みらい(新人医療事務)
先輩、輸血のレセプトを見ていたら「コンピュータクロスマッチ加算」という項目を初めて見ました。これは輸血をしたら毎回算定していいものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いい着眼点です。コンピュータクロスマッチ加算は、K920輸血の注8に基づく加算です。輸血に伴ってコンピュータクロスマッチという方法で交叉適合の確認を行った場合に、1回につき30点を所定点数に加算します。令和8年度の医科点数表でも同じ枠組みで規定されていますよ。
みらい(新人医療事務)
「コンピュータクロスマッチ」って、血液交叉試験とは違う検査方法なんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。輸血する血液と患者さんの血液が適合するかを確認する方法には、用手法の血液交叉試験、間接クームス検査、そしてコンピュータでデータを照合するコンピュータクロスマッチの3種類があります。どの方法を実施したかによって、算定できる加算が変わってきます。コンピュータクロスマッチを行った場合は、血液交叉試験加算や間接クームス検査加算とは同時に算定できません。まずは自院の検査部門がどの方法を採用しているかを確認することが、算定候補への第一歩です。
コンピュータクロスマッチ加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどういう場面を想定して作られたものなんですか?
あおい(元・医療事務)
輸血を行う前には、輸血する血液(供血者の血液や保存血)と患者さんの血液が適合するかどうかを確認する必要があります。この確認方法の1つとして、血液型やこれまでの検査記録などのデータをコンピュータで照合し、適合を確認する方法があり、これがコンピュータクロスマッチです。K920輸血の注8には、輸血に伴って血液交叉試験、間接クームス検査又はコンピュータクロスマッチを行った場合の加算がまとめて規定されており、それぞれの点数が個別に定められています。
みらい(新人医療事務)
条文には具体的にどう書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、次のように記載されています。「輸血に伴って、血液交叉試験、間接クームス検査又はコンピュータクロスマッチを行った場合は、血液交叉試験加算、間接クームス検査加算又はコンピュータクロスマッチ加算として、1回につき30点、47点又は30点をそれぞれ加算する。」(厚生労働省 医科点数表 K920輸血 注8)
みらい(新人医療事務)
なるほど、3つの加算が同じ注釈の中でセットになっているんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。3つは実施した検査方法に応じた選択制のような関係になっています。次の章で、どんな医療機関・場面が対象になるかを見ていきましょう。
対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
この加算はクリニックでも算定候補になるんですか? それとも入院している病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関や対象患者を限定する記載は見当たりません。輸血(K920)を行った上で、コンピュータクロスマッチを実施したかどうかが算定候補の分かれ目になります。診療所・病院のいずれでも、外来・入院のいずれでも、輸血とコンピュータクロスマッチの実施があれば算定候補になり得ます。
みらい(新人医療事務)
在宅医療の場面ではどうですか?
あおい(元・医療事務)
在宅で輸血そのものを行うケースは限定的なので、当サイトの整理では在宅医療の対象としては扱っていません。輸血を実施する場面かどうかが、まず前提になるとイメージしてください。
みらい(新人医療事務)
対象患者に年齢制限のようなものはありますか?
