みらい(新人医療事務)
「無菌製剤処理料」って名前を初めて見たんですけど、これって何をしたら算定候補になる項目なんですか?
あおい(元・医療事務)
抗がん剤などを注射で使うときに、無菌の環境で薬剤を調整・処理した場合に算定候補になる項目です。令和8年度の点数表では第6部「注射」の第2款に位置づけられていて、細胞毒性のある抗悪性腫瘍剤を扱うときや、免疫力が低下している患者さんに中心静脈注射などを行うときに関係してきます。
みらい(新人医療事務)
「無菌製剤処理」って、具体的にはどういう作業のことを指すんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネットといった無菌環境で、無菌化した器具を用いて薬剤を処理することと説明されています。原文では「無菌製剤処理とは、無菌室、クリーンベンチ、安全キャビネット等の無菌環境において、無菌化した器具を用いて、製剤処理を行うことをいう。無菌製剤処理は、常勤の薬剤師が行うとともに、その都度、当該処理に関する記録を整備し、保管しておくこと。」とされています。
みらい(新人医療事務)
「常勤の薬剤師が行う」って書いてありますね。非常勤の薬剤師さんだと対象外になってしまうんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
原文で明記されているのは「常勤の薬剤師が行う」という点までです。非常勤の薬剤師の扱いについて資料内で直接言及されている箇所は確認できていないので、自院の薬剤師の勤務形態によって扱いが変わる可能性がある論点として、届出前に地方厚生局や審査支払機関に確認しておくと安心です。
対象になる医療機関・患者はどこまで?
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですけど、無菌製剤処理料って病院じゃないと算定候補にならないイメージがあります。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、診療所・病院のどちらも対象になっていて、外来・入院のいずれの場面でも算定候補になり得る項目として整理されています。訪問診療(在宅)の場面は今回の整理の対象外です。ポイントは「どの患者に、どの注射を行うか」という区分で、医療機関の規模そのものが直接の判定基準にはなっていません。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんは、具体的にどう決まるんですか?
あおい(元・医療事務)
無菌製剤処理料は「1」と「2」の2区分があって、それぞれ対象患者の考え方が違います。無菌製剤処理料1の対象患者について、留意事項通知には「無菌製剤処理料1の対象患者は、悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有するものに関し、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、動脈注射、抗悪性腫瘍剤局所持続注入、肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入、脳脊髄腔注射、点滴注射又は薬液膀胱内注入が行われる患者であり」と説明されています。
みらい(新人医療事務)
つまり抗がん剤を使う患者さん全般ってことですか?
あおい(元・医療事務)
「悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有するもの」という限定が付いています。すべての抗がん剤治療がそのまま対象になるとは言い切れず、使用する薬剤が該当するかどうかは処方内容ごとに確認が必要です。薬剤の該当性は院内の薬剤師と一緒に確認する場面になると思います。
みらい(新人医療事務)
無菌製剤処理料2の方はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
2の対象患者は、抗がん剤とは別の切り口で、入院患者の血液疾患や免疫不全の状態、あるいは中心静脈注射を行う患者が対象になっています。留意事項通知の原文では「無菌製剤処理料2の対象患者は、以下のア又はイに該当する患者である。ア 動脈注射又は点滴注射が行われる入院中の患者のうち、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等の患者及び後天性免疫不全症候群の病原体に感染し抗体の陽性反応がある患者であって、無菌治療室管理加算若しくはHIV感染者療養環境特別加算を算定するもの又はこれらの患者と同等の状態にあるもの イ 中心静脈注射又は植込型カテーテルによる中心静脈注射が行われる患者」とされています。
みらい(新人医療事務)
「無菌治療室管理加算を算定するもの」っていう条件、ちょっと難しいです……。
あおい(元・医療事務)
無菌治療室管理加算を算定している患者さん、あるいはHIV感染者療養環境特別加算を算定している患者さんが対象という意味です。院内で無菌治療室管理加算を届け出て運用している医療機関であれば、その対象患者の一部が無菌製剤処理料2の対象患者とも重なってくる、という位置づけになります。イの中心静脈注射の場合は、そうした加算の算定有無に関係なく対象患者になり得る点が1と少し違うところです。

点数はいくらになるの?
みらい(新人医療事務)
肝心の点数なんですけど、いくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、無菌製剤処理料1と2で点数が分かれていて、さらに1は閉鎖式接続器具を使ったかどうかでも点数が変わります。告示の原文では「G020 無菌製剤処理料 1 無菌製剤処理料1(悪性腫瘍に対して用いる薬剤が注射される一部の患者) イ 閉鎖式接続器具を使用した場合 180点 ロ イ以外の場合 45点 2 無菌製剤処理料2(1以外のもの) 40点」とされています。
みらい(新人医療事務)
表にしてもらえると分かりやすいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数は次の表のとおりです。1日につき、患者の区分に応じた点数を算定する形です。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 無菌製剤処理料1 イ | 閉鎖式接続器具を使用した場合 | 180点 |
| 無菌製剤処理料1 ロ | イ以外の場合 | 45点 |
| 無菌製剤処理料2 | 1以外の対象患者(血液疾患・中心静脈注射等) | 40点 |
| 注2加算 | 投与時閉鎖式接続器具使用加算(施設基準適合時) | +150点 |

点数の考え方の整理
1日につき: 告示注1に「当該患者に係る区分に従い1日につき所定点数を算定する」とあり、算定単位は1日単位です。閉鎖式接続器具の有無: 無菌製剤処理料1は、バイアル内外の差圧を調整して薬剤の飛散を防ぐ閉鎖式接続器具を使ったかどうかで180点と45点に分かれます。
みらい(新人医療事務)
表の一番下の「投与時閉鎖式接続器具使用加算」って何ですか?別の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
無菌製剤処理料の「注2」として規定されている加算です。告示の原文では「2 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合している保険医療機関において、1のイを実施した場合であって、患者への投与時にも閉鎖式接続器具を用いた場合は、投与時閉鎖式接続器具使用加算として、150点を所定点数に加算する。」とされています。薬剤の調製時だけでなく、患者さんへの投与時にも閉鎖式接続器具を使った場合に上乗せされる加算、という位置づけです。留意事項通知でも同様に、無菌製剤処理料1のイの対象患者に対して、調製時と投与時の両方で閉鎖式接続器具を使った場合に算定するとされています。
施設基準・届出はどう確認すればいい?
