みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトの点検をしていたら「医療観察治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」っていう長い名前の項目を見つけたんです。ふつうの「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」とは違うものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。名前の頭に「医療観察」と付いているのがポイントです。これは、いわゆる医療観察制度(心神喪失者等医療観察法)にもとづく医療の中で用いられる指導管理料で、ふだんの健康保険で使う医科点数表の同名の管理料とは、費用の枠組みそのものが別建てになっています。まずは令和8年度(2026年)時点の情報として、土台になる医科点数表側から順番に整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
名前が似ているので、つい同じものだと思っちゃいそうです。
あおい(元・医療事務)
そこは本当に間違えやすいところなんです。似た名前が2つあると考えて、それぞれの枠組みを分けて見ていくと理解しやすいですよ。
そもそも「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」とは(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
まず土台になる、医科点数表のほうの「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」って、どういう管理料なんでしょう?
あおい(元・医療事務)
健康保険の医科点数表では、「I013 抗精神病特定薬剤治療指導管理料」の中に「1 治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」という区分があります。厚生労働省の告示(令和8年度)では、点数と算定の考え方が次のように示されています。
医科点数表 I013「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」の告示(令和8年度)
治療抵抗性統合失調症治療指導管理料(月1回) 500点。注として、治療抵抗性統合失調症の患者に対して、抗精神病薬による治療計画に基づき、療養上の指導を行った場合に、月1回に限り算定する、と定められています。
あおい(元・医療事務)
つまり「治療抵抗性の統合失調症」と診断された患者さんに対して、抗精神病薬の治療計画にもとづいて療養上の指導を行ったときに、月1回を限度に算定するもの、という考え方です。あくまで医科点数表側の数字であることを押さえておいてくださいね。
みらい(新人医療事務)
「治療抵抗性」っていうのは、お薬が効きにくいタイプの統合失調症、というイメージであっていますか?
あおい(元・医療事務)
大まかにはそのイメージで大丈夫です。ただ、どの患者さんが「治療抵抗性統合失調症」に該当するかは、定められた基準にもとづいて医師が判断するもので、事務側で決めつけるものではありません。該当性の具体的な基準は公式資料と自院の運用でご確認ください。関連して、この管理料はクロザピン(治療抵抗性統合失調症に用いられる抗精神病薬)を投与できる体制と深く結びついています。
医科点数表 I013 の基本(令和8年度)

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | I013 抗精神病特定薬剤治療指導管理料の「1」 |
| 点数 | 500点(医科点数表・健康保険) |
| 算定頻度 | 月1回に限る |
| 対象 | 治療抵抗性統合失調症の患者 |
| 内容 | 抗精神病薬による治療計画に基づく療養上の指導 |
| 年度 | 令和8年度(2026年)時点 |
点数の取り違えに注意
これは健康保険の医科点数表の数値です。医療観察制度における点数は後述のとおり別建てのため、この500点をそのまま医療観察の点数として扱わないでください。
「医療観察」が頭に付くと何が変わる?
みらい(新人医療事務)
それで、頭に「医療観察」が付くと、どこが違ってくるんですか?
