みらい(新人医療事務)
令和8年度から「電子的診療情報連携体制整備加算」という新しい加算ができたって聞いたんですが、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は、医療機関が電子的な診療情報の連携体制を整えていることを評価するものです。令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で新設されました。オンライン資格確認やマイナ保険証の活用、電子処方箋・電子カルテの導入など、国が進める医療DXに係る体制を評価する加算です。
みらい(新人医療事務)
医療DX推進体制整備加算という似た名前の加算を聞いたことがあるんですが、それと関係ありますか?
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。前身の「医療DX推進体制整備加算」が、令和8年度(2026年度)改定で「電子的診療情報連携体制整備加算」へと名称変更・再編された流れです(旧加算との具体的な差分は後半の「変更点」セクションで整理します)。ただし、疑義解釈(令和8年3月23日付)によると、旧加算の届出をしていた医療機関でも、令和8年6月1日以降に電子的診療情報連携体制整備加算を算定する場合は、改めて届出を行う必要があります。
みらい(新人医療事務)
えっ、旧加算の届出があっても新たに届け出が必要なんですか。それは知らなかったです。
あおい(元・医療事務)
はい、疑義解釈(令和8年3月23日 その1)に明記されています。令和8年5月31日時点で旧加算の施設基準を届け出ていた医療機関でも、同年6月1日以降は新加算の届出が別途必要というわかりやすい確認ポイントですね。
電子的診療情報連携体制整備加算の点数とコード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな点数がつくんですか?
あおい(元・医療事務)
加算区分が複数あります。外来の初診時が最も手厚くなっていますね。
算定場面ごとの点数(令和8年度)
- 外来初診(A000 注16): 加算1=15点 / 加算2=9点 / 加算3=4点(月1回)
- 外来再診(A001 注19): 2点(月1回)
- 外来診療料(A002 注10): 2点(月1回)
- 入院初日(A207-5): 加算1=160点 / 加算2=80点(入院初日のみ)

| 区分コード | 加算名 | 点数 | 算定単位 | 算定場面 |
|---|---|---|---|---|
| A000-注16-イ | 電子的診療情報連携体制整備加算1 | 15点 | 月1回 | 外来初診 |
| A000-注16-ロ | 電子的診療情報連携体制整備加算2 | 9点 | 月1回 | 外来初診 |
| A000-注16-ハ | 電子的診療情報連携体制整備加算3 | 4点 | 月1回 | 外来初診 |
| A001-注19 | 電子的診療情報連携体制整備加算 | 2点 | 月1回 | 外来再診 |
| A002-注10 | 電子的診療情報連携体制整備加算 | 2点 | 月1回 | 外来診療料 |
| A207-5-1 | 電子的診療情報連携体制整備加算1 | 160点 | 入院初日 | 入院 |
| A207-5-2 | 電子的診療情報連携体制整備加算2 | 80点 | 入院初日 | 入院 |
あおい(元・医療事務)
上記の点数は令和8年厚生労働省告示第69号に基づきます。
みらい(新人医療事務)
外来の初診だと加算1〜3の3段階があるんですね。何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の充足度合いで区分が決まります。外来の区分1・2・3はどこまで電子化・連携を進めているかで変わってきます。詳しくは次のセクションで説明しますね。
施設基準(電子的診療情報連携体制整備加算 算定要件)
みらい(新人医療事務)
施設基準の内容を教えてください。どんな体制が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準は区分によって積み上げ式になっています。「加算3」の要件を満たすと「加算3」として届出でき、さらに電子処方箋等の要件(加算1・2の追加要件)を満たすと上位区分になるイメージです。
加算3(基本要件)— 全加算共通の基礎
- (1) 電子情報処理組織を使用した診療報酬請求(レセプトのオンライン請求)を行っていること
- (2) 詳細な明細書を患者に無償で交付していること
- (3) オンライン資格確認を行う体制を有していること
- (4) 算定月の3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率が30%以上であること(前月・前々月の利用率で代替可)
- (6) マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること
- (7) 院内の見やすい場所への掲示(オンライン資格確認活用・マイナ保険証促進・明細書無料交付の旨)
- (8) 掲示事項をウェブサイトにも掲載していること(ホームページを持たない場合は不要)
みらい(新人医療事務)
(4)のマイナ保険証利用率30%って、自院のデータを確認しないといけませんね。
あおい(元・医療事務)
そうです。支払基金から報告される数値です。「算定月の3か月前」の値が基準ですが、前月・前々月の値を使うこともできます。この基準は届出不要で、毎月充足しているかを確認し続ける必要があります(基準を下回った月は算定候補にならない可能性があります)。
加算2の追加要件(加算3の基本要件 + 以下のいずれか)
- (9) 電子処方箋を発行する体制または調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制を有していること
