みらい(新人医療事務)
今度、呼吸器内科の患者さんが増えてきて、リハビリのオーダーが出るようになったんです。「呼吸器リハビリテーション料」って算定できる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。呼吸器リハビリテーション料は、令和8年度の診療報酬で区分「H003」に定められているリハビリテーション料の一つです。COPDや肺炎後の患者さん、呼吸器の手術前後の患者さんなどに、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、または医師が個別療法として呼吸訓練や運動療法を行った場合に算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「候補」っていう言い方なんですね。うちの医院でも取れるかどうかは、まだわからないってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。施設基準を満たして地方厚生局長等に届け出ていること、対象患者に該当すること、実施体制が整っていることなど、いくつかの条件を満たして初めて算定候補になります。今日は令和8年度の内容を一緒に整理していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の留意事項では、対象患者は大きく4つのグループに整理されています。アは急性発症した呼吸器疾患の患者(肺炎、無気肺等)、イは肺腫瘍・胸部外傷その他の呼吸器疾患またはその手術後の患者、ウは慢性の呼吸器疾患により重症の呼吸困難や日常生活能力の低下を来している患者(COPD、気管支喘息、気管支拡張症、間質性肺炎、塵肺、びまん性汎気管支炎、神経筋疾患で呼吸不全を伴う患者、気管切開下の患者、人工呼吸管理下の患者、肺結核後遺症等)、エは食道癌・胃癌・肝臓癌など消化器がん等の手術前後で呼吸機能訓練を要する患者です。
みらい(新人医療事務)
けっこう幅広いんですね。ウの「重症の呼吸困難」って、どう判断するんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項では、息切れスケール(Medical Research Council Scale)で2以上、COPDなら日本呼吸器学会の重症度分類でⅡ以上、または呼吸障害による歩行機能低下・日常生活活動度の低下で生活に支障を来している状態、のいずれかに該当することとされています。数値や分類での確認が必要なので、担当医師の判断記録が欠かせません。
みらい(新人医療事務)
対象医療機関のほうはどうですか? どこでも算定できるわけじゃないですよね。
あおい(元・医療事務)
はい、対象になるのは施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届出を行った保険医療機関に限られます。届出をしていない医療機関では、対象患者がいても算定候補にはなりません。この点はあとで詳しく確認しましょう。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
気になっていたんですが、点数っていくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
呼吸器リハビリテーション料には(Ⅰ)と(Ⅱ)の2区分があり、それぞれ1単位あたりの点数が決まっています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師のどの職種が実施しても、同じ区分内であれば点数は共通です。
| 区分 | 実施者 | 点数(1単位) |
|---|---|---|
| 呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ) | 理学療法士 | 175点 |
| 呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ) | 作業療法士 | 175点 |
| 呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ) | 言語聴覚士 | 175点 |
| 呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ) | 医師 | 175点 |
| 呼吸器リハビリテーション料(Ⅱ) | 理学療法士 | 85点 |
| 呼吸器リハビリテーション料(Ⅱ) | 作業療法士 | 85点 |
| 呼吸器リハビリテーション料(Ⅱ) | 言語聴覚士 | 85点 |
| 呼吸器リハビリテーション料(Ⅱ) | 医師 | 85点 |

みらい(新人医療事務)
(Ⅰ)と(Ⅱ)って、何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の充足度の違いです。医師の配置や専従スタッフの人数、機能訓練室の面積などの要件をどこまで満たしているかで、届け出られる区分が変わってきます。(Ⅰ)のほうが要件は厳しい分、点数も高く設定されています。
算定日数の限度に注意
所定点数は、治療開始日から起算して90日を限度として算定するものとされています。ただし、治療の継続により状態の改善が医学的に期待できると判断される場合など、厚生労働大臣が定める場合には90日を超えて算定できるとされています。90日を超えて算定する場合は、1月13単位が限度になる点も確認が必要です。
加算(早期・初期・急性期・休日・データ提出)
