みらい(新人医療事務)
先生、レセプトの検査・病理の欄で「病管1」って略号を見かけたんですけど、これって病理診断管理加算1のことですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。N006病理診断料に上乗せできる加算で、病理診断を専ら担当する常勤の医師がいて、施設基準を満たして届け出ている医療機関が対象になります。うちの病院でも算定候補になるかどうか、一緒に整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「専ら担当する」っていうのがちょっと引っかかります。常勤の病理医がいれば自動的に対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこがポイントです。常勤医師がいるだけでなく、施設基準への適合と届出、そして「専ら担当している」と言える勤務実態が必要になります。断定はできないので、あくまで算定候補として一つずつ確認していきましょう。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも病理診断管理加算って、何を評価するための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の医科点数表)では、病理診断管理加算は次のように定められています。
病理診断管理加算の根拠(医科点数表 N006 注4)
「病理診断管理に関する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、病理診断を専ら担当する常勤の医師が病理診断を行い、その結果を文書により報告した場合には、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数を所定点数に加算する」
みらい(新人医療事務)
つまり、病理診断を専門にしている常勤の医師がきちんと診断して文書で報告する体制を評価している、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。病理診断管理加算には1と2があり、体制の手厚さによって区分が分かれています。今日はこのうち病理診断管理加算1について確認していきます。
対象医療機関・対象患者や場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している範囲では、診療所・病院のいずれも対象で、外来・入院どちらの場面でも算定候補になり得ます。在宅医療の場面は対象になっていません。前提として、病理診断を専ら担当する常勤の医師が院内に勤務していることが必要です。
みらい(新人医療事務)
病気の種類による制限はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
特定の疾患に限定した加算ではありません。N006病理診断料を算定する組織診断・細胞診断のどちらにも上乗せの対象になり得る、体制評価の加算という位置づけです。
点数・コード

みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
N006病理診断料の基本部分と、病理診断管理加算1・2を並べてみます。
| 区分 | 点数 | 備考(令和8年度) |
|---|---|---|
| N006病理診断料 組織診断料 | 520点 | 基本部分 |
| N006病理診断料 細胞診断料 | 200点 | 基本部分 |
| 病理診断管理加算1(組織診断を行った場合) | 138点 | 注4・施設基準あり |
| 病理診断管理加算1(細胞診断を行った場合) | 69点 | 注4・施設基準あり |
| 病理診断管理加算2(組織診断を行った場合) | 368点 | 注4・施設基準あり(体制要件が加算1より厳格) |
| 病理診断管理加算2(細胞診断を行った場合) | 184点 | 注4・施設基準あり |
| 国際標準病理診断管理加算 | 10点 | 注6・加算1または2を算定した場合の上乗せ |
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2で、点数が結構違いますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。点数だけでなく体制の要件も異なります。次の施設基準のところで詳しく見ていきましょう。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準がいちばん気になります。何を満たせばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲で確認できる要件を整理します。まず、病理診断科を標榜している保険医療機関であることが前提です。
標榜要件の一次資料(疑義解釈)
