みらい(新人医療事務)
先輩、「難病患者リハビリテーション料」っていう項目を見つけたんですけど、これってうちのクリニックでも算定候補になるんでしょうか?名前だけ見ると難しそうで…。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。難病患者リハビリテーション料(区分H006)は、令和8年度(2026年度)の医科診療報酬点数表に載っている項目で、入院中でない難病患者さんに対して、社会生活機能の回復を目的にリハビリテーションを行った場合に算定候補になるものです。ただし、届出をしている保険医療機関でないと算定できませんし、体制の要件もかなり具体的なので、順番に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「難病患者」というのは、具体的にどんな患者さんを指すんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1には「別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とするもの(別に厚生労働大臣が定める状態にあるものに限る。)」と書かれています。つまり対象疾患そのものは別の告示で個別に定められている形です。当サイトが確認した範囲では、この加算固有の対象疾患一覧を示す一次資料までは特定できていないので、対象になりそうかどうかは、厚生労働省の告示や地方厚生局への確認、または後ほど紹介する加算チェッカーで個別に確認することをおすすめします。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
医療機関側の対象はどうなっていますか?病院だけですか、それともクリニックでも候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
医療機関の種別(病院・診療所)を限定する記載は、当サイトが確認した告示・留意事項の範囲では見当たりません。ポイントは種別ではなく、後述する施設基準(人員・機能訓練室の面積など)を満たして届出をしているかどうかです。逆に言えば、診療所であっても要件を満たせば算定候補になり得ますし、病院であっても要件を満たさなければ算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件は何かありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に具体的な記載があります。「難病患者リハビリテーション料の算定対象は、入院中の患者以外の難病患者であって、要介護者(食事又はトイレに介助が必要な者をいう。)及び準要介護者(移動又は入浴に介助が必要な者をいう。)であり、医師がリハビリテーションが必要であると認めるものであること」とされています。つまり、①入院中でないこと、②要介護または準要介護の状態にあること、③医師がリハビリの必要性を認めていること、の3点が揃っている必要があります。
みらい(新人医療事務)
要介護・準要介護って、介護保険の要介護認定とは別物なんですか?
あおい(元・医療事務)
この文脈での定義は介護保険の要介護度とは別で、「食事又はトイレに介助が必要」「移動又は入浴に介助が必要」という状態そのものを指す診療報酬上の定義です。カルテ上、患者さんの日常生活動作の状態がこの定義に当てはまるかどうかを、担当医が確認しておく必要がありますね。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください!
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科診療報酬点数表では、難病患者リハビリテーション料は「640点(1日につき)」と定められています。加えて、退院患者に対する加算(注2)が別枠であります。表にまとめました。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 難病患者リハビリテーション料(基本) | 640点 | 1日につき |
| 短期集中リハビリテーション実施加算(注2・イ) | 280点 | 退院日から起算して1月以内・1日につき加算 |
| 短期集中リハビリテーション実施加算(注2・ロ) | 140点 | 退院日から起算して1月を超え3月以内・1日につき加算 |

みらい(新人医療事務)
「短期集中リハビリテーション実施加算」って、ちょっと違う名前の加算みたいですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。これは難病患者リハビリテーション料の「注2」に規定された加算で、独立した加算コードとしても案内しています。詳しくは短期集中リハビリテーション実施加算の記事でも整理していますので、あわせて確認してみてください。
640点だけで判断しない
基本点数の640点だけを見て「この患者さんは640点」と決めてしまうと、退院直後で集中的にリハビリを行っている患者さんの加算分を取りこぼす可能性があります。退院日を起点に、いつの時点のリハビリかを必ず確認しましょう。
施設基準(届出済みであれば候補)
みらい(新人医療事務)
この加算、届出が必要なんですよね?どんな体制が求められるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、届出が前提です。特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(厚生労働省)に、難病患者リハビリテーション料に関する施設基準として、大きく4つの要件が書かれています。
みらい(新人医療事務)
1つずつ教えてください。
あおい(元・医療事務)
まず人員です。「当該保険医療機関において、専任の常勤医師が勤務していること」が求められます。あわせて、「週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師」であれば、一定の計算方法で常勤医師数に算入できる例外規定もあります。
みらい(新人医療事務)
常勤医師だけでなく、リハビリを実際に行うスタッフの要件もありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。「専従する2名以上の従事者(理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が1名以上であり、かつ、看護師が1名以上)が勤務していること」とされています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち少なくとも1名と、看護師1名以上を専従で配置する必要があるということですね。ただし、疾患別リハビリテーションで配置が求められる理学療法士等との兼任は可能、という条件付きの緩和もあります。
みらい(新人医療事務)
患者さんの人数に上限はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。「取り扱う患者数は、従事者1人につき1日20人を限度とすること」とされています。従事者の人数に応じて、1日に対応できる患者数の上限が決まる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
部屋の広さの決まりもありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。「難病患者リハビリテーションを行うにふさわしい専用の機能訓練室を有しており、当該機能訓練室の広さは、内法による測定で60平方メートル以上とし、かつ、患者1人当たりの面積は、内法による測定で4.0平方メートルを標準とすること」とされています。専用の機能訓練室が必要で、広さの基準も内法(壁の内側で測った実測値)で決まっている点に注意が必要です。なお、疾患別リハビリテーションや障害児(者)リハビリテーションを行う機能訓練室と兼用しても差し支えないとされています。
施設基準の充足は自院で必ず確認
専任・専従・常勤の区分、面積の内法測定、器械・器具(訓練マット、姿勢矯正用鏡、車椅子、各種杖、各種測定用器具など)の具備状況は、書類上の記載と実態が一致しているかを自院で確認する必要があります。基準を満たしているかどうかの最終判断は、当サイトでは行えません。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていそうだとして、届出はどう進めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
届出様式が指定されています。「難病患者リハビリテーション料の施設基準に係る届出は、別添2の様式43を用いること」とされ、あわせて「当該治療に従事する医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の従事者の氏名、勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任の別)等を別添2の様式44の2を用いて提出すること」、さらに「当該治療が行われる専用の機能訓練室の平面図を添付すること」も求められています。
みらい(新人医療事務)
様式が2種類と平面図の添付、両方必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。届出をしていなければ、体制が整っていても算定候補にはなりません。逆に、届出済みであれば算定候補になりますので、まずは届出状況を総務・医事担当と確認するところから始めるとよいと思います。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけるポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず回数です。「難病患者リハビリテーション料は…実施される内容の種類にかかわらず1日につき1回のみ算定する」とされていますので、同じ日に複数回リハビリを行っても、算定は1日1回が上限です。
みらい(新人医療事務)
他のリハビリと一緒に行った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
「難病患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、同一日に行う他のリハビリテーションは所定点数に含まれるものとする」とされています。つまり、同じ日に別のリハビリを追加で行っても、別立てで算定はできず、640点(と該当する加算)に含まれる扱いです。
みらい(新人医療事務)
実施時間の目安はありますか?
