みらい(新人医療事務)
「医療機器安全管理料」って名前は見たことあるんですけど、内容がちょっとイメージしづらくて…。これって何を評価している加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
名前のとおり、医療機器を安全に使うための体制を評価する管理料です。ただ大事なポイントがひとつあって、この加算には「1」と「2」の2つの区分があり、対象になる機器も要件もまったく別ものなんです。区分ごとに分けて確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
2つあるんですね…!同じ加算名なのに要件が別って、ちょっとややこしそう。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。区分1は生命維持管理装置、区分2は放射線治療機器と、そもそも扱う機器の種類が違います。混同すると自院がどちらに該当するか判断を誤りやすいので、丁寧に見ていきますね。まず前提として、この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬にもとづいています。
医療機器安全管理料とは何を評価する加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算がある目的って何なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(区分番号B011-4)と留意事項通知(保医発)を見ると、共通して求められているのは「医療機器の安全な使用」に向けた体制づくりです。留意事項通知には「医療機器安全管理料を算定する保険医療機関においては、医療機器の安全使用のための職員研修を計画的に実施するとともに、医療機器の保守点検に関する計画の策定、保守点検の適切な実施及び医療機器の安全使用のための情報収集等が適切に行われていること。」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
研修・保守点検計画・情報収集…全部やっていないとダメ、ってことですよね。
あおい(元・医療事務)
はい。これは区分1・区分2どちらにも共通する前提の考え方です。そのうえで、区分1は生命維持管理装置を扱う体制、区分2は放射線治療機器を扱う体制を、それぞれ別に評価しています。
医療機器安全管理料1と2、対象になる場面の違い
みらい(新人医療事務)
じゃあ具体的に、区分1と区分2はそれぞれどんな場面で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の本文を見ると、対象になる場面がはっきり書き分けられています。下の表にまとめました。
| 区分 | 告示上の算定場面 | 中心となる医療機器 |
|---|---|---|
| 医療機器安全管理料1 | 臨床工学技士が配置されている保険医療機関において、生命維持管理装置を用いて治療を行う場合 | 生命維持管理装置 |
| 医療機器安全管理料2 | 放射線治療機器の保守管理、精度管理等の体制が整えられている保険医療機関において、放射線治療計画を策定する場合 | 放射線治療機器 |
みらい(新人医療事務)
区分1は「臨床工学技士がいるかどうか」、区分2は「放射線治療機器の管理体制があるかどうか」がまず入口になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。留意事項通知では、生命維持管理装置と放射線治療機器の範囲もそれぞれ定義されています。生命維持管理装置は「人工心肺装置及び補助循環装置、人工呼吸器、血液浄化装置(人工腎臓を除く。)、除細動装置及び閉鎖式保育器をいう。」と定義され、放射線治療機器は「高エネルギー放射線治療装置(直線加速器)、ガンマナイフ装置及び密封小線源治療機器をいう。」と定義されています。
みらい(新人医療事務)
血液浄化装置は「人工腎臓を除く」なんですね。人工透析だけをやっているところは対象外になりそうです。
あおい(元・医療事務)
はい、条文上そう読めます。ここは自院で使っている機器と照らし合わせて、慎重に確認してほしいポイントです。

みらい(新人医療事務)
ちなみに、対象になる医療機関の種類に決まりはあるんですか?診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
条文上は「保険医療機関」とだけ書かれていて、病院・診療所を明示的に区別する文言は見当たりません。ただし、区分1は人工心肺装置のような生命維持管理装置を用いた治療、区分2は直線加速器などの放射線治療機器を用いた放射線治療計画の策定が前提になるので、実務上はこうした機器を備えた病院が対象になるケースが中心と考えられます。自院が対象になるかどうかは、保有機器と実際に行っている診療内容に照らして確認が必要です。
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数もそれぞれ確認したいです。
あおい(元・医療事務)
告示の本文では、区分1が「臨床工学技士が配置されている保険医療機関において、生命維持管理装置を用いて治療を行う場合(1月につき) 100点」、区分2が「放射線治療機器の保守管理、精度管理等の体制が整えられている保険医療機関において、放射線治療計画を策定する場合(一連につき) 1,100点」と定められています。下の表にまとめました。
| 区分 | 点数 | 算定単位 | 回数の目安 |
|---|---|---|---|
| 医療機器安全管理料1 | 100点 | 1月につき | 患者1人につき月1回に限り |
| 医療機器安全管理料2 | 1,100点 | 一連につき | 一連の照射につき初日に1回に限り |
みらい(新人医療事務)
100点と1,100点で、点数の差がかなり大きいですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。区分2は「放射線治療計画の策定」という一連の医学的管理をまとめて評価する点数なので、区分1とは性格が違うと考えたほうが分かりやすいです。回数の考え方も、区分1は「月1回」、区分2は「一連の照射の初日に1回」と別ルールになっています。次で、それぞれの算定要件をもう少し詳しく見ていきましょう。
