みらい(新人医療事務)
「医療観察麻薬管理指導料」って名前を初めて見たんですけど、これって普通のクリニックでも算定候補になるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
結論から言うと、対象になる医療機関はかなり限られています。名前に「医療観察」と付いている加算は、心神喪失者等医療観察法(正式名称は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」)に基づく、特別な指定を受けた医療機関だけが使う点数です。一般の保険診療で算定する加算とは制度自体が違うんです。
みらい(新人医療事務)
え、じゃあうちのクリニックには関係ない…ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そう考えるのが自然ですが、断定はできません。厚生労働大臣から「指定入院医療機関」の指定を受けている医療機関であれば対象になり得ます。まずは自院が医療観察法上の指定医療機関かどうかを確認するところから始める必要がありますよ。
医療観察麻薬管理指導加算とは(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
そもそもこの加算、どういう場面で使うものなんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料を確認すると、これは単独で算定する項目ではなく、「医療観察薬剤管理指導料」という別の項目に上乗せする加算として規定されています。厚生労働省の告示(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第83条第2項の規定による医療に要する費用の額の算定方法、平成17年厚生労働省告示第365号。令和8年3月31日厚生労働省告示第146号による改正分が令和8年6月1日から適用)の原文にはこう書かれています。
告示原文(令和8年度・注14)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た指定入院医療機関において、別に厚生労働大臣が定める入院対象者に対して投薬又は注射及び薬学的管理指導を行った場合は、医療観察薬剤管理指導料として、次に掲げる区分に従い、入院対象者1人につき週1回かつ月4回に限り、いずれかを算定する。ただし、麻薬の投薬又は注射が行われている入院対象者に対して、麻薬の使用に関し、必要な薬学的管理指導を行った場合には、医療観察麻薬管理指導料として、1回につき50点を更に所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、まず「医療観察薬剤管理指導料」がベースにあって、そこに麻薬の分だけ50点を上乗せする、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのイメージで合っています。留意事項通知でも「医療観察麻薬管理指導加算」という呼び方で説明されていて、こう規定されています。
留意事項通知(令和8年3月31日 障精発0331第3号)(30)
「医療観察麻薬管理指導加算は、当該指導料を算定している入院対象者のうち、麻薬が投与されている入院対象者に対して、投与される麻薬の服用に関する注意事項等に関し、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。」
みらい(新人医療事務)
「当該指導料」というのは、医療観察薬剤管理指導料のことですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。医療観察薬剤管理指導料をすでに算定している入院対象者のうち、麻薬の投薬・注射が行われている人に対して、麻薬の使用に関する薬学的管理指導を追加で行った場合に、算定候補になる、という構造です。麻薬管理指導だけを単独で行っても、ベースの薬剤管理指導料を算定していなければ、この加算の対象にはなりません。
対象医療機関・対象患者は「指定入院医療機関」に限られます
みらい(新人医療事務)
「指定入院医療機関」というのが何度も出てきますが、これは普通の精神科病院とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
違います。医療観察法上、対象者の入院処遇を担うのは、厚生労働大臣が指定した「指定入院医療機関」だけです。この加算が定められている告示の条文自体、「第1章 入院料」の「医療観察法病棟入院料」に付随する注(注14)として規定されているため、位置づけとしては入院医療の枠組みの中の加算です。通院医療(指定通院医療機関)向けの点数表とは別の区分に置かれている点数だと考えられます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、外来だけをやっているクリニックはそもそも対象外の可能性が高い、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そう考えられますが、ここも断定は避けたいところです。医療観察法の点数表には入院処遇と通院処遇でそれぞれ別の区分があり、当サイトが確認できた一次資料の範囲では、この加算は入院料区分の注として規定されていることが確認できています。自院が指定通院医療機関である場合は、この加算そのものではなく、通院処遇側の別区分(医療観察法の通院医療に関する点数表)を確認する必要があります。対象外と決めつけず、自院が医療観察法上どちらの指定を受けているかをまず確認してください。
一般の保険医療機関は対象外の可能性が高い
医療観察法に基づく指定を受けていない一般の医療機関では、この加算そのものは算定候補になりにくいと考えられます。ただし、指定の有無や区分(入院・通院)は自院の届出状況で必ず確認してください。
点数と算定の仕組み(令和8年度)

みらい(新人医療事務)
点数の中身をもう少し詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
ベースの医療観察薬剤管理指導料は、対象となる医薬品の種類によって2区分に分かれていて、そこに麻薬分の加算が乗る形になっています。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 医療観察薬剤管理指導料 イ | 特に安全管理が必要な医薬品が投薬・注射されている入院対象者 | 380点 |
| 医療観察薬剤管理指導料 ロ | イ以外の入院対象者 | 325点 |
| 医療観察麻薬管理指導加算 | 上記のうち麻薬の投薬・注射が行われている入院対象者に、麻薬に関する薬学的管理指導を行った場合 | 50点(1回につき、更に加算) |
みらい(新人医療事務)
この50点は「イ」でも「ロ」でも、どちらでも上乗せできるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言では「更に所定点数に加算する」とあり、イ・ロどちらの区分にも上乗せできる書き方になっています。ただし、実際に算定できるかどうかは、対象患者の状態や記録の整備状況によって変わってきますので、算定候補として整理したうえで、自院のレセプト担当・薬剤師と一緒に確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
1点あたりの単価は普通の保険診療と同じなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、同じ告示の中に「指定医療機関に係る医療に要する費用の額は、一点の単価を十円とし」という規定があり、通常の診療報酬と同じく1点10円で計算されます。
施設基準
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、届出とか施設基準とか必要になりますか?