みらい(新人医療事務)
呼吸器リハビリテーション料には、上乗せできる加算もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。令和8年度の告示の「注」には、入院中の患者を対象にした複数の加算が定められています。それぞれ算定できる期間や条件が異なるので、混同しないように整理しておきましょう。
| 加算名 | 点数(1単位) | 主な算定期間の目安 |
|---|---|---|
| 早期リハビリテーション加算 | 60点(入院4日目以降は25点) | 入院日から14日限度 |
| 初期加算 | 45点 | 発症・手術・急性増悪等から7日目または治療開始日のいずれか早いものから14日限度 |
| 急性期リハビリテーション加算 | 50点 | 発症・手術・急性増悪等から7日目または治療開始日のいずれか早いものから14日限度 |
| 休日リハビリテーション加算 | 25点 | 発症・手術・急性増悪等から30日目までを限度に休日実施時 |
| リハビリテーションデータ提出加算 | 50点(月1回) | データ提出を継続する医療機関で入院中以外の患者が対象 |
みらい(新人医療事務)
名前が似ていて混乱しそうです……。早期リハビリテーション加算と急性期リハビリテーション加算って、同時に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
できます。令和8年度の告示では、急性期リハビリテーション加算は「注2」「注3」に規定する加算(早期リハビリテーション加算・初期加算)とは別に算定できるとされています。同様に休日リハビリテーション加算も、注2から注4までの加算とは別に算定できる整理です。ただし留意事項通知では、早期リハビリテーション加算(注2)・初期加算(注3)・急性期リハビリテーション加算(注4)・休日リハビリテーション加算(注5)のいずれについても、特掲診療料の施設基準等別表第九の七第三号に掲げる患者は急性増悪したものを除き算定できないと個別に規定されています。対象患者がこの区分に該当するかどうかの確認が欠かせません。
みらい(新人医療事務)
初期加算やリハビリテーションデータ提出加算にも、それぞれ個別ページがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、加算ごとの詳しい算定要件は個別ページでも確認できます。あわせて、計画評価の面ではリハビリテーション総合計画評価料との関係も出てくることが多いので、リハビリ計画を作成しているかどうかも確認しておくとよいですね。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準って、具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)の施設基準として、令和8年度の特掲診療料の施設基準等では次のような項目が挙げられています。
呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)の施設基準(抜粋)
医師の配置: 呼吸器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること(週3日以上・週22時間以上勤務する非常勤医師を、一定の要件で常勤医師数に算入できる場合あり)。 専従スタッフ: 呼吸器リハビリテーションの経験を有する専従の常勤理学療法士1名を含め、常勤理学療法士・常勤作業療法士・常勤言語聴覚士が合わせて2名以上勤務していること。 訓練室の面積: 専用の機能訓練室として、病院は内法100平方メートル以上、診療所は内法45平方メートル以上を有すること(経過措置の対象になる医療機関もあり)。 機器・記録・体制: 呼吸機能検査機器や血液ガス検査機器等の計測用器具を備えていること、リハビリに関する記録を患者ごとに一元管理していること、定期的な多職種カンファレンスを開催していることなど。
みらい(新人医療事務)
(Ⅱ)のほうの施設基準は、どう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
(Ⅱ)にも別に施設基準が定められていますが、当サイトが収録している一次資料の範囲では詳細な条文までは確認できていません。(Ⅰ)より緩和された基準になっているのが一般的な位置づけですが、断定はできないので、実際に届け出る際は地方厚生局や最新の告示・通知で(Ⅱ)の基準そのものを確認することをおすすめします。
届出のない状態での算定はできません
施設基準を満たしていても、地方厚生局長等への届出が済んでいなければ算定候補にはなりません。届出済みであれば算定候補になりますが、常勤医師の勤務状況や専従スタッフの人数、訓練室の面積などは日々の体制変化で基準を割り込むこともあるため、定期的な自己点検が必要です。
算定単位・対象検査の取扱い
みらい(新人医療事務)
実際にリハビリを行うとき、気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の留意事項では、呼吸器リハビリテーション料は医師の指導監督の下で行われるものであり、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の監視下で実施したものについて算定するとされています。専任の医師が直接訓練を実施した場合も、これらの職種が実施した場合と同様に算定できるとされています。
みらい(新人医療事務)
1人の患者さんに複数人でリハビリするようなケースはどうなんでしょう?
