排尿自立支援加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「排尿自立支援加算」ってうちの病棟でも話題になったんですけど、どういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬では、区分A251として入院基本料等加算に位置づけられている加算です。尿道カテーテルの抜去にともなって下部尿路機能障害が起きた(または起きると見込まれる)患者に、多職種チームで包括的な排尿ケアを行った場合に評価されるものです。
みらい(新人医療事務)
「排尿ケア」を頑張っているだけで算定できるわけではないんですね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者であって、対象になる患者要件を満たす場合に、週1回に限り12週を限度として算定できる、と規定されています。届出済みであれば候補になる加算で、無条件に算定できるわけではありません。
みらい(新人医療事務)
対象は病院だけですか?診療所でも取れますか?
あおい(元・医療事務)
対象は入院基本料等加算なので、病院の入院患者が対象です。診療所や外来では対象になりません。この点はまず押さえておいてください。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか、コードも含めて確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点での点数とルールをまとめるとこちらの表になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分コード | A251 |
| 加算名 | 排尿自立支援加算 |
| 点数 | 200点 |
| 算定頻度 | 週1回 |
| 算定上限 | 12週を限度 |
| 分類 | 入院基本料等加算(A章) |

みらい(新人医療事務)
「週1回・12週限度」というのは、告示にそのまま書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。区分A251の注には「患者1人につき、週1回に限り12週を限度として所定点数に加算する」と規定されています。13週目以降は、たとえケアを継続していても算定候補にはなりません。この期限管理は実務でも見落としやすいポイントです。
対象患者は誰ですか?
みらい(新人医療事務)
「下部尿路機能障害」って言葉が難しいんですけど、具体的にはどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の留意事項では、次のいずれかに該当する患者と整理されています。
対象患者の考え方(令和8年度)
ア. 尿道カテーテル抜去後の患者: 尿失禁、尿閉等の下部尿路機能障害の症状を有するもの イ. 尿道カテーテル留置中の患者: 抜去後に下部尿路機能障害を生ずると見込まれるもの
みらい(新人医療事務)
「見込まれる」という表現なので、抜去する前から対象になる可能性があるということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。留置中の段階から下部尿路機能を評価し、抜去後を見据えて排尿ケアチームに相談する流れが想定されています。ただし、あくまで施設基準に適合した病院の入院患者が前提です。自院の患者がこの条件に当てはまるかは、診療録上の記録とあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
実際にはどういう手順で対象患者を見つけるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項では、病棟の看護師等がまず対象患者を抽出し、排尿日誌や残尿測定などの情報収集を行った上で、排尿ケアチームに相談する、という流れが示されています。院内の運用フローとして整備されているかがポイントになります。
施設基準: 排尿ケアチームにはどんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
「排尿ケアチーム」というのが何度も出てきますが、具体的にはどんなメンバーで構成すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出通知(令和8年3月5日 保医発0305第7号)では、以下の3職種で構成することが求められています。
排尿ケアチームの構成要件(令和8年度)
ア. 医師: 下部尿路機能障害を有する患者の診療について経験を有する医師(3年以上の勤務経験を有する泌尿器科の医師、または排尿ケアに係る適切な研修を修了した者) イ. 看護師: 下部尿路機能障害を有する患者の看護に従事した経験を3年以上有し、所定の研修を修了した専任の常勤看護師 ウ. 理学療法士または作業療法士: 下部尿路機能障害を有する患者のリハビリテーション等の経験を有する専任の常勤理学療法士または専任の常勤作業療法士
みらい(新人医療事務)
医師は必ず泌尿器科の先生じゃないとダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
3年以上の勤務経験を有する泌尿器科の医師、または「排尿ケアに係る適切な研修」を修了した医師であれば対応できます。他の保険医療機関を主たる勤務先とする医師が、対診等によりチームに参画することも認められています。研修は国や医療関係団体等が主催し、下部尿路機能障害の病態・診断・治療・予防・ケアの内容を含む、通算6時間以上のものと定義されています。
みらい(新人医療事務)
看護師の「所定の研修」はもっとハードルが高そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。看護師の研修は通算16時間以上とされ、病態生理・治療と予防・評価方法・排尿ケア・事例分析に加えて、排尿日誌による評価、エコーを用いた残尿測定、排泄用具の使用、骨盤底筋訓練、自己導尿に関する指導を含む演習が組み込まれている必要があります。研修の実施記録・修了証の保管状況を確認しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
このチームのメンバーは、他の業務と兼務できるんですか?
あおい(元・医療事務)
「B005-9」外来排尿自立指導料に規定する排尿ケアチームの構成員とは兼任できます。一方で、病棟業務に専従することとされている職員(病棟専従の理学療法士等)については、専従業務の範囲に排尿ケアチームの業務が含まれないと想定されるため、兼務できないとされています。この兼務可否の線引きは、施設基準の届出時に誤りやすいポイントです。
届出の確認(様式40の14)
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、それだけで算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、届出が必須です。排尿自立支援加算の施設基準に係る届出は、様式40の14「排尿自立支援加算の施設基準に係る届出書添付書類」を用いて地方厚生局長等に届け出る必要があります。届出書には排尿ケアチームの構成員(氏名・職種)を記載する欄があります。
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せばもう安心ですか?
