療養病棟入院基本料(A101)って、どんな入院料ですか?
みらい(新人医療事務)
療養病棟入院基本料って、よく耳にするんですが、一般病棟の入院基本料とは何が違うんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
療養病棟入院基本料(区分A101)は、主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する療養病棟を対象とした入院料です。医療法第7条第2項第4号に定める療養病床に係る病棟として届け出た病棟が対象になります。一般病棟の入院基本料とは、算定の仕組みが大きく異なります。
みらい(新人医療事務)
どのあたりが違うんですか?
あおい(元・医療事務)
一番の特徴は、患者の疾患・状態(医療区分)とADL(日常生活動作)の区分に従って点数が決まるという仕組みです。医療区分は患者の医療的な必要度によって1〜3(または処置等との組み合わせ)で分類され、ADL区分は患者の日常生活動作のレベルで1〜3に分かれます。その組み合わせで入院料の区分が決まる、というのが大まかな流れです。
みらい(新人医療事務)
なるほど、患者の状態によって点数が変わる仕組みなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。さらに、療養病棟入院基本料には大きく「入院料1」「入院料2」という区分があって、看護配置の施設基準によって分かれます。それぞれの区分の中で、医療区分×ADL区分に応じた点数(入院料1から入院料27、さらに入院料28〜30まで)が設定されています。

療養病棟入院料1と2の違いは何ですか?
みらい(新人医療事務)
入院料1と入院料2の違いって何でしょうか?療養病棟 入院基本料 1と2の違いをわかりやすく教えてください。
あおい(元・医療事務)
一番の違いは、施設基準に定められた看護配置基準と看護師比率です。令和8年度(2026年度)の告示・施設基準に基づき整理するとこうなります。
| 区分 | 特徴 |
|---|---|
| 療養病棟入院料1 | より高い看護配置基準を満たした療養病棟(施設基準の届出が必要) |
| 療養病棟入院料2 | 入院料1よりも緩い看護配置基準の療養病棟 |
| 特別入院基本料 | 注1に規定する施設基準に適合しない療養病棟(当分の間の経過措置) |
みらい(新人医療事務)
看護配置が違うと、点数も変わるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。令和8年度(2026年度)告示(厚生労働省告示第69号・区分A101)で確認できる主な点数の一部をご紹介します。
| 療養病棟区分 | 主な点数例(入院料1の一部) |
|---|---|
| 入院料1 イ(入院料1) | 2,035点(生活療養の場合は2,014点) |
| 入院料1 ロ(入院料2) | 1,980点(生活療養の場合は1,960点) |
| 入院料1 ハ(入院料3) | 1,692点(生活療養の場合は1,672点) |
| 入院料2 イ(入院料1) | 1,967点(生活療養の場合は1,947点) |
| 入院料2 ロ(入院料2) | 1,913点(生活療養の場合は1,893点) |
| 特別入院基本料 | 646点(生活療養の場合は626点) |
点数の確認にあたって
上記は令和8年度告示(A101)の一部を抜粋したものです。実際には医療区分・ADL区分・嚥下機能の体制等によって入院料の区分が細かく分かれます(入院料1〜入院料30まで)。最終的な算定区分は、患者の状態と病棟の施設基準を照合して確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
入院料が30種類近くあるんですね。それぞれ医療区分とADLの組み合わせで変わるということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。療養病棟入院基本料は「患者の状態に応じた包括払い」の仕組みで、当日の医療区分・ADL区分のうち最も高い点数の区分に従って算定します。日々患者の状態が変化するため、日ごとの評価が必要です。
対象となる医療機関・届出は?
みらい(新人医療事務)
うちは療養病棟を持っているんですが、どんな条件を満たせば算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
まず前提として、病院の療養病棟(医療法第7条第2項第4号の療養病床に係る病棟として地方厚生局長等に届け出た病棟)であることが必要です。注意点として、特定入院料(第3節)を算定する患者は対象外です。
自院で確認する順番
- 病院の療養病床として地方厚生局長等に届け出た病棟であるか確認する
- 看護配置、看護師比率、看護補助配置等の施設基準を確認する(入院料1か入院料2かを判定)
- 施設基準を満たしているとして地方厚生局長等に届け出る
- 患者ごとに疾患・状態(医療区分)とADL区分を評価する
- 対応する入院料区分で算定(日ごとに評価が必要)
みらい(新人医療事務)
届出は地方厚生局長等にするんですね。届出が必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
届出済みであれば算定候補になります。ただし、施設基準の各要件(看護配置・看護師比率・看護補助配置 など)を満たしているかどうかは、自院の実情と厚生労働大臣が定める施設基準(令和8年厚生労働省告示第70号等)を照らし合わせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
もし施設基準を満たせない場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注2に「注1に規定する病棟以外の療養病棟については、当分の間、地方厚生局長等に届け出た場合に限り、特別入院基本料として646点(生活療養を受ける場合にあっては626点)を算定できる」とあります。完全な施設基準を満たせない場合でも、届出をすれば特別入院基本料での算定が候補となります。
包括算定の範囲と注意点
みらい(新人医療事務)
療養病棟では、検査や薬の費用も入院料に含まれると聞いたことがあるんですが?
