みらい(新人医療事務)
先輩、整形外科のクリニックさんから「運動器リハビリテーション料って結局いくらもらえるんですか」って聞かれて、答えに詰まっちゃいました…。区分がⅠ、Ⅱ、Ⅲってあるみたいなんですけど、正直よくわかっていなくて。
あおい(元・医療事務)
運動器リハビリテーション料は、整形外科系の医療機関にとって主力の算定項目のひとつですね。まずは令和8年度の一次資料に沿って、区分ごとの違いから一緒に整理していきましょう。算定候補になるかどうかは施設基準の充足状況によって変わるので、断定はできませんが、確認の道筋は明確にできますよ。
みらい(新人医療事務)
お願いします! そもそも、この加算はどんな場面で算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、区分番号H002として「運動器リハビリテーション料」が定められています。留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)には、対象を「基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合」と説明しています。マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合は、処置の項で算定する扱いになっている点にも注意が必要ですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど、単なる物理療法とは区別されているんですね。対象になる患者さんはどんな人ですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、対象患者を大きく2つのグループに分けています。ひとつは「急性発症した運動器疾患又はその手術後の患者」で、上・下肢の複合損傷、脊椎損傷による四肢麻痺、体幹・上・下肢の外傷・骨折、切断・離断(義肢)、運動器の悪性腫瘍等が例示されています。もうひとつは「慢性の運動器疾患により、一定程度以上の運動機能及び日常生活能力の低下を来している患者」で、関節の変性疾患、関節の炎症性疾患、熱傷瘢痕による関節拘縮、運動器不安定症、糖尿病足病変等が挙げられています。実際の対象該当性は医師が個別に判断するものなので、この記事だけで断定はできません。
運動器リハビリテーション料の点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はⅠ・Ⅱ・Ⅲでどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)を確認すると、1単位あたりの点数は次のとおりです。
| 区分 | 点数(1単位) | 実施者 |
|---|---|---|
| 運動器リハビリテーション料(Ⅰ) | 185点 | 理学療法士・作業療法士・医師のいずれも同点数 |
| 運動器リハビリテーション料(Ⅱ) | 170点 | 理学療法士・作業療法士・医師のいずれも同点数 |
| 運動器リハビリテーション料(Ⅲ) | 85点 | 理学療法士・作業療法士・医師のほか、イからハまで以外の場合も同点数 |

あおい(元・医療事務)
1単位は20分の個別リハビリテーションが基本の考え方です。どの区分で届出をしているかによって算定できる点数が変わるので、自院がどの区分の届出を行っているかをまず確認することが出発点になります。
みらい(新人医療事務)
ⅠからⅢまで、点数がだいぶ違いますね…。区分は自院で選べるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
選べるというより、施設基準を満たして届け出た区分でしか算定できない、という関係です。次はその施設基準を見ていきましょう。
施設基準の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準って、具体的に何を見ればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
特掲診療料の施設基準等(令和8年保医発0305第8号)の「第9 運動器リハビリテーション料に関する施設基準」では、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)の基準として、次のような項目が示されています。
運動器リハビリテーション料(Ⅰ)の主な施設基準
人員: 運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること(週3日以上・週22時間以上勤務する専任の非常勤医師を、一定の要件のもとで常勤医師数に算入できる場合があります)。 理学療法士・作業療法士: 専従の常勤理学療法士又は専従の常勤作業療法士が合わせて4名以上勤務していること。 機能訓練室: 治療・訓練を十分実施し得る専用の機能訓練室(病院は内法測定で100平方メートル以上、診療所は内法測定で45平方メートル以上)を有していること。 器具等: 各種測定用器具(角度計、握力計等)、血圧計、平行棒、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種歩行補助具等を具備していること。 記録・カンファレンス: リハビリテーションに関する記録(医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者等)を患者ごとに一元的に保管し、常に医療従事者が閲覧できる状態にしていること。また、定期的に担当の多職種が参加するカンファレンスが開催されていること。
みらい(新人医療事務)
けっこう細かいんですね…。ⅡやⅢの基準はⅠと同じなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、区分によって人員配置や機能訓練室の面積などの水準が段階的に緩和される構成になっています。ただ、Ⅱ・Ⅲの具体的な人数や面積の基準は、当サイトが確認できた一次資料の範囲では詳細な数値までは確認できていません。そのため、自院がⅡまたはⅢの届出を検討する場合は、地方厚生局に届け出ている、または届け出ようとしている区分の施設基準を、特掲診療料の施設基準等(令和8年保医発0305第8号)の原文で必ず確認していただく必要があります。
