みらい(新人医療事務)
部長から「うちの病棟、ハイケアユニット入院医療管理料が算定候補になるか調べておいて」って言われたんですけど、そもそも何の管理料なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
ハイケアユニット入院医療管理料(区分番号A301-2)ですね。令和8年度(2026年度)の診療報酬点数表に定められている特定入院料の一つで、いわゆるHCU(High Care Unit)の管理を評価する項目です。集中治療室(ICU)ほどではないものの、状態が不安定で継続的な観察が必要な患者さんを診る病室に対して算定します。
みらい(新人医療事務)
ICUとは別物なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。特定集中治療室管理料(区分番号A301)はICU、ハイケアユニット入院医療管理料はHCUという、それぞれ別の特定入院料です。厚生労働省の告示では、ハイケアユニット入院医療管理料は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関の病棟・病室・治療室に入院している患者について算定」する特定入院料と整理されています。特定入院料であるため、診療所ではなく病院が対象になります。
ハイケアユニット入院医療管理料とは(対象患者・位置づけ)
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、次のような状態に準じる状態で、医師がハイケアユニット入院医療管理が必要と認めた患者が対象とされています。
ハイケアユニット入院医療管理の対象となる状態(留意事項通知)
意識障害又は昏睡/急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪/急性心不全(心筋梗塞を含む)/急性薬物中毒/ショック/重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)/広範囲熱傷/大手術後/救急蘇生後/その他外傷、破傷風等で重篤な状態
みらい(新人医療事務)
けっこう幅広いですね。うちの病棟にも当てはまりそうな患者さんはいます。
あおい(元・医療事務)
対象患者の状態に当てはまることと、実際にハイケアユニット入院医療管理料が算定候補になるかは別の話です。届出をしている治療室に入院していること、そして次に説明する施設基準を満たしていることが前提になります。逆に、算定要件に該当しない患者が入院した場合は、入院基本料等を算定する扱いになります(留意事項通知)。
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(区分番号A301-2)では、次の3区分が示されています。
| 区分 | 点数(1日につき) | 算定日数の限度 |
|---|---|---|
| ハイケアユニット入院医療管理料1 | 7,202点 | 21日 |
| ハイケアユニット入院医療管理料2 | 4,501点 | 21日 |
| 注5に規定する入院料(経過措置) | 4,401点 | 21日 |

あおい(元・医療事務)
告示の「注1」には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、必要があってハイケアユニット入院医療管理が行われた場合に、当該基準に係る区分に従い、21日を限度として算定する」と定められています。管理料1・2のどちらで届出をしているかで、算定できる点数の区分が変わる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「注5」の4,401点というのはどういう場合に出てくるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準届出の取扱いを定めた通知(保医発0305第7号)では、令和8年3月31日時点でハイケアユニット入院医療管理料1又は2の届出を行っていた治療室が、施設基準のうち「別に厚生労働大臣が定めるもの(救急搬送件数や全身麻酔手術件数に関する要件)」のみを満たせなくなった場合に、当面の間、21日を限度として4,401点を算定できるとされています。実績要件だけを一時的に満たせなくなったケースを想定した経過的な区分、という位置づけです。
点数だけで判断しない
どの区分に該当するかは、届出の内容と直近の実績(後述)によって変わります。点数表の数字だけを見て自院の区分を決めるのではなく、自院の届出書・実績データと必ず突き合わせて確認してください。
施設基準(管理料1・管理料2で異なる)
みらい(新人医療事務)
点数の区分が違うということは、施設基準も違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。基本診療料の施設基準等の届出手続きに関する通知(令和8年3月5日 保医発0305第7号)の「第3 ハイケアユニット入院医療管理料」に、管理料1・管理料2それぞれの施設基準が定められています。
ハイケアユニット入院医療管理料1 施設基準(算定要件の確認ポイント)
自院で確認する順番
- 当該保険医療機関内に、専任の常勤医師(宿日直を行っている専任の医師を含む)が常時1名以上いること
- 一般病床に、ハイケアユニット入院医療管理を行うにふさわしい専用の治療室を有していること
- 救急蘇生装置(気管挿管セット、人工呼吸装置等)、除細動器、心電計、呼吸循環監視装置を治療室内に常時備えていること(特定集中治療室に隣接し共有できる場合を除く)
- 治療室に勤務する看護師は、勤務時間帯に治療室以外での夜勤を併せて行わないこと
- 治療室に入院している患者の状態を「ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票」で毎日測定・評価し、基準①を満たす患者が2割以上、基準②を満たす患者が8割以上いること
- 評価票の記入は院内研修を受けた者が行うこと
