薬剤総合評価調整加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「薬剤総合評価調整加算」って名前が長くて覚えにくいんですけど、どういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬でいうと、区分番号A250の入院基本料等加算のひとつです。入院中の患者さんの内服薬をまとめて見直して、処方内容を整理・変更した場合に、退院時1回に限り所定点数へ加算する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「所定点数へ加算」というのは、入院基本料に上乗せするイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。入院基本料そのものとは別の点数として計算されますが、退院時の会計上は入院基本料等加算として、その患者さんの入院基本料に上乗せする形で算定します。ですので「薬剤総合評価調整加算 入院基本料」という組み合わせで調べる方も多いですね。告示には「A250 薬剤総合評価調整加算(退院時1回) 160点」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
160点というのは、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく分けて2パターンあります。ひとつは、入院前に多くの内服薬が処方されていた患者さんの処方を見直した場合。もうひとつは、精神科病棟に入院していて抗精神病薬を多く内服していた患者さんの処方を見直した場合です。次の章で具体的な基準を確認していきましょう。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数とコードを整理したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の点数をまとめると、こちらの表になります。
| 区分 | 内容 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| A250 注1 | 薬剤総合評価調整加算 | 160点 | 退院時1回に限り |
| A250 注2 | 薬剤調整加算(注1を満たした上での上乗せ) | 150点 | 注1に該当する場合のみ、退院時1回に限り |

みらい(新人医療事務)
160点と150点は同時に取れるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、条件を満たせば合計310点になる可能性があります。ただし薬剤調整加算(150点)はあくまで「薬剤総合評価調整加算の算定要件を満たした上で、さらに内服薬の種類数を減らせた場合」の上乗せです。単独では算定できません。告示には「注1のイに該当する場合であって、当該患者の退院時に処方する内服薬が2種類以上減少した場合」に加算する、と規定されています。
みらい(新人医療事務)
コードは区分番号のA250だけで、細かい算定コード表みたいなものはないんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表上の区分番号はA250ですが、レセプト電算処理用の個別コードについては、医療機関で使っているレセコンの医科診療行為マスターで確認するのが確実です。この記事では、区分番号と点数の対応関係を中心にお伝えしますね。
対象患者・算定要件を確認する
みらい(新人医療事務)
さっき「2パターンある」とおっしゃっていましたが、詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
はい、告示の「注1」に2つの場合が定められています。
算定候補となる2つのケース(令和8年度)
イ 内服薬6種類以上のケース 入院前に6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く)が処方されていた患者について、処方の内容を総合的に評価した上で、当該処方の内容を変更し、かつ療養上必要な指導及び情報連携を行った場合。
ロ 精神科・抗精神病薬4種類以上のケース 精神病棟に入院中の患者であって、入院直前又は退院1年前のいずれか遅い時点で抗精神病薬を4種類以上内服していたものについて、当該抗精神病薬の処方の内容を総合的に評価した上で、当該処方の内容を変更し、かつ療養上必要な指導及び情報連携を行った場合。
みらい(新人医療事務)
「特に規定するもの」というのは何を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知によると、屯服薬は内服薬の種類数から除外されます。また、服用を開始して4週間以内の薬剤についても、調整前の内服薬の種類数からは除外する扱いです。逆に言うと、入院前から4週間以上継続して内服していた薬剤が数える対象になります。
みらい(新人医療事務)
種類数の数え方にもルールがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知には「錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する」と定められています。同じ効能でも銘柄が違えば別カウントというイメージです。
みらい(新人医療事務)
「処方の内容を総合的に評価」というのは、具体的に何をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、次のような指導等をすべて実施している場合に算定できるとされています。
自院で確認する順番
-
持参薬の確認 — 患者の入院時に持参薬を確認し、特に慎重な投与を要する薬剤等を確認する
-
多職種での総合評価 — 医師・薬剤師・看護師等の多職種連携の下で薬剤の総合的な評価を行い、適切な用量への変更や副作用の被疑薬の中止、有効性・安全性の高い代替薬への変更等を行う。評価内容や変更の要点を診療録等に記載する
-
患者への説明 — 処方内容を変更する際の留意事項を多職種で共有した上で、患者に処方変更に伴う注意点を説明し、ポリファーマシーに関する一般的な注意喚起を行う
-
再評価 — 処方変更による病状の悪化や新たな副作用の有無について、多職種で確認し、必要に応じて再評価を行う
-
情報連携文書の作成・提供 — 入院前の処方内容の変更・中止に関する情報や、変更後の患者の状態等に関する情報提供文書を作成し、転院時又は退院時に患者やその家族に交付するとともに、継続して治療等を行う保険医療機関・保険薬局・介護保険施設等のうち少なくとも1つに提供する
みらい(新人医療事務)
どれか1つではなく、全部やらないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。留意事項通知には「次に掲げる指導等を全て実施している場合に算定する」と明記されています。一部だけ実施した場合は算定候補にならない点に注意が必要です。
算定要件は「全て実施」が前提(令和8年度)
持参薬の確認・多職種での総合評価・患者への説明・再評価・情報連携文書の作成と交付という一連の指導等を、すべて実施している場合に算定候補となります。どれか1つでも欠けている場合は、算定候補にならない可能性があるため、自院の実施記録を必ず確認してください。
薬剤調整加算(150点)の上乗せ要件
