みらい(新人医療事務)
院長から「うちも連携強化診療情報提供料が算定候補になるか確認しておいて」と言われたんですが、正直はじめて聞く名前で……。これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
区分番号B011の連携強化診療情報提供料ですね。他の医療機関から紹介された患者さん、または他の医療機関へ紹介した患者さんについて、紹介元・紹介先の医療機関と治療管理を継続的に行う体制がある場合に、診療状況を示す文書を提供したことを評価する加算です。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、150点と定められています。
みらい(新人医療事務)
診療情報提供料(Ⅰ)と何が違うんですか?名前が似ていて混乱します。
あおい(元・医療事務)
いい質問です。診療情報提供料(Ⅰ)は紹介状を書くこと自体を評価する加算ですが、連携強化診療情報提供料は「紹介した後も、継続的に治療管理の情報をやり取りする連携体制」があることを前提にした加算です。対象になる医療機関の組み合わせも決まっていて、誰でも算定候補になるわけではありません。まずはそこを一緒に確認していきましょう。
どんな連携が対象になるか(3つのパターン)
みらい(新人医療事務)
「対象になる医療機関の組み合わせ」というのが気になります。うちみたいな診療所でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)では、対象となる医療機関の組み合わせをア・イ・ウの3パターンに整理しています。自院がどのパターンに当てはまりそうか、まず表で確認してみましょう。
| パターン | 紹介元・紹介先の組み合わせ |
|---|---|
| ア | 診療所又は許可病床数200床未満の病院 と、特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床数200未満を除く)、外来機能報告対象病院等、又は許可病床数400床以上の病院(一般病床数200未満を除く) |
| イ | 難病又はてんかんに係る専門的な外来医療を提供する保険医療機関 と、その他の保険医療機関 |
| ウ | 産科又は産婦人科を標榜する保険医療機関 と、その他の保険医療機関 |
みらい(新人医療事務)
なるほど、うちが診療所なら、アのパターンで大きい病院との連携がまず候補になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「対象になりそうな組み合わせ」であることと「実際に算定候補になる要件を満たしていること」は別です。次は算定要件そのものを見ていきましょう。

点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はさっき150点とおっしゃっていましたが、パターンごとに変わったりはしないんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、点数はパターンにかかわらず一律です。まとめると次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分番号 | B011 |
| 加算名 | 連携強化診療情報提供料 |
| 点数 | 150点 |
| 算定回数 | 提供する保険医療機関ごとに、患者1人につき3月に1回に限る |
| 対象年度 | 令和8年度(2026年度) |
あおい(元・医療事務)
告示の原文では「提供する保険医療機関ごとに患者1人につき3月に1回に限り算定する」とされています。同じ患者さんでも、情報提供先の医療機関が複数あれば、それぞれの提供先ごとにカウントする点は覚えておいてください。
算定要件のポイント
みらい(新人医療事務)
「診療状況を示す文書を提供した場合」というのが算定のカギになりそうですが、具体的にはどんな流れで算定するんですか?
あおい(元・医療事務)
流れを説明しますね。まず、他の保険医療機関から紹介された患者さん、または他の保険医療機関へ紹介した患者さんについて、その医療機関からの求めに応じるか、または共同で治療管理を継続的に行う旨の合意に基づいて、患者さんの同意を得たうえで、診療状況を示す文書を提供する必要があります。
みらい(新人医療事務)
「初診料を算定する日を除く」という条件もどこかで聞いた気がします。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。告示の注1〜注5に共通する条件として、「区分番号A000に掲げる初診料を算定する日を除く」とされています。ただし「当該保険医療機関に次回受診する日の予約を行った場合はこの限りでない」という例外があるので、初診の日でも次回受診の予約をしていれば算定候補になり得ます。
回数・タイミングの注意
算定は「提供する保険医療機関ごとに患者1人につき3月に1回」が上限です。また、次回受診日の予約を行ったうえで初診時に算定した場合、次回受診時に予約診察としての特別な料金は徴収できないとされています(留意事項通知(5))。あわせて確認してください。
あおい(元・医療事務)
なお、指定難病・てんかんの患者さん(注2・注3)や妊娠中の患者さん(注4・注5)については、注1に該当しない場合の下位区分として算定候補になる仕組みになっています。自院がどの注に該当するかは、紹介元・紹介先の施設基準の充足状況によって変わるため、個別に確認が必要です。
診療状況を示す文書に書くこと
みらい(新人医療事務)
「診療状況を示す文書」って、具体的にはどんな内容を書けばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(2)に記載事項が定められています。患者の氏名・生年月日・連絡先は誰の情報かを明確にする基本項目、診療情報の提供先保険医療機関名はどこに提供する文書かを明記する項目、診療の方針、患者への指導内容、検査結果、投薬内容その他の診療状況の内容は治療管理の継続に必要な臨床情報、診療情報を提供する保険医療機関名及び担当医師名は発行元を明確にする項目です。この4点を記載し、患者さんまたは提供先の保険医療機関に交付したうえで、交付した文書の写しを診療録に添付する必要があります。
みらい(新人医療事務)
紹介元からの「求め」があったこと自体は、文書で証明しないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは柔軟です。留意事項通知(3)では「文書により行う必要はないが、他の保険医療機関からの求めがあったこと又は当該合意に基づく紹介であることの確認を行ったことを診療録に記載すること」とされています。文書で確認した場合はその文書を診療録に添付すればよく、口頭確認でも診療録への記載があれば足ります。
よくある取り漏れ
「次回受診する日の予約を行った場合」を根拠に初診日に算定する場合は、予約した次回受診日を診療録に必ず記載してください。予約診療を実施していない医療機関でも、次回受診日を決めたうえで診療録に記載していれば足りるとされています(留意事項通知(4))。記載漏れは算定根拠が薄くなる典型的な取り漏れポイントです。
施設基準(届出は不要という特徴)
みらい(新人医療事務)
施設基準も確認しないといけないですよね。届出書類はどこかに出す必要がありますか?
