みらい(新人医療事務)
先生、患者さんから「仕事を休んでいるので傷病手当金の意見書を書いてほしい」と言われました。この意見書を書いたら診療報酬で算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そのケースは、「傷病手当金意見書交付料」(区分B012)が算定候補になりますよ。令和8年度(2026年度)時点での点数は100点です。ただし、算定できるかどうかは患者さんの保険の種類や手続きの状況によって変わるので、確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
意見書を書いたら100点なんですね!でも「傷病手当金」というのは健康保険で受け取るお金のことですよね?診療報酬の加算とはどういう関係なんでしょう?
あおい(元・医療事務)
少し仕組みの話をしますね。傷病手当金は、健康保険法第99条第1項に基づいて、病気やけがで仕事を休んだ被保険者(会社員などが加入する協会けんぽや組合健保の加入者)に支給されるお金です。傷病手当金を受け取るには、担当医師が「この患者は労務不能だった」と記載した意見書が必要になります。その意見書を交付した医師・歯科医師側に診療報酬として算定が認められているのが、この傷病手当金意見書交付料です。
みらい(新人医療事務)
意見書を書く手間が診療報酬として評価されているんですね。どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は、健康保険法の傷病手当金を受けられる被保険者です。国民健康保険の加入者は傷病手当金の制度が対象外のため、通常は算定できません。また後ほど説明しますが、出産手当金に係る証明書は算定対象外とされています。
算定要件——令和8年度の公式要件

みらい(新人医療事務)
算定するための要件はどんなものがあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
公式な算定要件は次のように定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | B012 傷病手当金意見書交付料 |
| 点数(令和8年度) | 100点 |
| 算定要件 | 健康保険法第99条第1項の規定による傷病手当金に係る意見書を交付した場合 |
| 算定者 | 医師・歯科医師 |
| 施設基準の届出 | 不要 |
| 算定回数 | 労務不能と証明した期間ごとに算定候補(複数回可) |
重要ポイント: 施設基準の届出は不要
傷病手当金意見書交付料には施設基準も地方厚生局への届出も不要です。保険医療機関であれば算定候補の対象になります。意見書を交付するたびに、または労務不能と証明した期間ごとに算定を検討できます。
みらい(新人医療事務)
届出なしに算定できるのは助かりますね。でも「期間ごとに算定」というのはどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
傷病手当金の意見書は、労務不能だった期間(例えば「〇月〇日から〇月〇日まで」)を記載した書類です。患者さんが数か月にわたって休職している場合、途中で期間を区切って意見書を提出するケースもあります。そのたびに意見書を作成して交付すれば、それぞれの交付について算定候補になります。
算定要件の詳細——留意事項に定められた5つのポイント
みらい(新人医療事務)
もう少し細かいルールはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)に5つの注意点が定められています。
傷病手当金意見書交付料 5つの算定ポイント(令和8年度)
1. 期間ごとに算定: 医師・歯科医師が労務不能と認め証明した期間ごとにそれぞれ算定候補
2. 請求先の確認: 意見書の交付時点において、当該被保険者に対し療養の給付を行うべき者(保険者)に対して請求
3. 被保険者死亡後の取り扱い: 被保険者が死亡した後に遺族等が傷病手当金を受給するために意見書を求めた場合は、遺族等に対する療養の給付として請求。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に「相続」と記載
4. 紛失の場合は再交付しても1回のみ: 意見書を患者が紛失し再交付した場合は、最初の交付料のみ算定候補。2度目の費用は患者負担
5. 対象外: 健康保険法または国民健康保険法に基づく出産育児一時金・出産手当金に係る証明書・意見書は算定しない
みらい(新人医療事務)
「相続」の記載や紛失のルールは、実際に発生したら混乱しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に「紛失による再交付は算定できない」というのは見落としやすいポイントです。2回目の交付にかかる費用は患者さん負担になるので、丁寧な説明が必要です。
生活習慣病管理料との関係——「別日」算定の注意点
みらい(新人医療事務)
患者さんが生活習慣病で通院していて、その月に傷病手当金の意見書も書いた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
これは実務で問い合わせが多いポイントです。管理料の種類によって扱いが異なります。生活習慣病管理料(Ⅱ)については、告示上で傷病手当金意見書交付料(B012)は明示的に除外(算定できる)とされています。生活習慣病管理料(Ⅱ)に含まれる費用から、B012は除くと定められているため、別日・同日を問わず算定候補として整理されています。
あおい(元・医療事務)
一方、生活習慣病管理料(Ⅰ)については、公式の告示・留意事項通知では算定日と別日の取り扱いが異なります。別日に生活習慣病のために診療を行った場合は、第1部医学管理等の費用は算定できないとされています。ただし傷病手当金意見書交付料が「生活習慣病のための診療」に当たるか否かは状況によるため、具体的な算定可否については自院・審査支払機関へ確認が必要です。
生活習慣病管理料との組み合わせは要確認
