みらい(新人医療事務)
「地域医療体制確保加算」って名前は聞いたことがあるんですけど、正直まだよくわかっていなくて…。うちの病院でも算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。まず大前提として、この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいて整理しています。地域医療体制確保加算は、以前の年度から続く加算ですが、施設基準の数値や年度ごとの経過措置が変わることがあるので、必ず年度を確認しながら読んでくださいね。
みらい(新人医療事務)
年度、大事なんですね。まずはどんな加算なのか教えてください。
地域医療体制確保加算とは(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
地域医療体制確保加算は、区分番号「A252」の入院基本料等加算です。地域の救急医療体制・周産期医療体制・小児救急医療体制で重要な役割を担いながら、病院勤務医の負担軽減と処遇改善に資する取組を実施している体制を評価する加算です。厚生労働省の留意事項通知では、この加算の趣旨がはっきり書かれています。
留意事項通知の記載(要旨)
「地域医療体制確保加算は、地域の救急医療体制、周産期医療体制又は小児救急医療体制において重要な機能を担うとともに、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する取組を実施する体制を評価するものである」
みらい(新人医療事務)
なるほど、救急とか周産期とか、地域で頑張っている病院を応援する加算なんですね。うちみたいな診療所も対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、これは病院の入院基本料等加算なので、診療所は対象外です。対象は病院に限られ、しかも施設基準の届出をしている病院に入院している患者について、入院初日に限り算定する加算です。
対象医療機関・対象患者(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
対象になる病棟は、告示・通知で具体的に列挙されています。
| 区分 | 対象となる病棟・入院料の例 |
|---|---|
| 一般病棟 | 一般病棟入院基本料(地域一般入院基本料を除く) |
| 結核・精神 | 結核病棟入院基本料(7対1・10対1)、精神病棟入院基本料(10対1・13対1で精神病棟看護・多職種協働加算を算定する場合) |
| 特定機能病院 | 特定機能病院入院基本料(7対1・10対1・13対1で精神病棟看護・多職種協働加算を算定する場合) |
| 専門病院 | 専門病院入院基本料(7対1・10対1) |
| 特定入院料 | 救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、新生児治療回復室入院医療管理料、地域包括医療病棟入院料、一類感染症患者入院医療管理料、小児入院医療管理料(5を除く)、精神科救急急性期医療入院料、精神科救急・合併症入院料 |
みらい(新人医療事務)
けっこう幅広いんですね。うちの病棟がここに入っているかどうかは、まず確認しないといけないポイントですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。対象病棟であることは前提条件で、そのうえで救急医療の実績要件と、勤務医負担軽減の体制要件の両方を満たす必要があります。
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
地域医療体制確保加算には1と2の2区分があり、令和8年度時点では次の点数です。入院初日に限り、所定点数に加算する形です。
| 区分 | 点数(令和8年度) | 算定タイミング |
|---|---|---|
| 地域医療体制確保加算1 | 620点 | 入院初日に限り1回 |
| 地域医療体制確保加算2 | 720点 | 入院初日に限り1回 |

点数だけで判断しない
点数区分は施設基準の充足状況によって決まります。加算2の方が高点数ですが、加算2には加算1の基準に加えて追加の要件があるため、点数の高さだけを見て届出区分を選ぶことはできません。
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2、何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そこがこの加算の一番のポイントです。順番に見ていきましょう。
施設基準1(救急医療体制・算定要件の確認事項)
あおい(元・医療事務)
地域医療体制確保加算1の施設基準は、大きく分けて「対象病棟であること」「救急医療の実績」「病院勤務医の負担軽減・処遇改善の体制」「医師の労働時間の記録」の4つです。
| 確認項目 | 内容(令和8年度・要旨) |
|---|---|
| 救急医療の実績 | 救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年間2,000件以上、または年間1,000件以上でハイリスク分娩等管理加算・総合周産期特定集中治療室管理料・小児特定集中治療室管理料・新生児特定集中治療室管理料のいずれかを届け出ている、または総合周産期母子医療センター・地域周産期母子医療センターに該当すること |
| 勤務医負担軽減体制 | 勤務状況の把握・改善提言のための責任者を配置し、多職種の委員会等で「医師労働時間短縮計画」を作成、取組を院内掲示等で公開していること |
| 労働時間の記録 | 医師の労働時間をタイムカード・ICカード・パソコン使用記録等の客観的記録で確認・記録していること |
特定対象医師の時間外・休日労働時間の上限(令和8年度施設基準)
医療法施行規則第63条に定める特定地域医療提供医師・連携型特定地域医療提供医師については、原則として令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下という上限が示されています。上限を超える対象医師がいる場合は、その理由と改善計画を院内・ホームページ等で公開すれば足りるとされています。
みらい(新人医療事務)
搬送件数って、自院に受け入れた件数でいいんですか?それとも他院に送った分も含むんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いい着眼点です。疑義解釈では「当該保険医療機関が患者を受け入れた件数又は人数を計上するもので、他の保険医療機関等に患者を搬送した件数又は人数は含まれない」と整理されています。受け入れ実績だけをカウントする点は、集計時に間違えやすいので注意が必要です。
施設基準2(地域医療体制確保加算2固有の要件)
みらい(新人医療事務)
加算2はさらに何を満たす必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
加算2は、加算1の基準すべてに加えて、若手医師の確保が課題になっている診療科を支援する体制が追加で必要です。
| 確認項目 | 内容(令和8年度・要旨) |
|---|---|
| 前提 | 加算1の基準(対象病棟・救急実績・勤務医負担軽減体制・労働時間記録)をすべて満たすこと |
| 病院要件 | 特定機能病院入院基本料(7対1・10対1)または急性期総合体制加算の届出があること |
| 特定診療科の指定 | 消化器外科・心臓血管外科・小児外科・循環器内科のうち、地域で医師確保が特に必要な診療科を3つ以内で特定すること |
| 特定診療科への配慮 | 地域の医療機関との機能分化・協議、臨床研修の連携実施、特定診療科の医師に対する給与体系上の特別な配慮 |
| 勤務体制 | 交代勤務制(常勤医3名以上配置・夜勤翌日の休日確保等)またはチーム制(緊急呼出し当番の配置等)のいずれかと、医師事務作業補助者の配置・看護職員の研修修了のいずれかを実施していること |
みらい(新人医療事務)
特定診療科って、消化器外科と心臓血管外科と小児外科と循環器内科の4つから3つ選ぶってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし疑義解釈では、外科系の診療科が実態として区別しづらい場合は「外科系診療科全体」を1つの診療科として特定してよいとされたり、逆に消化器外科などを他の外科系診療科と区別できるなら、外科の中の消化器外科だけを特定診療科として扱ってよい、といった細かい取扱いも示されています。ここは自院の診療体制によって判断が分かれる部分なので、要確認のポイントですね。
あおい(元・医療事務)
なお、この特定機能病院入院基本料または急性期総合体制加算の届出という要件があるため、急性期総合体制加算の届出状況も合わせて確認しておくと整理しやすいです。
届出の確認(要件と様式)
みらい(新人医療事務)
届出はどうやってするんですか?
