心不全再入院予防継続管理料とは何か
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「心不全再入院予防継続管理料」って最近よく耳にするんですが、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)から適用が始まった管理料です。心不全で入院した患者さんに対して、退院後の再入院を防ぐことを目的とした多職種チームの関与を評価するものです。区分番号は「B001-10」で、入院中の評価と、退院後の外来管理の2段階で構成されています。
みらい(新人医療事務)
心不全の患者さんって再入院が多いって聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
そうですね。慢性心不全は急性増悪で入院を繰り返しやすい病態です。この管理料は「早期から多職種チームが関わって、再入院を減らす」という流れを評価するためのものです。入院中の評価(管理料1)と、退院後の継続管理(管理料2・管理料3)を組み合わせた仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、入院と外来の両方で算定できる管理料なんですね。それぞれどこが算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
管理料1と2は、7対1・10対1入院基本料(特定機能病院一般病棟・専門病院入院基本料に限る)を届け出ている病棟を持つ病院が対象です。管理料3は、施設基準に適合した届出済みの診療所・病院の外来が算定候補になります。施設基準の詳細は後ほど確認しましょう。
点数区分と算定タイミング(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくつになるんですか?
あおい(元・医療事務)
3種類に分かれています。管理料1が最も高く、管理料2・3が退院後の継続管理です。

| 区分 | コード | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 管理料1 | B001-10-1 | 1,000点 | 入院中1回 |
| 管理料2(6回目まで) | B001-10-2-イ | 700点 | 月1回(初回算定月から1年限度) |
| 管理料2(7回目以降) | B001-10-2-ロ | 225点 | 月1回(初回算定月から1年限度) |
| 管理料3(6回目まで) | B001-10-3-イ | 400点 | 月1回(初回算定月から1年限度) |
| 管理料3(7回目以降) | B001-10-3-ロ | 225点 | 月1回(初回算定月から1年限度) |
みらい(新人医療事務)
6回目と7回目以降で点数が変わるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。初回算定月から1年間が算定期間ですが、7回目以降は管理料2・3ともに225点に統一されます。管理料1は入院中に1回だけなので、月1回という概念はありません。退院後すぐに外来に移行し、そこから管理料2または3を算定していく流れです。
みらい(新人医療事務)
管理料2と3の違いはなんですか?
あおい(元・医療事務)
算定できる医療機関の要件が異なります。管理料2は管理料1を算定できる病院(入院側)が外来でも継続して算定するもの。管理料3は、管理料1・2の届出病院から患者を引き受けた地域の診療所等が算定するイメージです。管理料3の方が体制要件が少し緩やかになっています。
対象患者の要件
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
管理料別に対象患者の定義があります。管理料1の対象は「届出病棟に入院している患者であって、慢性心不全の急性増悪を含む急性心不全で入院したもの」です(告示69号 注1)。管理料2・3の対象は「入院中の患者以外の患者であって、管理料1を算定したもの」、つまり退院後に外来で継続管理を受ける患者です(告示69号 注2・注3)。
みらい(新人医療事務)
管理料2と3は、必ず管理料1を算定した患者が対象なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知(保医発0305第6号)では、管理料2は「初回算定日の6月以内に管理料1を算定していた患者」と具体的に規定されています。退院後すぐから関わることが前提です。
算定上の注意(対象患者の確認)
管理料2・3は管理料1を算定していることが前提です。管理料1を算定していない患者への算定は認められません。自院が管理料1の届出を行っているか、患者が管理料1を算定した医療機関から紹介されているかを確認してください。
施設基準・届出要件(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
届出をするにはどんな体制が必要ですか?詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
管理料1・2(入院側)と管理料3(外来側)で要件が異なります。まず管理料1・2の要件から確認しましょう。
管理料1・2に関する施設基準
管理料1・2: 心不全再入院予防チームの要件(保医発0305第8号 第7の3)
- 対象病棟: 一般病棟入院基本料、7対1・10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る)または専門病院入院基本料に限る)に係る届出を行っている病棟
- 医師: 心不全指導の経験を5年以上有する専任の医師(常勤)
- 看護師・保健師: 心不全指導の経験を3年以上有する専任の看護師または保健師(常勤)
- 管理栄養士: 心不全指導の経験を3年以上有する専任の管理栄養士(常勤)
- 薬剤師: 常勤の薬剤師が配置されていること
- 理学療法士: 常勤の理学療法士が配置されていること
- 心大血管疾患リハビリテーション料の届出: 届出を行っていること
- 院内研修会: 院内職員対象の「心不全診療に関する最新治療と多職種連携の意義」に係る研修会を年1回以上実施
- 地域研修会: 地域の管理料3算定医療機関等を対象とした同研修会を年1回以上実施
みらい(新人医療事務)
5職種がそれぞれ常勤で必要なんですね。これはかなりの体制です。
あおい(元・医療事務)
そうです。専任の医師・看護師・管理栄養士の3名が心不全再入院予防チームの中核で、さらに常勤の薬剤師と理学療法士の配置が必要です。なお施設基準通知(保医発0305第8号 第7の3 施設基準(3))では「チームに所属する医師・看護師または保健師・管理栄養士のいずれかは、心不全の予防指導に係る適切な研修を修了した者であることが望ましい」とされています。必須要件ではありませんが、研修修了が推奨されています。
管理料3に関する施設基準
みらい(新人医療事務)
管理料3はどうですか?