みらい(新人医療事務)
施設基準とか届出とか、正直このあたりが一番不安です。何を確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
まず大前提として、無菌製剤処理料そのものが「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」で算定候補になる、という建て付けです。届出をしていない場合は、実際に無菌環境で処理をしていても算定候補にならない可能性があるので、届出状況の確認がまず最初のステップになります。
みらい(新人医療事務)
届出さえ済んでいれば、あとは何も気にしなくて大丈夫ですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。届出は「入り口」であって、実際の運用が留意事項通知の要件(常勤薬剤師が処理を行うこと、処理ごとの記録を整備・保管すること、安全キャビネットなど無菌環境を使うこと)を満たしているかどうかは、日々の運用でチェックしていく必要があります。届出済みであれば算定候補にはなりますが、記録や体制が伴っていないと審査で疑義が生じる可能性があるので、「届出+日々の記録」の両方が必要というイメージを持っておくとよいと思います。
施設基準・届出は自院での確認が必須
本記事で紹介した施設基準・対象患者の考え方は、厚生労働省の告示・留意事項通知に基づく一般的な整理です。実際に自院が施設基準を満たしているか、届出が受理されているかどうかは、記事だけでは判断できません。届出済みであれば算定候補になりますが、最終的な判断は地方厚生局への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
閉鎖式接続器具を使ったときは、何か特別に記録しないといけないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこも留意事項通知に明記されています。原文では「閉鎖式接続器具を使用した場合は、当該器具の製品名及び数量を(1)に基づき記録すること。」とされています。つまり、閉鎖式接続器具を使う場合は「どの製品を、いくつ使ったか」まで記録に残しておく必要がある、ということです。また、閉鎖式接続器具については「薬剤の漏出防止性能を有するものとして薬事承認された医療機器を用いることが望ましい」ともされているので、使用する製品選びの参考になります。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多くて整理しきれないので、確認する順番を教えてください。
あおい(元・医療事務)
無菌製剤処理料の確認は、次のような順番で進めるとやりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 施設基準の届出状況を確認する(届出済みかどうか、地方厚生局への確認)
- 常勤の薬剤師が無菌環境(無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネット等)で処理を行う体制になっているか確認する
- 対象患者が無菌製剤処理料1(悪性腫瘍・細胞毒性を有する薬剤)か2(血液疾患等の入院患者・中心静脈注射)のどちらの区分に当たるかを確認する
- 閉鎖式接続器具を使用する場合は、製品名・数量の記録が整備されているか確認する
- 投与時閉鎖式接続器具使用加算の算定候補になるか(調製時・投与時の両方で閉鎖式接続器具を使っているか)を確認する
みらい(新人医療事務)
この順番なら、自分の病院がどこまでできているか整理しやすそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に3番目の「対象患者の区分」を誤ると、点数の取り違えにつながりやすいので、処方内容と患者さんの状態をセットで確認する習慣をつけておくと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみます。
取り漏れが起きやすいポイント
記録の整備漏れ: 無菌製剤処理を行った事実だけでなく、処理ごとの記録(誰が・いつ・どの薬剤を処理したか)を整備・保管していないと、算定の根拠が弱くなります。閉鎖式接続器具使用時の記録漏れ: 製品名・数量の記録が抜けていると、180点や投与時閉鎖式接続器具使用加算の算定候補として整理しづらくなります。対象患者区分の取り違え: 無菌製剤処理料1と2は対象患者の考え方が異なるため、区分を誤ると点数の取り違えにつながる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
逆に、「これは算定候補にならなさそう」という場面もありますか?
あおい(元・医療事務)
たとえば、施設基準の届出をしていない場合や、無菌環境を使わずに通常の調剤室で処理している場合は、対象外の可能性が高いと考えられます。ただし、これも個別の運用によって判断が分かれる部分があるので、「対象外の可能性がある」という前提で、自院の状況を具体的に照らし合わせて確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、無菌製剤処理料って何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(厚生労働省の告示・留意事項通知)の範囲で確認した限りでは、無菌製剤処理料1・2の点数区分、投与時閉鎖式接続器具使用加算の考え方について、前回改定(令和6年度)からの主な変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。今後、疑義解釈や訂正通知などで内容が更新される可能性もあるため、算定にあたっては常に最新の一次資料を確認するようにしてください。
関連する加算もあわせて確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
無菌製剤処理料以外にも、関連しそうな加算があれば知りたいです。
あおい(元・医療事務)
無菌製剤処理料2の対象患者の判定に関わってくる無菌治療室管理加算や、抗がん剤治療の外来対応に関わる外来腫瘍化学療法診療料は、あわせて確認しておくと自院の算定候補の全体像がつかみやすくなると思います。
参考にした公式資料
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どこの資料を見て書いているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬改定の告示を一次資料として整理しています。無菌製剤処理料の点数や算定要件(注1・注2)は、診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)に基づいています。対象患者の細かい区分や記録の要件は留意事項通知に基づいていますが、改定に伴いPDFのリンクが変更されているため、最新の該当箇所は厚生労働省の令和8年度改定特設ページで確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。