を自院が満たしているかどうかで決まります。加算1が最も要件が厳しく、加算3が最も基本的な体制で届け出られます。施設基準の詳細は告示第70号および施設基準通知で確認し、不明な点は地方厚生局の指導担当窓口に相談することをおすすめします。

公式資料(令和8年度)
| 資料名 | 発行元・告示番号 | 年度 |
|---|---|---|
| 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示第69号) | 令和8年厚生労働省告示第69号 | 令和8年度 |
| 基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(告示第70号) | 令和8年厚生労働省告示第70号 | 令和8年度 |
| 診療報酬算定方法の留意事項通知(A247) | 厚生労働省 | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
施設基準の具体的な届出様式は告示第70号で確認するんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。告示第70号と施設基準通知で届出の内容・様式を確認した上で、地方厚生局に届け出ます。届出済みかどうかが算定候補かどうかの分かれ目になるので、まず自院の届出台帳を確認するところから始めるといいですよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(令和8年厚生労働省告示第69号・第70号)・審査支払機関の判断でご確認ください。