あおい(元・医療事務)
算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士と患者が1対1で行うものとされています。集団で行うような形式は、この算定単位の考え方には当てはまりません。
みらい(新人医療事務)
所定点数に含まれている検査などもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。呼吸器リハビリテーション料の所定点数には、D200からD204までに掲げる呼吸機能検査等、D223経皮的動脈血酸素飽和度測定(リハビリテーション前後を問わない)、その他のリハビリテーションに付随する諸検査、そして呼吸機能訓練と同時に行ったJ024酸素吸入の費用が含まれるとされています。これらを別に算定してしまうと後日の確認で指摘対象になり得るので注意が必要です。
20分以上・非離床の個別療法の取扱い
特定の患者に離床を伴わずに20分以上の個別療法である呼吸器リハビリテーションを行った場合は、区分(Ⅰ)(Ⅱ)いずれも所定点数の100分の90に相当する点数で算定するとされ、この場合は患者1人につき1日2単位までの算定に限られます。実施時間が20分以上であることや算定した単位数は、算定の可否に直結するため実施記録への明記が欠かせません。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
呼吸器リハビリテーション料について、当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定からの点数・算定要件・施設基準に関する主な変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月時点)。区分(Ⅰ)175点・区分(Ⅱ)85点という点数と、早期リハビリテーション加算・初期加算・急性期リハビリテーション加算・休日リハビリテーション加算・リハビリテーションデータ提出加算の枠組みは、令和8年度の告示・留意事項に基づく内容として案内しています。
みらい(新人医療事務)
「確認されていません」というのは、変更が一切ないと言い切れるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。当サイトが参照できる公式資料の範囲での確認結果であって、個別改定項目の全文を網羅した保証ではありません。過去の改定を挟んで要件が変わっている加算も多いので、実際に届出内容を見直す際は、最新の告示・留意事項通知・疑義解釈を医療機関ご自身でも確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
いろいろ条件があって、正直どこから手をつければいいのか迷います……。
あおい(元・医療事務)
順番を追って確認していくと迷いにくくなりますよ。まずは対象患者に該当する患者さんがいるかどうかから始めて、体制面の確認へ進むのがおすすめです。
自院で確認する順番
対象患者に該当するか確認する(急性発症の呼吸器疾患、COPD等の慢性呼吸器疾患、消化器がん等の周術期など)。 呼吸器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師の配置状況を確認する。 専従の常勤理学療法士を含む常勤PT・OT・STの人数、専用の機能訓練室の面積が施設基準(Ⅰ)(Ⅱ)のいずれかを満たしているか確認する。 地方厚生局長等への届出状況を確認する(未届出の場合は算定候補にならない)。 1対1の個別療法として実施できる人員体制・記録体制が整っているか確認する。

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場で見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
よくある取り漏れ
加算の起算日ズレ: 早期リハビリテーション加算・初期加算・急性期リハビリテーション加算は、それぞれ起算日の考え方が微妙に異なります(入院日起算か、発症・手術・急性増悪から7日目と治療開始日のいずれか早いほうか)。カルテ記載の起算日と実際の請求日がずれていないか確認が必要です。 含まれる検査の重複算定: D200からD204の呼吸機能検査等やD223経皮的動脈血酸素飽和度測定、J024酸素吸入は所定点数に含まれるため、別立てで算定してしまうと後日の返戻・査定対象になり得ます。 90日超過後の単位数管理: 治療開始日から90日を超えてリハビリテーションを継続する場合、1月13単位を超えていないかの管理が漏れやすいポイントです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。