みらい(新人医療事務)
あおいさん、また医療観察法まわりの加算を見つけました。「社会復帰加算」って名前で、300,000点って書いてあるんですけど…桁がすごすぎて二度見しました。
あおい(元・医療事務)
300,000点ですから、単純計算で数百万円ぶんの点数ですね。桁が大きいのも当然で、これは一般の医科点数表の加算ではなく、医療観察法(正式名称「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」)に基づく別建ての診療報酬、「医療観察診療報酬」に属する加算です。当サイトが収録している令和8年度改定の算定告示(第365号)原文には、「入院対象者が退院した場合、社会復帰加算として、300,000点を退院時に1回に限り所定点数に加算する。」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
「退院時に1回に限り」なんですね。毎日積み上がるタイプの加算じゃないんですか。
あおい(元・医療事務)
はい、条文の書きぶりからは、日々の入院基本料のように積み上がるものではなく、退院というタイミングで一度だけ算定候補になる性質のものと読み取れます。ただし、こちらも正直にお伝えすると、当サイトが確認できているこの抽出部分は文の途中から始まっており、「入院対象者が退院した場合」の前に、どの入院医学管理料の区分を対象にしているか、といった条件が書かれていた可能性があります。その部分は当サイトが確認できている範囲では特定できていません。この記事では、令和8年度(2026年度)の一次資料をもとに、社会復帰加算がどんな場面で算定候補になり得るか、何を確認すべきかを整理していきます。
社会復帰加算とはどんな加算ですか
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどんな場面のためのものなんですか?
あおい(元・医療事務)
医療観察法の入院処遇に関わる制度を踏まえると、こう考えられます。国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の説明によれば、医療観察法の入院処遇では「病状が改善し、対象者が地域で生活する能力と環境が整うと、指定入院医療機関は裁判所に退院の申立てを行います。」とされています。社会復帰加算は、この「退院」というタイミングに合わせて、退院時に1回だけ算定候補になる加算、という位置づけだと考えられます。
みらい(新人医療事務)
「社会復帰」って名前がついているのも、退院、つまり社会に戻ることと関係あるんですね。
あおい(元・医療事務)
そう読めます。ただし、退院に至るまでには相応の調整業務(ケア会議・地域の関係機関との調整・社会復帰調整官との連携など)が発生することが、法務省やNCNPの説明からもうかがえます。社会復帰加算がどの業務量に対応する点数として設定されているかまでは、当サイトが収録している一次資料の範囲では明記が確認できておらず、断定はできません。
この加算の性質について
社会復帰加算は、通常の医科点数表(初診料・再診料・各種管理料など)とは別建ての「医療観察診療報酬」に属する加算です。一般の診療所・病院が日常の保険診療で算定する加算ではなく、厚生労働省が指定した医療観察法の指定入院医療機関にのみ関わる可能性がある項目です。自院がこの制度の対象施設でない場合は、対象外の可能性が高くなります。

対象医療機関・対象になり得る場面
みらい(新人医療事務)
対象になるのは、どんな医療機関なんですか?
