みらい(新人医療事務)
あおいさん、マスターの一覧に「医療観察療養生活継続支援加算」っていう見慣れない加算があったんですけど、これって普通のクリニックでも算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、この加算はかなり特殊です。結論から言うと、対象になるのは「医療観察法」に基づいて指定を受けた通院医療機関だけで、一般の精神科クリニックや病院は対象外です。令和8年度(2026年度)の枠組みで整理しながら、順番に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
医療観察法…名前は聞いたことがある気がしますが、詳しくは知らないです。
あおい(元・医療事務)
正式には「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」といって、重大な他害行為を行った際に心神喪失や心神耗弱の状態だったと認められた方に対して、裁判所の決定に基づき専門的な医療を提供する制度です。入院処遇と通院処遇があり、この加算は通院処遇のうち「指定通院医療機関」だけが算定できるものなんです。
この加算は何のための加算ですか
みらい(新人医療事務)
そもそもどんな支援に対する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は「重点的な支援を要する通院対象者」です。精神科を担当する医師の指示の下で、保健師・看護師・精神保健福祉士が、対面による20分以上の面接を含む支援を行い、なおかつ同じ月内に保護観察所・保健所・市町村・指定特定相談支援事業者・障害福祉サービス事業者といった関係機関と連絡調整を行った場合に算定候補になります。単なる面談だけでなく、関係機関との連絡調整までがセットになっているのがポイントです。
みらい(新人医療事務)
「重点的な支援を要する」っていうのは、どう判断するんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(障精発0331第3号)では、対象となる通院対象者を2パターンに整理しています。1つは通院医学管理料の「通院医学管理事前調整加算」を算定した通院対象者で、通院決定日の翌月末日までに当該指定通院医療機関を受診した方。もう1つは、「包括的支援マネジメント実践ガイド」の「包括的支援マネジメント導入基準」を1つ以上満たす方です。この判定は医療機関側の医学的な評価が前提になるので、当サイトで断定はできません。あくまで自院での確認が必要な部分です。
対象になる医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
じゃあ、うちのような一般のクリニックはやっぱり関係ないですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。対象患者は医療観察法に基づき通院決定を受けた「通院対象者」に限られていて、対象医療機関も厚生労働省から指定を受けた「指定通院医療機関」だけです。一般の外来患者やふつうの精神科クリニックの通院精神療法とは別の枠組みなので、混同しないようにしてください。

点数・コード
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している医科点数表マスターデータの範囲では、令和8年度において500点、月1回に限る算定です。対応するコードは188025970です。ただし、この加算は医療観察法の通院対象者通院医学管理料(前期・中期・後期の区分があります)に付随する注加算という位置づけなので、算定にあたっては本体である通院医学管理料側の算定要件も合わせて確認してください。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 加算名 | 医療観察療養生活継続支援加算 |
| 点数 | 500点 |
| 算定回数 | 月1回限り |
| 上限 | 初回算定日の属する月から起算して1年 |
| コード | 188025970 |
みらい(新人医療事務)
1年経ったらもう算定できなくなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは一次資料に例外規定があります。対象となる状態の急性増悪、または著しい環境の変化によって新たに重点的な支援が必要になった場合は、要件を満たすことを前提に、再度の算定日の属する月から起算してさらに1年を限度として、月1回の算定候補になります。この場合は診療報酬明細書の摘要欄に急性増悪等の具体的な状態を記載し、新たに重点的な支援を行うことになった日を記載した支援計画書を通院対象者やその家族等に説明のうえ交付し、その写しを診療録に添付する必要があります。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年厚生労働省告示第147号では「療養生活を継続するための支援を行うにつき十分な体制が確保されていること」とだけ書かれていますが、これを具体化した通知(障精発0331第4号)にもう少し詳しい基準が示されています。
施設基準の具体的な要件
専任配置: 当該指定通院医療機関内に、支援に専任の精神保健福祉士が1名以上勤務していること。 担当人数の上限: 支援を行う保健師・看護師・精神保健福祉士が同時に担当する対象者の数は、1人につき30人以下であること。 担当一覧の作成: それぞれの保健師・看護師・精神保健福祉士が担当する通院対象者の一覧を作成していること。
みらい(新人医療事務)
精神保健福祉士が専任じゃないとダメなんですね。兼任だと施設基準を満たさない可能性があるということでしょうか。
あおい(元・医療事務)
