みらい(新人医療事務)
先輩、ICU(集中治療室)がある病院の請求書に「特定集中治療室管理料」ってすごく高い点数が並んでいるのを見たんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。特定集中治療室管理料(区分A301)は、重症患者を集中的に治療するICUでの管理を評価する入院料です。令和8年度(2026年度)の告示では、特定集中治療室管理料1〜3の区分に応じて7,770点〜14,980点(1日につき)の点数が設定されています。医科点数表の第3節「特定入院料」に位置づけられる入院料で、届出を行った保険医療機関の病棟・病室・治療室に入院している患者について算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「集中治療室ならどこでも算定できる」わけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。届出必須の施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た病棟・病室・治療室に入院している患者についてだけ、算定候補になります。まずはこの前提を押さえておきましょう。
どんな患者が対象になるの?
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな患者さんが入院していたら対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、医師が特定集中治療室管理が必要と認めた患者のうち、次のような重篤な状態にある方が対象とされています。
特定集中治療室管理料の対象患者(留意事項通知より)
意識障害または昏睡: 重度の意識レベル低下 急性呼吸不全・慢性呼吸不全の急性増悪: 人工呼吸管理等が必要な状態 急性心不全(心筋梗塞を含む): 循環動態が不安定な状態 急性薬物中毒・ショック: 緊急の全身管理が必要な状態 重篤な代謝障害: 肝不全・腎不全・重症糖尿病等 広範囲熱傷・大手術後・救急蘇生後: 集中的な術後・蘇生後管理が必要な状態 その他外傷、破傷風等で重篤な状態: 上記に準ずる重篤な状態
みらい(新人医療事務)
かなり幅広いですね。「大手術後」も対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、大手術後の患者さんも対象に含まれています。ただし、これらの状態にあるからといって自動的に算定候補になるわけではなく、あくまで「医師が特定集中治療室管理が必要と認めた」ことが前提です。カルテ記載も重要になります。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、特定集中治療室管理料は1〜3の3区分に整理されていて、それぞれ入院期間に応じて2段階の点数が設定されています。
| 区分 | 7日以内の期間 | 8日以上の期間 |
|---|---|---|
| 特定集中治療室管理料1 | 14,980点 | 13,371点 |
| 特定集中治療室管理料2 | 10,390点 | 8,773点 |
| 特定集中治療室管理料3 | 9,390点 | 7,770点 |

みらい(新人医療事務)
3区分しかないんですね。もっと細かく分かれているイメージがありました。
あおい(元・医療事務)
実はそこが令和8年度改定の大きなポイントなんです。詳しくは後の「改定での変更点」で説明しますね。まずは算定できる日数の上限から確認しましょう。
算定できる日数の上限に注意
みらい(新人医療事務)
この点数っていつまで算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
原則14日が上限です。ただし、患者さんの状態によって上限日数が変わります。
算定日数の上限(原則と例外)
原則: 14日を限度として、それぞれの所定点数を算定します。 広範囲熱傷特定集中治療管理が必要な状態の患者(広範囲熱傷管理加算を算定する患者に限る): 60日が限度です。 急性血液浄化(腹膜透析を除く)または体外式心肺補助(ECMO)を必要とする患者: 25日が限度です。 臓器移植を行った患者: 30日が限度です。
みらい(新人医療事務)
患者さんの状態次第で上限がぜんぜん違うんですね。レセプトを見るときは、どの状態に該当するかまで確認しないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に急性血液浄化やECMO、臓器移植の患者さんは上限日数が長くなるので、診療録での状態確認が欠かせません。ここを見誤ると算定日数の超過につながるので、確認が必要なポイントです。
主な加算も一緒に確認する
みらい(新人医療事務)
基本の点数以外にも加算があるって聞いたんですが。
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか代表的な加算があります。それぞれ別に施設基準への適合と届出が必要な点に注意してください。
特定集中治療室管理料に係る主な加算(届出が別途必要)
小児加算: 専任の小児科医が常時配置されている医療機関で、15歳未満の重篤な患者に対して特定集中治療室管理が行われた場合、7日以内2,000点・8日以上14日以内1,500点を加算 早期離床・リハビリテーション加算: 多職種チームによる早期離床の取組を行った場合、入室から14日を限度に500点を加算 早期栄養介入管理加算: 入室後早期から必要な栄養管理を実施した場合、7日を限度に250点(経腸栄養を早期開始した場合は開始日以降400点)を加算 重症患者対応体制強化加算: 重症患者対応の体制について施設基準に適合した場合、入院期間に応じて3日以内750点・4〜7日500点・8〜14日300点を加算 特定集中治療室遠隔支援加算: 情報通信機器を用いて専門的な医療機関と連携して管理を行った場合、980点を加算 広範囲熱傷管理加算: 広範囲熱傷特定集中治療が必要な患者に対して、入院8日目〜60日目まで200点を加算(令和8年度改定で再編)
みらい(新人医療事務)
加算だけでもこんなにあるんですね…。全部自院に当てはまるか、どう確認すればいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
加算はそれぞれ個別に施設基準の届出が必要なので、基本点数が算定候補だからといって加算も自動的に算定候補になるわけではありません。加算ごとに届出状況を確認するのが確実です。
施設基準・届出をどう確認する?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出そのものは、どこで確認できるんですか?
