みらい(新人医療事務)
あおいさん、うちの病院がこの春「医療観察法の指定通院医療機関」になったんですけど、「急性増悪時等受入調整加算」っていう名前の加算を見つけて、正直まったく意味が分からないです。これって何をしたときの加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いきなり専門的な名前で戸惑いますよね。これは一般の医科診療報酬とは別建ての「医療観察診療報酬」の加算で、令和8年度(2026年度)から新設されたものです。対象はかなり限定的で、指定通院医療機関が、他の保険医療機関に入院していた通院対象者を自院へ転院させて受け入れるために必要な調整を行ったときに算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「通院対象者」っていうのは、うちの外来に普通に通っている患者さんとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、まったく違う枠組みの言葉です。医療観察法上の「通院対象者」とは、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づいて通院処遇の決定を受けた方のことです。この方が症状悪化などで精神保健福祉法に基づく入院をした場合、指定通院医療機関への転院調整という特別な業務が発生することがあり、その調整業務を評価するのがこの加算です。ちなみに、指定通院医療機関の通院料には、この加算以外にも医療観察疾患別等診療計画加算のような加算があり、対象者の状態や場面ごとに評価する仕組みが整理されています。
対象医療機関・どんな場面で発生するのか
みらい(新人医療事務)
どんな場面で発生するのか、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項(障精発0331第3号)には次のように書かれています。「(21)『注4』の急性増悪時等受入調整加算は、当該加算を算定する指定通院医療機関とは別の保険医療機関に精神保健福祉法に基づく入院をした通院対象者が、指定通院医療機関への転院し、円滑に集中的な精神医学管理を行うための調整を行った場合に算定するものとし、当該調整にかかる要点を診療録に記載する」とあります。つまり「別の保険医療機関に入院中の通院対象者」を「自院(指定通院医療機関)へ転院させる調整」をしたときが対象です。
みらい(新人医療事務)
「調整」って、具体的には何をすることなんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ留意事項の(22)に定義があります。「注4の『受入れに必要な調整』とは、指定通院医療機関ではない別の保険医療機関から当該指定通院医療機関への転院が実施される際に、転院前の保険医療機関と転院後の指定通院医療機関が行う必要な記録の作成や受け渡し、時間管理の引継ぎ等、転院後に通院対象者入院医学管理を円滑に実施するために必要な体制確保にかかる一連の調整をいう」とされています。記録の作成・引き渡しや時間管理の引き継ぎなど、転院先として受け入れる準備を指すと読めます。
対象になるかの一次確認ポイント
転院元: 通院対象者が、自院とは別の保険医療機関に精神保健福祉法上の入院をしていること 転院先: その通院対象者を自院(指定通院医療機関)へ転院させ、集中的な精神医学管理を円滑に行うための調整を実施したこと 記録: 調整の要点を診療録に記載していること
点数と加算のタイミング
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
2,400点です。ただし単独では算定できず、「急性増悪包括管理料2」という別の項目の算定に上乗せする形の加算になっています。告示(厚生労働省告示第146号)の注4には「当該対象者の受入れに必要な調整を行った場合、最初の急性増悪包括管理料2の算定日の所定点数に、急性増悪時等受入調整加算として2,400点加算する」と書かれています。ポイントは「最初の算定日」に限られることです。
みらい(新人医療事務)
「最初の」ってことは、毎日は付かないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。急性増悪包括管理料2自体は入院日から起算して90日を限度に1日1回算定する仕組みですが、受入調整加算はその期間のうち最初の算定日1回のみに上乗せされる、という位置づけです。
| 項目 | 点数 | 算定の目安 | 年度 |
|---|---|---|---|
| 急性増悪包括管理料1 | 1,300点(1日につき) | 精神保健指定医の診察に基づき集中的な精神医学管理を開始した場合 | 令和8年度 |
| 急性増悪包括管理料2 | 1,600点(1日につき、90日限度) | 精神保健福祉法上の入院をして集中的な精神医学管理を行った場合 | 令和8年度 |
| 急性増悪時等受入調整加算 | +2,400点(最初の算定日のみ) | 急性増悪包括管理料2の対象者を他院から受け入れる調整を行った場合 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
マスターコードみたいな管理番号ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算の医科診療行為マスターコードは188025270として整理されています。実務でレセプト入力に使う具体的なコード体系は、自院のレセプトコンピュータや医科診療行為マスターで確認してください。
施設基準と対象患者の要件
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、うちの病院が何か条件を満たしている必要があるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。受入調整加算は単独の施設基準を持たず、土台となる「急性増悪包括管理料2」の施設基準を満たしていることが前提になります。厚生労働省告示第147号には次のようにあります。「四の二 急性増悪包括管理料2の施設基準 ⑴ 診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)別表第一医科診療報酬点数表に規定する精神病棟入院基本料の十対一入院基本料、十三対一入院基本料若しくは十五対一入院基本料、特定機能病院入院基本料(精神病棟の場合に限る。)、精神科救急急性期医療入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料又は地域移行機能強化病棟入院料を算定する精神病棟であること。⑵ 集中的な精神医学管理を行うにつき十分な体制が整備されていること」とされています。
