みらい(新人医療事務)
今日は「廃用症候群リハビリテーション料」の資料整理をお願いされたんですけど、正直「廃用症候群」ってどんな状態を指すのか、リハビリの点数とどう結びつくのかピンと来ていなくて…。
あおい(元・医療事務)
廃用症候群というのは、病気やけがで安静にしている期間が長引いたことで、筋力や関節の動き、飲み込みの力、日常生活動作の能力などが低下してしまった状態のことです。区分H001-2「廃用症候群リハビリテーション料」は、令和8年度(2026年度)の医科点数表で、この状態にある患者さんに個別のリハビリを行った場合の点数として整理されています。
みらい(新人医療事務)
脳血管疾患のリハビリとは別物なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、区分は別です。ただし施設基準の一部は脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の届出と結びついているので、そこは後で一緒に確認しましょう。まずは対象になる患者さんの範囲から見ていきますね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、対象患者を「急性疾患等に伴う安静(治療の有無を問わない)による廃用症候群であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているもの」としています。そして「一定程度以上の…低下を来しているもの」とは、治療開始時においてFIM115以下、BI85以下の状態等のものをいう、と具体的な基準が示されています。
みらい(新人医療事務)
FIMとかBIって、リハビリの評価スコアですよね。数値の目安があるのは助かります。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。さらに、心大血管疾患リハビリテーション料(H000)や運動器リハビリテーション料(H002)、呼吸器リハビリテーション料(H003)、障害児(者)リハビリテーション料(H007)、がん患者リハビリテーション料(H007-2)の対象患者が廃用症候群を合併していて、その廃用症候群に関連する症状に対してリハビリを行った場合は、廃用症候群リハビリテーション料の方で算定する、という整理も示されています。対象医療機関としては、後述する施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が算定候補になります。
対象患者の確認ポイント
急性疾患等に伴う安静による廃用症候群か: 単なる高齢による衰えではなく、急性疾患・手術・急性増悪に伴う安静が起点になっているかを確認します。 FIM115以下・BI85以下相当か: 治療開始時点の評価スコアで一定程度以上の低下があるかを確認します。 他のリハビリ料の対象患者が廃用症候群を合併していないか: 合併している場合は廃用症候群リハビリテーション料側で算定する整理になっています。
点数・コード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
廃用症候群リハビリテーション料は、施設基準の区分に応じて(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3区分があり、1単位あたりの点数が変わります。令和8年度の告示では次のように整理されています。
| 区分 | 職種 | 点数(1単位) |
|---|---|---|
| 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ) | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師 | 180点 |
| 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ) | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師 | 146点 |
| 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅲ) | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師・イからニまで以外の場合 | 77点 |

みらい(新人医療事務)
「イからニまで以外の場合」というのも77点になるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、(Ⅲ)については運動療法機能訓練技能講習会を受講した従事者などが行った場合も含めて77点という整理です。あわせて、廃用症候群の診断または急性増悪から120日を超えてリハビリを継続する場合の取り扱いも告示に示されています。要介護被保険者等以外の患者であれば、必要があると判断される場合に1月13単位を限度として、上の表と同じ点数のまま算定できるとされています。一方、入院中の要介護被保険者等については、1月13単位を限度に、施設基準の区分に応じて次の低い点数で算定できる、という別の点数表が示されています。
| 区分 | 職種 | 120日超・要介護被保険者等(1単位・月13単位限度) |
|---|---|---|
| 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ) | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師 | 108点 |
| 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ) | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師 | 88点 |
| 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅲ) | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師・(1)から(4)まで以外の場合 | 46点 |
みらい(新人医療事務)
120日を超えるかどうかで、算定できる区分と点数がガラッと変わるんですね。ここは要注意です。
あおい(元・医療事務)
そうですね。あわせて、離床を伴わずに20分以上の個別療法を行った場合は、所定点数の100分の90に相当する点数で算定し、1日2単位までという上限が設けられている点も告示に示されています。点数の細かい適用は個々のケースで変わるので、レセプト担当者が実際の算定単位数と照らして確認する候補として扱ってください。
加算の整理(早期・初期・急性期・休日・データ提出)
みらい(新人医療事務)
本体の点数以外にも加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、入院中のリハビリを対象にいくつかの加算が告示に示されています。まとめると次のとおりです。
| 加算名 | 点数 | 主な上限・条件 |
|---|---|---|
| 早期リハビリテーション加算 | 1単位60点(入院4日目以降は25点) | 入院した日から起算して14日限度 |