質問: 病理診断管理加算1及び2の施設基準において、従前「病理部門が設置されており」とされていた部分が「病理診断科を標榜している保険医療機関であること。」と変更されたが、病理診断科を標榜していることを保健所に届け出ている必要があるのか。 回答: そのとおり。
みらい(新人医療事務)
標榜も保健所への届出が必要なんですね。「専ら担当する」医師については、外来診療を少しでも担当していたらダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは公式の疑義解釈で確認できます。
「専ら担当する」の判定(疑義解釈)
質問: 病理診断管理加算の施設基準における「病理診断を専ら担当する医師」について、勤務時間のうち少しでも外来診療を担当している場合は、一切認められないのか。 回答: 勤務時間の大部分において、それぞれ臨床検査、画像診断又は病理診断に携わる業務を行っていれば差し支えない。
みらい(新人医療事務)
なるほど、少しでも他業務をしたらアウト、というわけではないんですね。他の管理加算と兼任することはできますか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。疑義解釈では、検体検査管理加算の「専ら担当する医師」との兼任は不可とされています。
他の管理加算の担当医師との兼任は不可
質問: 病理診断料の病理診断管理加算の施設基準にある「病理診断を専ら担当する常勤の医師」は、検体検査管理加算(Ⅲ)及び(Ⅳ)の施設基準にある「臨床検査を専ら担当する医師」と兼任でもよいか。 回答: 兼任不可。 (当サイトが収録している一次資料の範囲では、この疑義解釈は検体検査管理加算との兼任について回答したものです。画像診断管理加算等、他の管理加算との兼任可否は個別に公式資料でご確認ください。)
みらい(新人医療事務)
常勤医師が院内に常にいないといけないんですか?在宅勤務とかは認められないんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは令和8年度の留意事項通知で、条件付きの取り扱いが示されています。
自宅等での病理診断に関する取り扱い(留意事項通知)
「病理診断管理加算1又は2の届出を行った保険医療機関において、病理診断を専ら担当する常勤の医師のうち当該保険医療機関において勤務する1名(病理診断管理加算2を算定する場合にあっては2名)を除いた病理診断を専ら担当する常勤の医師については、当該保険医療機関において常態として週3日以上、かつ、週22時間以上の勤務を行っている場合、当該勤務時間以外の所定労働時間については、自宅等の当該保険医療機関以外の場所で、デジタル病理画像の観察及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で観察を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する医師に報告した場合も病理診断料及び病理診断管理加算1又は2を算定できる」
あおい(元・医療事務)
つまり、院内に常勤する医師のうち少なくとも1名(加算2の場合は2名)は院内勤務が前提で、それ以外の医師について、一定の勤務要件を満たせば自宅等からのデジタル病理診断も認められる、という整理です。デジタル画像に基づく病理診断を行うにあたっては関係学会の指針を参考にすることや、病院の管理者が医師の勤務状況を適切に把握していることも求められています。
みらい(新人医療事務)
加算2は「体制要件が加算1より厳格」とありましたが、具体的にはどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
加算2に固有の要件として、複数の常勤医師による鏡検体制が疑義解釈で説明されています。ここは加算2に関する回答なので、加算1とは区別して確認してくださいね。
病理診断管理加算2の鏡検体制(疑義解釈・加算2に関する回答)
質問: 保険医療機関間の連携による病理診断及び病理診断管理加算2において、同一の病理組織標本について、病理診断を専ら担当する複数の常勤の医師が鏡検し、診断を行う体制が整備されていることとあるが、全ての病理組織診断に関して、複数の常勤の医師の鏡検が行われ、2名以上の署名が必要があるのか。 回答: 病理診断を専ら担当する複数の常勤の医師が鏡検し、診断を行う体制を求めるものであり、全ての病理組織標本に関して、複数の常勤の医師の鏡検が行われ、2名以上の署名を必要とするものではないが、臨床上の鑑別が困難な症例や頻度が低い症例等、複数医師による鏡検が必要と考えられる場合にあっては、複数の常勤の医師が鏡検し、それらの医師が署名をする必要がある。
みらい(新人医療事務)
加算1は基本的に常勤医師1名を軸にした体制、加算2は複数の常勤医師が関わる体制、というイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そう捉えると分かりやすいと思います。ただし施設基準の詳細な適合可否は個別の体制次第なので、最終的には自院の勤務表・届出書類で確認が必要です。
届出要否
みらい(新人医療事務)
届出は必須ですか?