一次資料の文言は「専任の精神保健福祉士が1名以上勤務していること」となっているので、専任配置が求められています。実際の勤務体制が専任要件を満たすかどうかは、自院の人員配置表と合わせて個別に確認が必要です。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。障精発0331第4号によると、医療観察児童思春期精神科専門管理加算・医療観察心理支援加算・医療観察療養生活継続支援加算の施設基準に係る届出には様式4を使うとされています。さらに、指定通院医療機関と同一の保険医療機関で、医科診療報酬点数表第2章第8部第1節I002の注8に掲げる「療養生活継続支援加算」の届出を既にしている場合は、その届出に用いた様式の複写を添付し、届出をしていない場合は別の様式(特掲診療料通知の別添2の様式44の5の2)を用いる、という手順が定められています。届出済みであれば算定候補になりますが、未届出の場合はこの手順に沿った届出が前提です。
似た名前の加算との混同に注意
医科診療報酬点数表I002(通院・在宅精神療法)の注8にも「療養生活継続支援加算」という名称の加算があり、こちらは医療観察法とは無関係の一般的な精神科加算です。名称が非常に似ているため、届出書類や算定要件を確認する際は「医療観察」が付くかどうかを必ず確認してください。
算定のタイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
面接や連絡調整のところ、もう少し具体的に教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料が求めている要件を整理すると、次の4点をすべて満たす必要があります。
算定にあたって満たす必要がある要件
多職種カンファレンス: 通院対象者の支援方針等について、3か月に1回の頻度で多職種カンファレンスを実施すること。当該通院対象者を担当する医師・保健師または看護師・精神保健福祉士が、それぞれ1名以上参加していること(必要に応じて薬剤師や作業療法士等も参加)。 支援計画書の作成: カンファレンスで対象者の状態を把握したうえで、初回の支援から2週間以内に、多職種が共同して「療養生活の支援に関する計画書」を作成し、写しを診療録等に添付すること。 支援計画書の説明・交付: 担当する看護師等または精神保健福祉士が、通院対象者等に支援計画書の内容を説明し、写しを交付したうえで支援を行うこと。 関係機関との連絡調整: 当該月内に保護観察所・保健所・市町村・指定特定相談支援事業者・障害福祉サービス事業者その他の関係機関と連絡調整を行うこと。

みらい(新人医療事務)
どれか1つでも欠けたら算定できないということですね。
あおい(元・医療事務)
一次資料は「以下の要件をいずれも満たすこと」という表現なので、面接・連絡調整・カンファレンス・支援計画書のすべてがそろって初めて算定候補になる、という理解が必要です。実際の診療録・記録の残し方が要件を満たしているかは、自院での確認をおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
医療観察法の診療報酬全体は、令和8年6月1日から新しい告示・通知の体系に切り替わっています。今回確認した一次資料(障精発0331第4号)の冒頭には、従来の「基本診療料及び医療観察精神科専門療法の施設基準及びその届出に関する手続の取扱いについて」(令和6年3月29日障精発0329第3号)は令和8年5月31日限りで廃止する、と明記されていました。ただし、この加算固有の点数や算定要件そのものが令和6年度から変更されたかどうかは、当サイトが確認できた一次資料の範囲では特定できていません。届出様式や手続きの通知が令和8年度版に更新されている、という点は事実として押さえておいてください。
改定に伴う実務上のポイント
令和8年6月1日以降に新規で施設基準の届出を行う場合は、令和8年3月31日付の告示・通知(令和8年厚生労働省告示第147号、障精発0331第4号)に基づく様式4を使う必要があります。旧通知(令和6年障精発0329第3号)に基づく様式が残っていないか、事務局内で確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
最終的に、うちの施設が算定候補かどうかを確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
おおまかには次のステップで確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が医療観察法上の「指定通院医療機関」であるかを確認する。指定を受けていない一般のクリニック・病院はこの時点で対象外の可能性が高いです。
- 支援に専任する精神保健福祉士が1名以上在籍しているか、その担当人数が30人以下に収まっているかを確認する。
- 対象患者が「重点的な支援を要する通院対象者」の定義(通院医学管理事前調整加算の算定者、または包括的支援マネジメント導入基準の該当者)に当てはまるかを確認する。
- 20分以上の面接・当月内の関係機関連絡調整・3か月に1回の多職種カンファレンス・支援計画書の作成という4つの要件を、記録として残せる体制になっているかを確認する。
- 様式4(または関連様式)による施設基準の届出が済んでいるかを確認する。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
精神保健福祉士が専任ではなく他業務と兼任になっているケース、担当人数が実質30人を超えてしまっているケース、そして支援計画書の作成が初回支援から2週間を過ぎてしまうケースは、記録を見返すと見つかりやすい取り漏れです。
取り漏れが起きやすい場面
担当上限の管理: 対象者が増えてきたときに、精神保健福祉士1人あたり30人という上限を超えていないか、一覧表での管理が形骸化していないか。 支援計画書の期限: 初回支援から2週間以内という期限を、カンファレンス日程の都合で超えてしまっていないか。 摘要欄への記載漏れ: 急性増悪等で再度算定する場合に、診療報酬明細書の摘要欄への具体的な状態の記載が漏れていないか。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。指定通院医療機関としての届出状況や人員体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。