みらい(新人医療事務)
「精神科退院時共同指導料」っていう名前、初めて見ました。うちは精神科の外来もやっているクリニックなんですけど、これって関係ありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、精神科・心療内科の外来や在宅療養を担っている医療機関、それから精神病棟のある病院、どちらにも関わりが出てくる項目ですよ。区分番号は「B015」で、正式名称は「精神科退院時共同指導料」です。令和8年度(2026年度)の診療報酬点数表に基づいてお話ししますね。
みらい(新人医療事務)
「共同指導」ってあるので、2つの病院が一緒に何かするイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。精神病棟に入院している患者さんが退院するとき、入院していた病院の多職種チームと、退院後に外来や在宅療養を担う医療機関の多職種チームが共同で患者さんに説明・指導を行い、支援計画を作って情報提供した場合に算定候補になる指導料です。ポイントは「共同指導」と「支援計画の文書提供」ですね。
精神科退院時共同指導料とは
みらい(新人医療事務)
そもそもこの加算は何のためにあるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神病棟からの退院後、患者さんが地域生活に戻ってから治療が途切れてしまったり、支援が届きにくくなったりすることを防ぐための指導料です。入院中の病院と、退院後を担う外来・在宅側の医療機関が、退院前に共同で説明・指導を行い、支援計画を共有しておくことを評価する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックのように「外来・在宅側」で関わる場合と、病院側で「入院側」として関わる場合とで、名前や点数が違うんですね?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の告示では、外来・在宅側を「精神科退院時共同指導料1」、入院側を「精神科退院時共同指導料2」として、点数も算定の考え方も分けて定めています。まずは自院がどちら側に当たるかを確認するのが最初のステップです。
対象になるのはどんな患者・場面?
みらい(新人医療事務)
対象の患者さんって、どんな方なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、精神科退院時共同指導料1の「イ」と「ロ」、精神科退院時共同指導料2で、それぞれ対象患者の考え方が分けて示されています。まず「イ」(1,500点)の対象は、厚生労働省告示(区分番号B015 注1)で「精神保健福祉法第29条若しくは第29条の2に規定する入院措置に係る患者、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第42条第1項第1号若しくは第61条第1項第1号に規定する同法による入院若しくは同法第42条第1項第2号に規定する同法による通院をしたことがあるもの又は当該入院の期間が1年以上のもの」と定義されています。
みらい(新人医療事務)
難しい言葉が並んでいますが、要するに措置入院だった患者さんとか、医療観察法に関わったことがある患者さん、長期入院の患者さんってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。留意事項通知でも「措置入院患者等」とまとめて呼んでいますね。次に「ロ」(900点)は、イ以外の患者さんのうち、「療養生活環境の整備のため重点的な支援を要する患者」が対象です。厚生労働省の留意事項通知(区分番号B015(3))では「『1』の『ロ』については、『1』の『イ』以外の患者であって…『包括的支援マネジメント 実践ガイド』における『包括的支援マネジメント 導入基準』を1つ以上満たした療養生活環境の整備のため重点的な支援を要する患者…に対して」共同指導を行った場合に算定するとされています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「重点的な支援を要する患者」かどうかは、何か基準表を見て判断するんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「包括的支援マネジメント導入基準」という基準に、患者さんの状態が1つ以上当てはまるかどうかで判断する形になっています。自院だけで判断が難しい場合は、この基準表を確認しながら入院先の病院と相談するのが確実ですね。精神科退院時共同指導料2(700点)は、入院側の医療機関が算定するもので、対象患者は「措置入院患者等」または「重点的な支援を要する患者」のうち、外来・在宅側の医療機関が1(イまたはロ)を算定する場合が対象になります。
対象患者の判定は自院だけで完結しない
「措置入院患者等」や「重点的な支援を要する患者」に当たるかどうかは、入院履歴や医療観察法の適用状況など、外来側だけでは把握しきれない情報を含みます。入院先の病院との共同確認が前提になる点にご注意ください。
点数はいくら?(区分ごとの整理)
みらい(新人医療事務)
点数を整理して教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(区分番号B015)に基づく令和8年度の点数は次のとおりです。
| 区分 | 算定する側 | 点数 |
|---|---|---|
| 精神科退院時共同指導料1 イ(精神科退院時共同指導料(Ⅰ)) | 外来を担う保険医療機関又は在宅療養担当医療機関 | 1,500点 |
| 精神科退院時共同指導料1 ロ(精神科退院時共同指導料(Ⅱ)) | 外来を担う保険医療機関又は在宅療養担当医療機関 | 900点 |
| 精神科退院時共同指導料2 | 入院医療を提供する保険医療機関 | 700点 |

みらい(新人医療事務)