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた薬剤調整加算、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
薬剤調整加算は、薬剤総合評価調整加算の算定要件を満たした上で、実際に内服薬の種類数を減らせた場合に評価される加算です。留意事項通知には「薬効の重複する薬剤の減少等により、退院時に処方される内服薬が減少したことを評価したものである」とあります。
薬剤調整加算150点の上乗せ条件(令和8年度)
内服薬6種類以上のケース(注1のイ)に該当する場合 退院時に処方する内服薬が2種類以上減少した場合
精神科・抗精神病薬4種類以上のケース(注1のロ)に該当する場合 退院日までの間に抗精神病薬の種類数が2種類以上減少した場合、その他これに準ずる場合
みらい(新人医療事務)
「4週間以上継続すると見込まれる場合」という条件もあると聞きました。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知には「退院時に処方される内服薬が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続すると見込まれる場合又は退院までの間に、抗精神病薬の種類数が2種類以上減少した場合に算定する」とあります。一時的に薬を減らしただけでなく、その状態が続く見込みかどうかも確認事項になっています。
みらい(新人医療事務)
クロルプロマジン換算というのも聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
精神科のケースで、保険医療機関がクロルプロマジン換算を用いた評価を行う場合の取扱いも定められています。クロルプロマジン換算で2,000mg以上内服していたものについて、クロルプロマジン換算で1,000mg以上減少した場合を含めることができる、とされています。数値の当てはめは薬剤師・医師と一緒に確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
薬剤調整加算は毎回算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、同じ保険医療機関で薬剤調整加算または外来の薬剤総合評価調整管理料(B008-2)を1年以内に算定した場合、「前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から、更に2種類以上減少しているときに限り新たに算定することができる」との条件も定められています。連続して算定を狙う場合は、この点の確認が必須です。
薬剤総合評価調整加算と入院基本料の関係(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
そもそもこの加算は、入院基本料とはどういう関係になるんですか?
あおい(元・医療事務)
薬剤総合評価調整加算は「入院基本料等加算」という区分に分類されています。入院基本料そのものを増減させるものではなく、退院時にその患者さんの入院基本料等に上乗せする形で所定点数を加算する仕組みです。ですので、レセプト上は入院基本料の算定と合わせて、薬剤総合評価調整加算(160点)・薬剤調整加算(150点)が別項目として計上されます。
みらい(新人医療事務)
入院基本料の種類(急性期一般とか地域包括ケアとか)によって、この加算が取れる・取れないは変わるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知の記載を確認したかぎりでは、入院基本料の種類による除外規定は明記されていません。対象は「入院中の患者」であり、告示上は入院基本料の区分を限定していません。ただし、実際の算定に当たっては、自院が算定している入院基本料の種類や、他の入院基本料等加算との併算定の可否を、公式資料や審査支払機関に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
診療所は対象外なんですよね?
あおい(元・医療事務)
外来の患者さんには適用されません。ただ「診療所は一律対象外」と言い切るのは正確ではありません。有床診療所(入院用のベッドを持つ診療所)がA108有床診療所入院基本料の届出施設基準を満たしている場合、その入院患者については、告示に「当該診療所においては、第2節の各区分に掲げる入院基本料等加算のうち、次に掲げる加算について、同節に規定する算定要件を満たす場合に算定できる」と定められており、その加算の一覧に薬剤総合評価調整加算(テ)も含まれています。つまり正確には「外来は対象外・有床診療所の入院患者は施設基準を満たせば対象になり得る」という整理になります。次の章で詳しく確認しましょう。
届出・施設基準は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準の縛りはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
薬剤総合評価調整加算は、他の入院基本料等加算とは異なり、施設基準の届出は前提とされていません。告示・留意事項通知を確認したかぎりでは、算定の可否は患者ごとの臨床条件(内服薬の種類数や処方見直しの実施状況)で判断される仕組みで、医療機関側の人員配置や設備についての施設基準は定められていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出さえ気にしなければ、条件を満たせばすぐ算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出は不要という位置づけですが、「算定候補になる=確実に算定できる」ということではありません。患者さんごとに、内服薬の種類数の数え方や、多職種での総合評価・指導・情報連携がすべて実施されているかを、その都度確認する必要があります。届出が要らない分、逆に個別のケースごとの要件充足を丁寧に確認することが重要になります。
みらい(新人医療事務)
記録は何を残しておけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、評価した内容や変更の要点を診療録等に記載すること、薬剤調整加算の算定に当たっては内服薬の種類数を診療報酬明細書の摘要欄に記載することが求められています。医師・薬剤師・看護師の多職種連携の記録も併せて残しておくと、確認や監査の際にスムーズです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度(2024年度)改定から、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の告示・留意事項通知(令和8年厚生労働省告示第69号、保医発0305第6号)を確認したかぎりでは、薬剤総合評価調整加算の点数・算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報の範囲内)。ただし、これは今回参照した一次資料の範囲での確認結果であり、令和6年度時点の告示・通知との突き合わせは別途一次資料が必要です。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と言い切るのは難しいということですか?