あおい(元・医療事務)
麻薬管理指導加算そのものについて、単独の施設基準項目は当サイトが確認した告示(施設基準関係)には見当たりませんでした。ただし、ベースとなる医療観察薬剤管理指導料には、次のような施設基準が明記されています。
施設基準告示(三の四)医療観察薬剤管理指導料の施設基準
「⑴ 当該指定入院医療機関内に薬剤管理指導を行うにつき必要な薬剤師が配置されていること。⑵ 薬剤管理指導を行うにつき必要な医薬品情報の収集及び伝達を行うための専用施設を有していること。⑶ 入院対象者に対し、入院対象者ごとに適切な薬学的管理(副作用に関する状況の把握を含む。)を行い、薬剤師による服薬指導を行っていること。」
みらい(新人医療事務)
つまり、麻薬管理指導加算を算定するには、まずこのベースの施設基準を満たしていることが前提になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そう整理できます。麻薬管理指導加算だけを単独で満たせばよい、という制度設計ではなく、ベースの医療観察薬剤管理指導料が算定できる体制(薬剤師の配置、医薬品情報の専用施設、入院対象者ごとの薬学的管理)が土台にあり、そのうえで麻薬に関する管理指導を行った場合に加算する、という構造だと考えられます。この整理が実際の運用と一致しているかは、自院の届出内容と照らして確認が必要です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出はどこに出すことになるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注14には「地方厚生局長に届け出た指定入院医療機関において」と明記されています。医療観察薬剤管理指導料(および、それに付随する麻薬管理指導加算)を算定するには、地方厚生局長への届出が済んでいることが前提になります。届出済みであれば算定候補になりますが、未届出であれば算定できません。
自院で確認する順番
- 自院が医療観察法上の「指定入院医療機関」であるかを確認する
- 医療観察薬剤管理指導料の施設基準(薬剤師配置・医薬品情報の専用施設・入院対象者ごとの薬学的管理体制)を満たしているかを確認する
- 地方厚生局長への届出状況を確認する(未届出であれば算定候補にならない)
- 対象の入院対象者に麻薬の投薬・注射が行われているかを確認する
- 麻薬に関する薬学的管理指導を行い、薬剤管理指導記録に必要事項を記載する
算定タイミング・回数制限・記録の注意点
みらい(新人医療事務)
算定できる回数に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
ベースの医療観察薬剤管理指導料は「入院対象者1人につき週1回かつ月4回に限り」と告示に明記されています。麻薬管理指導加算は、そのベースを算定している回に「1回につき」50点を加算する形なので、ベースの回数制限の枠内で考えることになります。
みらい(新人医療事務)
記録面で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知に、麻薬管理指導加算を算定する際に薬剤管理指導記録へ記載すべき事項が具体的に示されています。
留意事項通知(32)記録要件
「医療観察麻薬管理指導加算の算定に当たっては、前記の薬剤管理指導記録に少なくとも次の事項についての記載がされていなければならない。イ 麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の服薬状況、疼痛緩和の状況等)ロ 麻薬に係る入院対象者への指導及び入院対象者からの相談事項 ハ その他麻薬に係る事項」
みらい(新人医療事務)
記録がないと、算定していても後から指摘を受けそうですね。
あおい(元・医療事務)
その可能性はあります。同じ通知には「薬剤管理指導及び麻薬管理指導を行った場合は、必要に応じ、その要点を文書で医師に提供すること」とも書かれていますので、薬剤師と医師の間での情報共有も含めて、記録の整備状況を確認しておくのが安心です。
みらい(新人医療事務)
併算定については何か注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈に参考になるQ&Aがあります。入院対象者入院医学管理料を算定してから2年を超えた対象者について尋ねたものです。
疑義解釈(近畿厚生局公表分)問14
「各ステージの入院対象者入院医学管理料について、算定を開始してから2年を超えた対象者(同管理料を算定しない対象者)は、病床数が30床に満たない場合の15~29床に対する加算、特別医学管理加算、医療観察薬剤管理指導料(同指導料を算定している場合は医療観察麻薬管理指導料)の算定は可能か。(答)可能。」
みらい(新人医療事務)