- 医療安全対策加算1(加算ページ)の届出を行っていること
- 直近1年間の実績として、救急搬送件数(救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプター)が年間1,000件以上、または全身麻酔による手術件数が年間500件以上、または小児・新生児系の特定集中治療室等の届出病床割合が5割以上かつ全身麻酔手術件数が年間250件以上のいずれかを満たすこと(地域によって基準件数が緩和される場合あり)
みらい(新人医療事務)
8番の実績要件、けっこう高いハードルですね……。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ここは中小規模の病院だと未確認になりやすいポイントです。「対象外の可能性」で終わらせず、直近1年間の実績データを一度確認してみることをおすすめします。
ハイケアユニット入院医療管理料2 施設基準
あおい(元・医療事務)
管理料2は、管理料1の施設基準のうち(1)〜(4)及び(6)〜(8)を満たした上で、重症度、医療・看護必要度の基準が管理料1より緩和されています。基準①を満たす患者が2割以上という点は共通ですが、基準②を満たす患者の割合は6割5分以上です(管理料1は8割以上)。
管理料1と管理料2の主な違い
医師配置・治療室・装置・夜勤の扱い・医療安全対策加算1の届出・直近実績は共通条件です。異なるのは重症度、医療・看護必要度の基準②の割合(管理料1=8割以上、管理料2=6割5分以上)です。この割合をどちらで満たしているかが、届出区分を分ける実質的なポイントになります。
算定に含まれる項目(重複算定できないもの)
みらい(新人医療事務)
ハイケアユニット入院医療管理料を算定している間は、他の点数は別に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の「注2」に、ハイケアユニット入院医療管理料に含まれるものとして次のような項目が列挙されています。
ハイケアユニット入院医療管理料に含まれる主な項目(告示 注2)
入院基本料/入院基本料等加算(臨床研修病院入院診療加算、超急性期脳卒中加算等の一部を除く)/第2章第3部の各区分の検査(がんゲノムプロファイリング検査等の一部を除く)/点滴注射/中心静脈注射/酸素吸入(使用した酸素・窒素の費用を除く)/留置カテーテル設置/病理標本作製料
あおい(元・医療事務)
つまり、これらは基本的に別建てで請求できません。レセプト作成の段階で「この処置は含まれる範囲か」を都度確認する運用にしておくと、査定リスクを減らせます。
加算(早期離床・リハビリテーション加算/早期栄養介入管理加算)
みらい(新人医療事務)
HCUに関連する加算もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、2つあります。どちらも施設基準の届出が必要な加算です。
| 加算名 | 点数 | 算定日数の限度 |
|---|---|---|
| 早期離床・リハビリテーション加算(注3) | 500点 | 入室日から起算して14日 |
| 早期栄養介入管理加算(注4) | 250点(経腸栄養を早期開始した場合は開始日以降400点) | 入室日から起算して7日 |
あおい(元・医療事務)
早期離床・リハビリテーション加算の施設基準では、集中治療の経験5年以上の専任医師、集中治療の看護経験5年以上かつ所定の研修を修了した専任の常勤看護師、急性期医療の経験5年以上の専任の常勤理学療法士・作業療法士・言語聴覚士で構成されるチームの設置と、早期離床・リハビリテーションに関するプロトコルの整備が求められています(保医発0305第7号)。
あおい(元・医療事務)
早期栄養介入管理加算の施設基準では、所定の研修を修了し栄養管理に3年以上の経験を持つ管理栄養士の専任配置と、入院患者数10人(またはその端数)ごとに1人以上の管理栄養士配置が求められています。院内の栄養管理手順書の整備も必要です。
加算は別届出
早期離床・リハビリテーション加算、早期栄養介入管理加算は、いずれもハイケアユニット入院医療管理料本体とは別に施設基準の届出が必要です。管理料の届出をしているからといって自動的に算定候補になるわけではありません。
届出(様式・必要書類)
みらい(新人医療事務)
実際に届出をするときは、何を用意すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
保医発0305第7号によると、ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準に係る届出は「様式43、44」を用い、当該治療室に勤務する従事者については「様式20」を用いるとされています。早期離床・リハビリテーション加算は「様式42の3」、早期栄養介入管理加算は「様式42の4」です。届出書添付書類(様式44)には、届出区分(管理料1/管理料2/注5の入院料)、専任の常勤医師の氏名(複数該当する場合は主な4名以内)、看護師数、看護師の勤務体制などの記載欄があります。

みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば、あとは自動的に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出はスタート地点にすぎません。届出後も重症度、医療・看護必要度の基準や実績要件を継続的に満たしているかどうかが問われます。基準を満たさなくなった場合の扱い(前述の注5の経過措置など)もあるので、届出済みであることは算定候補の前提条件の一つ、と捉えるのが実務的です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、実は今回の改定でいくつか変更があります。厚生労働省の「個別改定項目について」(令和8年2月13日公表)では、ハイケアユニットを有する病院が担う医療機能に係る実績に応じた評価を行う観点から見直しが行われた、とされています。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどこが変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