| 初期加算 | 1単位45点 | 発症・手術・急性増悪から14日限度、施設基準あり |
| 急性期リハビリテーション加算 | 1単位50点 | 発症・手術・急性増悪から14日限度、届出施設で対象患者に限る |
| 休日リハビリテーション加算 | 1単位25点 | 発症・手術・急性増悪から30日目まで限度、対象患者に休日実施 |
| リハビリテーションデータ提出加算 | 月1回50点 | 届出施設で入院患者以外に対して実施した場合 |
みらい(新人医療事務)
それぞれ上限日数や対象が違うんですね。全部同時に取れるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
早期・初期・急性期・休日の各加算は、告示上「別に…加算する」「更に所定点数に加算する」という書き方で、それぞれ別建てで加算できる整理になっています。ただし対象患者の範囲や日数の起算点が加算ごとに異なるため、自院のケースで実際に条件を満たしているかは個別に確認が必要です。
あおい(元・医療事務)
関連する加算については、早期リハビリテーション加算のページでも詳しく整理しています。あわせて確認しておくと理解が深まりますよ。
加算の対象は個別確認が必要
早期リハビリテーション加算・初期加算・急性期リハビリテーション加算・休日リハビリテーション加算は、それぞれ起算日・限度日数・施設基準が異なります。本記事は整理のための一覧であり、自院のケースでどの加算が算定候補になるかは、告示・留意事項通知の原文と自院の届出状況にあわせて個別に確認が必要です。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)に関する施設基準として、厚生労働省の特掲診療料の施設基準等では、まず「脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)を届け出ていること」が挙げられています。なお、言語聴覚療法のみを実施する保険医療機関で、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の基準の一部を満たさない場合でも、言語聴覚療法に関する基準を満たしていれば、言語聴覚療法のみについて廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)を算定できる、という例外も示されています。
みらい(新人医療事務)
人員体制については別枠で用意しないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
いえ、そこは効率化されていて、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の施設基準における専任の医師、専従の理学療法士、専従の作業療法士及び専従の言語聴覚士は、それぞれ廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)の専任者又は専従者を兼ねるものとされています。つまり脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の体制をそのまま活用できる整理です。
みらい(新人医療事務)
介護保険との連携についても何か決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、要介護認定を申請中の患者や要介護被保険者等で介護保険によるリハビリテーションへの移行を予定している場合、患者の同意を得たうえで、利用予定の指定通所リハビリテーション事業所等に対してリハビリテーション実施計画書等を文書により提供できる体制を整備していることも施設基準に含まれています。他の保険医療機関でリハビリが継続される予定の患者についても、同様に文書提供できる体制が求められています。
施設基準の確認ポイント
脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の届出があるか: 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)の前提になります。 言語聴覚療法のみ実施する場合の例外要件を満たすか: 該当する場合は別ルートでの届出が候補になります。 通所リハビリ事業所等への文書提供体制があるか: 介護保険への移行を見据えた連携体制の整備状況を確認します。
みらい(新人医療事務)
(Ⅱ)(Ⅲ)の施設基準も同じ内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
いえ、(Ⅱ)(Ⅲ)については、専従する理学療法士の人数など区分ごとに異なる基準が定められています。本記事は(Ⅰ)を中心に整理しているため、(Ⅱ)(Ⅲ)での届出を検討する場合は、自院が保有する原文(特掲診療料の施設基準等)で該当区分の要件を個別に確認してください。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
廃用症候群リハビリテーション料は、上で見た施設基準を満たしたうえで地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で算定候補になります。届出済みであれば候補になりますが、届出をしていない場合は、まず脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の届出状況から確認するのが順番として分かりやすいと思います。
みらい(新人医療事務)
届出の様式や具体的な提出方法も気になります。
あおい(元・医療事務)
届出様式や提出窓口は地方厚生局によって案内が異なることがあるので、実際に届け出る際は、自院が所在する地方厚生局のホームページや窓口で最新の様式・提出方法を確認してください。ここでは「届出が算定の前提になる」という位置づけの整理にとどめますね。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できる期間にも上限があるんでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
はい、廃用症候群リハビリテーション料は、それぞれ廃用症候群の診断又は急性増悪から120日を限度として所定点数を算定する、というのが原則です。ただし、治療を継続することで状態の改善が期待できると医学的に判断される場合など、別に厚生労働大臣が定める場合には、120日を超えて算定できるとされています。
みらい(新人医療事務)
120日を超えたらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
要介護被保険者等以外の患者であれば、1月13単位を限度に、通常と同じ点数で算定を続けられます。一方、入院中の要介護被保険者等については、1月13単位を限度に、先ほどの表の低い点数(108点・88点・46点)で算定する整理です。また、算定にあたっては廃用症候群に係る評価表(別紙様式22)を用いて月ごとに評価し、診療報酬明細書に添付する、または同様の情報を摘要欄に記載したうえで、その写しを診療録に添付することが留意事項通知に示されています。
みらい(新人医療事務)
併算定についても注意点があるんですか?
