医療提供機能連携確保加算ってどんな加算?
みらい(新人医療事務)
「医療提供機能連携確保加算」という名前を初めて見たんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定で新設された入院基本料等加算です。区分番号はA254で、入院初日に限り600点を加算します。
みらい(新人医療事務)
名前が長くて、何のための加算なのか想像しにくいです…。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知(保医発0305第6号)には、こう説明されています。「医療提供機能連携確保加算は、人口が少なく、かつ人口密度が低いため、外来・在宅医療を含む医療提供体制の確保が難しい地域において、質の高い外来・在宅医療提供体制を確保するために、当該地域に所在する他の保険医療機関と、医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークを活用するなどにより連携を行い、継続的な巡回診療、医師派遣や、情報通信機器を用いた診療を行うことにより、地域の外来・在宅診療体制の確保に係る支援を行うとともに、病状の急変等により緊急で入院が必要となった患者を受け入れる体制を評価するものであり、入院初日に算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
つまり、人口の少ない地域で外来・在宅医療を支えている病院が、急に入院が必要になった患者さんを受け入れたときに評価される加算ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。地域の診療所や在宅医療の受け皿となっている病院が、平時から他の医療機関と連携して外来・在宅診療の体制を確保し、いざというときに入院を受け入れる。その両方の役割をあわせて評価する加算、というイメージです。
どんな医療機関・患者が対象になるの?
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関の条件を教えてください。
あおい(元・医療事務)
対象は病院で、入院している患者に対する加算です。診療所や外来単独での算定は想定されていません。具体的には、告示に定められた入院基本料または特定入院料のうち、医療提供機能連携確保加算を算定できるものを現に算定している患者について、入院初日に限り所定点数に加算する、と規定されています。
みらい(新人医療事務)
「入院基本料のうち算定できるもの」ってどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
一般病棟入院基本料や特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る)、専門病院入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、特定一般病棟入院料など、告示で医療提供機能連携確保加算の算定対象として列挙されている入院料を算定している患者が対象、という意味です。自院がどの入院料を算定しているかによって対象になるかどうかが変わるので、この点は告示の該当項目で必ず確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
特別入院基本料は対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。告示の注では「特別入院基本料等を除く」と明記されています。自院の入院料の種類によって対象・対象外が分かれるので、思い込みで判断せず一次資料で確認することが大切です。

点数はいくら?
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点で確認できているのは、入院時の600点と、医学管理等における50点の2つの区分です。
| 区分 | 名称 | 点数 | 算定単位 | 算定される場面 |
|---|---|---|---|---|
| A254(入院基本料等加算) | 医療提供機能連携確保加算 | 600点 | 入院初日(1回) | 施設基準の届出を行った病院で、入院基本料・特定入院料のうち算定対象となるものを算定している患者が入院した初日 |
| 特掲診療料 第1部医学管理等 通則8 | 医療提供機能連携確保加算 | 50点 | 月1回 | A254の施設基準に適合し届け出た保険医療機関が、第1節医学管理等に掲げる医学管理を情報通信機器を用いて行った場合 |
みらい(新人医療事務)
同じ名前の加算なのに、点数が2つあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。告示第69号の第2章特掲診療料 第1部医学管理等 通則8には、「区分番号A254に掲げる医療提供機能連携確保加算の注に規定する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、第1節医学管理等に掲げる医学管理を、情報通信機器を用いて行った場合は、医療提供機能連携確保加算として、月1回に限り50点を所定点数に加算する」と定められています。つまり、同じ施設基準の届出を前提に、入院初日には600点、医学管理を情報通信機器を用いて行った月には別途月1回50点、という2つの算定場面があるということです。
みらい(新人医療事務)
入院のたびに毎回600点を算定できるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。600点は「入院初日に限り」所定点数に加算する、という規定なので、同一入院期間中に複数回算定することはできません。50点のほうも「月1回に限り」なので、同じ月に何度も加算されるものではありません。
点数の一次資料
点数は「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)」の医科点数表(区分番号A254、および第2章特掲診療料第1部医学管理等通則8)に基づいています。実際の算定にあたっては、告示・通知の該当箇所を必ずご確認ください。
施設基準を確認しよう
みらい(新人医療事務)
届出が必要な加算なんですよね? 施設基準はどんな内容ですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の施設基準通知(保医発0305第7号「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」第26の12)に、次のように定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| (1) 診療実績 | 別紙3に掲げる人口の少ない地域における外来・在宅診療体制の確保に係る診療(入院中の患者以外の患者に対して行う診療に限る)の実績として、下記アからエのいずれか2つ以上を満たすこと(同一の二次医療圏内で満たす必要あり) |
| (2) 緊急入院実績 | (1)ア・イの紹介患者、または(1)ウ・エの診療を受けた日から3か月以内の患者で、病状の急変等により緊急入院が必要となった患者の受入れを前年度に3件以上実施していること |
| (3) 救急医療機関要件 | 「救急医療対策事業実施要綱」に規定する第二次救急医療機関または第三次救急医療機関であること |
| (4) 情報連携体制(望ましい) | 電子カルテ情報共有サービス等の活用体制、または地域の複数医療機関間で検査結果・画像情報等を共有・閲覧できるネットワークを活用する体制を有することが望ましい |
みらい(新人医療事務)
(1)のアからエって、具体的にはどんな実績ですか?