生活習慣病管理料(Ⅱ)では、告示上B012(傷病手当金意見書交付料)は除外対象として明記されています。生活習慣病管理料(Ⅰ)との組み合わせについては、算定日・別日の違い・診療内容等の状況を踏まえて確認してください。個別のケースは審査支払機関への照会が確実です。
みらい(新人医療事務)
生活習慣病管理料を算定している患者さんが多いので、しっかり確認しておきたいです。
レセプトの記載方法

みらい(新人医療事務)
レセプトに記載するときは「医学管理」の欄でいいですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。傷病手当金意見書交付料(B012)はレセプトの「その他」欄(医科では一般に「医学管理等」に区分)に記載します。遺族等に対して意見書を交付した場合は摘要欄に「相続」と記載することも必要です。
| レセプト記載 | 内容 |
|---|---|
| 算定区分 | 医学管理等(B012) |
| 摘要欄(原則) | 特記事項なし |
| 摘要欄(遺族等の場合) | 「相続」と記載 |
みらい(新人医療事務)
「相続」という記載が必要なケースは忘れがちですね。
あおい(元・医療事務)
レセプト審査で確認が入るポイントなので、摘要欄の記載漏れがないよう注意してください。
算定要件フロー——自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に意見書を書いてほしいと言われたら、どんな順番で確認すればいいですか?
自院で確認する順番
- 患者の保険を確認: 健康保険(協会けんぽ・組合健保等)の被保険者かどうか。国民健康保険・後期高齢者医療は傷病手当金の対象外になる場合が多いため確認
- 意見書の種類を確認: 傷病手当金に係る意見書か、出産手当金に係る証明書等でないか(出産関連は算定対象外)
- 医師・歯科医師が労務不能と判断: 担当医が医学的に判断できる状況であることを確認
- 意見書を交付: 証明した期間の意見書を作成・交付
- レセプト記載: 「その他(医学管理)」欄に記載。遺族等への交付は摘要欄に「相続」
- 紛失再交付の場合は自院確認: 再交付は2回目の算定ができないため、費用負担の説明を患者へ
みらい(新人医療事務)
流れとして整理するとわかりやすいです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
傷病手当金意見書交付料は今回の改定で何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定に係る厚生労働省の一次情報(告示69号・留意事項通知保医発0305第6号、2026年3月確認時点)の範囲では、傷病手当金意見書交付料(B012)に関する前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません。点数(100点)・算定要件・算定者(医師・歯科医師)・届出不要の取り扱いについていずれも同様の内容です。
令和8年度の確認範囲
確認した資料: 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)・診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)。正式な変更点の確認には、自院・審査支払機関への照会を推奨します。
みらい(新人医療事務)
点数が変わっていないのは安心ですね。
よくある取り漏れ・ミス
取り漏れ・ミスを防ぐチェックポイント
算定忘れが多いシーン: 意見書を交付したが「診療報酬の算定対象とは思わなかった」ケース。届出が不要で算定できる項目なので確認を
国保・後期高齢者への誤算定: 傷病手当金は主に被用者保険(協会けんぽ・組合健保等)の制度。国保や後期高齢者医療に傷病手当金がない場合は算定できません
出産手当金との混同: 出産手当金に係る証明書・意見書は算定対象外。傷病手当金の意見書のみが対象です
2回目の交付: 患者が意見書を紛失した場合の再交付は算定対象外。被保険者負担になることを患者に説明が必要
みらい(新人医療事務)
特に国保や後期高齢者の患者さんへの算定は気をつけないといけないですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。被用者保険か否かの確認が最初のステップになります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんについて、月をまたいで何回も意見書を書いた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
労務不能と認め証明した期間ごとに算定候補となります。月をまたいで複数回意見書を交付した場合は、それぞれの交付について算定できる可能性があります。ただし、算定ルールの詳細は審査支払機関に確認してください。
みらい(新人医療事務)
歯科医師も算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知では「医師・歯科医師が労務不能と認め証明した期間ごとに」と明記されています。歯科の保険医療機関でも算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
生活習慣病管理料(Ⅱ)との同月算定について、もう少し詳しく聞けますか?
あおい(元・医療事務)
生活習慣病管理料(Ⅱ)の告示では、「B012に掲げる傷病手当金意見書交付料……を除く」という記述があります。これは生活習慣病管理料(Ⅱ)に含まれる費用からB012を除く(算定できる)という意味です。生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定している月でも、別日・同日を問わず傷病手当金意見書交付料は算定候補として扱われています。ただし、実際の算定は自院・審査支払機関での確認を推奨します。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院で実際に意見書を書く機会があったとき、算定候補かすぐに確認したいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。