特定疾患処方管理加算とは何ですか?
みらい(新人医療事務)
「特定疾患処方管理加算」という加算があると聞いたんですが、どんな加算なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
かかりつけ医が特定疾患を持つ患者さんに28日以上の長期処方を行ったときに、処方管理の評価として算定が候補になる加算です。令和8年度(2026年度)の診療報酬では、処方料(F100)または処方箋料(F400)の加算として月1回・1処方につき56点が設定されています。
みらい(新人医療事務)
かかりつけ医というのがポイントなんですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。留意事項通知(令和8年度)には「プライマリ機能を担う地域のかかりつけ医師が総合的に病態分析を行い、それに基づく処方管理を行うことを評価したもの」と明記されています。大病院ではなく、地域で継続的に診ているクリニックや小病院のための加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな状況のときに算定候補になるんでしょう?
あおい(元・医療事務)
3つの条件が重なったときです。施設の条件、患者の条件、処方の条件、この3つをセットで確認する必要があります。
算定候補になる3つの条件
みらい(新人医療事務)
3つの条件、詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
まず整理すると、こうなります。
| 条件 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 施設の条件 | 診療所または許可病床数が200床未満の病院 |
| 患者の条件 | 入院中でない外来患者で、主病が「特定疾患」であること |
| 処方の条件 | 特定疾患に対する薬剤の処方期間が28日以上であること |
| 算定単位 | 月1回・1処方につき56点 |
| 届出要否 | 届出不要 |

みらい(新人医療事務)
200床以上の病院では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、告示・留意事項通知で「診療所又は許可病床数が200床未満の病院においてのみ算定する」と規定されています。許可病床数200床以上の病院では算定対象外になります。
みらい(新人医療事務)
「特定疾患」っていう言葉が出てきましたが、これはどんな疾患ですか?
あおい(元・医療事務)
「厚生労働大臣が定める疾患」として告示で別途規定されている疾患群で、特定疾患療養管理料(B000)の対象疾患と同じです。高血圧症・糖尿病・脂質異常症・慢性閉塞性肺疾患・慢性心疾患・甲状腺機能低下症・悪性新生物など、かかりつけ医が継続的に管理する慢性疾患が含まれます。ただし疾患一覧の詳細は告示別表をご確認ください。
「主病」の取り扱いに注意
- 主病とは「当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患」を指します(留意事項通知)
- 2つ以上の診療科を受診している場合は、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科のみで算定候補になります
- 他院が主病を管理している場合、自院では算定候補にならない可能性があります
処方料(F100)と処方箋料(F400)の違い
みらい(新人医療事務)
処方料と処方箋料の両方に関係するんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。院内処方なら処方料(F100)の加算として、院外処方なら処方箋料(F400)の加算として算定候補になります。どちらも同じ56点です。
みらい(新人医療事務)
同じ月に両方算定できますか?
あおい(元・医療事務)
できません。留意事項通知に「同一暦月に『F100』処方料と『F400』処方箋料を算定する場合にあっては、どちらか一方の加算として月1回に限り算定する」とあります。同じ月に院内処方と院外処方が混在しても、加算は月1回のみです。
同一月に院内・院外処方が混在するケース
同一患者で同一月に院内処方と院外処方が発生した場合、特定疾患処方管理加算は処方料・処方箋料のいずれか一方に対してのみ月1回限り算定が候補になります。両方への算定は規定上認められていません。
処方期間「28日以上」の解釈
みらい(新人医療事務)
「処方期間が28日以上」って、全ての薬が28日以上じゃないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
これはよく聞かれるポイントです。留意事項通知(令和8年度)では「当該患者に処方された薬剤の処方期間が全て28日以上である必要はない」と明記されています。特定疾患に対する薬剤の処方期間が28日以上であれば、他の薬が短期処方でも算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
特定疾患の薬だけが28日以上ならOKということですね。
あおい(元・医療事務)
そういう解釈になりますが、「特定疾患に対する薬剤の処方期間が28日以上」かどうかを個々の薬剤について確認することが前提です。長期処方が可能な病状の安定・服薬管理の可能性についても、医師が確認したうえで処方する必要があります。
みらい(新人医療事務)
初診のときでも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に「特定疾患処方管理加算は初診料を算定した初診の日においても算定できる」とあります。初診だからといって算定対象外になるわけではありません。この点は特定疾患療養管理料(初診月は算定できない)と異なるところです。
初診日の算定可否
- 特定疾患処方管理加算: 初診料を算定した初診の日でも算定候補(○)
- 特定疾患療養管理料(B000): 初診の日または退院の日から1か月を経過した日以降に算定(初診月は算定候補にならない)
生活習慣病管理料との関係
みらい(新人医療事務)
最近、生活習慣病管理料が話題になっていますが、特定疾患処方管理加算はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
これは令和6年度(2024年度)の改定後に疑義解釈(その11)で明確化された重要なポイントです。
みらい(新人医療事務)
どういう内容ですか?