あおい(元・医療事務)
通知の原文を引用すると、次の4つです。
| 項目 | 実績の内容 |
|---|---|
| ア | 当該地域に所在する他の保険医療機関に対して、常勤の医師を派遣して行う診療を実施した日数の合計が、直近1年間に40日以上であること |
| イ | 当該地域に所在する他の保険医療機関に対して、当該保険医療機関に勤務する医師の休暇時等における代替医師を臨時に派遣して行う診療を実施した日数の合計が、直近1年間に4日以上であること |
| ウ | 当該地域において、巡回診療を実施した日数の合計が、直近1年間に20日以上であること |
| エ | 当該地域に居住する患者に対して、情報通信機器を用いて行う診療を実施した日数の合計が、直近1年間に40日以上であること |
みらい(新人医療事務)
このうち2つ以上を満たせばいいんですね。(3)以外は義務なんですか?
あおい(元・医療事務)
(1)から(3)は満たす必要がある要件、(4)は「望ましい」という努力目標的な位置づけです。ただし(3)は「第二次救急医療機関または第三次救急医療機関であること」なので、これを満たしていない病院は対象になりません。
疑義解釈で明確になったポイント
令和8年度の疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年4月1日事務連絡)問20では、「施設基準(1)のアからエまでに規定する『当該地域』とは『人口の少ない地域』を指し、アからエまでのいずれかのうち2つ以上を、人口の少ない地域に該当する同一の二次医療圏において満たす必要がある」と整理されています。また問21では、「巡回診療」について「巡回診療の医療法上の取り扱いについて(昭和37年6月20日付け医発第554号厚生省医務局長通知)に基づき、当該加算を算定する病院の事業として行われる診療(保険診療として行うものに限る)を指す」と定義されています。実績の集計単位を誤解しやすいポイントなので、担当者間で認識を揃えておきたいところです。
届出の進め方
みらい(新人医療事務)
実際に届け出るときは、何をすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知では、届出様式は別添7の様式40の19を用いること、とされています。また、人口の少ない地域の二次医療圏が再編統合された場合の経過措置についても定められています。
| 届出項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出様式 | 別添7 様式40の19(医療提供機能連携確保加算の施設基準に係る届出書添付書類) |
| 届出先 | 地方厚生(支)局医療課 |
| 施設基準届出の位置づけ | 令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストにおいて「新設」項目として掲載 |
みらい(新人医療事務)
この加算、いつから算定できるようになったんですか? 4月からの改定ですよね?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なところです。厚生労働省が公表している「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」(一部訂正後)では、医療提供機能連携確保加算の届出期限は「令和8年6月1日」として掲載されています。基本診療料の新設項目の中には、通常の令和8年4月の改定と異なるスケジュールで届出期限が設定されているものがあり、この加算もその一つです。自院の届出がいつまでに必要かは、必ず最新のチェックリストで確認してください。
届出前の確認
届出様式・提出期限・提出先は改定後に訂正が入ることがあります。届出の直前には、厚生労働省が公表している最新版の告示・通知・チェックリストを必ず確認してください。
算定のタイミングと注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
まず、算定できるのは入院初日の1回のみです。同一入院中に病状が変化しても、再度算定することはできません。また、疑義解釈資料の送付について(その7)(令和8年5月29日事務連絡)問17では、「医療提供機能連携確保加算の施設基準(1)ア及びイについて、『特別な関係』にある他の保険医療機関に対して、医師を派遣した場合でも日数に計上してよいか」という質問に対し、「よい」と回答されています。グループ内の医療機関への医師派遣実績も、日数としてカウントできるということです。
みらい(新人医療事務)
併算定について注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
