みらい(新人医療事務)
部長、「電子的診療情報評価料」っていう名前を初めて見たんですけど、これって何の加算ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある評価料の一つですね。区分番号はB009-2、30点です。他の医療機関からの診療情報を電子的に受け取って診療に活用した場合に算定する項目ですよ。
みらい(新人医療事務)
「電子的に受け取る」というのがポイントなんですね。うちみたいな小さいクリニックでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、対象は診療所と病院の外来です。入院や在宅医療は対象になっていません。ただし、届出が必要で、施設基準を満たしていることが前提になります。まずは全体像から見ていきましょう。
この加算は何のためのものか
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな場面で算定するイメージですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)によれば、電子的診療情報評価料は「別の保険医療機関から診療情報提供書の提供を受けた患者について、同時に電子的方法により提供された検査結果、画像情報、画像診断の所見、投薬内容、注射内容及び退院時要約等のうち主要なものを電子的方法により閲覧又は受信し、当該検査結果等を診療に活用することによって、質の高い診療が効率的に行われることを評価するもの」とされています。
みらい(新人医療事務)
つまり、他院からの紹介患者さんについて、検査結果や画像を電子的に見て診療に活かした時の評価、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。同じ通知では、具体的な算定条件として「他の保険医療機関から診療情報提供書の提供を受けた患者について、検査結果、画像情報、画像診断の所見、投薬内容、注射内容及び退院時要約等のうち主要なもの(少なくとも検査結果及び画像情報を含む場合に限る。)を、①医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークを通じ閲覧、又は②電子的に送付された診療情報提供書と併せて受信し、当該検査結果や画像を評価して診療に活用した場合に算定する」とされています。評価の要点を診療録に記載することも求められていますね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関の条件をもう少し教えてください。
あおい(元・医療事務)
診療所・病院の外来診療が対象です。入院中の患者さんや在宅医療は、この評価料の対象には含まれていません。あわせて届出と施設基準が前提になるので、算定候補かどうかは体制が整っているかどうかから確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
どんなクリニックだと対象になりやすいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
目安として、次のようなケースは確認する価値があると思います。
対象になりやすいケース
紹介患者の受け入れが多い: 他院からの紹介患者について検査結果や画像を日常的に確認している外来 地域連携ネットワークに参加: 地域の医療機関間で診療情報を電子的に共有する仕組みに参加している 電子カルテ情報共有サービスを利用: 全国医療情報プラットフォーム等を通じた情報連携を行っている
点数と算定単位

みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)では以下のとおりです。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| B009-2 | 電子的診療情報評価料 | 30点 | 1回の診療情報提供につき1回 |
みらい(新人医療事務)
「1回の診療情報提供につき1回」というのは、何度も見返しても1回しか算定できない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知には「検査結果や画像情報の電子的な方法による閲覧等の回数にかかわらず、『B009』に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)を算定する他の保険医療機関からの1回の診療情報提供に対し、1回に限り算定する」と明記されています。何回も閲覧しても、紹介1件につき1回が上限、という理解でよさそうです。
算定要件
みらい(新人医療事務)
算定できないケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。同じ通知に「電子的診療情報評価料は、提供された情報が当該保険医療機関の依頼に基づくものであった場合は、算定できない」とはっきり書かれています。自院からお願いして送ってもらった情報の評価には使えない、ということですね。
算定できないケースに注意
自院からの依頼に基づいて提供された情報は対象外とされています。あくまで、他院から提供された情報を受け取って活用した場合が前提です。詳しい適用は自院の状況と公式資料で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、あくまで受け取る側の評価なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。あわせて対象となる情報の範囲も決まっています。少なくとも検査結果と画像情報を含むことが条件で、画像診断の所見・投薬内容・注射内容・退院時要約も対象に含まれます。
| 情報の種類 | 電子的診療情報評価料での扱い |
|---|---|
| 検査結果 | 少なくとも含む必要がある項目 |
| 画像情報 | 少なくとも含む必要がある項目 |
| 画像診断の所見 | 対象に含まれる情報 |
| 投薬内容・注射内容 | 対象に含まれる情報 |
| 退院時要約 | 対象に含まれる情報 |
施設基準
みらい(新人医療事務)
届出が必要ということは、施設基準もありますよね?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度の疑義解釈資料(その8・令和8年6月17日 保険局医療課事務連絡)に、電子的診療情報評価料の施設基準として次の3点が参考として示されています。
施設基準として示されている主な内容
電子的な連携体制: 他の医療機関等と連携し、患者の医療情報に関する電子的な送受信又は閲覧が可能なネットワークを構築していること 情報の範囲: 原則として検査結果・画像情報・投薬内容・注射内容・退院時要約が含まれること(診療所は画像情報・退院時要約を閲覧できるのみでも可) 記録の保存: 提供側は提供した情報の範囲・日時の記録、受け取る側は保管又は閲覧した情報・閲覧者名を含むアクセスログを1年間記録していること