まず点数です。前回改定(令和6年度、2024年度)時点では管理料1=6,889点、管理料2=4,250点でしたが、令和8年度(2026年度)改定で管理料1=7,202点、管理料2=4,501点に引き上げられました。
点数の変化(前回改定→今回改定)
ハイケアユニット入院医療管理料1: 前回改定(令和6年度、2024年度)時点6,889点 → 令和8年度(2026年度)改定7,202点 ハイケアユニット入院医療管理料2: 前回改定(令和6年度、2024年度)時点4,250点 → 令和8年度(2026年度)改定4,501点 (いずれも「個別改定項目について」の改定案・現行対比表に基づく)
あおい(元・医療事務)
あわせて、施設基準にも変更があります。管理料1の施設基準に、直近1年間の救急搬送件数や全身麻酔手術件数といった「実績要件」が新設されました。「個別改定項目について」では、前回改定(令和6年度、2024年度)時点の施設基準欄がこの実績要件について「(新設)」と記載されており、令和8年度改定で今回新たに追加された項目であることが分かります。
みらい(新人医療事務)
さっき説明してもらった実績要件は、令和8年度改定で新しく増えた項目だったんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。加えて、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度についても、基準①を満たす患者割合の要件が見直されています。管理料1・管理料2とも、前回改定(令和6年度、2024年度)時点は基準①1割5分以上でしたが、令和8年度(2026年度)改定で基準①2割以上に引き上げられました。基準②の割合(管理料1=8割以上、管理料2=6割5分以上)は変更されていません。
重症度、医療・看護必要度の基準①割合(前回改定→今回改定)
管理料1: 基準①「前回改定(令和6年度、2024年度)時点1割5分以上」→「令和8年度(2026年度)改定2割以上」(基準②8割以上は変更なし) 管理料2: 基準①「前回改定(令和6年度、2024年度)時点1割5分以上」→「令和8年度(2026年度)改定2割以上」(基準②6割5分以上は変更なし)
あおい(元・医療事務)
注5に規定する4,401点の区分(経過措置)は、令和8年度改定で新設されたものです。「個別改定項目について」の対比表でも、この区分に相当する箇所が前回改定(令和6年度、2024年度)時点では「(新設)」、つまり存在していなかったことが分かります。実績要件や重症度、医療・看護必要度の基準を満たせなくなった治療室の受け皿として、今回新たに設けられた区分です。
経過措置の期限に注意
令和8年3月31日時点で届出済みの治療室は、令和8年12月31日までの間、実績要件(管理料1の(8))を満たすものとみなす経過措置があります。また、重症度、医療・看護必要度の基準についても、同様に令和8年12月31日までの経過措置が定められています。期限後の扱いは自院の届出状況によって変わるため、個別に確認してください。
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
最後に、自院で確認する手順を整理してもらえますか?
自院で確認する順番
- 対象となる病室・治療室が、専用の治療室として整備され、必要な装置(救急蘇生装置・除細動器・心電計・呼吸循環監視装置)を備えているか確認する
- 専任の常勤医師の配置(常時1名以上)と、看護師の夜勤兼務の扱いを確認する
- 重症度、医療・看護必要度の評価票による測定結果が、管理料1・管理料2それぞれの基準を満たしているか確認する
- 直近1年間の救急搬送件数・全身麻酔手術件数などの実績要件を確認する
- 医療安全対策加算1の届出状況を確認する
- 該当する様式(43・44・20、加算は42の3・42の4)を用意し、地方厚生局に届出を行う
- 届出後も基準を継続的に満たしているか、定期的に見直す
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
早期離床・リハビリテーション加算・早期栄養介入管理加算は、管理料本体とは別の施設基準・別の届出が必要です。管理料の届出をしていても、加算は未届出のままというケースがあります。また、告示「注2」に列挙された項目(入院基本料、一部の検査、点滴注射、中心静脈注射等)は管理料に含まれるため、レセプトで重複請求していないかの確認も重要です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
HCUとICUって両方届出できるんですか?
あおい(元・医療事務)
特定集中治療室管理料(ICU、加算ページ)とハイケアユニット入院医療管理料(HCU)は、それぞれ別の特定入院料として個別に施設基準の届出をする仕組みです。同一医療機関内に両方の治療室を持つケースもありますが、それぞれの治療室ごとに施設基準を満たしているかを確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
21日を超えて入院した場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示上、算定できるのは21日が限度とされています。21日を超えた期間の取扱いについては、一次資料の範囲では今回の記事内で確認できていないため、自院の医事課・審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。ハイケアユニット入院医療管理料は特定入院料のため、対象は病院の病棟・病室・治療室に限られます。診療所は対象外です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。