あおい(元・医療事務)
ここが連携強化診療情報提供料の特徴的なところです。特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号)では、注1〜注3(アのパターンおよびイのパターン)に関する施設基準として「健康増進法(平成14年8月2日法律第103号)等の関係法令に基づき適切な受動喫煙対策が行われていること」が定められています。
みらい(新人医療事務)
それだけなんですか?
あおい(元・医療事務)
注1〜注3についてはそうです。一方、注4・注5(ウのパターン、妊娠中の患者さん)に関する施設基準は少し要件が増えます。産科又は産婦人科を標榜する保険医療機関であること、そして産科・産婦人科を担当する医師または妊娠している方の診療に係る適切な研修を修了した医師を配置していることが望ましいこと、が定められています。この「望ましい」という表現がポイントで、必須要件ではなく努力目標として書かれています。加えて受動喫煙対策も同様に必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていることは、どこかに届出をしないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも確認しておきたいポイントです。同通知の届出に関する事項では「連携強化診療情報提供料の施設基準に係る取扱いについては、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して届出を行う必要はないこと」とされています。つまり、地方厚生局への個別の届出は不要で、基準を満たしていることを自院で確認できていれば算定候補になります。
届出不要でも自己確認は必要
届出が不要という扱いであっても、施設基準(受動喫煙対策・産科/産婦人科標榜等)を実際に満たしているかどうかの確認義務が無くなるわけではありません。届出書類がないぶん、院内での基準充足の記録・確認体制を自主的に整えておくことが望ましいといえます。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
ここまでの内容を、実際に自院で確認する順番として整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
紹介・連携のパターンを確認 — 自院と紹介元・紹介先の組み合わせが、ア(診療所・200床未満病院⇔一定規模以上の病院等)、イ(難病・てんかん専門外来⇔その他)、ウ(産科・産婦人科標榜⇔その他)のいずれに当てはまるか確認する
-
紹介の経緯を確認 — 他院からの求め、または共同で治療管理を継続的に行う旨の合意があるか、診療録で確認できる状態か確認する
-
患者の同意と文書化を確認 — 患者の同意を得たうえで、氏名・生年月日・連絡先、提供先医療機関名、診療方針・指導内容・検査結果・投薬内容、提供元医療機関名・担当医師名を記載した文書を作成できているか確認する
-
算定タイミングを確認 — 初診料算定日でないか、または次回受診日の予約があり診療録に記載されているかを確認する
-
施設基準を確認 — 受動喫煙対策(全パターン共通)、産科・産婦人科標榜と研修医師配置(ウのパターン)が満たされているか確認する
-
併算定の制限を確認 — 同一保険医療機関への紹介で診療情報提供料(Ⅰ)を同月算定していないか、特別な関係にある医療機関への提供でないかを確認する
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。告示の注6では「区分番号B009に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)(同一の保険医療機関に対して紹介を行った場合に限る。)を算定した月は、別に算定できない」とされています。同じ医療機関への紹介について、同じ月に診療情報提供料(Ⅰ)と連携強化診療情報提供料の両方を算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
ほかにも気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(7)では「当該情報を提供する保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に情報提供が行われた場合は算定できない」とされています。グループ内の医療機関同士など、特別な関係にある場合は対象外になる点に注意してください。また、令和8年度の疑義解釈(その2 医科 問22)では、入院料等の通則で「診療情報提供料を算定できない」とされる場面について、「診療情報提供料(Ⅰ)、診療情報提供料(Ⅱ)及び連携強化診療情報提供料を指す」と明確化されています。短期滞在手術等基本料3を算定する患者さんについては、この点もあわせて確認が必要です。
確認しておきたい併算定制限
- 診療情報提供料(Ⅰ): 同一の保険医療機関への紹介で同月に算定した場合は連携強化診療情報提供料を別算定できません
- 特別な関係にある医療機関: グループ内など特別な関係にある提供先への情報提供は算定対象外です
- 短期滞在手術等基本料3: 対象患者では診療情報提供料(連携強化診療情報提供料を含む)の扱いに注意が必要です
みらい(新人医療事務)
診療情報提供料(Ⅰ)との関係、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
診療情報提供料(Ⅰ)の記事でも解説していますので、あわせて確認してみてください。同じ「医学管理」区分の加算として、算定のタイミングや文書の記載事項に共通点もあります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、連携強化診療情報提供料そのものの点数(150点)や、対象となる医療機関のパターン(ア・イ・ウ)について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026-08)。令和4年度の疑義解釈(医科 問166)で示されていた「他院からの求めは必ずしも文書で得る必要はなく、診療録への記載でよい」という取扱いも、現行の留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)の内容と整合しています。
みらい(新人医療事務)
つまり、運用のルール自体はずっと変わっていないんですね。
あおい(元・医療事務)
そう理解して差し支えありません。ただし、疑義解釈は改定のたびに新しいものが発出される可能性があるため、最新の疑義解釈資料も定期的に確認しておくと安心です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件・施設基準は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
- 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732104.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年度・医科 問22) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。