みらい(新人医療事務)
先生、「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)」って、往診料と何が違うんですか?よく一緒に語られる気がして……。
あおい(元・医療事務)
大事な違いがあるんです。往診料は「患者や家族からの求めに応じて赴く」費用なのに対して、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は「計画的に定期訪問して診療する」ための費用です。令和8年度(2026年度)の医科点数表、区分番号C001に位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
「計画的に」というのが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。患者さんの同意を得て、定期的に訪問するという計画を立て、継続的に医学管理を行うのが在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の本質です。外来に来られない方の自宅等に、医師が定期的に足を運ぶイメージです。
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)とは何のための診療料か
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項では「在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なもの」と定義されています。ただし条件があって、「初診料を算定する初診の日」に訪問して診療した場合や、有料老人ホーム等に「併設」されている保険医療機関がその施設の入居者を診察する場合は算定できません。
みらい(新人医療事務)
「通院が困難」というのは、どう判断するんでしょう?
あおい(元・医療事務)
医師が診療に基づいて判断します。要介護や身体障害など一律の基準はなく、患者の状態と生活環境を医師が総合的に評価したうえで、在宅訪問診療が必要と判断できるかがポイントです。「外来に来られるかどうか」を客観的に確認しておくことが大切です。
「1」と「2」の区分と同一建物居住者

みらい(新人医療事務)
「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1と2」という話を聞いたことがあります。何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく分けると対象患者の違いです。「1」は自院が継続的に訪問診療を担当している患者が対象で、同一建物居住者以外の場合は「イ」、同一建物居住者の場合は「ロ」として区分されます。週3回を限度に算定候補になります(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者を除く)。急性増悪時は月1回の特例として、その日から14日を限度として算定候補になります。
| 区分 | 対象 | 算定上限 |
|---|---|---|
| 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)「1」イ | 同一建物居住者以外 | 週3回まで |
| 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)「1」ロ | 同一建物居住者 | 週3回まで |
| 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)「2」 | 他院紹介患者(同一建物居住者の別なし) | 月1回(6か月限度) |
あおい(元・医療事務)
点数は令和8年度の医科診療行為マスターでご確認ください。
みらい(新人医療事務)
「2」はどんな場合に使うんですか?
あおい(元・医療事務)
「2」は、在宅時医学総合管理料(C002)・施設入居時等医学総合管理料(C002-2)・在宅がん医療総合診療料(C003)の算定要件を満たす他の医療機関からの紹介を受けた患者に対して、訪問診療を行う場合です。訪問診療を開始した月から6か月を限度に、月1回が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
紹介患者さん専用のルートがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。主治医機能(在宅時医学総合管理料等)を担う他院と連携して訪問診療を実施する場合の、協力医院としての役割が「2」に該当します。
「同一建物居住者」の定義を正確に理解する
みらい(新人医療事務)
「同一建物居住者」という言葉、なんとなくわかるようでわからないんですが……。
あおい(元・医療事務)
告示の定義では、「当該患者と同一の建物に居住する他の患者に対して、当該保険医療機関が同一日に訪問診療を行う場合の当該患者」です。つまり「同じ建物に住む別の患者に、同じ日に訪問診療をするかどうか」で決まります。
同一建物居住者の判定タイミング
同一建物かどうかは「その日に訪問する患者が同じ建物内に複数いるかどうか」で判定します。同じマンションでも訪問日が別日であれば同一建物居住者には該当しません。レセプト記載時に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、例えばサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、1日に2人診察したら、その2人とも「ロ」になるということですか?
