みらい(新人医療事務)
「がん治療連携計画策定料」っていう名前、うちの病院でも算定候補になるのか気になってます。がん患者さんの退院支援に関係する加算ですよね?
あおい(元・医療事務)
そうですね。区分番号はB005-6で、令和8年度の医科点数表に載っている加算です。入院中のがん患者さんの退院後の治療を、地域の医療機関と連携しながら計画的に進めるための評価ですよ。
みらい(新人医療事務)
がん診療連携拠点病院じゃないとダメなイメージがあります。うちみたいな中規模病院でも対象になり得るんですか?
あおい(元・医療事務)
対象になり得るかどうかは、施設基準の届出状況次第です。ここから点数・対象・施設基準を順番に確認していきましょう。断定はできませんが、確認すべきポイントは明確にできますよ。
がん治療連携計画策定料ってどんな加算?
みらい(新人医療事務)
まず、この加算がどういう場面で算定されるのか教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、がん治療連携計画策定料とがん治療連携指導料について「がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院又は小児がん拠点病院を中心に策定された地域連携診療計画に沿ったがん治療に関わる医療機関の連携により、がん患者に対して地域における切れ目のない医療が提供されることを評価したものである」と説明されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、入院していた病院と、退院後に通院する医療機関が、同じ治療計画を共有する仕組みなんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。入院中に治療を行った病院(計画策定病院)が地域連携診療計画をもとに患者ごとの治療計画を作り、退院後に診療を担う連携医療機関へその計画と診療情報を文書で引き継ぐ。その計画を作る側の病院が算定するのが、がん治療連携計画策定料です。
みらい(新人医療事務)
「策定料」だから、計画を作った側が算定する点数なんですね。連携医療機関側が算定する点数は別にあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。連携医療機関側が算定するのは「がん治療連携指導料」(区分番号B005-6-2)という別の加算です。当サイトではがん治療連携指導料のページでも解説していますので、あわせて確認してみてください。
対象になる医療機関・患者は?
みらい(新人医療事務)
対象になる病院と患者さんの条件を教えてください。
あおい(元・医療事務)
告示の注1には、がん治療連携計画策定料1について「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病院である保険医療機関(以下この表において「計画策定病院」という。)」が対象と書かれています。まず前提として、届出済みの病院であることが必要です。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はどうですか?
あおい(元・医療事務)
同じ注1に「入院中のがん患者の退院後の治療を総合的に管理するため」とあり、続けて「がんと診断されてから最初の入院に係るものに限る」という限定が付いています。つまり、がんと診断されて初めて入院した患者さんが対象で、2回目以降の入院では原則対象になりません。
みらい(新人医療事務)
「最初の入院」というのがポイントなんですね。うっかり2回目の入院で算定してしまうと、要件から外れてしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。カルテ上でその患者さんが「がんと診断されてから最初の入院」かどうかを確認できる状態にしておくことが大切です。
点数はいくら?(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)には、次のように点数が定められています。
| 区分 | 点数 | 算定できる回数の目安 |
|---|---|---|
| がん治療連携計画策定料1 | 750点 | がんと診断されてから最初の入院につき、退院時又は退院した日から起算して30日以内に1回限り |
| がん治療連携計画策定料2 | 300点 | 患者1人につき月1回限り |
| がん治療連携計画策定料2(情報通信機器を用いた場合) | 261点 | 所定点数(300点)に代えて算定。届出が必要 |

みらい(新人医療事務)
がん治療連携計画策定料1と2で、点数も算定できるタイミングも全然違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。1は「計画策定病院が最初に治療計画を作って引き継ぐ」場面の点数、2は「その後、患者さんの状態が変わって計画策定病院が計画を見直す」場面の点数、という位置づけの違いがそのまま反映されています。
みらい(新人医療事務)
