みらい(新人医療事務)
あおいさん、診療報酬の一覧を眺めていたら「社会復帰期移行加算」っていう見慣れない加算を見つけたんです。100,000点って書いてあって、桁が違いすぎてびっくりしました。うちのクリニックでも関係あるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
反応、わかります。100,000点は普通の外来・入院の加算とは桁がまったく違いますよね。結論から言うと、これは一般の医科診療報酬点数表の加算ではなく、「医療観察法」という別の法律に基づく診療報酬の加算です。令和8年度の算定告示(第365号)の原文には「定点数に社会復帰期移行加算として100,000点を加算する」とだけ記載されており、通常のクリニックや一般病院が算定するものではありません。
みらい(新人医療事務)
医療観察法…聞いたことはありますが、詳しくは知らないです。
あおい(元・医療事務)
医療観察法は正式には「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」といいます。法務省の説明では、この制度は「心神喪失又は心神耗弱の状態で、殺人、放火等の重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進することを目的とした処遇制度」とされています。平成15年に成立した法律に基づく制度で、対象者の医療は一般の保険医療機関ではなく、厚生労働省が指定した「指定入院医療機関」「指定通院医療機関」だけが担っています。
社会復帰期移行加算とはどんな加算ですか
みらい(新人医療事務)
「社会復帰期」というのは、入院の中のどこかの段階を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の説明によると、医療観察法の入院処遇は「急性期(3ヵ月)、回復期(9ヵ月)、社会復帰期(6ヵ月)の3ステージ」に分かれています。急性期は症状の改善、回復期は対象行為への内省などを目標とし、社会復帰期はその先の、地域での生活への移行を見据えた段階という位置づけです。ただしこの期間はあくまで目安で、対象者ごとに実際の経過は異なります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、その「社会復帰期」に移る場面で発生する加算、ということですか?
あおい(元・医療事務)
名称と、当サイトが収録している一次資料(令和8年度改定の算定告示原文)の記載からは、そう読み取れます。ただし正直にお伝えすると、当サイトが確認できている一次資料の範囲では「定点数に社会復帰期移行加算として100,000点を加算する」という算定式の記載にとどまっており、具体的にどの入院医学管理料の区分から、どの区分へ移行した場合に算定できるのか、算定のタイミングや回数の上限、対象者の要件といった詳細までは確認できていません。ここは推測で埋めず、確認が必要な部分として扱ってください。
この加算の性質について
社会復帰期移行加算は、通常の医科点数表(初診料・再診料・各種管理料など)とは別建ての「医療観察診療報酬」に属する加算です。一般の診療所・病院が日常の保険診療で算定する加算ではなく、厚生労働省が指定した医療観察法の指定入院医療機関にのみ関わる可能性がある項目です。自院がこの制度の対象施設でない場合は、算定候補にはなりません。

医療観察法の対象施設と、この加算が関わる可能性がある場面
みらい(新人医療事務)
「指定入院医療機関」って、どんな病院のことですか?
あおい(元・医療事務)
法務省の説明では、医療観察法で入院決定を受けた対象者には「厚生労働省所管の指定入院医療機関による専門的医療が提供され」るとされています。全国のすべての病院がなれるわけではなく、厚生労働大臣が個別に指定した、限られた病院だけが担っている制度です。通院決定を受けた人や退院を許可された人についても、「原則として3年間、厚生労働省所管の指定通院医療機関による医療が提供される」とされ、こちらも指定を受けた医療機関に限られます。
みらい(新人医療事務)
ということは、うちのような普通のクリニックはまず関係ない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
多くの医療機関にとってはそうなります。ただし、指定通院医療機関として運営されている医療機関や、指定入院医療機関からの地域移行に関わる医療機関では、この診療報酬体系全体(社会復帰期移行加算を含む)を把握しておく必要があります。自院が医療観察法の指定を受けているかどうかは、施設として明確に把握されているはずですので、まずそこが出発点です。
混同しやすいポイント
医療観察法の診療報酬には、社会復帰期移行加算のほかにも「医療観察疾患別等診療計画加算」「医療観察精神科緊急訪問看護加算」「医療観察治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」「遠隔地加算」など、名称の似た加算・管理料が複数存在します。いずれも同じ算定告示(令和8年度改定)に属しますが、対象・算定要件はそれぞれ異なります。名称だけで判断せず、加算ごとに個別に確認することが必要です。
点数と年度を確認しておきます
みらい(新人医療事務)
点数のところ、もう一度確認させてください。
あおい(元・医療事務)
はい。当サイトが収録している一次資料(令和8年度改定の算定告示原文)に基づく点数は次のとおりです。
| 項目 | 点数 | 年度 |
|---|---|---|
| 社会復帰期移行加算 | 100,000点 | 令和8年度 |
あおい(元・医療事務)
