みらい(新人医療事務)
院長から「局所穿刺療法併用加算って何ですか」って聞かれて、答えられませんでした…。うちは入院の外科系の請求も見ているので、知っておかないとまずいですよね。
あおい(元・医療事務)
大丈夫ですよ、一緒に整理しましょう。局所穿刺療法併用加算は、手術(K695 肝切除術)の中で登場する加算です。肝臓の悪性腫瘍に対して、切除に加えて局所穿刺による焼灼・凝固の処置を同じ手術の中で行った場合に、所定点数に上乗せする加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
「局所穿刺」って言葉だけ聞くと、注射みたいなイメージなんですが…。
あおい(元・医療事務)
感覚としては近いです。K697-2 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法、またはK697-3 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法という、皮膚や体腔から針状の器具を刺して腫瘍を焼く・固める処置のことです。肝切除術(K695)を行う際に、これらのどちらかを併せて実施したときに、局所穿刺療法併用加算として6,000点が所定点数に加算される、という組み合わせ算定の加算になります。年度は令和8年度(2026年度)でご説明しますね。
この加算はどんな場面で出てくるのか
みらい(新人医療事務)
具体的には、どういう患者さんのケースで出てくるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
肝臓の悪性腫瘍(主に肝細胞がんや転移性肝がんなど)に対して、外科的に肝切除術を行う際、切除した部分の近くや切除しきれない範囲に対して、追加でマイクロ波凝固やラジオ波焼灼を組み合わせて治療するようなケースで出てきます。切除と焼灼・凝固を1回の手術の中で組み合わせることで治療効果を高める、という術式上の工夫に対する評価と考えるとイメージしやすいと思います。
みらい(新人医療事務)
ということは、外来で完結する話ではないですよね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この加算はカグヤに登録されている情報では、対象は病院・入院に限られており、外来では算定対象になっていません。診療所での算定対象にもなっていません。まずは「入院での肝切除術のときに出てくる加算」という前提を押さえておくと整理しやすいです。
対象の前提(確認ポイント)
対象医療機関: 病院(入院での手術が前提) 対象患者: K695肝切除術を受ける患者のうち、K697-2またはK697-3を併せて実施したケース 対象外の可能性: 診療所・外来のみの場面、肝切除術を伴わない単独の焼灼・凝固のみのケース
点数はどうなっているのか
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
局所穿刺療法併用加算そのものは、6,000点です。ただしこれは「加算」なので、ベースになるK695 肝切除術の所定点数に上乗せする形になります。K695自体の点数は術式によって幅があるので、表で見てみましょう。
| 区分 | 点数(令和8年度) |
|---|---|
| K695 部分切除(単回の切除によるもの) | 38,040点 |
| K695 部分切除(複数回の切除を要するもの) | 43,340点 |
| K695 亜区域切除 | 63,030点 |
| K695 外側区域切除 | 46,130点 |
| K695 1区域切除(外側区域切除を除く) | 60,700点 |
| K695 2区域切除 | 76,210点 |
| K695 3区域切除以上のもの | 97,050点 |
| K695 2区域切除以上・血行再建を伴うもの | 126,230点 |
| 局所穿刺療法併用加算 | 6,000点 |
みらい(新人医療事務)
K697-2やK697-3自体にも点数があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、それぞれ単独で行う場合の点数が別に定められています。ただし今回の局所穿刺療法併用加算は、あくまで「K695の所定点数に加算する」形なので、K697-2やK697-3の点数をそのまま別立てで足すという意味ではありません。混同しやすいところなので、参考として整理しておきますね。
| 区分 | 点数(令和8年度) |
|---|---|
| K697-2 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法(腹腔鏡によるもの) | 18,710点 |
| K697-2 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法(その他のもの) | 17,410点 |
| K697-3 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm以内・腹腔鏡) | 16,300点 |
| K697-3 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm以内・その他) | 15,000点 |
| K697-3 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm超・腹腔鏡) | 23,260点 |
| K697-3 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm超・その他) | 21,960点 |

点数の読み違いに注意
局所穿刺療法併用加算の6,000点は、K695肝切除術の所定点数に対する「加算」です。K697-2・K697-3の点数を単純に合算するものではありません。レセプト入力の際は、K695の区分(部分切除か区域切除かなど)と、併せて実施した処置がK697-2かK697-3かの2点を、公式資料の記載と突き合わせて確認してください。
施設基準・届出は必要なのか
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出とかは必要になるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
カグヤに登録されている情報を見る限り、この局所穿刺療法併用加算については、施設基準の届出は求められていません。特掲診療料の施設基準として個別の届出様式が用意されているタイプの加算ではなく、K695という手術の中の「注」として、要件を満たせば加算される形になっています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしでそのまま算定していいということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に言い換えたいところです。「届出が不要」という情報自体は確認できていますが、だからといって「何も確認せず算定できる」という意味ではありません。K695という手術の術式区分や、K697-2・K697-3のどちらを行ったかという実施内容の記録が前提になりますので、届出の有無とは別に、実施内容の記録・摘要欄への記載の要否は自院のカルテ・レセプト担当と確認いただくのが確実です。