あおい(元・医療事務)
特定集中治療室管理料は特定入院料の一つで、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関の病棟・病室・治療室に入院している患者についてのみ算定候補になります。届出の有無は自院の総務・医事課が把握している届出書類、または地方厚生局が公表している届出受理医療機関一覧で確認できます。
自院で確認する順番(特定集中治療室管理料)
まず対象患者の状態(意識障害・急性呼吸不全・急性心不全・ショック等)に該当するかを診療録で確認する 次に自院が特定集中治療室管理料(1〜3のいずれか)の施設基準の届出を行っているかを確認する 届出済みの区分(管理料1/2/3)を確認し、該当する点数を確認する 小児加算・早期離床・早期栄養・重症患者対応体制強化・遠隔支援・広範囲熱傷管理加算など、追加で算定候補になる加算があるかを個別に確認する 算定日数の上限(原則14日、状態により25日・30日・60日)を超えていないか確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、うちが対象かどうか整理しやすそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に届出区分(管理料1/2/3のどれか)を勘違いしたまま算定してしまうケースもあるので、届出書類そのものを確認するのが一番確実です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
さっき「3区分に整理された」って言っていましたけど、前はどうなっていたんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)では、広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無によって区分が分かれていて、特定集中治療室管理料1〜6の6区分がありました。令和8年度(2026年度)改定では、簡素化の観点からこの区分が1〜3に統合整理され、広範囲熱傷に対応する部分は独立した「広範囲熱傷管理加算」(注8)として再編されました。
令和6年度(2024年度)改定→令和8年度(2026年度)改定での主な変更点(厚生労働省の個別改定項目資料ベース)
区分の統合: 特定集中治療室管理料1〜6(広範囲熱傷の有無で細分化)を、1〜3の3区分に統合し、広範囲熱傷対応部分は「広範囲熱傷管理加算」として再編 施設基準の実績要件を新設: 特定集中治療室管理料1の施設基準に「救急医療又は急性期医療に係る実績を相当程度有していること」という項目が新設 重症度、医療・看護必要度の評価項目を追加: 「蘇生術の施行」「抗不整脈剤の使用」「一時的ペーシング」の各項目が追加 SOFAスコアに関する基準の見直し: 入室時にSOFAスコアが一定以上である患者割合の要件について、現行の1割以上から基準の見直しが行われた
みらい(新人医療事務)
SOFAスコアって聞いたことがあります。重症度を測るスコアですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、臓器機能障害の程度を評価するスコアです。令和8年度改定では、特定集中治療室に入室する重症患者について、入室時にSOFAスコアが一定以上である患者の割合が施設基準の要件として見直されました。ただし、見直し後の具体的な基準割合は正式な告示・通知の該当箇所で確認する必要があります。この記事だけで断定はできない部分なので、自院の届出内容に関わる部分は公式資料での確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
経過措置みたいなものもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。令和8年3月31日時点で特定集中治療室管理料の届出を行っている治療室については、一定期間、SOFAスコアの基準等を満たすものとみなす経過措置が設けられています。この経過措置の適用期間も、届出済みの治療室かどうかで扱いが変わるため、自院の届出状況と合わせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
前回改定と比べると、点数の区分だけじゃなく、実績要件やスコア基準のような「中身」の見直しが大きいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。点数の区分整理だけを見ていると、実績要件の新設や評価項目の追加といった変更を見落としがちです。「区分が統合されて分かりやすくなった」という面だけでなく、施設基準側の要件が増えている部分もあるので、両方を確認することが大切です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある確認漏れって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なパターンがあります。
特定集中治療室管理料でよくある取り漏れ
届出区分の勘違い: 自院が届け出ている区分(管理料1/2/3)と異なる点数で算定してしまう 加算の届出漏れ: 早期離床・早期栄養・重症患者対応体制強化など、加算ごとに別途届出が必要なことを見落とす 算定日数上限の誤り: 急性血液浄化・ECMO・臓器移植の患者で、原則14日を超えて算定できる例外を適用し忘れる、または逆に上限を超えて算定してしまう 対象患者要件の記載不足: 「医師が特定集中治療室管理が必要と認めた」根拠が診療録に明記されていない
みらい(新人医療事務)
加算の届出漏れは、意外と気づきにくそうですね。
あおい(元・医療事務)
加算は基本点数とは別の施設基準になっていることが多いので、基本点数の届出だけを見て「うちは全部算定できるはず」と思い込まないようにしたいところです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認したいことがあります。診療所でもICUを持っていれば算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
特定集中治療室管理料は医科点数表の第3節「特定入院料」に位置づけられる入院料で、届出を行った保険医療機関の病棟・病室・治療室に入院している患者について算定候補になります。診療所の場合に該当するかどうかは、自院の届出状況とあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、届出をしなくても算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準に適合しているだけでは足りず、地方厚生局長等への届出が必要です。届出が済んでいない場合は、施設基準を満たしていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)の区分のまま算定してしまったら、どうなりますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定で区分が1〜3に統合されているため、令和6年度時点の区分(1〜6)のままの認識で算定すると区分の誤りにつながる可能性があります。届出内容が最新の区分に対応しているか、確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
SOFAスコアの基準を満たしていないと、すぐに算定できなくなるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年3月31日時点で届出済みの治療室には経過措置が設けられているため、直ちに算定できなくなるわけではありません。ただし、経過措置の適用期間や具体的な基準割合は公式資料で確認が必要な部分です。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どの資料をもとにしているんですか?
あおい(元・医療事務)
以下の厚生労働省の公式資料をもとに整理しています。
この記事の根拠資料
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(医科点数表・令和8年3月5日保医発0305第6号、0619訂正後): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf 令和8年度診療報酬改定 個別改定項目について(厚生労働省保険局医療課): https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001639439.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。