| 施設基準の項目 | 内容(概要) |
|---|---|
| 電子的な連携体制 | 他の医療機関等と電子的に情報を送受信・閲覧できるネットワークを構築していること |
| 情報の範囲 | 検査結果・画像情報を少なくとも含み、投薬内容・注射内容・退院時要約等も対象とすること |
| 記録の保存 | 提供側は範囲・日時を記録、受領側はアクセスログ等を1年間記録すること |
みらい(新人医療事務)
ストレージについても何か条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。同じ資料に「常時データを閲覧できるネットワークを用いる際に、ストレージを活用する場合には、原則として厚生労働省標準規格に基づく標準化されたストレージ機能を有する情報蓄積環境を確保すること」とあります。ただし、システム改修が必要な場合はそれを行うまでの経過的な取り扱いも示されています。この部分は個別のシステム状況によるので、自院のシステム担当者と一緒に確認するのがよいと思います。
みらい(新人医療事務)
これ、自己判断だけで「満たしている」と決めていいものではなさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。施設基準を満たしているかどうかの最終判断は、自院の体制と地方厚生局への届出内容の確認が必要です。ここでは公式資料の内容を整理しているだけなので、必ず自院で確認をお願いします。
届出について
みらい(新人医療事務)
届出はどこにすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」が対象と明記されています。届出済みであれば算定候補になりますが、届出をしていない場合はまず届出の要否から確認する必要があります。
届出の有無を必ず確認
届出をしていなければ算定の対象になりません。「体制が整っていそうだから大丈夫」と思い込まず、実際の届出状況を必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料(告示・留意事項通知・疑義解釈)の範囲では、電子的診療情報評価料そのものの点数や算定要件に大きな変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。前回改定(令和6年度)の疑義解釈では、電子カルテ情報共有サービスを通じた送受信でも他の要件を満たせば算定の対象になり得る、という考え方が示されていて、令和8年度の疑義解釈でも同じ考え方が踏襲されています。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
「当サイトが確認できた一次資料の範囲では」という条件付きです。令和8年度改定全体では電子カルテ情報共有サービスまわりの評価が広がっていて、初診料の電子的診療情報連携体制整備加算のように、電子的診療情報評価料の施設基準を土台にした新しい加算も登場しています。電子的診療情報評価料そのものの要件は大きく変わっていませんが、周辺の制度は動いているので、最新の一次資料を確認する習慣は続けたほうがいいですね。
前回改定(令和6年度)から令和8年度への流れ
令和6年度: 電子カルテ情報共有サービス経由の送受信でも要件を満たせば算定の対象になり得る、という考え方が疑義解釈で示された 令和8年度: 同じ考え方が維持され、関連する新しい加算(初診料の電子的診療情報連携体制整備加算)でも同様の施設基準の考え方が参照されている
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、どんな順番がいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
対象患者の有無を確認する: 他院から診療情報提供書とともに検査結果・画像情報等を電子的に受け取っている患者がいるか 受け取り方法を確認する: 医療機関間の電子的ネットワーク経由か、診療情報提供書に添付された電子データの受信か 施設基準への適合を確認する: 電子的な連携体制・情報の範囲・記録の保存という3つの施設基準を満たしているか 届出状況を確認する: 地方厚生局への届出が済んでいるか、済んでいなければ届出の要否を検討する 診療録への記載を確認する: 検査結果や画像の評価の要点を診療録に記載する運用になっているか
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、自院からお願いして送ってもらった情報を評価した場合に算定してしまうケースです。留意事項通知にあるとおり、自院の依頼に基づく情報提供は対象外なので注意が必要です。
見落としやすいポイント
依頼に基づく情報は対象外: 自院から依頼して提供された情報の評価では算定できない 回数の上限: 閲覧の回数にかかわらず、1回の診療情報提供につき1回まで 診療録への記載漏れ: 評価の要点を診療録に記載する運用が抜けていないか
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなことを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんの情報を電子的に見た場合も対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
電子的診療情報評価料は診療所・病院の外来が対象で、入院や在宅医療は対象に含まれていません。入院中の患者さんに関する評価は、この加算の対象にはならないと考えられます。
みらい(新人医療事務)
紹介元の医療機関から何度も情報を見返した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に「閲覧等の回数にかかわらず、1回の診療情報提供に対し、1回に限り算定する」とあるので、何度見返しても、その紹介1件につき1回までという扱いになります。
みらい(新人医療事務)
ストレージの標準規格を満たしていない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の資料には、システム改修が必要な場合はそれを行うまでの経過的な取り扱いが示されています。ただ、これは個別のシステム状況によるので、自院のシステム担当者や地方厚生局と確認しながら進めるのがよいと思います。
みらい(新人医療事務)
診療情報提供料(Ⅰ)との違いがよくわからないんですが。
あおい(元・医療事務)
診療情報提供料(Ⅰ)は情報を送る側の医療機関が算定するもので、電子的診療情報評価料は情報を受け取って診療に活かした側の医療機関が算定するものです。留意事項通知でも「B009」に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)を算定する他の保険医療機関からの提供、という形で両者が対になって整理されていますね。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。