医療提供機能連携確保加算は、地域医療体制確保加算や協力対象施設入所者入院加算などと並んで、一般病棟入院基本料や特定機能病院入院基本料の注加算として告示に列挙されています。ただし、算定できる入院料の種類や、他の加算との組み合わせに関する細かな取り扱いは告示・通知の該当項目ごとに定められているため、レセプト作成時には自院が算定している入院料の告示本文で個別に確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定(令和6年度)にはなかったんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。医療提供機能連携確保加算は令和8年度(2026年度)改定で新設された加算で、令和6年度(2024年度)以前の点数表には存在しません。厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」でも「新設」区分として掲載されています。そのため、前回改定(令和6年度)からの変更点という形での比較対象はなく、令和8年度に新たに整理された算定要件・施設基準がそのまま現行のルールになります。
関連する加算にも目を配る
医療提供機能連携確保加算の届出を行っていることは、地域最多救急病院に該当する保険医療機関が急性期総合体制加算(区分5)の施設基準を満たす際の選択項目の一つとしても位置づけられています(施設基準通知)。自院が急性期総合体制加算の届出も検討している場合は、あわせて確認すると効率的です。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多くて、どこから手をつければいいか迷います…。順番を教えてください。
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 自院が所在する二次医療圏が、別紙3に掲げる「人口の少ない地域」に該当するか確認する
- 外来・在宅診療体制の確保に係る診療実績(ア〜エ)のうち、2つ以上を満たしているか確認する
- 病状急変等による緊急入院の受入れ実績が前年度3件以上あるか確認する
- 自院が第二次救急医療機関または第三次救急医療機関に該当するか確認する
- 該当する場合は、様式40の19で施設基準の届出を準備する
みらい(新人医療事務)
この順番なら、うちが対象になりそうかどうか、まず自分たちで当たりをつけられそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし、最終的な該当性の判断は自院の実績データと一次資料の突き合わせが必要になるので、この順番はあくまで「確認候補」を絞り込むためのものと考えてください。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
- 「人口の少ない地域」に該当するかどうかの判断を、自院所在地の印象だけで済ませてしまい、別紙3の該当二次医療圏一覧を確認していないケース
- 診療実績(ア〜エ)の集計期間を「直近1年間」ではなく、単月や年度単位で誤って集計してしまうケース
- 緊急入院の受入れ実績を「前年度3件以上」ではなく、届出時点までの累計で数えてしまうケース
- 特別な関係にある同一グループ内医療機関への医師派遣実績を、日数計上の対象外だと思い込んで除外してしまうケース(疑義解釈その7問17では計上してよいとされています)
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなことをまとめて聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
Q. 医療提供機能連携確保加算は、診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. 対象は病院の入院患者です。告示上、入院基本料または特定入院料の注加算として位置づけられているため、診療所単独での算定は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
Q. 施設基準の実績(ア〜エ)は、どこの地域の実績を数えればいいですか?
あおい(元・医療事務)
A. 疑義解釈その2(令和8年4月1日事務連絡)問20では、「当該地域」とは「人口の少ない地域」を指し、アからエまでのいずれかのうち2つ以上を、人口の少ない地域に該当する同一の二次医療圏で満たす必要があるとされています。必ずしも自院が所在する二次医療圏そのもので満たす必要はない、という点も同時に整理されています。
みらい(新人医療事務)
Q. 令和6年度改定のときの取り扱いと比較できますか?
あおい(元・医療事務)
A. 医療提供機能連携確保加算は令和8年度(2026年度)改定で新設されたばかりの加算で、令和6年度(2024年度)改定時点では存在していません。そのため、前回改定からの制度上の変更点という形での比較はできません。
みらい(新人医療事務)
Q. 「巡回診療」の実施日数には、何が含まれますか?
あおい(元・医療事務)
A. 疑義解釈その2問21では、「巡回診療」とは「巡回診療の医療法上の取り扱いについて」(昭和37年6月20日付け医発第554号厚生省医務局長通知)に基づき、当該加算を算定する病院の事業として行われる診療(保険診療として行うものに限る)を指す、とされています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。