みらい(新人医療事務)
つまり、どの病棟でも良いわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。精神病棟入院基本料の特定の区分や、精神科救急急性期医療入院料などを算定している精神病棟であることが前提になっています。加えて、対象となる患者側の要件も告示第147号に定められています。「四の三 急性増悪包括管理料2及び急性増悪時等受入調整加算の対象者 精神保健指定医の診察の結果、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下『精神保健福祉法』という。)第二十条、第二十九条第一項、第二十九条の二第一項、第三十三条第一項から第三項まで又は第三十三条の六第一項若しくは第二項の規定により入院している者」です。精神保健指定医の診察を経て、精神保健福祉法の特定の条項に基づいて入院している方であることが条件になります。
施設基準の該当は自院で確認
どの入院基本料の区分に該当するか、精神保健福祉法のどの条項による入院かは、個別の病棟構成や患者の入院形態によって変わります。当てはまるかどうかの最終判断は、自院の届出状況と主治医・精神保健指定医の確認事項です。
届出は必要なのか
みらい(新人医療事務)
この加算自体を単独で届け出る必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の範囲では、受入調整加算そのものについての単独の届出様式は確認できていません。ただし土台となる急性増悪包括管理料2は、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た指定通院医療機関」であることが算定の前提として告示に明記されています。つまり、急性増悪包括管理料2の届出が済んでいることが、受入調整加算を算定候補にするための前提条件と考えられます。届出済みであれば候補になりますが、最終的な届出の要否・様式は地方厚生局への確認が必要です。
併算定・注意点
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の(23)には「当該対象者の転院に必要な調整に係る費用の分配は相互の合議に委ねることとする」とあります。転院元の保険医療機関と転院先の指定通院医療機関の間で、調整にかかる費用の扱いを協議しておく必要がある、という趣旨です。また、この加算はあくまで「最初の急性増悪包括管理料2の算定日」に限って上乗せされるものなので、複数回の算定や、急性増悪包括管理料1の期間中の算定はできないと読めます。
対象外の可能性がある場合
自院への転院を伴わないケース(同一施設内での対応や、通常の通院医学管理の範囲内での対応)は、対象外の可能性があります。実際に該当するかどうかは、精神保健指定医の診察記録と診療録の記載内容をもとに自院で確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前からあったものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。厚生労働省告示第146号の新旧対照表を確認すると、急性増悪時等受入調整加算は令和8年度(2026年度)改定で新設された項目です。改正前の欄には「急性増悪包括管理料 39,000点」という単一区分(月単位の包括払い)のみが存在し、急性増悪包括管理料1・急性増悪包括管理料2・急性増悪時等受入調整加算のいずれについても、改正前の欄には対応する規定がなく「(新設)」と表示されています。つまり、月単位の包括払いだった急性増悪包括管理料を、日額の急性増悪包括管理料1(1,300点)・急性増悪包括管理料2(1,600点)に再編する中で、受入調整の業務を評価する項目として新たに設けられたのが、この2,400点の加算です。
前回→今回の変化(事実ベース)
令和6年度以前: 急性増悪包括管理料は月39,000点の単一区分(受入調整を個別に評価する加算はなし) 令和8年度(2026年度): 急性増悪包括管理料1(1,300点/日)・急性増悪包括管理料2(1,600点/日、90日限度)に再編し、急性増悪時等受入調整加算(2,400点、最初の算定日のみ)を新設
みらい(新人医療事務)
この改正はいつから適用されているんですか?
あおい(元・医療事務)
この告示(厚生労働省告示第146号)は令和8年6月1日から適用されています。有利・不利といった評価は一次資料に明記されていないため、ここでは制度の変更事実のみをお伝えしています。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で算定候補になるか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
自院が急性増悪包括管理料2の施設基準(対象となる入院基本料区分の精神病棟であること等)を満たし、届出済みかを確認する 転院を受け入れた通院対象者が、精神保健福祉法上の該当条項による入院であったかを精神保健指定医の診察記録で確認する 転院元の保険医療機関との間で、受入れに必要な調整(記録の作成・引き渡し、時間管理の引き継ぎ等)を実施したかを確認する 調整の要点を診療録に記載し、費用分配について転院元と協議したかを確認する 急性増悪包括管理料2の最初の算定日に、受入調整加算を上乗せできるかを院内のレセプト担当と確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
現場でよくあるのは次のようなパターンです。
取り漏れの傾向
「最初の算定日」の見落とし: 急性増悪包括管理料2を算定するたびに毎回加算できると誤解し、逆に本来算定できる最初の1回を取り漏らすケース 診療録記載の不足: 調整を実施していても、要点を診療録に記載していないために算定根拠が弱くなるケース 施設基準の未届出: 急性増悪包括管理料2自体の届出が済んでいない状態で、受入調整加算だけを算定候補と考えてしまうケース
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。