みらい(新人医療事務)
精神科のクリニックで、通院・在宅精神療法のところに「心理支援加算」っていう注があるのを見つけたんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
心理支援加算ですね。これは通院・在宅精神療法(I002)の注9にある加算で、心理に関する支援を要する患者さんに対して、精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師が必要な支援を行った場合の評価です。令和8年度(2026年度)時点で280点、月2回まで、初回算定日の属する月から起算して2年を限度に算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
280点かあ。うちは精神科クリニックで公認心理師さんも働いてもらってるんですけど、それだけで対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
それだけでは判断できません。対象医療機関・対象患者・実施者の要件がそれぞれ細かく決まっていて、施設基準の届出も必要です。順番に確認していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関なら算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
心理支援加算はI002通院・在宅精神療法の加算なので、外来(通院)と在宅の場面が対象です。入院中の患者さんには算定できません。厚生労働省の告示では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、心理に関する支援を要する患者に対して、精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師が必要な支援を行った場合に、心理支援加算として、初回算定日の属する月から起算して2年を限度として、月2回に限り280点を所定点数に加算する」と定められています(令和8年度診療報酬点数表の告示)。
みらい(新人医療事務)
「心理に関する支援を要する患者」って、具体的にはどんな患者さんなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは留意事項通知でさらに具体的に書かれています。「注9に規定する心理支援加算は、心理に関する支援を要する神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害を有する者に対して、精神科を担当する医師の指示を受けた、精神科を標榜する保険医療機関において、週1日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を1年以上行った経験のある公認心理師が、対面による心理支援を30分以上実施した場合に算定できる」とされています(厚生労働省・診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について)。つまり対象疾患は神経症性障害・ストレス関連障害・身体表現性障害の3カテゴリーで、これに当てはまるかどうかは精神科を担当する医師の判断になります。
対象疾患は3カテゴリーに限定
神経症性障害・ストレス関連障害・身体表現性障害: 留意事項通知で明示されている対象疾患はこの3つです。単に「心理的なつらさがある」というだけでは対象疾患の確認が必要になり、当てはまるかどうかは精神科の担当医が個別に判断します。

点数と算定要件
みらい(新人医療事務)
点数のところ、表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度時点の内容をまとめるとこうなります。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 点数 | 280点(1回あたり目安 2,800円 = 280点 × 10円換算) |
| 回数制限 | 月2回まで |
| 算定期間の上限 | 初回算定日の属する月から起算して2年 |
| 対象区分 | 通院・在宅精神療法(I002)の注9加算 |
| 施設基準届出 | 必要 |
みらい(新人医療事務)
「1回あたり2,800円」というのは、点数×10円の単純計算ってことですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。実際の窓口負担・保険給付の内訳は別ですし、月2回・上限2年という条件つきの目安なので、あくまで機械的な計算値として捉えてください。
施設基準・公認心理師の要件
みらい(新人医療事務)
「公認心理師なら誰でもいい」わけじゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。留意事項通知の要件を分解すると、次の条件がすべて必要になります。
自院で確認する順番
- 実施する医療機関が精神科を標榜していること
- その公認心理師が、精神科を標榜する保険医療機関に週1日以上、常態として勤務していること
- 所定労働時間が週22時間以上の勤務を1年以上行った経験があること(他の精神科標榜医療機関での勤務も合算できます)
- 精神科を担当する医師の指示を受けて、対面による心理支援を30分以上実施していること
- 医師が、心理支援が必要とされる理由等を診療録に記載していること
みらい(新人医療事務)
経験年数の「1年以上」って、うちの心理師さんだと他の病院でのパートも合算できるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「他の精神科を標榜する保険医療機関においても勤務する場合は、それらの勤務を合算する」と明記されています。ただし、合算の実務的な確認方法(雇用契約書や勤務実態の証跡など)は施設基準の届出先である地方厚生局へ確認が必要です。ここは当サイトの一次資料の範囲では算定候補と考えられますが、最終的な確認は必須です。

届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出って、どこに出すんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局長等への届出になります。心理支援加算は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが算定の前提なので、届出が済んでいなければ、要件を満たしていても算定候補にはなりません。
届出なしでは算定候補にならない
公認心理師の勤務実態や患者の状態が要件に合っていそうでも、施設基準の届出が済んでいなければ算定候補として扱えません。届出済みであれば候補になる、という順番で確認してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
タイミングも気になります。医師が精神療法をした日と、心理師さんが支援した日がずれてもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは留意事項通知で明確にされています。「精神科を担当する医師が通院・在宅精神療法を実施した月の別日に当該支援を実施した場合においても算定できる」とあるので、同じ日でなくても、同じ月であれば算定候補になり得ます。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
通院・在宅精神療法には、施設基準未届出の医療機関などで所定点数の100分の60相当を算定する特例区分があり、その区分にあたる場合は心理支援加算を別に算定できないという規定があります。告示には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関以外の保険医療機関において行われる場合は、所定点数の100分の60に相当する点数を算定する。また、注9に規定する心理支援加算は別に算定できない」と書かれています(令和8年度診療報酬点数表の告示)。
みらい(新人医療事務)
ちょっと専門的ですね……。
あおい(元・医療事務)
はい、この特例区分に該当するかどうかは通院・在宅精神療法本体の算定区分によって変わるので、レセプトの算定区分を確認したうえで、必要なら告示原文で確認していただくのが確実です。
併算定は算定区分によって扱いが変わる
心理支援加算を含め、通院・在宅精神療法の加算は算定する区分(精神保健指定医によるか、施設基準届出の有無等)によって扱いが変わります。自院がどの区分で算定しているかを確認したうえで、告示原文と照らし合わせてください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和8年度で新しくできたものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、当サイトが確認できた範囲では、前回改定(令和6年度)の時点ですでに運用されていたようです。令和6年度に公表された疑義解釈では、この加算の対象になるかどうかの判断基準についてのやり取りが出ています。当時の疑義解釈では「明らかな外傷体験が確認できない場合、当該加算は算定不可。ただし、家族等から得られた情報に基づき、患者が外傷体験を有する可能性が高いと判断される等、特段の事情がある場合は、この限りではない」と回答されています(前回改定・令和6年度の疑義解釈)。
みらい(新人医療事務)
「外傷体験」の話が中心なんですね。今の対象疾患は「神経症性障害・ストレス関連障害・身体表現性障害」でしたけど、これと同じ話なんですか?
あおい(元・医療事務)
ストレス関連障害には心的外傷に起因する症状も含まれるので、方向性としては連続していると考えられます。ただし、前回改定(令和6年度)当時の留意事項通知の原文は当サイトの一次資料の範囲には無く、条文レベルでの完全な突き合わせはできていません。点数(280点)・回数制限(月2回)・上限(2年)については、当サイトの一次資料の範囲で令和8年度との変更は確認されていません。対象疾患の文言の詳細な経緯まで確認したい場合は、最新の告示・留意事項通知でご確認ください。
疑義解釈も判断材料になる
前回改定(令和6年度)当時の疑義解釈では、外傷体験の有無について「DSM-5精神疾患の分類と診断の手引」等のガイドラインを踏まえて医師が判断する旨が示されています。症状が再発した場合も、医師が心理に関する支援を要する状態と判断すれば、再度の算定日から2年を限度に月2回まで算定候補になり得るとされています。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添1 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001666951.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その1・その2、令和6年度) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。精神科での多職種による支援体制について確認したい場合は、精神科リエゾンチーム加算 のような関連する加算もあわせてご覧いただくと理解が深まります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。