薬剤情報提供料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「薬剤情報提供料」ってレセプトでよく見かけるんですけど、そもそもどんな点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬では、区分番号B011-3「薬剤情報提供料」として、入院中の患者以外の患者に処方した薬について、名称・用法・用量・効能・効果・副作用・相互作用に関する主な情報を文書で提供したときに算定できる項目です。告示には「入院中の患者以外の患者に対して、処方した薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書により提供した場合に、月1回に限り(処方の内容に変更があった場合は、その都度)算定する」と規定されています。
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」ということは、外来患者が対象なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。入院患者は対象外で、外来(在宅を含む院内投薬の場面)で処方した薬剤について文書提供した場合が対象になります。院内で薬を渡す(院内投薬)ときに、その薬の説明書を渡す、というイメージを持つとわかりやすいと思います。
みらい(新人医療事務)
逆に、院外処方箋を出しているクリニックは関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
重要なポイントです。告示の注3に「保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付した患者については、算定しない」と明記されています。つまり院外処方箋を交付した患者については、この点数は対象外の可能性が高いです。院外処方の場合は、調剤を行う保険薬局側で薬剤服用歴管理指導料などの説明が行われる仕組みになっているためです。
点数と算定の考え方(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は何点になるんでしょうか。コードもあわせて確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の点数はこちらの表のとおりです。
| 区分番号 | 項目名 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| B011-3 | 薬剤情報提供料 | 4点 | 月1回(処方内容に変更があった場合はその都度) |
| B011-3 注2 | 手帳記載加算 | 3点(加算) | 月1回 |

みらい(新人医療事務)
手帳記載加算というのは別の項目なんですか?
あおい(元・医療事務)
薬剤情報提供料の内側にある加算という位置づけです。告示の注2に「注1の場合において、処方した薬剤の名称を当該患者の求めに応じて患者の薬剤服用歴等を経時的に記録する手帳(以下単に「手帳」という。)に記載した場合には、手帳記載加算として、3点を所定点数に加算する」とあります。つまり、薬剤情報提供料(4点)を算定した上で、お薬手帳に記載すれば、あわせて3点が加算候補になる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「月1回に限り」というのは厳密なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。同一患者について月1回が原則の上限です。ただし告示の本文どおり、処方の内容に変更があった場合は、その都度算定できるとされています。単純な処方日数だけの変更は対象にならない点は、後ほど留意事項の解説でも触れます。
対象になる患者・ならない患者を整理する
みらい(新人医療事務)
「院内投薬」と「院外処方」の違いがまだちょっと曖昧です。
あおい(元・医療事務)
対象と対象外の関係は、こういう形になります。
対象・対象外の整理(令和8年度)
対象になりうる場面
- 入院中の患者以外(外来患者等)に、院内で薬剤を交付(院内投薬)した場合
- その薬剤について名称・用法・用量・効能・効果・副作用・相互作用の主な情報を文書で提供した場合
対象外の可能性が高い場面
- 入院中の患者(告示の対象は「入院中の患者以外」)
- 保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付した患者(告示注3により算定しない)
みらい(新人医療事務)
院外処方が中心のクリニックだと、そもそも算定機会自体が少なそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。院内投薬(自院で薬を交付する診療形態)を行っているかどうかが、まず確認すべき大前提になります。院外処方のみのクリニックでは対象患者自体が発生しない可能性が高いので、自院の処方形態を最初に確認することをおすすめします。
算定要件を詳しく確認する
みらい(新人医療事務)
留意事項通知には、もう少し細かいルールが書いてあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)には、以下のような取り扱いが示されています。
留意事項通知の主なポイント(令和8年度)
- 処方に係る全ての薬剤について、名称(一般名又は商品名)・用法・用量・効能・効果・副作用・相互作用に関する主な情報を、文書(薬袋等に記載されている場合も含む)で提供した場合に、月1回に限り算定する
- やむを得ない理由により薬剤の名称に関する情報を提供できない場合は、これに代えて薬剤の形状(色、剤形等)に関する情報を提供することで算定できる
- 効能・効果・副作用・相互作用に関する情報は、患者が理解しやすい表現であることが必要
- 同一薬剤でも投与目的(効能又は効果)が異なる場合、または類似する効能・効果を有する薬剤への変更の場合も、情報提供すれば算定できる
- 処方内容に変更があった場合はその都度算定できるが、薬剤の処方日数のみの変更の場合は算定できない
- 複数の診療科を標榜する医療機関で、同一日に2以上の診療科で処方された場合も、1回のみの算定
- 算定した場合は、薬剤情報を提供した旨を診療録等に記載する
みらい(新人医療事務)
「処方日数のみの変更は算定できない」というのは見落としそうです。
あおい(元・医療事務)
実務でよく確認が漏れるポイントです。薬の中身(名称・用法・用量など)が変わらず日数だけ変わった処方については、その都度算定の対象にはならないとされています。処方変更のたびに機械的に算定しないよう、変更内容を確認する必要があります。
お薬手帳と手帳記載加算の関係
みらい(新人医療事務)
手帳記載加算のほうも、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、手帳記載加算の対象となる「手帳」について、記録欄の条件が示されています。「経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウまでに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳」とされていて、具体的には次の3項目です。
手帳記載加算の対象となる「手帳」の条件(令和8年度)
- 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録
- 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録
- 患者の主な既往歴等疾病に関する記録
みらい(新人医療事務)
手帳を忘れた患者さんに、シールだけ渡した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
そこは要注意です。留意事項通知には「所有している手帳を持参しなかった患者に対して薬剤の名称が記載された簡潔な文書(シール等)を交付した場合は、手帳記載加算を算定できない」と明記されています。シール等の交付だけでは手帳記載加算の対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
電子版のお薬手帳を使っている患者さんの場合はどうなるんでしょう?