あおい(元・医療事務)
コンピュータクロスマッチ加算そのものに年齢の限定はありません。ただしK920輸血には、6歳未満の乳幼児加算など別の加算も規定されているので、輸血全体としては年齢によって算定候補になる項目が増える場合があります。コンピュータクロスマッチ加算はあくまで「交叉適合の確認方法」で決まる加算だと理解しておくと整理しやすいですね。
点数とコード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。令和8年度の医科点数表をもとにまとめると、次のようになります。
| 加算名 | 点数 | 算定単位 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 血液交叉試験加算 | 30点 | 1回につき | K920輸血 注8 |
| 間接クームス検査加算 | 47点 | 1回につき | K920輸血 注8 |
| コンピュータクロスマッチ加算 | 30点 | 1回につき | K920輸血 注8 |
みらい(新人医療事務)
マスターコードも確認できますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、コンピュータクロスマッチ加算のマスターコードは150404970として整理されています。実際のレセプト入力時は、お使いのレセプトコンピュータや医科診療行為マスターで最新のコードを必ず確認してください。

みらい(新人医療事務)
コンピュータクロスマッチ加算と血液交叉試験加算、どちらも30点で同じなんですね。
あおい(元・医療事務)
点数は同じですが、算定できる場面は排他的です。ここは後の章で詳しく確認していきましょう。
施設基準・届出の考え方
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、何か届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、コンピュータクロスマッチ加算そのものに個別の届出や施設基準は確認されていません。K920輸血の実施に伴う加算という位置づけで、輸血自体を行っていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
届出なしで算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
「届出なしで問題ない」と言い切るのではなく、輸血管理料など関連する項目の届出状況によって病院全体の輸血体制の扱いが変わる場合があるため、自院の輸血に関する届出状況や運用ルールを事務部門・検査部門で確認しておくことをおすすめします。個別の届出要否の最終判断は、自院の届出台帳と地方厚生局への確認が必要です。
届出確認のポイント
コンピュータクロスマッチ加算自体: 当サイトの一次資料の範囲では個別届出の記載なし。 輸血管理料等の関連加算: 別途施設基準・届出が必要な場合があるため、輸血に関わる加算をまとめて自院の届出台帳で確認する。
実施要件と併算定の注意点(血液交叉試験加算・間接クームス検査加算との関係)
みらい(新人医療事務)
コンピュータクロスマッチを算定するために、何か守るべき手順みたいなものはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。当サイトが収録している一次資料の範囲では、次のように記載されています。「『注8』のコンピュータクロスマッチ加算は、(15)に規定する『輸血療法実践ガイド』を遵守してコンピュータクロスマッチを実施した場合に算定する。」(厚生労働省 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について K920輸血)ここでいう「輸血療法実践ガイド」は、日本輸血・細胞治療学会が示しているガイドを指すものとして記載されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、ただコンピュータでデータを照合すればいいわけではなく、そのガイドに沿って実施している必要があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。検査部門で運用しているコンピュータクロスマッチの手順が、このガイドに沿ったものになっているかを確認しておくことが、算定候補の前提になります。
みらい(新人医療事務)
さっき「排他的」とおっしゃっていましたが、具体的にどういう関係なんですか?
あおい(元・医療事務)
K920輸血 注8の条文には次のように明記されています。「ただし、コンピュータクロスマッチを行った場合は、血液交叉試験加算及び間接クームス検査加算は算定できない。」(厚生労働省 医科点数表 K920輸血 注8)つまり、コンピュータクロスマッチを実施した回については、血液交叉試験加算と間接クームス検査加算は同時に算定できません。3つの加算のうち、実際に行った検査方法に対応する1つだけが算定候補になるという整理です。
みらい(新人医療事務)
自家採血と保存血で、算定単位に違いはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認したいところです。留意事項通知には、血液交叉試験又は間接クームス検査の加算について「自家採血を使用する場合にあっては、供血者ごとに、保存血を使用する場合にあっては、血液バッグ(袋)1バッグごとにそれぞれ算定する」という単位の考え方が示されています。ただしこの記載は条文上、血液交叉試験加算・間接クームス検査加算を名指ししたものであり、コンピュータクロスマッチ加算を直接指しているわけではありません。コンピュータクロスマッチ加算については、注8本文にある「1回につき30点」という記載が算定単位の基本になりますので、自家採血・保存血の別による数え方の違いがあるかどうかは、自院の届出台帳や審査支払機関への確認をおすすめします。
