みらい(新人医療事務)
先生、「夜間ケア加算」ってカルテで見かけたんですけど、これって普通のデイケアの加算とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。これは「重度認知症患者デイ・ケア料(I015)」という精神科専門療法の点数に付く加算なんです。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、この名称と位置づけのまま設定されています。
みらい(新人医療事務)
重度認知症患者デイ・ケア料そのものとは別物ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。重度認知症患者デイ・ケア料が「土台」の点数で、夜間ケア加算はその土台に条件を満たしたときだけ上乗せされる加算、という関係です。まずはこの土台と加算の関係を整理していきましょう。
夜間ケア加算(重度認知症患者デイ・ケア料)とは
みらい(新人医療事務)
そもそも重度認知症患者デイ・ケア料って、どんな患者さんが対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の医科点数表の告示では、重度認知症患者デイ・ケア料は「精神症状及び行動異常が著しい認知症患者の心身機能の回復又は維持を図るため」に、施設基準の届出をした保険医療機関で1日6時間以上行った場合に算定するとされています。留意事項通知ではさらに、対象患者は「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」でランクMに該当する患者、と書かれています。
みらい(新人医療事務)
ランクMというのは、かなり重い状態の患者さんということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。そのうえで夜間ケア加算は、告示の「注3」に定められた上乗せ算定です。原文では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、夜間の精神症状及び行動異常が著しい認知症患者に対して、当該療法に引き続き2時間以上の夜間ケアを行った場合には、当該療法を最初に算定した日から起算して1年以内の期間に限り、夜間ケア加算として、100点を所定点数に加算する」となっています。
みらい(新人医療事務)
「引き続き2時間以上」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。日中の重度認知症患者デイ・ケア料に引き続いて、夜間ケアを2時間以上行うことが条件です。単独で夜間ケアだけを行っても、この加算の対象にはなりません。
対象患者・対象医療機関
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件、もう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の(5)には「『注3』に規定する夜間ケア加算の対象となる患者は、夜間の精神状態及び行動異常が著しい認知症患者で、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関において、当該療法に引き続き2時間以上の夜間ケアを行った場合には、当該療法を最初に算定した日から起算して1年以内の期間に限り算定できる」とあります。
みらい(新人医療事務)
「1年以内」というのも大事な条件ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。この「1年以内」は、重度認知症患者デイ・ケア料を最初に算定した日を起点に数えます。早期加算の期間と同じ考え方です。1年を超えて継続している患者さんには、この夜間ケア加算は算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
対象の医療機関は診療所でも病院でも同じですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、医療機関の種別(診療所・病院)による区別は明記されておらず、外来の精神科専門療法として届出をしている保険医療機関が対象という整理になっています。入院患者は対象外です。留意事項(7)に「重度認知症患者デイ・ケア料は入院中の患者以外の患者に限り算定する」とはっきり書かれています。
点数・算定の仕組み(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数がどう積み上がるのか、表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。令和8年度の医科点数表に基づく整理はこちらです。
| 区分 | 点数 | 条件 |
|---|---|---|
| 重度認知症患者デイ・ケア料(I015、1日につき) | 1,040点 | 施設基準届出・1日6時間以上実施 |
| 早期加算(注2) | +50点 | 最初に算定した日から起算して1年以内 |
| 夜間ケア加算(注3) | +100点 | 施設基準届出・当該療法に引き続き2時間以上の夜間ケアを実施・最初に算定した日から起算して1年以内 |

みらい(新人医療事務)
早期加算と夜間ケア加算は、両方同時に算定候補になることもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
条文上は、どちらも「最初に算定した日から起算して1年以内」という条件が別々に定められています。同じ患者さんが両方の条件(早期・夜間ケア継続実施)を満たせば、それぞれの加算が候補になり得ます。ただし実際にどちらも算定できるかは、個々の記録や施設基準の届出状況によって変わるので、断定はできません。レセプトの取り扱いは自院の状況で確認が必要です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準って具体的にどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」という表現までが確認できる範囲です。人員配置や設備の具体的な数値基準については、当サイトが保有する一次資料の範囲では確認できていないので、ここで断定的な数字は書けません。
みらい(新人医療事務)
それは正直ですね。じゃあどこで確認すればいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」という厚生労働省の通知に、精神科専門療法の各点数の施設基準が定められています。自院が該当する基準を満たしているかは、この通知の該当箇所と、届出済みの区分を照らし合わせて確認する必要があります。不明点は地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
重度認知症患者デイ・ケア料本体の届出と、夜間ケア加算の届出は別物ですか?