あおい(元・医療事務)
医療観察制度は、心神喪失などの状態で重大な他害行為を行った方に、専門的な医療と観察を提供する仕組みです。この医療は、指定入院医療機関や指定通院医療機関で行われ、費用は通常の健康保険(医科点数表)ではなく、医療観察の医療のために別途定められた点数の体系にもとづいて算定されます。「医療観察治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」は、その体系の中に置かれている指導管理料、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
なるほど。じゃあ点数も、医科点数表の500点とは違う可能性があるんですね。
あおい(元・医療事務)
そこが大事なところです。医療観察の医療は別体系なので、点数や細かな要件が医科点数表と同じとは限りません。正直にお伝えすると、医療観察の点数表そのものの具体的な数値は、今回参照した一次資料の範囲では確定できませんでした。ですので、医療観察版の正確な点数・算定要件は、医療観察に係る診療報酬(医療費の額の算定方法)の公式資料と自院の運用で必ずご確認ください。ここでは、医科点数表側で確認できた内容を「考え方の土台」として押さえておく、というスタンスが安全です。
みらい(新人医療事務)
土台になる考え方を押さえたうえで、医療観察版は別途確認する、という順番なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。まず健康保険側の枠組みを理解して、そのうえで医療観察版は別体系として確認する。この2段構えで見ていくと混乱しにくいですよ。
2つの「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」の関係(令和8年度)

| 観点 | 医科点数表(健康保険) | 医療観察(心神喪失者等医療観察法) |
|---|---|---|
| 名称 | 治療抵抗性統合失調症治療指導管理料 | 医療観察治療抵抗性統合失調症治療指導管理料 |
| 費用の枠組み | 健康保険の医科点数表 | 医療観察の医療のための別体系 |
| 実施の場 | 保険医療機関の精神科 等 | 指定入院医療機関・指定通院医療機関 |
| 点数 | 500点(月1回・令和8年度) | 医療観察の点数表で別途規定(要確認) |
| 位置づけ | — | 医科点数表の考え方を土台に別建て |
算定要件・施設基準の考え方
みらい(新人医療事務)
施設基準みたいなものも必要になるんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表側の「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」には、施設基準が定められています(令和8年度)。医療観察版でも同種の体制が問われることが想定されますが、要件が同一とは限らないため、あくまで「考え方の参考」として読んでください。まず、医科点数表側で定められている施設基準を整理しますね。
医科点数表側の施設基準(令和8年度・考え方の参考)
当該保険医療機関内に精神科を標榜し、治療抵抗性統合失調症の診断及び治療に係る研修を修了した専任の常勤精神保健指定医が1名以上配置されていること。あわせて、算定する患者について、クロザピンの投与を行う体制が整備されていること、無顆粒球症等の重篤な副作用に対応できる体制が整備されていること、が求められています。
みらい(新人医療事務)
研修を修了した常勤の精神保健指定医、クロザピンを投与できる体制、それに重い副作用に対応できる体制……けっこう手厚いんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。クロザピンは効果が期待される一方で、無顆粒球症などの重い副作用に注意が必要なお薬なので、投与できる体制と副作用に対応できる体制がセットで求められています。これらの体制や届出を「満たしているかどうか」は、事務やAIが判定するものではありません。研修の修了状況・指定医の配置・届出の有無などは、自院の状況と公式の施設基準で必ずご確認ください。
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいでしょう?
あおい(元・医療事務)
確認の順番を並べておきますね。上から順に見ていくと、抜け漏れを防ぎやすいですよ。
自院で確認する順番
- 対象患者が「治療抵抗性統合失調症」に該当するか(基準にもとづく医師の判断)を確認する
- 抗精神病薬による治療計画に基づく療養上の指導を行ったかを確認する
- 算定が月1回の範囲におさまっているかを確認する
- 研修を修了した専任の常勤精神保健指定医の配置(医科点数表の要件)を確認する
- クロザピン投与を行う体制の整備(医科点数表の要件)を確認する
- 無顆粒球症等の重篤な副作用に対応できる体制(医科点数表の要件)を確認する
- 医療観察版の点数・要件は医療観察の点数表・公式資料で確認したかを確認する
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この管理料の内容は変わったりしているんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
気になるところですよね。読者のみなさんが知りたい「前回改定から何が変わったか」を、厚生労働省の一次情報で確認してお伝えします。今回参照した一次資料の範囲では、医科点数表側の「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026-08・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変更が確認されていない、というのも大事な情報なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。「変わっていない」とわかることも安心材料になります。ただし、医療観察版については、今回の一次資料では点数・要件そのものを確定できていないため、改定差分についても断定は避けます。医療観察に係る公式の算定資料で、その時点の最新情報をご確認ください。年度をまたいだ情報の取り違えには、くれぐれもご注意くださいね。
取り漏れ・間違えやすいポイント
みらい(新人医療事務)
現場でつまずきやすいのは、どんなところでしょう?
