みらい(新人医療事務)
あおいさん、「看護師・精神保健福祉士共同訪問指導加算」という加算をマスターで見つけたんですけど、正直はじめて聞く名前です。どういう加算ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬に載っている加算ですね。名前だけ見ると分かりにくいんですが、ベースになっているのは精神科の患者さんの退院支援のための訪問指導、精神科退院前訪問指導料です。その訪問指導を複数の職種が共同で行った場合に、320点が上乗せされる仕組みの加算です。
みらい(新人医療事務)
「共同で」というのがポイントなんですね。誰か1人で訪問しただけだと対象外ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省の医科点数表では、精神科退院前訪問指導料の注2として「保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が共同して訪問指導を行った場合は、320点を所定点数に加算する」と定められています。この「共同して」の部分が、この加算の核になる要件です。
みらい(新人医療事務)
なるほど。でも加算の名前には「看護師・精神保健福祉士」しか出てこないですよね。保健師さんや作業療法士さんは関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。実はここが今回いちばん注意してほしいポイントです。この加算のマスターコード(188003210)を確認すると、精神科退院前訪問指導料と同じ188番台の中でも、「医療観察精神科退院前訪問指導料」(コード188003110)という別コードと隣り合わせで登録されています。これは、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、いわゆる医療観察法に基づく入院医療機関(指定入院医療機関)向けの診療報酬コード区分だと考えられます。
みらい(新人医療事務)
医療観察法……。普通の精神科病院とは違う枠組みですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別の法律に基づく制度です。当サイトが収録している医科診療行為マスターの整理では、この加算は「看護師・精神保健福祉士共同訪問指導加算」という短い名称で登録されていますが、加算の中身自体は精神科退院前訪問指導料の注2加算(保健師・看護師・作業療法士又は精神保健福祉士による共同訪問指導、320点)と同じ規定に基づくものと考えられます。ただし、コード区分が医療観察法関連である点は、通常の精神科退院前訪問指導料とは分けて確認しておく必要があります。
対象患者・対象医療機関の確認(医療観察法との関係に注意)
みらい(新人医療事務)
対象になるのは、どんな患者さんなんですか?
あおい(元・医療事務)
ベースになっている精神科退院前訪問指導料の留意事項通知では、「精神科を標榜する保険医療機関に入院している精神疾患を有する者の円滑な退院のため、患家又は精神障害者施設、小規模作業所等を訪問し、患者の病状、生活環境及び家族関係等を考慮しながら、患者又は家族等の退院後患者の看護や相談に当たる者に対して、必要に応じて障害福祉サービス事業所及び相談支援事業所等と連携しつつ、退院後の療養上必要な指導や、在宅療養に向けた調整を行った場合に算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
この加算は、そのうちのどういうケースで算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ通知の中に「『注2』の加算は、患者の社会復帰に向けた調整等を行うに当たり、必要があって複数の職種が共同して指導を行った場合に算定するものであり、単一の職種の複数名による訪問の場合は対象としない」という記載があります。つまり、看護師さんが2人で訪問しても対象外で、看護師さんと精神保健福祉士さんのように、異なる職種が一緒に訪問した場合が算定候補になる、という整理です。
対象は「複数職種の共同訪問」に限定(要確認)
留意事項通知の記載は、単一職種による複数名訪問を対象外としています。今回の加算コードが医療観察法関連の区分であることを踏まえると、対象患者は医療観察法に基づく入院(指定入院医療機関への入院)をしている患者さんに限定される可能性が高いと考えられますが、この点を明記した一次資料は今回確認できていません。自院が医療観察法の指定入院医療機関に該当するかどうかも含めて、算定候補になるかは個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
退院先によって対象外になるケースもあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知には「精神科退院前訪問指導料は、退院して患家に復帰又は精神障害者施設に入所する患者が算定の対象であり、医師又は看護師、作業療法士若しくは精神保健福祉士が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としない」と明記されています。退院先にすでに医療・福祉の専門職が配置されている場合は、対象外になる可能性が高いということですね。
みらい(新人医療事務)
退院先の体制は、誰に確認すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
退院支援を担当する部門やソーシャルワーカーに確認するのが確実です。退院先施設の職員配置まで把握していないと、算定候補かどうかの判断がつかないケースがあります。
点数・コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点で確認できる点数はこちらです。
| 区分 | コード | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 精神科退院前訪問指導料(基本部分) | - | 380点 | 1回の訪問指導につき |
| 看護師・精神保健福祉士共同訪問指導加算 | 188003210 | +320点 | 複数職種が共同して訪問指導を行った場合に所定点数へ加算 |

みらい(新人医療事務)
320点だけを単独で算定することはできないんですか?
