みらい(新人医療事務)
先輩、有料老人ホームに入っている患者さんの訪問診療で「在宅患者訪問診療料(Ⅱ)」っていう区分を見つけたんですけど、これって普通の「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)」と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。区分番号C001-2の「在宅患者訪問診療料(Ⅱ)」は、有料老人ホーム等に併設されている保険医療機関が、その施設に入居している患者さんに訪問診療を行った場合の点数です。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の区分見出しには「C001-2 在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(1日につき) 152点」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「併設」ってことは、同じ建物とか同じ敷地にある医療機関ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。留意事項通知では「有料老人ホーム等に併設される保険医療機関とは、有料老人ホーム等と同一敷地内又は隣接する敷地内に位置する保険医療機関をいう」と定義されています。同じ敷地か隣接する敷地にある医療機関が、その施設の入居者を訪問診療する場合に(Ⅱ)を使う、というイメージです。単独の診療所が離れた場所の有料老人ホームへ訪問する場合は(Ⅰ)側の整理になりますので、まず自院と施設の位置関係を確認するのが最初の一歩ですね。
対象医療機関・対象患者はどこまで?
みらい(新人医療事務)
うちのクリニック、隣に有料老人ホームがあるんですけど、入居者さん全員が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認したいところです。留意事項通知では、対象を「在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して、患者の入居する有料老人ホーム等に併設される保険医療機関が定期的に訪問して診療を行った場合の評価であり、継続的な診療の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならない」と限定しています。さらに「少なくとも独歩で家族又は介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、通院は容易であると考えられるため、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)は算定できない」とも明記されています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、「通院が困難」がキーワードなんですね。独歩で通院できる方は対象外の可能性が高いってことですか。
あおい(元・医療事務)
そう読めます。あわせて「有料老人ホーム等に入居している患者」の範囲も告示・通知で定義されていて、施設入居時等医学総合管理料の対象患者や、障害福祉サービスの施設・福祉ホーム入居者、小規模多機能型居宅介護等の宿泊サービス利用中の患者などが挙げられています。自院が訪問している施設が、この「有料老人ホーム等」の範囲に該当するかどうかも、あわせて確認が必要な項目です。
点数区分の整理(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数は152点だけなんですか? 加算みたいなものはないんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
基本の152点(1日につき)に加えて、看取りに関わる在宅ターミナルケア加算が上乗せされる仕組みがあります。まず全体を表で整理しますね。
| 区分 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|
| 在宅患者訪問診療料(Ⅱ)本体 | 152点 | 1日につき(令和8年度) |
| 在宅ターミナルケア加算(在支診・在支病=厚労大臣が定めるもの、病床あり) | 6,200点 | 注1のイの場合に限る |
| 在宅ターミナルケア加算(同上、病床なし) | 5,200点 | 同上 |
| 在宅ターミナルケア加算(在支診・在支病、上記以外) | 4,200点 | 同上 |
| 在宅ターミナルケア加算(イ・ロ以外) | 3,200点 | 同上 |
| 在宅医療充実体制加算/在宅療養実績加算1/在宅療養実績加算2 | 2,000点/750点/500点 | 別に定める施設基準の届出が必要 |
| 酸素療法加算 | 2,000点 | がん患者に対して酸素療法を行っていた場合 |

あおい(元・医療事務)
在宅ターミナルケア加算の根拠は告示の注5で、「患者の居住する有料老人ホーム等で死亡した患者(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に当該有料老人ホーム等以外で死亡した患者を含む。)に対してその死亡日及び死亡日前14日以内に、2回以上の往診若しくは訪問診療を実施した場合(注1のイの場合に限る。)又は区分番号B004に掲げる退院時共同指導料1を算定し、かつ、訪問診療を実施した場合(注1のイの場合に限る。)には、在宅ターミナルケア加算として、次に掲げる点数を、それぞれ所定点数に加算する」と定められています。区分は「イ 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるものの場合(1)病床を有する場合 6,200点(2)病床を有しない場合 5,200点」「ロ 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院(イに規定するものを除く。)の場合 4,200点」「ハ イ及びロに掲げるもの以外の場合 3,200点」の4パターンです。
みらい(新人医療事務)
上位の2,000点とか750点は、別で届出が必要な感じですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が行った場合は」と条件が付いていますので、届出済みかどうかの確認が前提になります。個別の点数コードは医科診療行為マスターで最終確認するのが確実です。
施設基準・算定要件はどう組み立てられている?