施設基準・人員体制の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準の面では、それぞれ何が求められているんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、区分1について「医療機器安全管理料1は、医師の指示の下に、生命維持管理装置の安全管理、保守点検及び安全使用を行う臨床工学技士を配置した保険医療機関を評価したものであり、当該保険医療機関において、生命維持管理装置を用いて治療を行った場合に1月に1回に限り算定する。」とあり、区分2については「医療機器安全管理料2は、医師の指示の下に、放射線治療機器の安全管理、保守点検及び安全使用のための精度管理を行う体制を評価したものであり、当該保険医療機関において、照射計画に基づく放射線治療が行われた場合、一連の照射につき当該照射の初日に1回に限り算定する。」と定められています。
みらい(新人医療事務)
区分1は「医師の指示の下で臨床工学技士が安全管理・保守点検・安全使用を行っていること」、区分2は「医師の指示の下で放射線治療機器の精度管理を行う体制があること」が軸なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。加えて、告示の注書きでは「1については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、生命維持管理装置を用いて治療を行った場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。」「2については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、放射線治療が必要な患者に対して、放射線治療計画に基づいて治療を行った場合に算定する。」と、どちらも施設基準への適合と届出が算定の前提になっています。
施設基準の中身は個別通知の確認が必要
今回確認できた一次資料には「施設基準に適合していること」という枠組みは書かれていますが、施設基準の具体的な人員数・実施年数などの数値要件は、別に定められた施設基準の告示・通知(本記事で参照した資料の範囲外)で確認する必要があります。届出済みかどうかの判断は、自院の届出書控えと合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
つまり「臨床工学技士が1人いれば自動的にOK」というわけではなく、施設基準への適合と届出がセットで必要ってことですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そのとおりです。届出をしていない状態で要件だけ満たしていても、算定候補にはなりません。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
届出は必須なんですか?
あおい(元・医療事務)
告示注書きに明記されているとおり、区分1・区分2とも「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが算定の条件です。届出をしていない状態では、たとえ人員体制や機器の面で要件を満たしていても算定候補にはなりません。届出済みであれば候補になりますので、まずは自院の届出状況を確認するところから始めてください。
届出内容と実態にズレがないか確認する
臨床工学技士の配置状況や放射線治療機器の管理体制は、人事異動や機器更新によって変わることがあります。届出時点の内容と現状にズレがないか、定期的な見直しをおすすめします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングや、他の加算との関係で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか確認しておきたい注意点があります。まず回数は、区分1が「患者1人につき月1回に限り」、区分2が「一連の照射につき当該照射の初日に1回に限り」です。月をまたいで同じ患者に何度も算定できるものではありません。
みらい(新人医療事務)
一連の照射って、複数回にわたる治療計画全体を指すイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。区分2は治療のたびに算定するのではなく、一連の照射計画の初日にまとめて評価する考え方になっています。もうひとつ、併算定の関係で見落としやすいのが呼吸ケアチーム加算との関係です。呼吸ケアチーム加算の告示注書きには「ただし、区分番号B011-4に掲げる医療機器安全管理料の1は別に算定できない。」と明記されています。
呼吸ケアチーム加算との併算定に注意
呼吸ケアチーム加算を算定している患者については、医療機器安全管理料の「1」を別に算定することはできません。人工呼吸器の離脱支援などで両方の算定を検討している場合は、この除外規定を必ず確認してください(医療機器安全管理料の「2」については、この除外規定の対象になっていません)。

みらい(新人医療事務)
図を見ると、機器の確認→人員体制→研修や保守点検計画→届出、という順番なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。順番どおりに確認していくと、自院がどちらの区分の算定候補になりそうか整理しやすいと思います。
よくある取り漏れ・確認しておきたいポイント
みらい(新人医療事務)
実務でよく見落とされがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか、厚生労働省の疑義解釈(平成20年度公表・現行制度でも参照されている確認事項)で明確にされている論点があります。まずひとつ目です。
全身麻酔の麻酔器は対象外
疑義解釈(平成20年度公表)では「B011-4医療機器安全管理料1の算定対象となる生命維持管理装置に『人工呼吸器』とあるが、全身麻酔の際の麻酔器も『人工呼吸器』に含まれるのか。」という質問に対し「含まれない。」と回答されています。手術室で使う麻酔器は、留意事項通知にいう「人工呼吸器」には含まれません。ICUや病棟で使う人工呼吸器と混同しないよう注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
麻酔器は別物、というのは知らないと間違えそうです。もうひとつは何でしょう?