あおい(元・医療事務)
管理料3は、地域の診療所等でも算定できるよう、要件が一部緩和されています。
管理料3: 施設基準(保医発0305第8号 第7の3)
- 医師: 管理料1・2と同様の心不全指導5年以上の専任医師の要件を満たすこと
- 看護師・保健師: 心不全指導3年以上の専任看護師・保健師の要件を満たすこと(ただし常勤が少なくとも1名以上)
- 管理栄養士: 心不全指導3年以上の専任管理栄養士または栄養ケア・ステーション等との連携により対応可能な体制
- 薬剤師・理学療法士: 配置されていることが望ましい(施設基準2(4)・必須ではない)
- 地域研修会への参加: 管理料1・2届出医療機関が主催する「心不全診療に関する最新治療と多職種連携の意義」研修会に参加すること(施設基準2(5))
みらい(新人医療事務)
管理料3の場合は薬剤師・理学療法士は「望ましい」なんですね。管理栄養士も外部との連携でいいと。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし医師と看護師・保健師のチーム要件は管理料1・2と同様に満たす必要があります。診療所の場合は、地域の拠点病院が主催する研修会への参加が必要になります。
届出の手続き
みらい(新人医療事務)
届出はどうすれば良いですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に係る届出は「様式8の5」を使用します。これを地方厚生局に提出します。
みらい(新人医療事務)
研修会の要件があるんですよね。まだ開催したことがない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
新たに届出を行う場合、届出日から1年以内に研修会を開催することが決まっていれば、要件を満たしているものとして扱われます(保医発0305第8号 第7の3 届出 (2))。ただし届出時に「研修会等の開催予定日がわかる書類」の添付が必要です。届出を検討している場合は、研修会の開催計画を先に立てておくと手続きがスムーズです。
届出前の確認事項
- 心大血管疾患リハビリテーション料の届出が完了しているか
- 心不全再入院予防チームの構成員(医師・看護師・管理栄養士)が常勤で揃っているか
- 届出様式が「様式8の5」であるか(様式番号の誤りに注意)
- 研修会の開催計画書が添付できるか(未開催の場合)
留意事項(算定上の注意点)
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかの重要な注意点があります。まず算定タイミングの要件(管理料1の場合)を確認してください。
管理料1の算定に必要な条件
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(保医発0305第6号)によれば、管理料1を算定するにはア・イ・ウの3条件をすべて満たす必要があります。ア「心不全に対してガイドラインに基づく心機能評価・原疾患精査・リスク評価・治療が実施されていること」、イ「当該入院中に救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料の早期離床・リハビリテーション加算、または心大血管疾患リハビリテーション料(H000)を算定していること」、ウ「当該入院中に入院栄養食事指導料(B001の10)または薬剤管理指導料(B008)のいずれか1つを算定していること」です。
みらい(新人医療事務)
イとウがあるということは、心大血管疾患リハビリや入院栄養食事指導料・薬剤管理指導料のどれかの算定が前提条件なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。単に「心不全で入院した患者に算定」ではなく、リハビリや栄養・薬剤管理が実際に提供されていることが要件になっています。
管理料2の外来管理(療養指導等30分以上)
みらい(新人医療事務)
管理料2の外来算定にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。管理料2では「療養指導、食事指導または運動指導のうちいずれかを1つ以上、個別に合計30分以上実施すること」が必要です(保医発0305第6号 B001-10 (3))。なお、当該日に実施した外来栄養食事指導料・在宅療養指導料・心大血管疾患リハビリテーション料に定める指導は、この30分に含めることができますが、その日に別途算定することはできません(同 (3) 後段)。
管理料2の同日算定不可(告示69号 注4)
管理料2を算定した日は、同一患者に対して以下を同日算定できません:
- 外来栄養食事指導料(B001の9)
- 集団栄養食事指導料(B001の11)
- 在宅療養指導管理料(B001の13)
- 心大血管疾患リハビリテーション料(H000)
他の管理料との併算定不可
みらい(新人医療事務)
他の管理料との関係はどうですか?