あおい(元・医療事務)
告示の注3では、療養病棟入院基本料を算定する患者に対して行った第3部検査、第5部投薬、第6部注射、第7部リハビリテーション(一部)、第13部病理診断、さらに第4部画像診断・第9部処置の一部は、入院基本料に**包括される(別に算定できない)**とされています。
みらい(新人医療事務)
つまり、入院料の中に検査・投薬・処置の費用がまとめて含まれているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし、除外薬剤・注射薬については別途算定が認められています。また、留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)には「療養病棟入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、療養病棟入院基本料に含まれているため別に算定できない」と明記されています。
包括範囲の確認が重要
療養病棟入院基本料では多くの検査・処置・投薬が包括されています。別算定できるものとできないものの判断には、基本診療料の施設基準等別表第五(告示第70号等)および疑義解釈の確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
急性増悪で一般病棟に転棟する場合も特別なルールがあるって聞きました。
あおい(元・医療事務)
留意事項(令和8年保医発0305第6号)のA101に関する記載によると、注1の入院料を算定している場合において、患者の急性増悪により同一保険医療機関の一般病棟へ転棟または別の保険医療機関の一般病棟へ転院する際には、転棟・転院前の3日前までの間について入院料27を算定できる旨が確認できます。急性増悪時の転棟・転院については別ルールになるため、留意事項の原文で確認してください。
主な加算(入院中に算定できるもの)
みらい(新人医療事務)
療養病棟入院基本料の他に、加算として算定できるものはありますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注7に、当該病棟で算定できる入院基本料等加算の一覧が示されています。いくつか確認できるものをご紹介します。
療養病棟で算定候補の主な加算(令和8年度・注7より)
- 診療録管理体制加算
- 医師事務作業補助体制加算(50対1・75対1・100対1補助体制加算に限る)
- 看護補助・患者ケア体制充実加算(80点・65点・55点: 注13)
- 夜間看護加算(50点: 注12)
- 慢性維持透析管理加算(100点: 注9・入院料1算定病棟のみ)
- 在宅復帰機能強化加算(50点: 注10・入院料1算定病棟のみ)
- 経腸栄養管理加算(300点: 注11・入院中1回・7日限度)
- 急性期患者支援療養病床初期加算(300点・14日限度: 注6)
- 在宅患者支援療養病床初期加算(350点・14日限度: 注6)
- 重症児(者)受入連携加算(2,000点・入院初日: 注5)
- 感染対策向上加算・患者サポート体制充実加算 等
みらい(新人医療事務)
加算の種類もかなり多いですね。
あおい(元・医療事務)
注7には、地域医療支援病院入院診療加算、臨床研修病院入院診療加算、データ提出加算など多数が列挙されています。各加算にはそれぞれ独立した施設基準や算定要件があるため、一つひとつ届出状況と要件を確認することをお勧めします。
中心静脈栄養と嚥下機能回復体制について
みらい(新人医療事務)
中心静脈栄養の患者がいる場合に特別なルールがあるって聞きました。
あおい(元・医療事務)
告示の注1のただし書きと留意事項の(3)に記載があります。療養病棟入院料1または2を算定する病棟に入院する中心静脈栄養を実施している患者については、当該病棟において摂食機能または嚥下機能の回復に必要な体制が確保されていないと認められる場合には、入院料のランクが下がる仕組みです。
あおい(元・医療事務)
区分の変わり方は、告示(A101注1ただし書き)および留意事項(令和8年保医発0305第6号)で確認できる内容を整理すると以下のようになります。
| 通常の算定 | 摂食・嚥下回復体制なしの場合 |
|---|---|
| 入院料1~3、10~12、19~21 | 入院料4~6、13~15、22~24に変更 |
| 入院料27 | 変わらず入院料27を算定 |
みらい(新人医療事務)
嚥下回復の体制があるかどうかで算定する入院料が変わるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項(令和8年保医発0305第6号)では、令和4年3月31日時点で療養病棟入院料1または2を算定していた患者であって医療区分3の中の特定の状態に該当していたものについて、当該状態が継続している間に限り経過措置的な算定が認められる旨の記載が確認できます。対象患者がいる場合は、自院の状況と留意事項の原文を照合して確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度(2026年度)の改定で、療養病棟入院基本料は変わったんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)診療報酬改定について、当サイトに収録した告示・留意事項の一次情報に基づいて確認できる範囲をお伝えします。現行の令和8年度告示(厚生労働省告示第69号)には、入院料1〜30の点数体系・特別入院基本料・注加算(注4〜注13)が引き続き規定されています。
令和8年度(2026年度)改定で確認できる主な事項
- 療養病棟入院料1・入院料2の区分と点数が規定されている(令和8年度告示第69号 A101)
- 特別入院基本料: 646点(生活療養626点)が規定されている
- 看護補助・患者ケア体制充実加算(注13)が設定されている(80点・65点・55点)
- 経腸栄養管理加算(注11・300点・7日限度)が設定されている
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定からの具体的な変更点はどうでしょうか?