あおい(元・医療事務)
この点については、過去に疑義解釈(疑義解釈資料の送付について(その1)医科 問107、平成28年度発出)で取り扱いが示されています。電子版お薬手帳の内容を医療機関側で一元的に閲覧できない場合、「患者からお薬手帳の情報が含まれる電子機器の画面を見せてもらう等の方法により、服薬状況を確認すること」とされ、「当面の間、この様な場合に限って、当該情報が記載されている文書(シール等)を交付することで手帳記載加算を算定できることとする」という当面の取り扱いが示されています。当サイトが確認した範囲では、この取り扱いを廃止・変更する新しい通知は見当たっていません。電子版お薬手帳の運用については、自院のレセプト担当・審査支払機関に個別に確認することをおすすめします。
施設基準・届出について
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した告示・留意事項通知の条文には、薬剤情報提供料について施設基準の届出を求める記載は見当たりません。多くの点数表項目のように「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」といった要件が付いていない項目です。ただし、届出の要否についての解釈は個々の医療機関の状況によって変わる可能性もありますので、疑問がある場合は審査支払機関や地方厚生局に確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この点数って何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、留意事項通知)の範囲では、薬剤情報提供料(4点)・手帳記載加算(3点)の点数や、算定要件の基本的な構造について、前回改定(令和6年度・2024年度)との比較で明確な変更は確認されていません(確認日: 2026-08)。
みらい(新人医療事務)
つまり、これまでと同じ考え方で運用できるということですか?
あおい(元・医療事務)
現時点で確認できている条文の範囲ではそう言えますが、疑義解釈や訂正通知が新たに発出される可能性もあります。年度が替わるタイミングでは、最新の厚労省通知を定期的に確認する習慣を持っておくと安心です。
算定上の注意点・よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でつまずきやすいポイントをまとめて教えてください。
あおい(元・医療事務)
特に確認しておきたいのはこちらです。
算定上の注意点(令和8年度)
- 院外処方箋のみを交付した患者は、告示注3により算定しない扱いです
- 入院中の患者は対象外です(「入院中の患者以外」が対象)
- 処方日数のみの変更では、その都度算定の対象になりません
- 同一日に複数診療科で処方があっても、算定は1回のみです
- 手帳を忘れた患者へのシール等交付だけでは、手帳記載加算の対象になりません
- 算定した場合は、診療録等への記載が求められています
よくある取り漏れポイント
- 院内投薬をしているのに、文書提供の記録・算定が漏れているケース
- 処方内容が実質的に変わっているのに「その都度算定」を見落としているケース
- お薬手帳への記載を行っているのに、手帳記載加算の算定が漏れているケース
- 電子版お薬手帳しか持っていない患者への対応方法が院内で統一されていないケース
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで算定候補になるか確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認していくとスムーズです。
自院で確認する順番
-
院内投薬を行っているか確認 — 院外処方箋のみの患者は告示注3により対象外の可能性が高い
-
入院中の患者でないか確認 — 対象は「入院中の患者以外」
-
文書提供の運用を確認 — 薬剤の名称・用法・用量・効能・効果・副作用・相互作用に関する主な情報を、処方に係る全ての薬剤について文書(薬袋等含む)で提供しているか
-
お薬手帳への記載状況を確認 — 患者の求めに応じて手帳に記載していれば、手帳記載加算(3点)もあわせて確認する
-
算定回数のルールを確認 — 月1回が原則。処方内容の実質的な変更があった場合のみ、その都度算定を検討する
-
診療録への記載を確認 — 薬剤情報を提供した旨が診療録等に記載されているか

みらい(新人医療事務)
自分たちだけで判断するのは、ちょっと不安な項目もありますね。
あおい(元・医療事務)
そんなときは、加算チェッカーを使ってみるのもひとつの方法です。自院の処方形態や運用を入力すると、確認すべきポイントを整理できます。
関連加算もあわせて確認する
みらい(新人医療事務)
この点数とセットで確認しておいたほうがいい加算はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の2つは特に関連が深い項目です。
みらい(新人医療事務)
処方箋料とは、どちらか一方しか算定できないという関係なんですか?
あおい(元・医療事務)
院内投薬か院外処方かで、算定する項目自体が変わってくる関係です。院内投薬であれば薬剤情報提供料の対象になりうる一方、院外処方箋を交付した場合は処方箋料の対象になり、薬剤情報提供料は告示注3により対象外の可能性が高くなります。自院の処方形態にあわせてどちらの項目を確認すべきか、あらかじめ整理しておくと実務がスムーズです。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。実際の算定にあたっては、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)※本サイトが確認した時点でURLが404のため、資料名・発出元・年度のみ記載しています
- 疑義解釈資料の送付について(その1)医科 問107(平成28年度発出・電子版お薬手帳に関する当面の取り扱い) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。院内投薬か院外処方かといった処方形態や、お薬手帳の運用状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の処方形態・運用状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。