261点というのは、オンラインで対応した場合の点数ということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示の注5には「がん治療連携計画策定料2については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、がん治療連携計画策定料2を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、所定点数に代えて、261点を算定する」とあります。あくまでがん治療連携計画策定料2を情報通信機器で行った場合の点数で、1の方には情報通信機器を用いた代替点数の定めはありません。
施設基準を確認する
みらい(新人医療事務)
施設基準は何を確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
がん治療連携計画策定料1・2そのものの施設基準は、告示の注1にある通り「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病院」であることが前提です。加えて、情報通信機器を用いた診療(がん治療連携計画策定料2のオンライン版)を行う場合は、別の施設基準への適合と届出が必要です。
みらい(新人医療事務)
オンライン版だけ、別に届出がいるということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。施設基準の通知には「がん治療連携計画策定料の注5に関する施設基準 情報通信機器を用いた診療の届出を行っていること」と書かれています。つまり、通常のがん治療連携計画策定料1・2の届出とは別に、オンライン診療(注5)用の届出が必要ということですね。
届出まわりで見落としやすい点
通常の届出と注5の届出は別物: 情報通信機器を用いた医学管理(261点)を算定するには、通常の届出に加えて注5専用の届出が必要です。 注5自体には追加の施設基準はない: 施設基準の通知には「がん治療連携計画策定料の注5に関する施設基準については、情報通信機器を用いた診療の届出を行っていればよく、がん治療連携計画策定料の注5として特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はないこと」ともあります。届出の様式・出し方を事前に確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
届出の様式についても教えてください。
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知には「がん治療連携計画策定料、がん治療連携指導料の施設基準に係る届出は、別添2の様式13の2を用いること」とあります。また「計画策定病院が当該届出を行う際には、がんの種類や治療法ごとに作成され、連携医療機関とあらかじめ共有されている地域連携診療計画を添付すること。なお、その様式は別添2の様式13の3を参考にすること」とも書かれています。
届出は必要?
みらい(新人医療事務)
届出が済んでいないと、算定候補にはならないということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。断定はできませんが、届出済みであれば算定候補になり得ます。逆に届出をしていない状態で算定してしまうのは避けなければいけません。届出内容と実際の運用体制(地域連携診療計画の作成・共有、連携医療機関との情報共有の実務)が一致しているかも、あわせて確認しておきたいところです。
みらい(新人医療事務)
計画策定病院が届出をするとき、連携医療機関側の届出も一緒にできるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の通知に「届出に当たっては、計画策定病院において、がん治療連携指導料の算定を行う連携医療機関に係る届出を併せて行っても差し支えない」とありますので、まとめて届出を行うことも可能とされています。実際の進め方は、届出先の地方厚生局にも確認しておくと確実です。
算定のタイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングと回数制限を整理したいです。
あおい(元・医療事務)
がん治療連携計画策定料1は、告示の注1に「退院時又は退院した日から起算して30日以内に1回に限り所定点数を算定する」とあります。がんと診断されてから最初の入院に限られ、1回限りの算定です。
みらい(新人医療事務)
退院してからすぐに治療計画が作れなかった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
そのケースについても留意事項に記載があります。「がん治療連携計画策定料1は、病理診断の結果が出ない又は退院後一定期間の外来診療を必要とする等の理由で、個別の患者の治療計画を入院中に策定できない場合であっても、退院した日から起算して30日以内に速やかに個別の治療計画を策定するとともに、文書にて患者又は家族に提供した場合にあっては、算定可能とする」とされています。ただし「その際、交付した治療計画書の写しを診療録に添付すること」という記録の要件も付いています。
みらい(新人医療事務)
がん治療連携計画策定料2の算定タイミングも教えてください。
あおい(元・医療事務)