あおい(元・医療事務)
前回(令和6年度)改定との詳細な差分については、本記事執筆時点(2026年6月)の一次資料の照合範囲では変更の全容を確認できていません。療養病棟入院基本料の点数・施設基準・算定要件の変更の有無については、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定の概要」「個別改定項目について」等の公式資料を直接ご確認ください(一次資料の範囲で確認できない事項は「未確認」として扱っています)。
改定差分の確認について
前回(令和6年度)改定からの正確な差分は、厚生労働省の改定概要・個別改定項目(公式PDF)で確認することをお勧めします。改定のたびに施設基準や算定要件が変わる場合があります。
よくある取り漏れ・確認ポイント
みらい(新人医療事務)
療養病棟で請求ミスになりやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかよく見られる確認漏れをご紹介します。
療養病棟入院基本料でよくある取り漏れ・確認ポイント
- 医療区分・ADL区分の日々の記録: 患者の状態は日ごとに変わるため、区分の評価と記録が必要です。「1日に2つ以上の区分に該当する場合は最も高い点数の区分を算定」(留意事項(1))のルールも確認を
- 嚥下機能回復体制の届出有無: 中心静脈栄養を実施している患者がいる病棟では、摂食・嚥下機能回復体制の整備状況が入院料の区分に影響します
- 包括範囲の確認: 療養病棟入院基本料に包括される処置・投薬を誤って別途算定しないよう注意が必要です
- 在宅復帰機能強化加算・夜間看護加算等の届出有無: これらの加算には個別の施設基準と届出が必要です。届出済みでなければ算定できません
- 急性増悪時の転棟ルール: 一般病棟への転棟前3日間の入院料27算定のルールを把握しておく必要があります
みらい(新人医療事務)
記録が日ごとに必要なんですね。レセプト担当としては日々の評価記録がしっかりできているか確認することが大事ですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。療養病棟入院基本料は「患者の状態に応じた日ごとの包括払い」ですから、医療区分・ADL区分の根拠となる患者の状態の記録が算定根拠になります。医師・看護師との連携で、記録の整備と算定区分の確認を行うことが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
複数の療養病棟があるときはどうするんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の(2)に「当該保険医療機関において複数の療養病棟がある場合には、当該病棟のうち、回復期リハビリテーション病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、注1の入院料または注2の特別入院基本料のいずれかを算定するものとする」と記載されています。複数病棟がある場合の取り扱いも確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
一般病棟に90日超入院する患者が療養病棟入院基本料で算定するケースもあると聞いたことがあります。
あおい(元・医療事務)
そうです。一般病棟入院基本料(A100)の注11に、当該病棟に90日を超えて入院する患者については、区分番号A101に掲げる療養病棟入院料1の例により算定する旨が規定されています(令和8年度告示第69号 A100注11)。一般病棟に長期入院する患者への適用ルールについても確認してください。
みらい(新人医療事務)
病棟単位で届出が必要という理解でよいですか?
あおい(元・医療事務)
はい、療養病棟入院基本料は病棟単位での届出が基本になります。病院全体ではなく、個々の病棟が施設基準を満たしているかどうかを確認して、届出をする仕組みです。自院の各療養病棟の届出状況を確認してください。

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病棟の種別ごとに入院基本料の区分・施設基準は異なります。自院の病棟種別に応じて、あわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院の療養病棟が入院料1なのか入院料2なのか、自分では判断が難しいです。もっと詳しく確認できる方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。施設基準の届出内容や患者の状態評価について個別に確認したいときも活用してみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。