みらい(新人医療事務)
あおいさん、「消化管ポリポーシス加算」という加算、初めて見ました。これはどんな時に算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
これはK721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の注1に規定されている加算です。厚生労働省の告示では「家族性大腸腺腫症の患者に対して実施した場合は、消化管ポリポーシス加算として、年1回に限り5,000点を所定点数に加算する」とされています。手術そのものの点数に、条件を満たした場合だけ上乗せされる加算、というイメージです。
みらい(新人医療事務)
家族性大腸腺腫症というのは、名前からして遺伝性の病気っぽいですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。大腸に多数の腺腫(ポリープ)ができる疾患として知られています。ただ、病態そのものの医学的な判断は医師が行うものであり、私たち事務スタッフの役割は、算定要件に当てはまっているかどうかを診療録や告示・通知に基づいて確認することです。今日は、この加算がどんな条件で算定候補になるのか、一緒に整理していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、うちのようなクリニックでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算自体に医療機関の病床規模などの限定は確認できていません。診療所・病院のいずれも対象になり得ますし、入院・外来のどちらの場面でも算定候補になります。ただし在宅の場面はこの加算の対象にはなりません。あくまでK721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術という手術行為に付随する加算だからです。
みらい(新人医療事務)
つまり、その手術ができる医療機関であることが前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。そのうえで、対象になる患者さんの要件を満たしているかどうかが算定候補のポイントになります。次の章で確認していきましょう。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数も確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示に基づく点数はこちらの表のとおりです。
| 区分 | 内容 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| K721 1 | 長径2センチメートル未満 | 5,000点 | 第1回目の実施日に1回 |
| K721 2 | 長径2センチメートル以上 | 7,000点 | 第1回目の実施日に1回 |
| 注1 | 消化管ポリポーシス加算 | 5,000点 | 年1回に限り |
| 注2 | バルーン内視鏡加算 | 450点 | 条件を満たした場合 |
| 注3 | 病変検出支援プログラム加算 | 60点 | 一連の検査につき1回 |
みらい(新人医療事務)
消化管ポリポーシス加算だけでも本体の点数と同じくらいの点数になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。だからこそ、対象患者の要件を正確に確認することが大切になります。次の章で、その要件を詳しく見ていきましょう。
対象患者の要件(4つの条件)

みらい(新人医療事務)
さっき「条件を満たした場合」とおっしゃっていましたが、具体的にはどんな条件なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、「『注1』に規定する消化管ポリポーシス加算は、以下のいずれも満たす家族性大腸腺腫症患者に対して内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術を行った場合、年1回に限り算定できる」と記載されています。条件は4つです。まず「ア」は年齢の条件で、16歳以上であることとされています。
みらい(新人医療事務)
16歳未満だと対象外の可能性があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。次に「イ」は腺腫の数の条件で、大腸に腺腫が100個以上あることとされています。通知には「手術又は内視鏡により摘除された大腸の腺腫の数を合算しても差し支えない」ともありますので、1回の処置だけでなく、これまでの摘除数を合算して判断できる余地があります。
みらい(新人医療事務)
残り2つの条件も教えてください。
あおい(元・医療事務)
「ウ」は大腸切除の手術が実施された場合の条件で、大腸が10センチメートル以上残存していることとされています。そして「エ」は大腸の三分の一以上が密生型ではないこと、という条件です。通知では密生型について「大腸内視鏡所見において、十分に進展させた大腸粘膜を観察し、正常粘膜よりも腺腫の占拠面積が大きい場合をいう」と定義されています。
みらい(新人医療事務)
4つとも満たさないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、通知には「以下のいずれも満たす」と明記されていますので、ア〜エの4条件すべてを満たすことが前提になります。1つでも満たさない場合は、対象外の可能性が高くなると考えられます。ただし、腺腫の個数や密生型かどうかの判断は診療録・内視鏡所見に基づく医学的な評価になりますので、算定候補かどうかは医師の診療記録とあわせて確認が必要です。
摘除の範囲についての注意
みらい(新人医療事務)
4条件を満たしていれば、それだけで算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
もう一つ大事な条件があります。留意事項通知には、「『注1』の消化管ポリポーシス加算を算定する場合は、長径1㎝を超える大腸のポリープを基本的に全て摘除すること」と記載されています。つまり、見つかった長径1センチメートル超のポリープを基本的にすべて処置したうえでの算定、という前提になっています。
みらい(新人医療事務)
一部だけ切除した場合はどうなるんでしょう…?