算定告示の原文表現は「定点数に社会復帰期移行加算として100,000点を加算する」というものです。「定点数」という言葉が使われていることから、通常の入院基本料のように毎日積み上がる点数ではなく、何らかの基準となる点数(定められた点数)に対して一時的・一回的に加算される性質を持つと読めますが、これも一次資料の記載を超えた解釈であり、断定はできません。算定回数の上限や算定のタイミングについては、自院が該当施設であれば、地方厚生局への確認や公式資料での裏付けを必ず行ってください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定、令和6年度のときはどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度以前の「社会復帰期移行加算」に関する記録を確認できていません(2026年8月確認時点)。新設なのか、点数が変更されたのか、名称が変わったのかを判断するための比較材料が今のところ手元にないため、断定的な説明は避けます。前回改定からの変更点については確認されていません、という表現にとどめさせてください。
みらい(新人医療事務)
分からないことは分からないと書いてくれると、逆に信頼できますね。
あおい(元・医療事務)
そう思ってもらえると嬉しいです。医療観察法の診療報酬は一般の医科点数表に比べて公開されている解説情報が少なく、当サイトでも一次資料の収集を継続しているところです。今後、令和6年度分の記録が確認でき次第、この記事も更新します。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
もし自院に関係あるかもと思ったら、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認すると進めやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が厚生労働省の指定を受けた「指定入院医療機関」または「指定通院医療機関」に該当するかを確認する
- 該当する場合、対象患者が医療観察法の入院処遇のうち「社会復帰期」に関わる区分・段階にあるかを確認する
- 算定要件・算定タイミング・回数制限・併算定の可否を、地方厚生局や審査支払機関、公式資料(令和8年度改定の算定告示・留意事項通知)で確認する
- 不明な点が残る場合は、自院の診療内容を整理したうえで加算チェッカーで確認し、最終的な判断は届出状況と公式資料に基づいて行う
みらい(新人医療事務)
一般のクリニックだと、1番の時点でほぼ終わりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。医療観察法の指定を受けていない医療機関であれば、この加算はそもそも算定候補になりません。逆に、指定を受けている施設の担当者にとっては、2番以降が実務上のポイントになります。
よくある取り漏れ・確認漏れ
医療観察法の診療報酬は、施設全体で「医療観察診療報酬」という別建ての算定ルールに切り替わっており、日常の医科点数表の感覚のまま処理すると、区分の見落としが起きやすい領域です。社会復帰期移行加算のような一時的な加算は、患者の処遇段階が切り替わるタイミングで算定を検討する性質のものと考えられるため、処遇段階の切り替わりを記録・共有する体制がないと、算定機会そのものに気づけない可能性があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか聞いてもいいですか。
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
一般の精神科病院やクリニックでも、将来この加算に関わることはありますか?
あおい(元・医療事務)
医療観察法の指定入院医療機関・指定通院医療機関としての指定を新たに受ければ関わる可能性はあります。ただし指定は厚生労働大臣が個別に行うものであり、通常の保険医療機関の届出とは別の手続きです。指定を受ける予定がある場合は、地方厚生局や厚生労働省の担当部局に直接確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
社会復帰期移行加算は、届出が必要な加算なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこも正直にお答えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算固有の届出様式や施設基準の記載を確認できていません。医療観察法の診療報酬体系そのものが厚生労働大臣の指定を前提とした枠組みのため、個別の届出が別途必要かどうかは、自院が該当施設であれば公式資料や地方厚生局への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
100,000点という点数は、今後変わることもありますか?
あおい(元・医療事務)
診療報酬は改定のたびに見直される可能性があるため、令和8年度時点の点数として今回はご案内しています。次回以降の改定で点数や算定要件が変わる可能性はありますので、実際に算定を検討する際は、その時点の最新の公式資料を必ず確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。医療観察法に関わる特殊な加算は情報が少ない分、自己判断だけで進めず、公式資料や審査支払機関への確認と合わせて使ってもらえると安心です。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。