みらい(新人医療事務)
わかりました。届出はどこにするんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に適合していることを地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関で算定する仕組みです。届出をしていない場合は、実際に人員や設備の基準を満たしていても算定候補にはなりません。届出済みかどうかは、自院の届出書類や地方厚生局への確認で必ずチェックしてください。
算定日数と加算の仕組み
みらい(新人医療事務)
算定できる日数に制限はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知によれば、標準的算定日数は「発症、手術又は急性増悪の日が明確な場合はその日から150日以内、それ以外の場合は最初に当該疾患の診断がされた日から150日以内」とされています。治療を継続することで状態の改善が期待できると医学的に判断される場合など、一定の場合には150日を超えて算定できる規定もあります。
みらい(新人医療事務)
150日を過ぎたら一律で算定できなくなるわけではないんですね。加算もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、入院患者を中心にいくつかの加算が定められています。留意事項通知の内容を表にまとめました。
| 加算 | 内容 | 点数(1単位) | 限度 |
|---|---|---|---|
| 早期リハビリテーション加算 | 入院患者等に対する入院後早期からのリハビリテーション | 60点(入院4日目以降は25点) | 入院した日から14日 |
| 初期加算 | 発症・手術・急性増悪から早期のリハビリテーション | 45点 | 発症等から14日 |
| 急性期リハビリテーション加算 | 発症・手術・急性増悪から早期の患者に対するリハビリテーション | 50点 | 発症等から14日 |
| 休日リハビリテーション加算 | 休日にリハビリテーションを実施した場合 | 25点 | 発症等から30日目まで |
あおい(元・医療事務)
いずれの加算も、対象患者の範囲や算定要件が個別に定められています。留意事項通知の原文で、自院が想定している患者がその要件に該当するかを確認する必要がありますね。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
運動器リハビリテーション料(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の点数(185点・170点・85点)や標準的算定日数(150日)については、当サイトが確認できた一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、留意事項通知)の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年8月確認)。ただし、点数が同じであっても、施設基準の細目や加算の対象範囲が改定のたびに見直されることもあるため、届出内容を更新する際は、最新の告示・通知の原文を必ず確認することをおすすめします。
改定差分の確認について
本セクションは当サイトが確認できた一次資料の範囲での整理です。個別の様式変更や運用細則まで含めた完全な差分確認をご希望の場合は、厚生労働省の官報告示・通知原文、または審査支払機関に直接ご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの整形外科クリニックで確認すべき順番ってどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくと進めやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象患者に該当するか(急性発症の運動器疾患・手術後、または慢性の運動器疾患による機能低下)を医師が個別に判断する
- 理学療法士又は作業療法士と患者が1対1で行う個別療法として実施できる体制か確認する
- 専任常勤医師・専従常勤理学療法士又は作業療法士の人数・機能訓練室の面積など、届出予定区分(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)の施設基準を満たしているか確認する
- 地方厚生(支)局に施設基準の届出を行っているか、または届出手続きを進める
- 標準的算定日数(150日)や加算(早期リハビリテーション加算等)の対象要件を確認し、記録を一元管理する体制を整える

みらい(新人医療事務)
ステップにすると、やることが見えてきました。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
現場でありがちな確認漏れも紹介しておきますね。
取り漏れが起きやすいポイント
物理療法のみのケース: マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合は、運動器リハビリテーション料ではなく処置の項で算定する扱いになっています。組み合わせの内容を診療録で確認しないと、誤って算定してしまう可能性があります。 150日超のケース: 標準的算定日数(150日)を超えた場合、一律に算定できなくなるわけではなく、一定の要件のもとで継続算定できる規定があります。日数だけで機械的に算定を止めてしまうと、算定できるはずの分を取りこぼす可能性があります。 加算の起算日: 早期リハビリテーション加算や初期加算などは、入院日や発症日など起算日の考え方が加算ごとに異なります。転院してきた患者については、転院前の保険医療機関に入院した日を起算日とする規定もあるため、混同しないよう注意が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。また、リハビリテーションを実施する際に合わせて確認されることが多い リハビリテーション総合計画評価料 についても、あわせてチェックしておくと安心です。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。