あおい(元・医療事務)
重要な制限があります(告示69号 注4)。特定疾患療養管理料(B000)は心不全を主病とする患者に限り別に算定できません。地域包括診療料(B001-2-9)は、慢性心不全以外の慢性疾患等も有する患者について算定する場合を除き、別に算定できません。
みらい(新人医療事務)
心不全が主病の場合は特定疾患療養管理料との併算定ができないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。心不全管理を手厚くする代わりに、特定疾患療養管理料とは重複算定できないという整理です。地域包括診療料については、慢性心不全以外の慢性疾患(例えば糖尿病など)での算定は可能ですので、患者の病態に応じて確認が必要です。
変更点: 令和8年度改定での適用状況
みらい(新人医療事務)
この管理料は令和8年度から新しくなったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年6月1日から適用が開始されています。告示第69号(令和8年厚生労働省告示)・留意事項通知(保医発0305第6号)・施設基準通知(保医発0305第8号)がいずれも令和8年3月5日付で制定・告示され、令和8年6月1日から施行です。
みらい(新人医療事務)
令和6年度(2024年度)改定との変更点はわかりますか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)との具体的な差分については、一次情報データベース(カグヤ)に令和6年度分の収録がなく、現時点では照合ができていません(2026年6月確認時点・厚労省一次情報ベース)。令和8年度版として公布された現行告示・通知の内容が適用中のルールです。前回改定との差分を確認する場合は、厚労省の「令和8年度診療報酬改定の概要」(中医協資料)等の公式資料を直接ご確認ください。なお、厚労省一次情報(告示69号・保医発0305第6・8号)の範囲では、前回改定との比較差分は確認されていません(2026年6月時点)。
令和8年度改定における適用状況(2026年6月時点)
- 適用開始: 令和8年6月1日
- 根拠告示: 令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)
- 施設基準通知: 保医発0305第8号(令和8年3月5日)
- 留意事項通知: 保医発0305第6号(令和8年3月5日)
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
自院が算定候補になるか確認するには、どういう順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
以下の順番で確認すると整理しやすいですよ。

自院で確認する順番
- 対象病棟の確認(管理料1・2の場合): 7対1・10対1入院基本料(または特定機能病院一般病棟・専門病院入院基本料)の届出があるか確認する
- 心大血管疾患リハビリテーション料の届出確認: 管理料1・2には必須要件。未届出の場合は先に整備が必要
- 心不全再入院予防チームの人員確認: 心不全指導5年以上の専任医師・3年以上の専任看護師(または保健師)・3年以上の専任管理栄養士、それぞれ常勤かどうか
- 薬剤師・理学療法士の配置確認: 常勤の薬剤師・理学療法士が院内に配置されているか
- 研修会の開催計画: 院内職員対象・地域対象の研修会をそれぞれ年1回以上開催できる体制があるか(新規届出の場合は1年以内に開催が決まれば可)
- 様式8の5で地方厚生局に届出
みらい(新人医療事務)
管理料3(外来のみ)を考えている診療所の場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
管理料3の場合は、対象病棟(7対1・10対1)の条件は不要です。ただし医師と看護師・保健師の要件は同じく必要で、地域の管理料1・2届出病院が主催する研修会への参加が必要になります。まず、お近くの心不全再入院予防継続管理料1・2の届出病院との連携体制を確認することが出発点になります。
よくある取り漏れポイント
よくある確認不足の例
- 心大血管疾患リハビリテーション料の届出を失念: 管理料1・2の必須要件。心リハの届出が無いと算定要件を満たせない
- 管理料1算定時の付随要件を見落とす: 入院中に心大血管疾患リハビリテーション料か、入院栄養食事指導料か薬剤管理指導料のいずれかを算定していることが必要
- 管理料2の同日算定: 外来栄養食事指導料・心大血管疾患リハビリテーション料等と管理料2を同一日に算定できない
- 特定疾患療養管理料との関係: 心不全主病の場合、特定疾患療養管理料との同月算定不可
- 7回目以降の点数変更: 管理料2・3ともに7回目以降は225点に変わる
- 管理料2算定の有効期間: 初回算定日から1年間(12か月)が上限。終了後の算定は認められない
よくある質問
みらい(新人医療事務)
心不全が主病でないケースでも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
管理料1の対象は「慢性心不全の急性増悪を含む急性心不全で入院した患者」です。告示(注1)・留意事項通知に心不全を主病として入院した患者への評価と明記されています。心不全が主病でない入院患者への算定候補かどうかは、具体的な算定状況を踏まえて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所が単独で管理料1を届け出ることはできますか?
あおい(元・医療事務)
管理料1・2の施設基準(保医発0305第8号 第7の3)では「7対1・10対1入院基本料等に係る届出を行っている保険医療機関の病棟」が要件になっています。入院病棟を持たない診療所が管理料1・2の届出をするのは現行要件では難しいと考えられますが、具体的な要件の充足判断は地方厚生局や審査支払機関にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
管理料1・2の届出病院と管理料3の診療所が連携する場合、患者の管理はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
患者が管理料1を算定した病院から退院後、管理料3の届出をした診療所に継続管理を引き継ぐ形が想定されます。管理料3を算定するには「管理料1(または2)を算定した患者であること」が条件です(告示69号 注3)。具体的な紹介・引き継ぎの方法は連携先の病院とご確認ください。
みらい(新人医療事務)
研修会はオンラインで開催してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知(保医発0305第8号)の条文上、研修会の開催方法(対面・オンライン)の指定は読み取れませんでした。実際の運用については、地方厚生局への届出時や疑義照会でご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。