あおい(元・医療事務)
はい。点数だけでなく、算定要件・対象患者・記録事項などすべてを前回改定の一次資料と突き合わせて初めて「変更なし」と確定できます。この記事では令和8年度時点の一次資料をもとにした確認範囲であることを明記した上で、現時点で確認できた変更点はない、とお伝えしています。詳細な経緯を知りたい場合は、厚労省の改定関連ページで前回改定時の資料も確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院でこの加算が算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
入院患者であることを確認 — 対象は入院中の患者。外来は対象外。有床診療所の入院患者は、A108有床診療所入院基本料の届出施設基準を満たしていれば対象になり得る
-
内服薬の種類数を確認 — 入院前に4週間以上継続して内服していた薬剤が6種類以上あるか(屯服薬・開始4週間以内の薬剤は除外)
-
精神科病棟のケースも確認 — 精神病棟入院患者の場合は、入院直前又は退院1年前のいずれか遅い時点での抗精神病薬の内服が4種類以上か
-
多職種での総合評価・処方変更を実施 — 持参薬確認、医師・薬剤師・看護師等による総合評価、処方内容の変更、患者への説明、再評価のすべてを実施しているか
-
情報連携文書を作成・交付 — 退院時又は転院時に、情報提供文書を作成し、患者・家族及び継続して治療等を行う機関の少なくとも1つに提供しているか
-
薬剤調整加算の上乗せ条件を確認 — 退院時の内服薬が2種類以上減少(4週間以上継続見込み)、又は抗精神病薬が2種類以上減少しているか
-
記録・摘要欄の記載を確認 — 診療録への評価内容の記載、レセプトの摘要欄への内服薬種類数の記載が整っているか

みらい(新人医療事務)
これだけ条件があると、自分たちだけで判断するのは少し不安です。
あおい(元・医療事務)
そんなときは、加算チェッカーを使うのもひとつの方法です。自院の状況を入力すると、算定候補かどうかの目安を確認できますよ。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できます。
よくある取り漏れ
よくある取り漏れポイント
- 屯服薬や開始4週間以内の薬剤を、内服薬の種類数に誤って含めてしまうケース
- 多職種連携の記録(医師・薬剤師・看護師の評価内容)が診療録に残っていないケース
- 情報提供文書の交付先(患者・家族と継続して治療等を行う機関)が1つも記録されていないケース
- 薬剤調整加算のみを算定要件の確認なしに単独で算定しようとするケース
- 精神科病棟のケースで、抗精神病薬の種類数の判定基準日(入院直前又は退院1年前の遅い方)を取り違えるケース
- 同一保険医療機関で薬剤調整加算・薬剤総合評価調整管理料(B008-2)を1年以内に算定した際、種類数の減少条件を再確認せずに算定してしまうケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問を聞いておきたいです。診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
外来の患者さんには適用されません。ただし診療所が一律で対象外というわけではなく、有床診療所(入院用のベッドを持つ診療所)がA108有床診療所入院基本料の届出施設基準を満たしている場合は、その入院患者について本加算の算定要件を満たせば算定候補になり得ます。告示にも、有床診療所が算定できる入院基本料等加算の一覧に薬剤総合評価調整加算が含まれていると明記されています。外来で日常的な処方の総合調整を行う場合は、別の管理料(外来の薬剤総合評価調整管理料など)の対象になるかどうかを確認することになります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知を確認したかぎりでは、施設基準の届出は前提とされていません。ただし届出が不要というだけで、患者ごとの算定要件(内服薬の種類数、多職種での総合評価・処方変更・指導・情報連携のすべての実施)を満たしているかどうかの確認は必要です。
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から点数は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定の一次資料を確認したかぎりでは、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません。ただし、この記事は令和8年度時点の資料をもとにした確認範囲ですので、詳しい経緯を知りたい場合は厚労省の改定関連資料もあわせてご確認ください。
みらい(新人医療事務)
薬剤総合評価調整加算(160点)と薬剤調整加算(150点)、どちらか一方だけ算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
薬剤総合評価調整加算(注1)の要件を満たせば、それだけで160点の算定候補になります。薬剤調整加算(150点)は、その注1の要件を満たした上でさらに内服薬の種類数を減らせた場合の上乗せなので、薬剤調整加算だけを単独で算定することはできません。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件・記録事項は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の内服薬の状況や実施している指導内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。