あおい(元・医療事務)
マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合は、廃用症候群リハビリテーション料ではなく処置の項で算定する、という区分の整理があります。また、廃用症候群リハビリテーション料を算定すべきリハビリは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と患者が1対1で行うものとされています。専任の医師が直接訓練を実施した場合も、理学療法士等が実施した場合と同様に算定できるとされています。
算定期間・回数の確認は必須
120日という期間の起算点、13単位/月という上限、評価表(別紙様式22)による月ごとの評価・添付は、いずれも算定の可否に直結する重要な条件です。実際のカルテ・レセプトへの反映は、自院の運用と留意事項通知の原文を突き合わせて確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは私たちも気になって確認したところなんですが、当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知の一次資料の範囲では、廃用症候群リハビリテーション料(区分H001-2)の点数区分・施設基準の記載と、前回改定(令和6年度)時点の記載とを直接比較できる一次資料が現時点で確認できていません。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わった」とも「変わっていない」とも言い切れないということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、正確に言うとそうなります。令和8年度の告示・留意事項通知に基づく現行の点数・施設基準は、これまでの見出しで整理したとおりです。前回改定との比較を伴う変更点の有無については、確認でき次第この記事を更新します。現時点で自院として気になる場合は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定に関する公表資料を直接確認することをおすすめします。
改定差分の確認状況(令和8年度・確認時点)
現行(令和8年度): 本記事の点数・施設基準・加算の整理はすべて令和8年度の告示・留意事項通知に基づいています。 前回改定(令和6年度)との比較: 当サイトが収録している一次資料の範囲では比較資料が確認できておらず、変更の有無は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの医院で何から手をつければいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
確認する順番はこんな流れになります。
自院で確認する順番
- 対象患者がFIM115以下・BI85以下相当など、廃用症候群の対象基準に当てはまるかを確認する
- 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の届出状況を確認する(廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)の前提)
- 通所リハビリ事業所等への文書提供体制など、その他の施設基準を満たしているかを確認する
- 施設基準を満たしていれば、地方厚生局長等への届出状況を確認する
- 早期・初期・急性期・休日の各加算やデータ提出加算の対象になりうるかを個別に確認する
- 120日の算定期間・評価表(別紙様式22)による月次評価の運用が整っているかを確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、いきなり点数だけを見るより整理しやすいですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に最初のステップである脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の届出は、廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)の施設基準そのものに組み込まれているので、ここが起点になります。あわせて、リハビリテーション総合計画評価料のような関連する評価料の届出状況も、自院のリハビリ体制全体を見直す際の参考になります。リハビリテーション総合計画評価料のページもご覧ください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよく見落とされるポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、120日を超えて算定を続けている患者さんについて、要介護被保険者等かどうかで適用される点数表が変わることを見落として、通常の点数のまま算定してしまうケースです。もう一つは、評価表(別紙様式22)による月ごとの評価と添付・摘要欄記載が漏れてしまうケースです。
現場でよくある取り漏れ
120日超の要介護被保険者等の点数区分: 108点・88点・46点の低い点数表に切り替わっていることを見落としやすいポイントです。 評価表(別紙様式22)の添付漏れ: 月ごとの評価とレセプトへの添付・摘要欄記載が留意事項通知で求められています。 離床を伴わない20分以上の個別療法の取り扱い: 所定点数の90%・1日2単位までという特別ルールを見落としがちです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。