あおい(元・医療事務)
届出はスタートラインです。排尿ケアチームは、対象患者抽出のためのスクリーニングや下部尿路機能評価のための情報収集(排尿日誌、残尿測定等)に関するマニュアルを作成し、院内に配布・院内研修を実施することも施設基準として求められています。マニュアル整備や研修実施の記録が残っているかも、届出後の運用として確認しておきたいところです。
算定タイミング・回数制限・注意点
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトを作るときに、特に注意しないといけない点はありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。特に取り違えやすいのはこちらです。
算定上の注意点(令和8年度)
- 週1回・12週限度です。13週目以降は算定候補になりません
- 排尿ケアチームによる関与と、病棟の看護師等による患者への直接的な指導または援助の両方が行われた週に限り算定対象になります。どちらか片方のみの週は算定できません
- 排尿が自立し指導を終了した場合には、その後は算定できません
- 病棟専従とされている職員は、排尿ケアチームの業務を兼務できません(疑義解釈で明示)
- 退院後に外来で包括的排尿ケアを継続する必要性を認めた場合は、その旨を診療録等に記載することとされています
みらい(新人医療事務)
「片方だけの週は算定できない」というのは、うっかり見落としそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。排尿ケアチームの評価と病棟看護師等の直接支援、両方の記録が同じ週に残っているかを、レセプト作成前にチェックする運用にしておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算って何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準届出通知の範囲では、排尿自立支援加算の点数(200点・週1回・12週限度)、対象患者の考え方、排尿ケアチームの構成要件(医師・看護師・理学療法士等の専任常勤要件)に変更は確認されていません(確認日: 2026-07・厚労省告示・施設基準届出通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
もともとどういう経緯でできた加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算の考え方自体は、外来向けの「B005-9」外来排尿自立指導料と関連する形で整理されてきた経緯があります。研修要件についても、疑義解釈(令和2年度・2020年3月31日通知)で「令和2年度改定前の排尿自立指導料と同様である」と示されており、研修の考え方は長く踏襲されています。ただし、最新の告示・通知が優先されますので、届出前には必ず現行の一次資料をご確認ください。
改定差分まとめ(令和8年度・確認範囲)
| 項目 | 令和8年度(2026年度)時点の確認結果 |
|---|---|
| 点数 | 200点(週1回・12週限度) 変更は確認されていません |
| 対象患者 | 尿道カテーテル抜去後/留置中で下部尿路機能障害を有する(見込む)患者 変更は確認されていません |
| 排尿ケアチーム構成 | 医師・専任常勤看護師・専任常勤理学療法士または作業療法士 変更は確認されていません |
| 届出様式 | 様式40の14 変更は確認されていません |
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよくある取り漏れのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
代表的なものをまとめました。
よくある取り漏れポイント
- 排尿ケアチームは設置しているが、看護師の16時間以上の所定研修の修了記録が確認できないケース
- 病棟専従の理学療法士等を排尿ケアチームの専任理学療法士として兼務させてしまっているケース
- 排尿ケアチームの評価週と病棟看護師等の直接支援週がずれており、算定できない週に算定してしまうケース
- 12週の上限を超えて継続してケアしているのに、算定対象外の週まで加算してしまうケース
- 退院後に外来で継続する場合の診療録記載が漏れているケース
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
じゃあ、うちの病棟が算定候補かどうか確認するには、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
入院基本料等加算を算定できる病棟かを確認 — 特別入院基本料等を除く第1節の入院基本料、または第3節の特定入院料のうち排尿自立支援加算を算定できるものを現に算定している病棟か
-
排尿ケアチームが設置されているかを確認 — 医師・専任常勤看護師・専任常勤理学療法士または作業療法士の3職種がそろっているか
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各職種の研修修了記録を確認 — 医師(通算6時間以上)・看護師(通算16時間以上)の研修修了記録が保管されているか
-
地方厚生局への届出状況を確認 — 様式40の14による届出が受理されているか
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対象患者の抽出フローを確認 — 病棟看護師等による抽出・情報収集から排尿ケアチームへの相談までの運用が回っているか
-
算定記録を確認 — 排尿ケアチームの評価と病棟看護師等の直接支援が、同じ週に記録されているか、週1回・12週限度を超えていないか

みらい(新人医療事務)
これだけ確認事項があると、自分だけで判断するのは不安になります。
あおい(元・医療事務)
そんなときは、加算チェッカーが便利ですよ。自院の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問を聞いておきたいです。療養病棟でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
療養病棟入院基本料であっても、施設基準に適合し届出をしている病棟であり、対象患者の要件を満たしていれば算定候補になりえます。ただし特別入院基本料等は対象から除かれていますので、自院の病棟区分がどれに当たるかは公式資料と診療報酬点数表の該当箇所を確認してください。
みらい(新人医療事務)
医師が排尿ケアチームの評価に直接関わらないと算定できませんか?
あおい(元・医療事務)
排尿ケアチームが患者の状況を評価する等の関与を行い、かつ病棟の看護師等が計画に基づく直接的な指導または援助を行った場合に算定できるとされています。医師単独ではなく、チームとしての関与と病棟側の実施の両方が必要という考え方です。
みらい(新人医療事務)
研修はどこで受けられますか?
あおい(元・医療事務)
国または医療関係団体等が主催する研修で、施設基準で定められた時間数・内容の要件を満たすものが対象です。具体的な開催情報は、都道府県看護協会や関連学会・団体の研修案内で確認するのが実務的です。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713893.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。排尿ケアチームの体制や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。排尿ケアチームの構成要件・研修修了状況・届出の有効性は必ず自院で確認してください。