あおい(元・医療事務)
その理解で基本的には正しいです。同一建物で同一日に複数の患者に訪問診療を行った場合、それぞれが「同一建物居住者」に該当する可能性があります。ただし、施設の種別によって「有料老人ホーム等に併設されている保険医療機関」の扱いは別の規定がありますので、施設の性格と自院の関係を確認することが大切です。
算定回数・急性増悪時の特例
通常の算定回数(令和8年度)
- 「1」イ・「1」ロ: 患者1人につき週3回まで(イとロを合わせた回数)
- 「2」: 患者1人につき月1回まで(訪問診療開始月から6か月を限度)
- 別に厚生労働大臣が定める疾病等(末期がん・難病等)は回数制限の例外
みらい(新人医療事務)
急性増悪したときはどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
「1」の患者さんについて、急性増悪等により一時的に頻回の訪問診療が必要と医師が判断した場合、月1回に限り、その日から14日以内に行った訪問診療については14日を限度として算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
具体的には月に最大15回近く診られるということですか?
あおい(元・医療事務)
理論的にはそうなりますが、あくまで「医師が急性増悪と判断した場合に限る」特例です。診療録に急性増悪の判断根拠と計画を記録しておくことが求められます。急性増悪の特例は月1回しか使えない点も注意が必要です。
加算の種類(令和8年度)
| 加算名 | 点数 | 条件 |
|---|---|---|
| 乳幼児加算 | 400点 | 6歳未満の乳幼児への訪問診療 |
| 患家診療時間加算 | 100点/30分 | 患家での診療時間が1時間を超えた場合(30分またはその端数ごと) |
| 在宅ターミナルケア加算 | 区分により異なる | 算定要件(訪問回数等)があるため公式資料(令和8年度告示・留意事項通知)を要確認 |
| 看取り加算 | 別途定める | 看取りを行った場合(注の定めにより算定。詳細は留意事項通知を確認) |
| 死亡診断加算 | 200点 | 在宅で死亡した患者への死亡診断(看取り加算算定時は算定不可) |
算定上の注意(要公式資料確認)
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)を算定した日における再診料・外来診療料・往診料との関係、および在宅ターミナルケア加算・看取り加算の重複算定については規定があります。詳細は留意事項通知(令和8年度)で確認が必要です。
施設基準・届出の要否
みらい(新人医療事務)
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)を算定するのに、施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
C001 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)本体については、別途の施設基準届出は不要とされています。ただし、在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の届出状況によっては、関連する点数・加算(在宅時医学総合管理料など)に影響する場合があります。
届出と在宅医療体制の確認ポイント
- 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)本体: 届出不要(告示に基づく算定)
- 在宅時医学総合管理料(C002): 別途届出が必要(算定に深く関連)
- 在宅療養支援診療所・支援病院: 在宅体制の質に関わる届出(24時間対応等)
- 届出状況が実際の算定可否に影響するため、自院の届出状況を確認することが必要です
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでも訪問診療の費用は請求できる可能性があるということですか?
あおい(元・医療事務)
訪問診療料(C001)の本体は届出不要ですが、在宅医療を始める前に保険医療機関としての体制(記録・同意書の整備等)を整える必要があります。また、在宅時医学総合管理料と組み合わせて請求するケースが多いので、そちらの届出状況も確認が必要です。
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)と在宅時医学総合管理料の関係
みらい(新人医療事務)
よく「在宅患者訪問診療料と在宅時医学総合管理料(在医総管)をセットで算定する」と聞くんですが、どういう関係ですか?
あおい(元・医療事務)
役割が違います。在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は「訪問して診察した1回ごと」の費用です。在宅時医学総合管理料(C002)は「月に2回以上の訪問診療を行い、総合的な医学管理を行った場合」に月1回算定できる管理料です。
みらい(新人医療事務)
両方算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。訪問診療を行うたびに在宅患者訪問診療料(Ⅰ)を算定し、要件を満たす月には在宅時医学総合管理料も算定するというパターンが一般的です。ただし、在宅がん医療総合診療料(C003)は包括的な点数なので、在宅患者訪問診療料と同時に算定できません(こちらは「2」の条件にも関わります)。
居住場所と適用される点数
みらい(新人医療事務)
患者さんがどこに住んでいるかによって、適用されるルールが変わることはありますか?