あおい(元・医療事務)
血液浄化装置の範囲についてです。
血液浄化装置の除外範囲
疑義解釈(平成20年度公表)では「医療機器安全管理料の生命維持管理装置として、血液浄化装置(人工腎臓を除く)が示されているが、自動腹膜灌流装置のほか、血液濾過装置、血液透析濾過装置も算定対象外となるのか。」という質問に対し「そのとおり。」と回答されています。留意事項通知の「血液浄化装置(人工腎臓を除く。)」という条件は、人工腎臓だけでなく、自動腹膜灌流装置・血液濾過装置・血液透析濾過装置も対象外になる、という運用になっています。人工透析関連の機器を生命維持管理装置に含めて考えてしまうと、対象範囲を広く見誤る可能性があります。
みらい(新人医療事務)
条文の「(人工腎臓を除く。)」の一文だけだと、ここまで範囲が広く除外されるとは気づきにくいですね。
あおい(元・医療事務)
はい、条文の言葉どおりに正確に確認することが大事です。なお区分2に関しては、疑義解釈(平成20年度公表)で「医療機器安全管理料について、放射線治療を専ら担当する常勤の医師、及び精度管理を専ら担当する技術者は、放射線治療専任加算の医師及び診療放射線技師と併任は可能か。」という質問に「可能である。」と回答されています。人員体制を検討する際の参考にしてください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号および留意事項通知)の範囲では、医療機器安全管理料の点数・算定要件・生命維持管理装置と放射線治療機器の定義について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
変わっていない、という情報も大事ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「一次資料の範囲では確認されていない」という言い方にとどめているのは、施設基準の詳細な数値要件など、今回参照した告示・留意事項通知の外側にある個別通知までは照合しきれていないためです。届出内容の見直しの際は、最新の施設基準通知も合わせて確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
最後に、自院がどちらの区分の算定候補になりそうか、順番に整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 生命維持管理装置(人工心肺装置・補助循環装置・人工呼吸器・血液浄化装置(人工腎臓を除く)・除細動装置・閉鎖式保育器)を用いた治療を行っているか、または放射線治療機器(直線加速器・ガンマナイフ・密封小線源治療機器)を用いた放射線治療計画を策定しているかを確認する
- 区分1であれば、医師の指示の下で生命維持管理装置の安全管理・保守点検・安全使用を行う臨床工学技士が配置されているかを確認する
- 区分2であれば、医師の指示の下で放射線治療機器の安全管理・保守点検・精度管理を行う体制が整っているかを確認する
- 医療機器の安全使用のための職員研修計画、保守点検計画の策定・実施、情報収集の体制が整っているかを確認する
- 施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等への届出が済んでいるかを確認する
- 呼吸ケアチーム加算など、併算定できない加算を同時に算定していないかを確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、自院がどちらの区分に近いか整理できそうです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
区分1と区分2を同じ月に両方算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
条文上、区分1と区分2は対象になる機器も算定単位も別ものとして定められています。生命維持管理装置を用いた治療と放射線治療計画の策定を、それぞれの算定要件どおりに満たしていれば、区分ごとに算定候補になり得ますが、実際に両方が同時に成立するかは自院の診療実態と施設基準の届出状況によって異なりますので、個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
臨床工学技士が非常勤の場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「臨床工学技士を配置した保険医療機関」とあるだけで、常勤・非常勤の別までは今回参照した資料には明記されていません。配置形態の詳細な要件は、施設基準の個別通知で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
令和6年度改定のときと比べて、点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定時点の内容と比べても、令和8年度(2026年度)にかけての点数・算定要件の変更は確認されていません。ただし施設基準の細目までは照合できていないため、届出内容の見直し時は最新の通知を確認してください。
参考にした公式資料
みらい(新人医療事務)
この記事の内容は、どの資料で確認できますか?
あおい(元・医療事務)
今回の記事は、次の厚生労働省の公式資料にもとづいて確認しています。
| 資料 | 資料種別・年度 |
|---|---|
| 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・医科点数表) | 告示・令和8年度 |
| 医科診療報酬点数表に関する事項(別添1・留意事項通知) | 留意事項通知(保医発)・令和8年度 |
| 疑義解釈資料の送付について | 疑義解釈・平成20年度公表分を参照 |
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。