あおい(元・医療事務)
できません。あくまで精神科退院前訪問指導料の「所定点数に加算する」形なので、基本部分の380点と合わせて算定する加算です。共同訪問指導の要件を満たした場合、合計で700点になる、という構成です。
みらい(新人医療事務)
このコード番号、188003210っていうのがさっき言っていた医療観察法関連のコードなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。当サイトの整理では、通常の精神科退院前訪問指導料の注2加算にも別のコードが割り当てられていて、今回のコードとは区別されています。同じ「共同訪問指導加算」という名称の加算が複数のコードに分かれて存在しうる、という点を押さえておいてください。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算に固有の施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科退院前訪問指導料そのものについては、確認できた留意事項通知の範囲で、特有の施設基準や届出様式についての記載は見当たりませんでした。ただし、これは「届出不要と断定できる」という意味ではありません。
医療観察法関連の届出は別枠で確認を
今回の加算コードが医療観察法に関連する区分である可能性を踏まえると、算定の前提として、医療観察法上の指定入院医療機関としての指定を受けているかどうかを確認する必要があります。これは通常の保険医療機関の施設基準届出とは別の枠組みです。自院が該当するかどうかは、地方厚生局への届出状況とあわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
指定入院医療機関かどうかは、どこで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
医療観察法に基づく指定は、通常の保険医療機関としての開設とは別に、厚生労働大臣による指定を受ける制度です。自院がその指定を受けているかどうかは、院内の担当部門か、地方厚生局への確認をおすすめします。
算定回数・算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
何回でも算定できるわけじゃないですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。精神科退院前訪問指導料は「1回の入院につき3回(当該入院期間が6月を超えると見込まれる患者にあっては、6回)に限り指導の実施日にかかわらず退院日に算定する」とされています。共同訪問指導加算も、この基本部分の算定にあわせて加算する形になります。
算定日は「退院日」に注意
留意事項通知には「指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、1回の入院につき3回(当該入院期間が6月を超えると見込まれる患者にあっては、6回)に限り指導の実施日にかかわらず退院日に算定する」とあります。実際に訪問した日ではなく、退院日にまとめて算定する運用になっている点を見落とさないようにしてください。
みらい(新人医療事務)
交通費はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の注に「指導に要した交通費は、患家の負担とする」と明記されています。訪問先のご家族に事前に説明しておいたほうがよさそうです。
みらい(新人医療事務)
ほかの指導料と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「退院前訪問指導料を算定した場合は、精神科退院前訪問指導料は算定できない」と明記されています。退院前訪問指導料は精神科に限らない一般の退院前訪問指導の加算で、精神科退院前訪問指導料とは同一入院で両方を算定することはできません。どちらの要件に沿って訪問指導を行ったかを確認したうえで、どちらか一方を選択する必要があります。
みらい(新人医療事務)
記録についても何かルールがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。「精神科退院前訪問指導を行った場合は、指導内容の要点を診療録等に記載する」とされていますし、「保険医療機関は、精神科退院前訪問指導の実施に当たっては、保健所等の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配慮する」という留意点もあります。訪問記録には、共同で訪問した職種と、それぞれが行った指導内容の要点を残しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できた一次資料(令和8年度の医科点数表・留意事項通知)の範囲では、精神科退院前訪問指導料の基本点数380点、共同訪問指導加算320点、算定回数(3回・入院期間6月超で6回)のいずれについても、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません。
「変更なし」でも施設基準・要件までは要確認
点数や算定回数に変更が見当たらない場合でも、医療観察法関連のコード運用や指定入院医療機関の要件が改定で見直されている可能性はゼロではありません。当サイトで確認できたのは医科点数表・留意事項通知の範囲であり、医療観察法固有の告示・通知までは今回確認しきれていません。医療観察法に基づく指定入院医療機関に該当する場合は、医療観察法関連の通知もあわせて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
点数が変わっていなくても、油断はできないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に今回のように「コード区分が特殊な加算」は、点数だけを見て判断せず、対象や運用ルールまで確認する習慣をつけておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの場合はどう確認していけばいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認してみてください。
自院で確認する順番
- 精神科退院前訪問指導(患家等への訪問による退院支援指導)を実施したかを確認する
- その訪問を、保健師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士のうち複数職種が共同で行ったかを確認する(単一職種の複数名は対象外)
- 自院が医療観察法に基づく指定入院医療機関に該当するか、この加算のコード区分(188003210)に沿った算定対象かを確認する(要確認)
- 退院前訪問指導料(B007)など、併算定できない項目を算定していないかを確認する
- 指導内容の要点を診療録等に記録し、退院日に算定できているかを確認する

みらい(新人医療事務)
3番目の「医療観察法に該当するか」というのが、今回いちばん見落としやすそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。名前だけ見ると普通の精神科の加算に見えてしまうので、コード区分まで確認せずに算定してしまうと、後で審査時に指摘を受ける可能性があります。
よくある取り漏れ
取り漏れがちなポイント
- 訪問した職種が実は同じ職種の複数名だった、というケース(対象外の可能性が高い)
- 退院先の施設にすでに医療・福祉専門職が配置されているのに、加算だけ算定してしまうケース
- 自院が医療観察法の指定入院医療機関に該当するかどうかを確認せずに、コード上の名称だけで算定してしまうケース
- 訪問実施日で算定してしまい、本来の「退院日算定」のルールとずれてしまうケース
みらい(新人医療事務)
どれも「思い込みで進めてしまいそう」なポイントですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に医療観察法関連は対象となる医療機関自体が限られているので、まずは自院がその制度に関わっているかどうかを確認するところから始めるのが確実です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなことをまとめてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
いいですね。よくある質問をいくつか整理しておきましょう。
みらい(新人医療事務)
Q. この加算は、どの職種が訪問しても320点になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. いいえ。保健師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士のうち、複数の異なる職種が共同で訪問指導を行った場合が対象です。単一職種の複数名による訪問は対象外とされています。
みらい(新人医療事務)
Q. うちは普通の精神科病院ですが、この加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. このコード(188003210)は医療観察法関連のコード区分として記録されているため、通常の精神科病院での算定候補になるかどうかは慎重な確認が必要です。通常の精神科退院前訪問指導料の共同訪問指導加算に該当する場合でも、コード区分が異なる可能性があるため、レセプトコンピュータ側の設定やレセプト担当者と確認してください。
みらい(新人医療事務)
Q. 320点だけを単独で算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. できません。精神科退院前訪問指導料(380点)の所定点数に加算する形の加算です。基本部分の算定要件を満たしたうえで、共同訪問指導の要件を満たした場合に加算されます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。