あおい(元・医療事務)
条文を見ると、注1(本体)と注3(夜間ケア加算)はそれぞれ「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」という文言で個別に規定されています。表現上は別々の施設基準として書かれているので、本体の届出だけで夜間ケア加算まで自動的に対象になるとは限りません。どちらも届出状況を確認することをおすすめします。
届出状況の確認ポイント
重度認知症患者デイ・ケア料の届出: 施設基準に適合し地方厚生局長等に届出済みか 夜間ケア加算の届出: 注3に定める施設基準について別途届出済みか 対象患者の記録: 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準でランクMに該当する記録があるか
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで注意することはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、夜間ケア加算は重度認知症患者デイ・ケア料を算定した日に、それに「引き続き」2時間以上の夜間ケアを行った場合が条件です。日をまたいで別日に夜間ケアだけを行っても対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
併算定の制限もあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項(7)に「重度認知症患者デイ・ケア料を算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない」とあります。告示の注4でも、精神科ショート・ケア(I008-2)、精神科デイ・ケア(I009)、精神科ナイト・ケア(I010)、精神科デイ・ナイト・ケア(I010-2)との同日算定について記載があります。同日に他の精神科専門療法を組み合わせて算定できるかどうかは、条文を直接確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
診療録への記載も必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項(6)に「重度認知症患者デイ・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載すること」とあります。夜間ケア加算を算定する場合も、夜間ケアに要した時間の記録が求められると考えられます。記録の様式や具体的な記載項目まで一次資料で確認できていない部分は、自院の運用ルールと合わせて確認してください。
断定できない点
夜間ケア加算の対象患者や算定期間の要件は条文で確認できますが、個々の患者さんが実際に施設基準・記録要件を満たしているかどうかは、当サイトの記事だけでは判断できません。届出状況・診療録の記載内容を自院で確認したうえで算定候補かを判断してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが保有する一次資料の範囲では、夜間ケア加算(重度認知症患者デイ・ケア料)そのものの点数や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更を裏付ける一次資料は確認できていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省の医科点数表・留意事項通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
「確認できていない」というのは「変わっていない」と同じ意味なんですか?
あおい(元・医療事務)
近い意味ですが、厳密には違います。当サイトが今回参照した令和8年度の一次資料には、重度認知症患者デイ・ケア料1,040点・早期加算50点・夜間ケア加算100点という条文が記載されています。ただし令和6年度時点の同項目の条文と1点ずつ突き合わせる作業までは、今回の執筆時点では完了していません。もし過去の点数と異なる場合は、当サイトの誤りである可能性もありますので、正確な経年比較が必要な場合は厚生労働省の官報・告示原文を直接ご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの医院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
おすすめの順番はこちらです。
自院で確認する順番
- 対象患者が「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」でランクMに該当する、夜間の精神症状・行動異常が著しい認知症患者かを確認する
- 重度認知症患者デイ・ケア料の施設基準を届出済みかを確認する
- 夜間ケア加算(注3)の施設基準を別途届出済みかを確認する
- 当該患者について重度認知症患者デイ・ケア料の算定日に引き続き2時間以上の夜間ケアを実施し、診療録に記載しているかを確認する
- 最初に重度認知症患者デイ・ケア料を算定した日から1年以内かを確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、うちのスタッフにも説明しやすそうです。
あおい(元・医療事務)
5つとも満たしていれば算定候補になりますが、1つでも確認が取れない場合は、算定できるかどうか改めて確認したほうがいいですね。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れって、どんなパターンがあるんでしょう?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
よくある確認漏れ
「1年以内」のカウント漏れ: 早期加算・夜間ケア加算どちらも起算日は「最初に算定した日」であり、加算を算定し始めた日ではない点に注意が必要です 夜間ケア加算の届出漏れ: 重度認知症患者デイ・ケア料本体の届出だけで満足し、夜間ケア加算に関する施設基準の届出状況を確認していないケース 時間要件の記録漏れ: 「引き続き2時間以上」の夜間ケアを行った時間が診療録等に記載されていないケース
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算と混同することもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そこは注意したいところです。入院患者向けの「認知症ケア加算(区分A247)」という別の加算もありますが、これは病棟の入院基本料に付く加算で、外来の重度認知症患者デイ・ケア料の夜間ケア加算とは対象・算定の枠組みが異なります。関連情報として認知症ケア加算のページも参考にしてください。名前が似ているので取り違えないよう気をつけましょう。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どの資料をもとにしているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表の告示原文と、留意事項通知の該当箇所をもとに整理しています。一覧にしておきますね。
| 資料 | 発行 | 年度 | URL |
|---|---|---|---|
| 医科点数表(I015 重度認知症患者デイ・ケア料・注1〜注4) | 厚生労働省 | 令和8年度 | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf |
| 令和8年度診療報酬改定について(留意事項通知の参照ページ) | 厚生労働省 | 令和8年度 | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html |
みらい(新人医療事務)
実際の留意事項通知のPDFへのリンクではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知の個別PDFは差し替えで番号が変わることがあり、この記事の執筆時点ではリンク切れが確認されたため、生きている改定全体のご案内ページをリンクしています。留意事項通知の(1)から(7)の内容自体は、当サイトが保有する一次資料の該当箇所で確認済みです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。