併算定・算定単位の注意
コンピュータクロスマッチを実施した回は、血液交叉試験加算・間接クームス検査加算のいずれも算定できません(K920輸血 注8)。また、コンピュータクロスマッチの実施は「輸血療法実践ガイド」の遵守が前提とされているため、検査部門の運用手順が条件を満たしているかの確認が必要です。自家採血・保存血による算定単位の細かな数え方については、条文上コンピュータクロスマッチ加算を直接名指ししたものが確認できていないため、自院での個別確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
検査部門と事務部門で「どの方法をやったか」の情報共有がずれると、算定ミスにつながりそうですね。
あおい(元・医療事務)
まさにそこがポイントです。輸血記録に交叉適合の確認方法(用手法の血液交叉試験/間接クームス検査/コンピュータクロスマッチ)が明記されているかを、レセプト作成時に必ず確認する運用にしておくと安心です。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、コンピュータクロスマッチ加算(K920輸血 注8・30点)について、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026-07)。令和6年度条文との逐条突合までは行っていないため、今後の疑義解釈や告示の追加で変更が生じる可能性もあります。算定時は必ず最新の一次資料を確認するようにしてください。
改定チェックのポイント
点数: 令和8年度時点で30点(1回につき)。 算定要件: 血液交叉試験加算・間接クームス検査加算との排他関係、「輸血療法実践ガイド」の遵守という考え方に変更は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトを作るとき、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- K920輸血を実施したかどうかを診療録・輸血記録で確認する
- 交叉適合の確認方法が「血液交叉試験(用手法)」「間接クームス検査」「コンピュータクロスマッチ」のどれかを確認する
- コンピュータクロスマッチを実施した回について、血液交叉試験加算・間接クームス検査加算と重複算定していないかを確認する
- 検査部門の運用手順が「輸血療法実践ガイド」に沿ったものになっているかを確認する
- 加算チェッカーや自院のレセプトコンピュータのマスター情報で最終確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で見落としやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ
検査方法の記載漏れ: 輸血記録に交叉適合の確認方法が書かれておらず、後からコンピュータクロスマッチ加算と血液交叉試験加算のどちらを算定すべきか判断できなくなるケース。 重複算定の見落とし: コンピュータクロスマッチを実施した回に、誤って血液交叉試験加算や間接クームス検査加算も合わせて算定してしまうケース。 間接クームス検査との混同: 間接クームス検査加算(47点)とコンピュータクロスマッチ加算(30点)を取り違えて入力してしまうケース。
みらい(新人医療事務)
どれも「記録と算定の突合不足」が原因になっていそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。輸血のたびに、検査方法・実施日・回数を記録に残す運用にしておくと、算定候補の判断がしやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をいくつか教えてください。
あおい(元・医療事務)
対話形式でまとめておきますね。
みらい(新人医療事務)
コンピュータクロスマッチ加算と血液交叉試験加算を、同じ輸血の回で両方算定できますか?
あおい(元・医療事務)
できません。一次資料には、コンピュータクロスマッチを行った場合は血液交叉試験加算及び間接クームス検査加算は算定できないと明記されています。実施した検査方法に対応する1つの加算が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
コンピュータクロスマッチ加算を算定するために、特別な届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、コンピュータクロスマッチ加算そのものに個別の届出は確認されていません。ただし、実施にあたっては「輸血療法実践ガイド」を遵守していることが前提とされているので、検査部門の運用が条件を満たしているかの確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
コンピュータクロスマッチと血液交叉試験、どちらを選ぶかは病院が自由に決めていいんですか?
あおい(元・医療事務)
どちらの方法を採用するかは検査部門の体制によって決まる部分ですが、算定候補になるのはあくまで実際に実施した方法に対応する加算です。まずは自院がどちらの方法で運用しているかを確認することが出発点になります。
みらい(新人医療事務)
自家採血と保存血で、コンピュータクロスマッチ加算の算定単位は変わりますか?
あおい(元・医療事務)
そこは当サイトが収録している一次資料の範囲では、コンピュータクロスマッチ加算を名指しした算定単位の記載を確認できていません。注8本文の「1回につき」という記載が基本になりますので、細かな数え方については自院の届出台帳や審査支払機関への確認をおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。輸血の実施状況や交叉適合の確認方法を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。