あおい(元・医療事務)
「生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)を算定した月において、当該算定日とは別日に、同一患者に対して特定疾患処方管理加算を算定することは可能か」という質問に対して、回答は「特定疾患処方管理加算は、特定疾患療養管理料における特定疾患と同じ特定疾患を対象に処方した際に算定できるが、特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料は併算定できないことから、生活習慣病管理料を算定した月においては、特定疾患処方管理加算は算定できない」というものです(令和6年度疑義解釈・その11)。
みらい(新人医療事務)
つまり、生活習慣病管理料を算定した月は特定疾患処方管理加算は算定できないということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。これは「生活習慣病管理料 特定疾患処方管理加算 同時」算定が認められない、という整理です。生活習慣病管理料を算定している月は、同一月に特定疾患処方管理加算が算定候補にならない点を確認してください。
生活習慣病管理料と特定疾患処方管理加算
生活習慣病管理料(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定した月は、同月に特定疾患処方管理加算は算定候補になりません。別日であっても同一月内であれば同様です。出典: 疑義解釈資料の送付について(その11)令和6年度(2024-08-29)
生活習慣病管理料 特定疾患処方管理加算 別日に算定できるか
みらい(新人医療事務)
「生活習慣病管理料 特定疾患処方管理加算 別日」というケースについてもう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
さきほどの疑義解釈がまさにその点を扱っています。生活習慣病管理料の算定日とは異なる日(別日)に特定疾患処方管理加算を算定することについて、明確に「算定できない」と示されています。
みらい(新人医療事務)
別の日だからいいかと思ってしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そこが落とし穴です。「同一月内」であれば、算定日が別日であっても生活習慣病管理料を算定した月は特定疾患処方管理加算が算定候補になりません。一方で、生活習慣病管理料を算定していない月であれば、通常の要件(特定疾患を主病とする患者への28日以上の処方)を満たすかどうかで判断します。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「特定疾患療養管理料 特定疾患処方管理加算 同時」はどうですか?