届出不要でも確認は必要
届出が不要な加算であっても、実施した処置の内容・タイミングをカルテとレセプトに正確に記録できているかどうかは別問題です。「届出がいらないから確認しなくていい」ではなく、「実施記録が加算の要件に対応しているか」を確認する、という意識で臨んでください。
算定のタイミングと併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングって、いつが基準になるんですか。
あおい(元・医療事務)
公式資料の記載では「区分番号K697-2に掲げる肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法又は区分番号K697-3に掲げる肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法を併せて実施した場合」に、局所穿刺療法併用加算として6,000点を所定点数に加算する、とされています。つまり、K695肝切除術と同一の手術の中で、K697-2かK697-3のどちらかを併せて実施したタイミングが基準になります。
みらい(新人医療事務)
K697-2とK697-3を両方やった場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは important な確認ポイントです。K697-2とK697-3自体は、公式資料上「主たるもののみ算定する」という取り扱いが定められている処置です。局所穿刺療法併用加算についても、今回確認できた資料の範囲では「K697-2又はK697-3」という書き方になっており、いずれか一方の実施を前提にした加算と読めます。両方を行った場合の加算の重複算定可否については、この記事の範囲では断定を避けたいので、審査支払機関や公式の留意事項通知で改めて確認してください。
よくある取り漏れ・思い込み
K697単独実施との混同: K697-2・K697-3を単独で行っただけでは、この加算の対象にはなりません。K695肝切除術との併施が前提です。 摘要欄の記載漏れ: どちらの処置を併せて実施したか(K697-2かK697-3か)を摘要欄で明確にできているか、レセプト提出前に確認してください。 重複算定の思い込み: K697-2とK697-3を両方実施したケースでの加算の扱いは、資料の記載だけでは断定できません。確認が必要です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で算定候補になるか確認するとしたら、どういう順番で見ていけばいいですか。
あおい(元・医療事務)
次のようなステップで確認していくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 対象の患者にK695肝切除術(部分切除・区域切除等いずれか)を実施したか確認する
- 同一の手術の中で、K697-2肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法またはK697-3肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法のいずれかを併せて実施したか確認する
- K697-2とK697-3を両方実施したケースに該当しないか確認し、該当する場合は公式の留意事項通知・審査支払機関に加算の扱いを確認する
- 実施内容がカルテと摘要欄に記録されているかを確認し、局所穿刺療法併用加算の算定候補として整理する

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。今回、カグヤに登録済みの令和8年度の公式資料(医科点数表・K695の注)は確認できましたが、令和6年度からの本加算に関する変更点(点数の変更、算定要件の変更、新設・廃止の有無など)を裏付ける一次資料までは、今回の執筆時点では確認できていません。前回改定(令和6年度)時点の資料との突き合わせは、厚生労働省の「個別改定項目について」や告示の新旧対照表で確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていない」と言い切れるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。現時点で確認できているのは令和8年度の内容までなので、「変更なし」と断定するのではなく、「前回改定からの変更点は、今回確認した資料の範囲では特定できていません(要確認)」という言い方にとどめておきます。前回改定時の状況が気になる場合は、自院で厚生労働省の公式資料を直接確認いただくか、加算チェッカー でお問い合わせください。
改定差分は未確認(要確認)
本加算の令和6年度からの変更点(新設・点数変更・算定要件の変更など)は、今回執筆時点で参照できた公式資料の範囲では確認できていません。前回改定時との比較が必要な場合は、厚生労働省の公式資料(個別改定項目について・新旧対照表)を必ず直接ご確認ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をいくつか聞いてもいいですか。
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えますね。
みらい(新人医療事務)
診療所や外来でもこの加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
カグヤに登録されている情報では、この加算は病院・入院が対象で、診療所や外来は対象になっていません。まずはこの前提を確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていないとダメですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できた情報では、この加算自体に施設基準の届出は求められていません。ただし、K695肝切除術やK697-2・K697-3といったベースとなる手術・処置そのものに別途の施設基準・届出が求められていないかは、各手術・処置ごとの規定を個別に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
K697-2とK697-3を両方実施したらどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
この記事の範囲では断定できません。K697-2・K697-3同士は「主たるもののみ算定する」という取り扱いが定められていますが、局所穿刺療法併用加算への影響は公式の留意事項通知や審査支払機関への確認をおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。K695肝切除術の術式区分や、K697-2・K697-3のどちらを併せて実施したかを入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。