あおい(元・医療事務)
地域医療体制確保加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式40の15及び様式40の16を用いることとされています。届出済みであれば算定候補になりますが、届出をしていない病院は、対象病棟であっても算定できません。
届出の有無は必ず自院で確認
施設基準を満たしているように見えても、地方厚生局長等への届出が済んでいなければ算定候補にはなりません。届出内容や充足状況の最終確認は、AIによる自動判定ではなく、自院の担当者と地方厚生局の窓口・公式資料で行ってください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
あおい(元・医療事務)
算定できるのは、地域医療体制確保加算を算定できる入院基本料または特定入院料を現に算定している患者について、入院初日に限り1回だけです。入院が長期化しても、入院初日以外に算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できるものもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では、急性期総合体制加算・医師事務作業補助体制加算・急性期看護補助体制加算等を届け出ている病院が、それらの加算に係る負担軽減・処遇改善の体制と合わせて整備する場合は、体制を共通化して差し支えないとされています。ただし、これは体制整備を兼ねてよいという話であって、個々の加算の算定可否そのものは別に確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは正直にお伝えしますね。当サイトが収録している一次資料の範囲では、地域医療体制確保加算1・2の点数(620点・720点)や基本的な算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年7月時点の確認)。
年度をまたぐ経過的な基準に注意
時間外・休日労働時間の上限(令和8年度1,635時間以下、令和9年度1,560時間以下)は、改定による変更ではなく、同じ令和8年度改定の施設基準の中で年度ごとに定められている経過的な基準です。「去年と点数が変わった」という話ではない点を混同しないよう注意してください。
あおい(元・医療事務)
なお、令和6年度の疑義解釈で示された「搬送件数は自院の受け入れ件数のみを計上する」という取扱いは、令和8年度時点でも参照される内容として整理されています。過去の疑義解釈が令和8年度に自動的に無効になるわけではない、という点も併せて確認しておくとよいでしょう。

自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 自院の病棟が対象入院料(一般病棟入院基本料・救命救急入院料・特定集中治療室管理料等)に該当するか確認する
- 救急搬送実績(自院受け入れ件数)が年間2,000件以上、または年間1,000件以上+関連加算届出等の条件を満たすか確認する
- 医師労働時間短縮計画の策定状況、勤務医の労働時間の客観的記録・時間外労働時間の実績を確認する
- 加算2を目指す場合は、特定機能病院入院基本料または急性期総合体制加算の届出、特定診療科の指定・勤務体制の整備状況を確認する
- 様式40の15・40の16による地方厚生局への届出状況を確認し、未届出であれば地方厚生局に相談する
よくある取り漏れ
対象病棟の見落とし
一般病棟入院基本料でも「地域一般入院基本料」は対象から除外されています。病棟区分を細かく確認しないと、対象外の病棟を対象と誤認してしまうことがあります。
搬送件数の集計範囲の誤り
救急搬送件数は自院が受け入れた件数のみが対象で、他院への搬送件数は含みません。集計時にこの区別を誤ると、実績要件の充足判断がずれる可能性があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認させてください。医師の労働時間は、対象になる特定の医師だけ記録すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では「当該保険医療機関の全ての医師の労働時間について、客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することが求められるのか」という問いに対して「そのとおり」と回答されています。特定対象医師に限らず、全ての医師の労働時間の客観的記録が前提になっている点は見落とされやすいので確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
外科医療確保特別加算というのも聞いたことがあるんですが、地域医療体制確保加算と関係ありますか?
あおい(元・医療事務)
関係があります。疑義解釈では、外科医療確保特別加算を算定する診療科は、原則として地域医療体制確保加算2に規定する特定診療科である必要があるとされています。ただし特定機能病院で一定の基準を満たす場合は、加算2そのものを届け出ていなくても特定診療科の要件を満たすとみなす取扱いも示されています。このあたりは組み合わせが複雑なので、自院の届出状況に応じて個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
令和8年度からいきなり届出が必要になった、というわけではないんですね?
あおい(元・医療事務)
そうですね。地域医療体制確保加算自体は以前からある加算で、令和8年度はその時点の告示・通知に基づく内容を整理しています。年度が変わると施設基準の数値(労働時間の上限など)が動くことがあるので、必ず最新年度の資料で確認する習慣をつけておくと安心です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。