つまり、入院対象者入院医学管理料の算定期間が終わっていても、この加算自体は算定できる余地がある、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし、これはあくまで一つのケースについての疑義解釈であり、他の併算定の可否まで一般化できるものではありません。個別のケースについては、自院の届出状況や算定実務に照らして、審査支払機関にも確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
算定方法の告示自体は令和8年3月31日付の厚生労働省告示第146号で一部改正され、令和8年6月1日から適用されています。ただし、当サイトが確認できた令和8年度の告示・留意事項通知の原文の範囲では、医療観察麻薬管理指導加算(50点、医療観察薬剤管理指導料への加算という位置づけ)そのものについて、点数や算定要件が令和6年度から変更されたことを示す記述は見当たりませんでした。
改定差分の確認状況(確認日: 2026-08・厚労省一次情報ベース)
医療観察麻薬管理指導加算(50点)自体の変更は、当サイトが確認した一次資料の範囲では確認されていません。告示全体としては令和8年3月31日付で一部改正されているため、他の区分(入院料本体や他の加算)に変更がある可能性はあります。自院に関わる項目は、告示の該当箇所を個別に確認することをおすすめします。
よくある取り漏れ・注意ポイント
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
見落としやすいポイント
ベースの算定なしでの加算: 医療観察薬剤管理指導料を算定していない入院対象者について、麻薬管理指導加算だけを単独で算定してしまうケース。告示上は「当該指導料を算定している入院対象者のうち」という条件が付いています。 記録の不足: 麻薬に関する薬学的管理指導の内容(服薬状況・疼痛緩和の状況等)や、入院対象者への指導・相談事項が薬剤管理指導記録に記載されていないケース。 回数の管理: ベースの医療観察薬剤管理指導料が週1回・月4回までという制限を超えて算定してしまうケース。
対象は限定的です
この加算は医療観察法上の指定入院医療機関でなければ算定候補にならない可能性が高いです。一般の保険医療機関(指定を受けていない病院・診療所)では対象外の可能性がありますが、最終的な判断は自院の指定状況・届出状況の確認が必要です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
通院処遇(指定通院医療機関)でもこの加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示の条文上、この加算は「第1章 入院料」の「医療観察法病棟入院料」に付随する注として規定されていました。通院処遇向けの点数表は別区分にあるため、同じ名称・同じ内容の項目があるかどうかは、通院医療の区分を個別に確認する必要があります。ここでは断定を避け、要確認としておきます。
みらい(新人医療事務)
薬剤師以外の職種が麻薬の管理指導を行っても算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、ベースの医療観察薬剤管理指導料について「当該指定入院医療機関の薬剤師が医師の同意を得て薬剤管理指導記録に基づき」行うことが前提とされています。麻薬管理指導加算もこの薬剤管理指導の一部として位置づけられているため、薬剤師による実施が前提になると考えられます。
みらい(新人医療事務)
令和6年度以前はこの加算、存在しなかったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこまでは当サイトが確認した一次資料の範囲では分かりませんでした。告示自体は平成17年に定められた古いもので、その後何度も改正を重ねています。この加算がいつ新設されたかについては、今回確認した令和8年度の告示原文からは判断できないため、正確な沿革を知りたい場合は厚生労働省・地方厚生局に直接確認することをおすすめします。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
結局、うちの施設で確認すべき順番をもう一度整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。まず自院が医療観察法上の指定入院医療機関かどうか、次に医療観察薬剤管理指導料の施設基準と届出状況、そして対象の入院対象者に麻薬の投薬・注射があるかどうか、最後に記録の整備状況、という順番で確認していくのが分かりやすいと思います。上の図の順番で自院の状況と照らし合わせてみてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。