あおい(元・医療事務)
そこまでの詳細な例外規定は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。確認が必要な論点ですので、判断に迷う場合は診療録の記載内容を踏まえて、審査支払機関等に確認することをおすすめします。
届出要否
みらい(新人医療事務)
この加算そのものに、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、消化管ポリポーシス加算そのものに独立した施設基準の届出は確認できていません。K721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術という基本術式が算定できる医療機関であれば、対象患者の要件を満たした場合に算定候補になる、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
届出が不要なら、条件さえ満たせばすぐ算定できそうですね。
あおい(元・医療事務)
条件を満たしていることが前提ですが、届出関連の情報は改定や告示で変わることがありますので、最新の届出状況・施設基準は自院で必ず確認してください。届出が不要な加算だからこそ、逆に算定要件の充足を診療録側できちんと記録しておくことが大切になります。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
算定回数・併算定の注意
消化管ポリポーシス加算は、年1回を上限とする加算です。K721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術自体も、短期間または同一入院期間中に複数回実施した場合であっても、回数にかかわらず第1回目の実施日に1回に限り算定するとされています。バルーン内視鏡加算・病変検出支援プログラム加算は、それぞれ別の実施条件を満たした場合の加算候補であり、消化管ポリポーシス加算と自動的にセットで算定できるものではありません。算定可否は個々の実施内容に応じて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
併算定できる可能性がある加算もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
K721の注2にバルーン内視鏡加算、注3に病変検出支援プログラム加算が規定されています。これらはそれぞれ別の実施条件を満たした場合の加算候補です。バルーン内視鏡加算は、大腸ファイバースコピーを実施したものの腹腔内の癒着等で病変部位まで到達できなかった場合に、バルーン内視鏡を用いて実施したときの加算候補として整理されています。あわせて確認しておくとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
消化管ポリポーシス加算とは対象になる場面が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。3つの加算はそれぞれ独立した条件を持っていますので、実施した内容ごとに個別に確認することが大切です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算って何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、消化管ポリポーシス加算そのものについて、前回改定(令和6年度・2024年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省告示および留意事項通知ベース)。K721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術という区分自体の点数や、注2・注3の加算については別途の改定影響を受けている可能性がありますので、術式全体の点数表は都度最新のものを確認してください。
みらい(新人医療事務)
変更がないというのも、確認できてよかったです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。「変更がない」ということも、一次資料で確認したうえで初めて言えることです。思い込みで「変わっていないはず」と判断しないよう、改定のたびにあらためて確認する習慣が大切です。
自院チェックリスト

みらい(新人医療事務)
最後に、うちのクリニックが算定候補になるか確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
対象の手術がK721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術に該当するかを確認する
-
患者が家族性大腸腺腫症と診断されているかを診療録で確認する
-
患者が16歳以上であるかを確認する
-
大腸の腺腫が100個以上あるか(摘除数の合算を含む)を診療録・内視鏡所見で確認する
-
大腸切除歴がある場合は、残存大腸が10センチメートル以上かを確認する
-
大腸の3分の1以上が密生型でないかを内視鏡所見で確認する
-
長径1センチメートルを超えるポリープを基本的にすべて摘除したかを診療録で確認する
-
過去1年以内に同加算を算定していないか、レセプト履歴で確認する
みらい(新人医療事務)
8つも確認項目があるんですね…。
あおい(元・医療事務)
一つひとつは難しくありませんが、抜け漏れがあると算定要件を満たせていない状態になってしまいます。診療録への記載を丁寧に残しておくことが、後から見返す際にも役立ちます。
よくある取り漏れ
よくある取り漏れポイント
腺腫の個数が複数回の処置の合算で100個以上になっているのに、合算せずに1回分だけで判断して算定を見送ってしまうケースがあります。また、密生型かどうかの内視鏡所見の記載が診療録に残っておらず、後から算定要件を確認できないケースも見られます。長径1センチメートル超のポリープを一部残した状態で算定してしまうと、要件を満たさない可能性がありますので注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療録への記載が本当に大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。算定要件を満たしていても、記録が残っていなければ後から確認できません。実施時点で丁寧に記載しておくことをおすすめします。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(K721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術・告示) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)関連の令和8年度診療報酬改定に係る告示・通知一覧ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の要件や実施内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。