あおい(元・医療事務)
法務省の説明では、医療観察法の入院決定を受けた対象者には「厚生労働省所管の指定入院医療機関による専門的な医療が提供され」るとされています。全国のすべての病院がなれるわけではなく、厚生労働大臣が個別に指定した限られた病院だけが担う制度です。社会復帰加算も、この指定入院医療機関だけに関わる可能性がある加算です。
みらい(新人医療事務)
普通の精神科病院やクリニックは、まず関係ないということですね。
あおい(元・医療事務)
多くの医療機関にとってはそうなります。指定を受けていない医療機関であれば、この加算はそもそも算定候補になりません。逆に、指定入院医療機関として運営されている施設では、入院対象者が退院するタイミングごとに、この加算が算定候補になるかを確認する場面が出てきます。
混同しやすいポイント
医療観察法の診療報酬には、名前がよく似た加算が複数あります。「社会復帰加算」(退院時に1回、300,000点)のほかに、「社会復帰期移行加算」(入院処遇の段階が社会復帰期に移る際、100,000点)、「社会復帰期転院調整加算」(特定の転院パターンに該当する場合の上乗せ、1,600点)、「医療観察療養生活継続支援加算」など、似た名称の加算・管理料が同じ令和8年度改定の算定告示に含まれています。名称だけで判断せず、加算ごとに対象となる場面(退院時か、段階移行時か、転院時か)を個別に確認することが必要です。
点数を整理しておきます(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数、もう一度確認させてください。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度改定の算定告示原文)に基づく点数は次のとおりです。参考として、名前が似ている周辺加算の点数も並べておきます。
| 項目 | 点数 | タイミング | 年度 |
|---|---|---|---|
| 社会復帰加算 | 300,000点 | 退院時に1回に限り | 令和8年度 |
| (参考)社会復帰期移行加算 | 100,000点 | 定点数に加算(詳細な移行条件は当サイトでは未確認) | 令和8年度 |
| (参考)転院調整加算 | 2,400点 | 指定入院医療機関の変更時 | 令和8年度 |
あおい(元・医療事務)
社会復帰加算は、当サイトの整理コードでは「188023270」として管理しています。ただし、この整理コードは一般の医科診療行為マスターのコード体系とは異なる、医療観察診療報酬固有の管理番号ですので、一般の点数表のコードと混同しないよう注意してください。

施設基準・届出については確認が必要です
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出は、どうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、社会復帰加算固有の施設基準や届出様式についての記載を確認できていません。医療観察診療報酬の枠組みそのものが、厚生労働大臣による指定入院医療機関の指定を前提としているため、通常の医科点数表のような個別の施設基準届出とは異なる手続きになっている可能性がありますが、断定はできません。自院が指定入院医療機関であれば、地方厚生局や厚生労働省の担当部局に直接確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「届出済みであれば算定候補」みたいな、普通の加算のパターンとは違うかもしれないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。一般の医科点数表の加算のような「施設基準を満たして届出をすれば算定候補」というパターンをそのまま当てはめるのではなく、まず指定入院医療機関としての指定を受けているかどうかが出発点になる、という理解の方が実態に近いと考えられます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定のときは、どうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度以前の「社会復帰加算」に関する記録を確認できていません(2026年8月確認時点)。新設なのか、点数が変更されたのか、算定要件が変わったのかを判断するための比較材料が今のところ手元にないため、断定的な説明は避けます。前回改定からの変更点については、確認されていません、という表現にとどめさせてください。
みらい(新人医療事務)
分からないことは分からないと書いてくれる方が、かえって安心できます。
あおい(元・医療事務)
そう言ってもらえるとありがたいです。医療観察法の診療報酬は、一般の医科点数表に比べて公開されている解説情報が少なく、当サイトでも一次資料の収集を続けているところです。令和6年度分の記録が確認でき次第、この記事も更新します。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
もし自院に関係あるかもと思ったら、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認すると進めやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が厚生労働省の指定を受けた「指定入院医療機関」に該当するかを確認する
- 該当する場合、入院対象者の退院(裁判所への退院の申立てを経た退院)が発生するタイミングを把握する
- 算定要件・算定タイミング・回数制限・併算定の可否を、地方厚生局や審査支払機関、公式資料(令和8年度改定の算定告示・留意事項通知)で確認する
- 不明な点が残る場合は、自院の状況を整理したうえで加算チェッカーで確認し、最終的な判断は届出状況と公式資料に基づいて行う
みらい(新人医療事務)
一般のクリニックだと、1番の時点でほぼ終わりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。医療観察法の指定を受けていない医療機関であれば、この加算はそもそも算定候補になりません。逆に、指定を受けている施設の担当者にとっては、2番以降が実務上のポイントになります。
よくある取り漏れ・確認漏れ
社会復帰加算は「退院時に1回に限り」という一時的な加算のため、退院というイベントの発生に気づかないまま算定機会を逃してしまう可能性があります。指定入院医療機関では、退院決定から実際の退院までのプロセスを診療録や事務側の管理表に明確に記録し、退院のタイミングで算定候補になる加算(社会復帰加算を含む)を一括して確認できる体制を整えておくことが、取り漏れの防止につながると考えられます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。医療観察法に関わる特殊な加算は情報が少ない分、自己判断だけで進めず、公式資料や審査支払機関への確認と合わせて使ってもらえると安心です。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。