あおい(元・医療事務)
特定疾患療養管理料(B000)は特定疾患処方管理加算と同月に算定することは告示上は禁止されていませんが、ここで注意が必要なのは「特定疾患療養管理料における特定疾患と同じ特定疾患を対象に処方した場合に算定できる」という点です。つまり、特定疾患療養管理料を算定している場合、その主病となっている特定疾患に対して28日以上処方すれば、特定疾患処方管理加算が算定候補になります。
特定疾患療養管理料と特定疾患処方管理加算 同時の確認ポイント
- 特定疾患療養管理料(B000)と特定疾患処方管理加算(F100/F400の加算)は同月に算定候補になります
- ただし対象は特定疾患療養管理料の「特定疾患」と同じ疾患への処方である必要があります
- 処方期間が28日以上であることの確認が必要です
令和8年度改定での変更点(令和6年度改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度(2026年度)の改定で、特定疾患処方管理加算に変更はありましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の改定について、当サイトの一次情報データベースに格納されている令和8年度告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件・令和8年厚生労働省告示第69号)および留意事項通知(令和8年度)を照合した範囲では、特定疾患処方管理加算(F100/F400の加算)の点数・算定要件・対象医療機関・施設基準について、前回改定(令和6年度・2024年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026-06・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変わっていないということですね。
あおい(元・医療事務)
一次情報の範囲では変更が確認できないということです。ただし、関連する管理料(生活習慣病管理料や特定疾患療養管理料)の扱いの変化が影響する可能性があります。自院の状況は公式資料と照合してご確認ください。
令和6年度から令和8年度への変化の確認範囲
- 点数(56点): 変更なし(一次資料の範囲で確認)
- 対象医療機関(診療所・200床未満病院): 変更なし
- 算定要件(28日以上・月1回・主病が特定疾患): 変更なし
- 届出: 不要のまま変更なし
- 上記は令和8年度告示・留意事項通知の照合結果。疑義解釈・訂正通知の変更は別途確認が必要です
算定前の自院チェック手順
みらい(新人医療事務)
自院で算定の候補になるかどうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こういう順番で確認するとわかりやすいと思います。

自院で確認する順番
- 施設区分の確認: 自院は診療所ですか、または許可病床数が200床未満の病院ですか? 200床以上であれば算定対象外です。
- 患者条件の確認: 対象患者は入院中でなく外来の方ですか? 主病(全身的な医学管理の中心となっている疾患)が「特定疾患」ですか?
- 処方の条件確認: 特定疾患に対する薬剤の処方期間が28日以上になっていますか?
- 同月の管理料確認: 当月に生活習慣病管理料(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定していませんか? 算定している月は特定疾患処方管理加算が算定候補になりません。
- 処方形態の確認: 院内処方(F100)か院外処方(F400)か確認し、同月に一方の加算として月1回算定してください(両方への算定は認められていません)。
- 診療科の確認: 2つ以上の診療科で受診している患者の場合、主病の特定疾患を管理している診療科のみで算定候補となります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントを教えてください。
あおい(元・医療事務)
実務でよく話に上がるのは次のパターンです。
よくある取り漏れパターン(令和8年度)
- 生活習慣病管理料算定月の混在: 生活習慣病管理料を算定した月に、誤って特定疾患処方管理加算を請求してしまうケース。同月に算定候補になりません。
- 院内・院外両方に加算: 同一月で院内処方と院外処方がある場合、両方の処方料・処方箋料に加算してしまうケース。どちらか一方・月1回が上限です。
- 200床以上病院での算定: 病床数要件を見落とし、200床以上の病院で算定してしまうケース。
- 主病以外の疾患薬剤での算定: 特定疾患ではない疾患の処方について28日以上処方したからといって算定するケース。特定疾患に対する薬剤の処方であることが必要です。
- 処方期間28日の確認不足: 27日処方や「4週間分」と記録していても実日数が27日の場合など、28日以上かどうかの確認が必要です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
特定疾患処方管理加算について、よく聞かれる質問はありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかまとめますね。
みらい(新人医療事務)
特定疾患療養管理料を算定している患者には必ずこの加算が算定できますか?
あおい(元・医療事務)
特定疾患療養管理料を算定しているからといって自動的に特定疾患処方管理加算が算定候補になるわけではありません。処方期間が28日以上であること、生活習慣病管理料を同月に算定していないこと、処方が特定疾患に対するものであることなど、個別に確認が必要です。「確認が必要」というのが正確な答えになります。
みらい(新人医療事務)
特定疾患処方管理加算を算定するのに、カルテへの記載は何か必要ですか?
あおい(元・医療事務)
処方期間28日以上の長期処方を行った場合、処方箋や診療報酬明細書の摘要欄への記載が求められる場合があります(隔日・漸増減等の処方の場合はその旨の記載が必要)。疑義解釈(平成22年度・その3)では「処方期間が28日以上の長期処方を算定する場合のみ記載すればよい」とされています。個別のケースはレセプト記載要領・疑義解釈を確認してください。
みらい(新人医療事務)
同一診療日に複数の診療科で処方を出す場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
複数の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方について処方料が算定候補になります。特定疾患処方管理加算については、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定候補となります。複数科での算定は認められていません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。