みらい(新人医療事務)
そもそも152点を算定できる条件って、どこに書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1に、算定できる2つのパターンがイ・ロで示されています。条文は「有料老人ホーム等に併設される保険医療機関が、当該施設に入居している患者に対して、次のいずれかに該当する訪問診療を行った場合に算定する。この場合において、区分番号A000に掲げる初診料、区分番号A001に掲げる再診料、区分番号A002に掲げる外来診療料又は区分番号C000に掲げる往診料は、算定しない」と定めたうえで、「イ 当該保険医療機関が、区分番号C002に掲げる在宅時医学総合管理料又は区分番号C002-2に掲げる施設入居時等医学総合管理料の算定要件を満たす保険医療機関として、当該患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に定期的に訪問して診療を行った場合」「ロ 区分番号C002に掲げる在宅時医学総合管理料、区分番号C002-2に掲げる施設入居時等医学総合管理料又は区分番号C003に掲げる在宅がん医療総合診療料の算定要件を満たす他の保険医療機関の求めに応じ、当該他の保険医療機関から紹介された患者に対して、当該患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に訪問して診療を行った場合」の二つを挙げています。
みらい(新人医療事務)
つまり「イ」は自院が在宅時医学総合管理料や施設入居時等医学総合管理料の算定要件を満たしている場合、「ロ」は他院からの紹介を受けて診療する場合、ってことですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。どちらのパターンでも、患者本人の同意を得たうえで計画的な医学管理として定期的に訪問することが前提になっています。あわせて、初診料・再診料・外来診療料・往診料は同時に算定しないという注意点も告示に明記されています。
施設基準は個別の届出内容に依存
イ・ロどちらの要件を満たすかは、自院や紹介元医療機関が在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料・在宅がん医療総合診療料の算定要件を実際に満たしているかで変わります。届出済みであれば候補になりますが、この記事だけで充足を判断せず、自院の届出状況を必ず確認してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
毎日訪問すれば毎日算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは要注意です。パターンによって回数の上限が決まっています。告示では「注1のイの場合については、当該患者1人につき週3回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者に対する場合を除く。)に限り算定する」「注1のロの場合については、当該患者1人につき訪問診療を開始した日の属する月から起算して6月(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者に対する場合を除く。)を限度として、月1回に限り算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「イ」は週3回まで、「ロ」は紹介から6か月間・月1回までってことですね。急に容体が悪化したときはどうするんですか?
あおい(元・医療事務)
その場合の特例も告示に用意されています。「注1のイの場合について、保険医療機関が、診療に基づき、患者の急性増悪等により一時的に頻回の訪問診療を行う必要性を認め、計画的な医学管理の下に、訪問診療を行った場合は、注2の規定にかかわらず、1月に1回に限り、当該診療の日から14日以内に行った訪問診療については14日を限度として算定する」という規定です。急性増悪などで一時的に頻回訪問が必要と判断した場合は、月1回・14日を限度に週3回の縛りを超えて算定候補になる特例です。ただし「計画的な医学管理の下に」という前提があるため、単発の臨時往診とは区別して記録しておく必要があります。
併算定できない点数に注意
告示の注1本文で、初診料(A000)・再診料(A001)・外来診療料(A002)・往診料(C000)は算定しないと明記されています。また注5の在宅ターミナルケア加算は、往診料(C000)の注3に規定する在宅ターミナルケア加算とは重複して算定できません。レセプト作成時に二重算定になっていないか確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この区分は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直に言うと、当サイトが確認できている一次資料の範囲では、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の点数(152点)や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの明確な変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。今回執筆にあたって告示・留意事項通知の該当条文を確認しましたが、点数・回数制限・併算定の取扱いはいずれも現行の令和8年度告示に基づく内容で、旧年度分との差分を示す一次資料は当サイトのデータベースには収録されていませんでした。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と決めつけず、確認できていないという言い方なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。点数据え置きでも施設基準や人員要件だけが変わるケースもあるので、「変更なし」と断定はせず、「確認された範囲では変更が見当たらない」という書き方にしています。前回改定との違いが気になる場合は、貴院が保有する令和6年度時点の告示・通知と、今回の令和8年厚生労働省告示第69号を並べて確認するのが確実です。
改定差分の確認は令和6年度→令和8年度の一次資料の突合が基本
点数だけでなく、施設基準・対象患者・記録要件まで含めて突合するのが望ましい確認範囲です。当サイトが収録している一次資料の範囲を超える差分については、厚生労働省の公表資料で個別に確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの場合はどこから確認すればいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
順番に並べると、こんな流れになります。

自院で確認する順番
- 自院が有料老人ホーム等と同一敷地内または隣接敷地内にあるか(併設の定義に該当するか)を確認する
- 訪問する患者が「通院による療養が困難」で、有料老人ホーム等の入居要件に該当するかをカルテ・入居契約情報などで確認する
- 自院が在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の算定要件を満たしているか(イの場合)、または紹介元医療機関がこれらか在宅がん医療総合診療料の要件を満たしているか(ロの場合)を確認する
- 患者本人の同意を得て、計画的な医学管理の下での定期訪問の体制になっているかを確認する
- 週3回(イ)・月1回かつ6月限度(ロ)などの回数制限内で運用できているかをレセプト記録で確認する
- 在宅ターミナルケア加算等の上位区分を算定したい場合は、地方厚生局への届出状況を確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型例があります。
取り漏れ例①: 独歩で通院可能な入居者への算定
留意事項通知には「独歩で家族又は介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは…算定できない」と明記されています。有料老人ホームに入居しているというだけで一律に算定してしまうと、対象外の可能性がある患者が含まれてしまうことがあります。
取り漏れ例②: 初診料等との重複算定
訪問診療の当日に、誤って初診料・再診料・外来診療料・往診料を別途算定してしまうケースです。注1本文で明確に「算定しない」とされているため、レセプトチェックの段階で重複がないか確認しておきたいポイントです。
取り漏れ例③: 在宅ターミナルケア加算の要件確認漏れ
死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上の往診・訪問診療を行った実績、または退院時共同指導料1の算定と訪問診療実施の組み合わせが必要です。記録が曖昧だと、加算の根拠を後から示せなくなることがあります。
参考にした公式資料
あおい(元・医療事務)
今回の記事は、厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)」医科点数表のC001-2 在宅患者訪問診療料(Ⅱ)区分と、厚生労働省の診療報酬の算定方法に係る留意事項通知のC001-2該当箇所を一次情報として使っています。留意事項通知については当サイトのデータベースに収録されている該当PDFの直接URLが404で確認できなかったため、告示本文および通知の条文引用を根拠として使用しました。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。併設の有無や算定要件の充足状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。