- (10) 安全管理ガイドラインに準拠した電子カルテで、電子処方箋管理サービス・電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースを有するもの(または厚生労働省認証の電子カルテ製品)を有していること
- (11) 電子カルテ情報共有サービスや地域医療情報ネットワーク(参加10医療機関以上・登録患者1,000人以上等の条件あり)による診療情報共有体制、または診療情報提供料(Ⅰ)の検査・画像情報提供加算等の施設基準届出と連携実績を有していること
加算1の要件(加算3の基本要件 + (9)(10)(11) すべてを満たす)
加算3の基本要件((1)〜(8))に加え、(9)(10)(11)のすべてを満たす必要があります。加算2は(9)〜(11)のいずれか1つ以上を満たせば取れますが、加算1はこれら3項目すべての充足が求められます。
あおい(元・医療事務)
施設基準の詳細は「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第7号 令和8年3月5日)第1の8」に基づきます。加算の趣旨や算定方法については「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発0305第6号 令和8年3月5日)」も参照してください。
みらい(新人医療事務)
加算1が一番ハードルが高くて15点、加算3が最も基本的な体制で4点ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。電子カルテ情報共有サービスへの接続や地域医療ネットワークへの参加が加算1・2の上乗せ要件になるので、電子カルテの整備状況によって届出できる区分が変わります。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出は、地方厚生(支)局長等への届出が必要です。届出様式は「別添7の様式1の6」を使用します。ただし、マイナ保険証利用率((4))とマイナポータル相談体制((6))の基準については、毎月の充足が求められますが、地方厚生局への届出は不要とされています。
届出の注意点
令和8年5月31日時点で旧「医療DX推進体制整備加算」を届け出ていた保険医療機関でも、令和8年6月1日以降に電子的診療情報連携体制整備加算を算定する場合は、改めて届出が必要です(疑義解釈 令和8年3月23日 その1 問3)。届出未実施で算定すると不正請求になりますので、必ず届出状況を確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出様式も新しくなるんですね。事務の方に確認が必要そうです。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できるのはどのタイミングですか?複数回算定できる加算ですか?
あおい(元・医療事務)
外来の場合は初診・再診ともに月1回が上限です。入院の場合は入院初日のみの算定です。
算定上の注意点
- 外来(初診・再診・外来診療料): 月1回が限度
- 入院(A207-5): 入院初日のみ
- 再診料の「注11」明細書発行体制等加算との併算定は不可(電子的診療情報連携体制整備加算を届け出ている医療機関は、明細書発行体制等加算を算定できない)
- 同一月に「A000 注16」(外来初診)「A001 注19」(外来再診)「A002 注10」(外来診療料)のいずれかを算定した月は、在宅医療DX情報活用加算(C001 注13等)は別途確認が必要
みらい(新人医療事務)
明細書発行体制等加算と一緒に算定できないのは要注意ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。電子的診療情報連携体制整備加算を届け出ると、明細書の無償交付(施設基準の(2))が条件になるので、明細書発行体制等加算(別の届出を要するもの)との併算定が排除される関係です。現在、明細書発行体制等加算を算定している場合は、どちらを選択するか確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和6年度改定の医療DX推進体制整備加算と比べて、何が変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定では、主に次の変更が確認されています。
令和6年度→令和8年度 主な変更点(厚労省告示・留意事項通知ベース)
- 名称変更: 「医療DX推進体制整備加算」→「電子的診療情報連携体制整備加算」
- 区分の再編(外来): 外来初診の区分が 加算1(15点)/ 加算2(9点)/ 加算3(4点)の3段階に細分化
- 再診・外来診療料への拡大: 再診料(A001)と外来診療料(A002)でも月1回2点を算定可能に
- 入院区分の整備: A207-5として独立化(加算1=160点 / 加算2=80点)
- 施設基準の整理: マイナ保険証利用率30%以上の基準(前月・前々月での代替可)、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスへの接続要件、地域医療ネットワーク要件等が施設基準の届出手続通知(保医発0305第7号 令和8年3月5日)で詳細化
- 届出の要件: 旧加算の届出があっても改めて届出が必要(疑義解釈 令和8年3月23日 問3)
みらい(新人医療事務)
再診でも算定できるようになったのは大きな変更ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。令和6年度は外来初診を中心とした評価でしたが、令和8年度からは外来再診と外来診療料にも広がりました。区分も細分化され、電子カルテ情報共有サービスへの接続状況など、医療DXの進捗度合いがより細かく点数に反映される構造になっています。
自院のチェックリスト(算定候補かどうかを確認する順番)
みらい(新人医療事務)
実際に自分の医院で確認するには、どこから手をつければいいですか?