どの区分も「入院中に1回に限り」なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示・留意事項通知のいずれも「入院中に1回に限り算定する」という書き方になっています。同じ患者さんについて、退院前に複数回算定することはできない点数です。
みらい(新人医療事務)
イとロ、どちらで算定するかを間違えると大変そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。イは対象患者の条件が明確に定義されているぶん高い点数(1,500点)が設定されていて、ロは重点的な支援を要する患者向け(900点)です。どちらに当たるかは対象患者の判定と直結するので、算定候補として扱う前に必ず確認したいところです。
算定するために必要な体制(多職種チームと届出)
みらい(新人医療事務)
「共同指導」ということは、担当医だけでは算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の留意事項通知(区分番号B015(2))では、「イ」の場合、「共同指導を行う当該保険医療機関の多職種チームには、以下のアからウまでの職種がそれぞれ1名以上参加していること」とされ、「ア 精神科の担当医、イ 保健師又は看護師、ウ 精神保健福祉士」の3職種が挙げられています。
みらい(新人医療事務)
医師と看護師、精神保健福祉士の3人は必須ってことですね。
あおい(元・医療事務)
はい。「ロ」の場合は、「(2)のア又はイ及びウの職種がそれぞれ1名以上参加していること」とされていて、医師または看護師等のどちらか1名と、精神保健福祉士1名が必須という整理です。いずれも、必要に応じて薬剤師・作業療法士・公認心理師・訪問看護ステーションの職員・市町村等の担当者が参加してよいとされています。
みらい(新人医療事務)
入院側の「2」を算定する病院にも、同じような条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知(5)では「当該保険医療機関の精神科の医師、看護師等及び精神保健福祉士並びに必要に応じて薬剤師、作業療法士、公認心理師…」が共同指導を行った場合に算定するとされています。入院側でも医師・看護師等・精神保健福祉士の参加が前提です。
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
必要です。厚生労働省告示(区分番号B015)では、精神科退院時共同指導料1(イ・ロ)と精神科退院時共同指導料2のいずれについても、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが算定の条件として定められています。届出済みであれば算定候補になりますが、未届の状態では算定できません。届出の具体的な様式や施設基準の詳細は、地方厚生局への確認が確実です。
多職種チームの人数は「イ」と「ロ」で条件が違う
「イ」は医師・看護師等・精神保健福祉士の3職種が必須、「ロ」は医師または看護師等のどちらか1名+精神保健福祉士が必須という違いがあります。届出だけでなく、共同指導の当日に必要な職種が揃っているかも忘れずに確認してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
同じ日に他の点数と一緒に算定してもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは特に注意が必要なところです。厚生労働省告示(区分番号B015)の規定では、精神科退院時共同指導料1について「区分番号A000に掲げる初診料、区分番号A001に掲げる再診料、区分番号A002に掲げる外来診療料、区分番号B002に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅰ)、区分番号B004に掲げる退院時共同指導料1、区分番号C000に掲げる往診料、区分番号C001に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号C001-2に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅱ)は別に算定できない」とされています。
みらい(新人医療事務)
初診料や再診料も一緒に算定できないんですね。それは見落としやすそうです。
みらい(新人医療事務)
対象にならない患者さんもいるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の留意事項通知(区分番号B015(9))には、「精神科退院時共同指導料は、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
退院後、別の施設に移る患者さんは対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。あくまで「在宅での療養に戻る患者さん」が対象という整理です。また、共同指導はビデオ通話で実施することも認められていますが、留意事項通知(8)では、患者さんの同意を得ることや、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応した環境で行うことが求められています。
摘要欄の記載も忘れずに
留意事項通知(10)では「精神科退院時共同指導料を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、当該指導料の対象となる患者の状態について記載すること」とされています。算定候補になった場合も、レセプト作成時の記載漏れがないよう確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この点数、前回の令和6年度(2024年度)改定から変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科退院時共同指導料そのものは以前から存在する項目です。今回当サイトが確認した令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、点数(1,500点/900点/700点)や、多職種チームの職種構成、対象患者の考え方について、大きな変更を示す記述は確認されていません。(確認日: 2026年7月・厚生労働省の令和8年度告示・留意事項通知ベース)