あおい(元・医療事務)
居住場所の種別は算定上の重要な確認ポイントです。
居住場所と算定の確認ポイント
- 自宅(一戸建て・マンション等): 通常は「同一建物居住者以外」(イ)に該当
- サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム等: 同一建物に複数の患者が入居する場合は「同一建物居住者」(ロ)の可能性
- 有料老人ホーム等に「併設」された保険医療機関: その施設の入居者への診療は「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)」は算定不可(除外規定)
- 特別養護老人ホーム(特養): 医療の提供体制が異なるため別途確認が必要
みらい(新人医療事務)
居住場所の確認が先決なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。どの施設・居住形態に当てはまるかによって、算定できる診療料の種類や点数が変わります。事前に患者さんの居住環境と施設の性格を把握しておくことが大切です。
令和8年度改定での変更点(令和6年度からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度(2026年度)の改定で、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度改定の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)および保医発0305第6号の一次資料を確認した範囲では、C001 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の基本的な算定構造(「1」「2」の区分・週3回制限・6か月制限・同一建物居住者の定義)に主要な変更は確認されていません(2026年6月時点・厚労省一次情報ベース)。
令和6年度→令和8年度 主要変更点の確認
- 「1」の基本構造(通院困難患者・計画的訪問・週3回制限): 変更確認されず
- 「2」の構造(他院紹介・月1回・6か月限度): 変更確認されず
- 同一建物居住者の定義: 変更確認されず
- 急性増悪時の特例(月1回・14日以内): 変更確認されず
- 乳幼児加算・患家診療時間加算: 変更確認されず
あおい(元・医療事務)
点数については、令和8年度の告示69号全文を直接参照して確認することをお勧めします。
自院で確認する手順

自院で確認する順番
- 患者が「在宅で療養しており通院が困難」であるか確認(医師による診療録への記録)
- 患者の居住場所(自宅・施設等)と施設の種別を把握
- 「同一日・同一建物」に他の訪問診療患者がいるか確認(イ/ロの判定)
- 「1」か「2」かを判定(自院が主たる訪問診療機関か、他院からの紹介患者か)
- 患者・家族から書面による同意を取得(診療録に記録)
- 算定頻度(週3回・月1回等)の上限を確認
- 急性増悪時の特例を使用する場合は、その根拠を診療録に記録
- 在宅時医学総合管理料等との組み合わせを確認
よくある取り漏れと注意点
よくある算定漏れ・誤算定
- 同意書の未取得: 患者または家族から訪問診療の同意を得ていない(書面で記録)
- 「1」と「2」の混同: 他院紹介患者に「1」を算定してしまう(正しくは「2」)
- 同一建物居住者の見落とし: 同日に同建物内の複数患者を診察したのに「イ」で請求
- 往診料との重複: 訪問診療料と往診料を同日算定(片方しか算定できない)
- 在宅時医学総合管理料の届出確認漏れ: 在宅時医学総合管理料との組み合わせを想定している場合は届出状況の事前確認が必須
よくある質問
みらい(新人医療事務)
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」と「2」を同じ月に算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
同一患者に対して「1」と「2」を同月に混在させることは、それぞれの要件が異なるため原則として想定外です。「2」は特定の他院からの紹介条件が必要です。算定状況に疑問があれば審査支払機関へ確認することをお勧めします。
みらい(新人医療事務)
訪問診療の計画書や同意書は、どのように保管すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
診療録への記録・保管が基本です。訪問診療の同意は書面で取得し、診療録に記録することが求められます。令和8年度から新たに訪問診療を開始する患者については、必ず同意書を取得・保管してください。経過措置や既存患者の扱いについては留意事項通知を確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
訪問診療と往診の違いを患者さんへの説明でどう使い分けますか?
あおい(元・医療事務)
「訪問診療は医師が定期的にスケジュールを組んで来る」「往診は急に具合が悪くなったときなどに呼んで来てもらう」という説明が実務上わかりやすいです。診療報酬上も別の区分(訪問診療料・往診料)になっており、同日に両方は算定できません。
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自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
在宅患者訪問診療料(Ⅰ)を算定できるか、うちの状況で確認したいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(令和8年度告示・留意事項通知)・審査支払機関の判断でご確認ください。