あおい(元・医療事務)
必須です。施設基準に適合しているだけでは足りず、地方厚生局長等への届出が受理されて初めて算定候補になります。届出済みであれば候補になりますが、未届出の場合は体制が整っていても算定はできません。
届出前の算定に注意
施設基準に実質的に適合していても、届出が受理される前の期間は算定候補になりません。常勤医師の配置状況や標榜の届出日、施設基準の届出日をあわせて記録しておくことをおすすめします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングとか、回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈で回数の考え方が示されています。
算定回数の一次資料(疑義解釈)
質問: 病理診断料の病理診断管理加算については、病理診断料の算定1回につき、1回しか算定できないという理解でよいか。 回答: そのとおり。
みらい(新人医療事務)
病理診断料を算定するたびに、1回だけ加算できるということですね。他の医療機関と連携して病理診断をしている場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
保険医療機関間の連携による病理診断についても、疑義解釈で取り扱いが示されています。
医療機関間連携時の算定(疑義解釈)
質問: 保険医療機関間の連携による病理診断について、送付側として、病理診断管理加算を算定している保険医療機関が、病理診断管理加算を算定している受取側の保険医療機関と連携して病理診断を行うことは可能か。また、その際、病理診断管理加算については、受取側の保険医療機関における該当区分に従い、送付側で算定される病理診断料に加算するのか。 回答: そのとおり。
みらい(新人医療事務)
なるほど、受取側の届出区分に応じて、送付側が加算するんですね。届出をしていない医療機関同士の場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
その場合は算定が認められません。
未届出の医療機関間では算定不可
質問: N006に掲げる病理診断料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関間において行うときに限り算定するため、届出を行っていない医療機関は認められるか。 回答(要旨): 区分番号N006に掲げる病理診断料については、届け出た保険医療機関間において行うときに限り算定するため、届出を行っていない医療機関は認められない。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度のときから変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、病理診断管理加算1・2そのものの点数や施設基準の骨格について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。
みらい(新人医療事務)
何も変わっていないんですね。
あおい(元・医療事務)
加算1・2自体の骨格は確認されていませんが、同じN006病理診断料の区分の中では、令和8年度(2026年度)改定で「国際標準病理診断管理加算」という新しい上乗せ区分が新設されています。
関連する新設区分(医科点数表 N006 注6)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、注4に規定する病理診断管理加算1又は病理診断管理加算2を算定した場合は、国際標準病理診断管理加算として、10点を所定点数に加算する」
あおい(元・医療事務)
これは病理診断管理加算1または2の届出・算定が前提の別区分で、ISO15189に基づく病理学的検査分野の認定を受けていることなどが条件です。病理診断管理加算1自体の要件が変わったわけではなく、その上にもう一段の加算区分ができた、という整理になります。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
うちの病院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で整理していくと分かりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 病理診断を専ら担当する常勤の医師が院内に勤務しているか確認する
- その医師が他の管理加算(検体検査管理加算等)の「専ら担当する医師」を兼任していないか確認する
- 病理診断科を標榜し、保健所への届出も行っているか確認する
- 加算1・加算2どちらの体制要件(常勤医師の人数・鏡検体制)に該当するか整理する
- 施設基準の届出書類を整え、地方厚生局長等へ届け出る
- 届出が受理された日以降の分から、算定候補として扱う
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみます。
取り漏れやすいポイント
標榜の保健所届出の見落とし: 病理診断科の標榜は、保健所への届出まで済んでいないと施設基準を満たしたことになりません。 兼任のチェック漏れ: 病理診断を専ら担当する医師が、検体検査管理加算の担当医師を兼任していないか、勤務体制を確認する必要があります。 未届出の連携先との算定: 連携先の医療機関が施設基準の届出を行っていない場合、病理診断料そのものが算定できない可能性があります。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
今回の内容は、以下の公式資料をもとに整理しています。
参照した公式資料
医科点数表 別表第一(令和8年度・厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf 疑義解釈資料の送付について 一覧ページ(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する国際標準病理診断管理加算や、同じ「専ら担当する医師」の体制を評価する画像診断管理加算1も、あわせて確認しておくと整理しやすいと思います。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。