みらい(新人医療事務)
「確認されていません」というのは「変わっていない」と決めつけているわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。当サイトが参照できた一次資料の範囲での確認結果、という意味です。実際に自院が届出済みの施設基準に変更がないかは、届出時期にかかわらず、地方厚生局からの通知や厚生労働省の告示を都度ご確認いただくのが確実です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちのクリニックはどう確認していけばいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 患者さんが精神病棟に入院中で、退院後に在宅療養へ戻る予定かを確認する
- 「措置入院患者等」(イ)か「重点的な支援を要する患者」(ロ)かを、入院先の病院と共同で確認する
- 自院が外来・在宅側(1)か入院側(2)かを確認し、多職種チームの職種(医師・看護師等・精神保健福祉士など)が揃っているかを確認する
- 自院が届出施設基準に適合し、地方厚生局へ届出済みかを確認する
- 共同指導・支援計画の作成・文書提供までを行い、同日に算定できない点数(初診料・再診料など)がないかを確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、うちが算定候補になりそうかどうかがだんだん見えてきますね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に2番目の対象患者の判定と、3番目の職種の確認は、入院先の病院との情報共有が前提になるので、早めに連携しておくのがおすすめです。
よくある取り漏れ・注意点
みらい(新人医療事務)
現場で取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますね。
「イ」と「ロ」の対象判定を後回しにしない
対象患者が「措置入院患者等」(イ)か「重点的な支援を要する患者」(ロ)かで点数(1,500点/900点)が変わります。共同指導の当日になって判定に迷うと、支援計画の作成方針にも影響するため、早い段階での確認が重要です。
同日算定できない点数との重複に注意
共同指導を行った日に初診料・再診料・外来診療料や、退院時共同指導料1(B004)、精神科退院指導料(I011)などを別途算定していないか、レセプト作成前に必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
支援計画の文書って、どんな形で残せばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(7)では、患者さんやご家族に提供する文書について「別紙様式51の2『療養生活の支援に関する計画書』を用いること」とされ、文書の写しを診療録等に添付することも求められています。決められた様式を使っているかどうかも、あわせて確認しておきたいポイントです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、まとめますね。
みらい(新人医療事務)
Q. 「精神科退院時共同指導料」と「退院時共同指導料」は同じものですか?
あおい(元・医療事務)
A. 別の点数です。退院時共同指導料は精神科以外の患者さんも対象になる一般的な区分ですが、精神科退院時共同指導料(B015)は精神病棟に入院する患者さんを対象とした専用の区分で、点数や対象患者の考え方が異なります。告示上も同一の共同指導について両方を算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
Q. オンライン(ビデオ通話)での共同指導でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 留意事項通知では、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導を実施しても差し支えないとされています。ただし、患者さんの同意取得や、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインへの対応が前提になるため、実施環境の確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
Q. 精神科退院指導料と精神科退院時共同指導料はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
A. 精神科退院指導料は入院医療機関が単独で行う退院指導を評価する点数ですが、精神科退院時共同指導料は入院側と外来・在宅側の医療機関が共同で指導・支援計画作成を行うことを評価する点数です。告示上、精神科退院時共同指導料2を算定する場合は精神科退院指導料を別に算定できないとされているため、どちらで対応するかの整理が必要です。
みらい(新人医療事務)
Q. 届出をしていない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 告示では、外来・在宅側も入院側も「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが条件です。未届の状態では算定候補にならないため、届出状況をまず確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。