あおい(元・医療事務)
「なお、実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする」とされています。あくまで標準時間ですが、極端に短い実施内容だと算定の妥当性を問われる可能性があるので、実施記録は残しておくべきですね。
みらい(新人医療事務)
食事を出すこともあるみたいですけど、それも点数に入るんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。「治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる」とされていますので、追加で別費用として請求することはできません。
断定はできません
ここまでの内容は令和8年度の告示・留意事項通知に基づく整理です。実際に算定候補となるかどうかは、患者さんの状態、届出状況、実施記録などを総合して個別に確認する必要があり、この記事だけで算定の可否を断定することはできません。
短期集中リハビリテーション実施加算(注2)の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた短期集中リハビリテーション実施加算、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
これは「医療機関を退院した患者に対して集中的にリハビリテーションを行った場合」に、退院日から起算して3月を限度として、日数に応じて加算する仕組みです。留意事項通知では「退院後早期の個々の患者の状態に対応した集中的なリハビリテーションの評価を行うものであり、退院日から起算して1月以内に行われる場合は、1週につき概ね2回以上、1回当たり40分以上、退院日から起算して1月を超え3月以内の期間に行われる場合は、1週につき概ね2回以上、1回当たり20分以上の個別リハビリテーションを含む難病患者リハビリテーションを行った場合に算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
週の回数と1回あたりの時間、どちらも条件になっているんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。回数・時間のどちらかが不足していると、加算の算定候補にはなりにくいということですね。なお、「個別リハビリテーション実施の際には、他の患者に対して提供するリハビリテーションに支障のないよう配慮すること」という注意点も添えられています。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
今回の令和8年度改定で、この加算に何か変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準通知の範囲では、点数(640点、短期集中リハビリテーション実施加算280点・140点)や、専任常勤医師・専従2名以上の人員配置、機能訓練室60平方メートル以上といった施設基準の記載に、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記載は確認できていません(確認日: 2026年8月)。ただし、これは当サイトが確認できた一次資料の範囲での整理であり、届出様式や経過措置の詳細も含めた正確な比較は、厚生労働省が公表する「個別改定項目について」など改定の全体資料でご確認いただくことをおすすめします。
変更なしでも定期確認は必要
点数や要件に変更が確認されない場合でも、疑義解釈の追加や運用上の解釈変更が後から示されることがあります。届出後も、厚生労働省・地方厚生局の発表を定期的に確認する体制にしておくと安心です。
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
結局、うちで確認すべきことを順番に整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で確認するとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象になりそうな患者さんが、入院中でなく、要介護(食事又はトイレに介助が必要)・準要介護(移動又は入浴に介助が必要)の状態にあり、医師がリハビリの必要性を認めているかを確認する
- 専任の常勤医師、専従2名以上(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち1名以上+看護師1名以上)が配置されているかを確認する
- 専用の機能訓練室(60平方メートル以上、患者1人当たり4.0平方メートル標準)と必要な器械・器具が揃っているかを確認する
- 難病患者リハビリテーション料の施設基準に係る届出(様式43・様式44の2・平面図)を地方厚生局に提出しているかを確認する
- 退院直後の患者さんについては、短期集中リハビリテーション実施加算の対象期間・回数・時間の条件も満たしているかをあわせて確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型例があります。
よくある取り漏れの例
同一日の他リハビリを別立てで請求してしまう: 難病患者リハビリテーション料を算定している日に行った他のリハビリテーションは所定点数に含まれます。二重に算定しないよう注意しましょう。
短期集中加算の起算日を勘違いする: 起算日は「退院日」です。リハビリを開始した日ではないため、退院日から数えて1月・3月の期間を正しくカウントする必要があります。
面積基準を延床面積で計算してしまう: 機能訓練室の面積は「内法による測定」が基準です。壁芯面積など別の測り方で計算すると、実際の基準を満たしていない可能性があります。
人員の専従・専任の混同に注意
施設基準では「専任」と「専従」が使い分けられています。常勤医師は「専任」でよい一方、理学療法士等・看護師は「専従」が求められています。書類上どちらの区分で届け出ているか、実態と一致しているかを必ず確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。