あおい(元・医療事務)
まずは基本的な体制確認から順番にチェックするのがいいと思います。

自院で確認する順番
-
オンライン資格確認の導入確認: マイナ保険証対応の端末が設置・稼働しているか。医療機関等向けポータルサイトで運用開始日を登録しているか確認する。
-
マイナ保険証利用率の確認: 社会保険診療報酬支払基金から毎月届くレポートで「レセプト件数ベースマイナ保険証利用率」を確認。算定月の3か月前(または前月・前々月)の値が30%以上かどうかを確認する。
-
電子処方箋・電子カルテの整備状況確認: 電子処方箋を発行できる体制があるか、または電子カルテが安全管理ガイドライン準拠かつ電子処方箋管理サービスや電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェースを有しているか確認する(加算1・2の要件)。
-
院内掲示・ウェブサイト掲載の確認: 診察室等に規定の掲示(オンライン資格確認活用・マイナ保険証促進・明細書無料交付)がされているか、ウェブサイトにも掲載しているかを確認する。
-
届出状況の確認: 地方厚生局への届出が完了しているか確認する。旧「医療DX推進体制整備加算」の届出があっても、令和8年度新加算の届出は別途必要。届出様式は「別添7の様式1の6」。
-
明細書発行体制等加算との重複確認: 現在「明細書発行体制等加算」を算定している場合は、電子的診療情報連携体制整備加算との選択が必要になることを確認する。
よくある取り漏れ・確認ポイント
みらい(新人医療事務)
実務でよく見落とされるポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
実務でよく確認が必要になる点をまとめます。
よくある取り漏れ・確認ポイント
- マイナ保険証利用率は毎月変動する: 30%要件は届出時に満たせばよいだけでなく、毎月の算定時に充足していることが条件です。翌月以降も継続して確認が必要です
- 電子カルテ未導入でも加算3は算定候補: 電子処方箋や電子カルテ連携がなくても、(1)〜(8)の基本要件を満たせば加算3(4点)の届出が可能な場合があります。対象外と思い込まないで要件確認を
- 「電子カルテ情報共有サービス」は当面の特例あり: (10)のウ(電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェース)については、「当面の間、基準を満たしているものとみなす」という経過措置があります(施設基準通知 令和8年3月)。ただし、国が全国でサービスを開始した場合は速やかに導入に努めることが求められます
- 再診の「月1回」の管理: 同月に初診で加算1を算定した患者の翌月再診時も、再診の電子的診療情報連携体制整備加算(2点)を算定できる場合があります。初診と再診の区分を混同しない管理が大切です
みらい(新人医療事務)
電子カルテがなくても加算3はとれる可能性があるんですね。それは知りませんでした。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
院長にもよく聞かれる質問があるんですが、答えていいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ、確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
「電子的診療情報連携体制整備加算と医療DX推進体制整備加算は別物ですか?」って聞かれます。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定で医療DX推進体制整備加算が再編・名称変更されたものが電子的診療情報連携体制整備加算です。体制の考え方は連続していますが、別の加算として届出が必要です。疑義解釈(令和8年3月23日 その1)でも「改めて届出が必要」と明確にされています。
みらい(新人医療事務)
「マイナ保険証の利用率が30%に届かない月は算定できないんですか?」という質問も多くて。
あおい(元・医療事務)
利用率が30%未満の場合は、電子的診療情報連携体制整備加算の算定要件((4))を充足していない状態になります。ただし、施設基準通知には「算定する月の3月前のマイナ保険証利用率に代えて、前月または前々月の利用率を使うことができる」という柔軟な規定もあります。どの月の数値を使えば要件を満たすか、支払基金のデータを確認することが大切です。最終的な算定可否は自院の届出状況・数値と公式資料で確認してください。
みらい(新人医療事務)
「明細書発行体制等加算を算定していたら乗り換えが必要ですか?」という質問も。
あおい(元・医療事務)
電子的診療情報連携体制整備加算の届出を行うと、明細書発行体制等加算との併算定はできなくなります(告示第69号)。明細書の無償交付は電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準にも含まれており、明細書発行体制等加算とは別立てになります。どちらが自院にとって適切かは、点数・体制の両面から確認・検討が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。