あおい(元・医療事務)
まず一番は、いま整理したとおり「医科点数表版」と「医療観察版」を同じものとして扱ってしまうことです。名前が似ていても費用の枠組みが違うので、点数や要件を混同しないことが大切です。次に、算定は月1回が上限である点、そして「治療抵抗性」への該当性は決められた基準にもとづく医師の判断による点。ここを事務側で断定しないことがポイントです。
よくある取り漏れ・混同ポイント
医科点数表版(500点・月1回)と医療観察版を同じ点数・要件だと思い込む、月1回の上限を超えて算定してしまう、「治療抵抗性」の該当性を事務側で判断してしまう、といった点が混同・取り違えの起きやすいところです。いずれも公式資料と自院の運用での確認が前提になります。
みらい(新人医療事務)
年度の情報にも注意が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
とても重要です。この記事は令和8年度(2026年)の情報を前提にしています。診療報酬は改定で数値や要件が変わることがあるので、別の改定年度の情報と混ぜないようにしてください。実際の運用では、必ずその時点の最新の公式資料で裏取りをしましょう。
よくある質問(FAQ)
みらい(新人医療事務)
医療観察版の点数は、医科点数表の500点と同じと考えてよいですか?
あおい(元・医療事務)
同じとは限りません。医療観察の医療は別体系で費用が定められているため、点数が一致する保証はありません。医療観察版の正確な点数は、医療観察に係る公式の算定資料でご確認ください。ここで500点と断定することは避けます。
みらい(新人医療事務)
この管理料は、どのように考えればよいのでしょうか?
あおい(元・医療事務)
可否を断定することはできません。対象患者の該当性・体制・届出などの条件しだいで、算定候補になる場合、さらに確認が必要な場合、対象外の可能性がある場合に分かれます。最終的な可否は、必ず自院の状況と公式資料で確認する、という前提でお願いします。
みらい(新人医療事務)
クロザピンを使っていない患者さんでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表側の施設基準では「クロザピンの投与を行う体制」の整備が求められていますが、個々の患者さんの算定可否は治療計画や該当性など複数の条件で決まります。個別のケースは公式資料と自院の運用で確認するのが安全です。
まとめ
みらい(新人医療事務)
今日の内容を整理していただけますか?
あおい(元・医療事務)
最後に要点を整理しますね。「医療観察治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」は、医療観察制度(心神喪失者等医療観察法)の医療の中で用いられる指導管理料で、健康保険の医科点数表とは別建ての費用体系に位置づけられます(令和8年度)。土台となる医科点数表の「治療抵抗性統合失調症治療指導管理料」は、月1回500点で、治療抵抗性統合失調症の患者に抗精神病薬の治療計画にもとづく療養上の指導を行った場合に算定する、という考え方です(令和8年度)。
みらい(新人医療事務)
施設基準や、医療観察版の扱いについてもおさらいしたいです。
あおい(元・医療事務)
医科点数表の施設基準では、研修修了の専任常勤精神保健指定医の配置、クロザピン投与体制、無顆粒球症等の重篤な副作用への対応体制が求められています。充足の判断は自院で行ってください。そして、医療観察版の正確な点数・要件は本記事の一次資料では確定できていないため、医療観察に係る公式の算定資料と自院の運用で必ずご確認ください。名前が似ていても、枠組みから確認する姿勢が大切です。
みらい(新人医療事務)
名前が似ていても、枠組みから確認しないと危ないんですね。とても勉強になりました!
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の該当性や施設基準の充足、そして医療観察版の点数・要件は、条件によって「算定候補・要確認・対象外の可能性」に分かれます。気になる点は条件を入力して整理してみてくださいね。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。本記事は令和8年度(2026年)時点の情報にもとづく解説であり、診療報酬は改定により変更される場合があります。