告示の注2に「がん治療連携計画策定料2については、当該保険医療機関において注1に規定するがん治療連携計画策定料1を算定した患者であって、他の保険医療機関において区分番号B005-6-2に掲げるがん治療連携指導料を算定しているものについて、状態の変化等に伴う当該他の保険医療機関からの紹介により、当該患者を診療し、当該患者の治療計画を変更した場合に、患者1人につき月1回に限り所定点数を算定する」とあります。1を算定した患者について、連携医療機関側からの紹介を受けて治療計画を変更した場合に、月1回まで算定できるという整理です。
併算定の制限に注意
告示の注3には「注1及び注2の規定に基づく当該別の保険医療機関への文書の提供に係る区分番号B009に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)の費用は、所定点数に含まれるものとする」とあります。連携医療機関への文書提供にかかる診療情報提供料(Ⅰ)の費用は、がん治療連携計画策定料の所定点数に含まれるため、別立てで算定できません。
さらに注4には「区分番号B003に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅱ)又は区分番号B005に掲げる退院時共同指導料2は、別に算定できない」とあり、留意事項にも「がん治療連携計画策定料又はがん治療連携指導料を算定した場合は、『A246』入退院支援加算の『注4』及び『B009』診療情報提供料(Ⅰ)の『注16』に規定する地域連携診療計画加算は算定できない」と明記されています。入退院支援加算を算定している患者では、この注4の地域連携診療計画加算との重複がないかもあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
併算定できない項目がいくつもあるんですね。レセプトを組むときに、まとめて確認しないと漏れそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に診療情報提供料(Ⅰ)は、がん治療連携計画策定料とセットで動く場面が多いので、二重算定にならないよう注意が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、がん治療連携計画策定料の点数(750点・300点・261点)や算定要件・施設基準について、前回改定(令和6年度)からの変更点を示す一次資料は特定できていません(2026年8月確認)。今回参照した令和8年度の一次資料は現行の要件を示すものであり、令和6年度時点の告示・通知そのものとの逐条比較までは行えていないため、「変更なし」と断定するものではなく、あくまで確認できた範囲での記載です。
みらい(新人医療事務)
変更があったかどうか分からない、というより、確認できた範囲では見つからなかった、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。改定情報は随時更新されるので、直近の疑義解釈や訂正通知が出ていないかも、あわせてチェックしておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認する順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
- 自院が「計画策定病院」としてがん治療連携計画策定料の施設基準の届出を行っているかを確認する
- 対象患者が「がんと診断されてから最初の入院」に該当するかをカルテで確認する
- 地域連携診療計画を作成し、連携医療機関とあらかじめ共有できているかを確認する
- 患者の同意を得た上で、入院中または退院後30日以内に治療計画を作成・説明・文書提供できているかを確認する
- 退院時または退院後30日以内に、連携医療機関へ診療情報を文書提供できているかを確認する
- 診療情報提供料(Ⅰ)等の併算定できない項目と重複していないかを確認する
- がん治療連携計画策定料2やオンライン(情報通信機器を用いた場合)を算定する予定があれば、それぞれの届出状況もあわせて確認する

みらい(新人医療事務)
順番に見ていけば、抜け漏れに気づきやすそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に1と2の「届出」と「対象患者の条件」は、算定候補かどうかを分ける最初の分岐点になります。ここを飛ばして進めてしまうと、後から算定要件に合っていなかったことに気づくケースもあります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れも知りたいです。
見落としやすいポイント
「最初の入院」の判定漏れ: がんと診断されてから2回目以降の入院で、がん治療連携計画策定料1を算定してしまうケースです。カルテで初回入院かどうかを確認する運用がないと起こりやすい取り漏れです。 診療情報提供料(Ⅰ)との重複算定: 連携医療機関への文書提供にかかる診療情報提供料(Ⅰ)は、がん治療連携計画策定料の所定点数に含まれます。別立てで請求してしまうと、後から査定・返戻の対象になり得ます。 オンライン(注5)の届出漏れ: がん治療連携計画策定料2を情報通信機器を用いて行う場合は、通常の届出とは別に注5専用の届出が必要です。届出前に261点で算定してしまうと算定要件を満たさない可能性があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や患者さんの入院経緯を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。