みらい(新人医療事務)
先輩、「通院医学管理情報提供加算」っていう名前の加算を見つけたんですけど、これって普通のクリニックでも算定候補になるものですか?
あおい(元・医療事務)
これは少し特殊な加算なんです。結論から言うと、一般の診療所や病院がすぐに対象になるものではありません。心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、いわゆる「医療観察法」に基づいて厚生労働大臣から指定を受けた「指定通院医療機関」だけが対象になる加算なんですよ。
みらい(新人医療事務)
医療観察法…初めて聞きました。普通の医科点数表とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこがまず押さえておきたいポイントです。厚生労働省の告示には「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号。以下「法」という。)第二条第三項に規定する指定医療機関に係る医療に要する費用の額は、別表医療観察診療報酬点数表により算定するものとする。」と定められています。つまり通常の医科診療報酬点数表とは別建ての「医療観察診療報酬点数表」という独自の点数表で算定される費用なんです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、この加算はどんな場面で算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
対象になるのは「通院対象者」、つまり医療観察法の審判手続きで通院による医療を受けさせる旨の決定を受けた方の医療管理に関わる場面です。指定通院医療機関の職員が、施行令に定められた「ケア会議」に出席し、保護観察所を含む関係機関へ通院対象者の医療等に関する情報提供を行った場合に、算定候補になります。
通院医学管理情報提供加算とは何か
みらい(新人医療事務)
具体的にはどういう条文になっているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省告示の該当条文をそのまま確認してみましょう。「注9 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行令(平成16年政令第310号。以下「令」という。)第12条の会議(以下「ケア会議」という。)に通院対象者通院医学管理を行う指定通院医療機関の職員が出席し、法第91条の規定に基づき通院対象者の適切な処遇の実施に資するよう、精神障害者の医療、保健又は福祉に関する機関との連絡調整のため、保護観察所を含む関係機関に対して通院対象者の医療等の情報提供を行った場合、ケア会議の開催の都度、所定点数に通院医学管理情報提供加算として1,200点を加算する。」とあります。
みらい(新人医療事務)
「ケア会議の開催の都度」っていうのが独特ですね。月1回みたいな制限じゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この加算は「ケア会議が開かれるたびに」算定候補になる、という条文の作りです。一般的な医科の加算だと「月1回を限度として」という表現が多いので、条文の主語と単位を取り違えないようにする必要があります。この加算の算定単位は「ケア会議の開催の都度」であって、月単位の上限は条文上明記されていません。

みらい(新人医療事務)
この加算のベースになる「通院対象者通院医学管理料」自体はどんな点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
こちらも一次資料の別表で確認できます。時期によって3段階に分かれていて、「イ 前期通院対象者通院医学管理料(法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号による決定の日(以下「通院決定日」という。)から起算して6月を経過する日の属する月までの期間)(1月につき) 8,402点」「ロ 中期通院対象者通院医学管理料(イで定める月の翌月から、通院決定日から起算して2年を経過する日の属する月までの期間)(1月につき) 7,386点」「ハ 後期通院対象者通院医学管理料(通院決定日から起算して2年を経過する日の属する月の翌月以降の期間)(1月につき) 6,370点」と定められています。通院医学管理情報提供加算は、この通院対象者通院医学管理料に上乗せする形で算定候補になる加算です。
点数とコード
みらい(新人医療事務)
点数を表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。当サイトが収録している医科診療行為マスター(令和8年度)でも、この加算のコードと点数は次のように記録されています。
| 項目 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 通院医学管理情報提供加算 | 1,200点 | ケア会議の開催の都度 |
| (参考)前期通院対象者通院医学管理料 | 8,402点 | 1月につき |
| (参考)中期通院対象者通院医学管理料 | 7,386点 | 1月につき |
| (参考)後期通院対象者通院医学管理料 | 6,370点 | 1月につき |
みらい(新人医療事務)
「参考」の欄があるのはなぜですか?
あおい(元・医療事務)
通院医学管理情報提供加算は単独では算定できず、通院対象者通院医学管理料が算定されている月の診療の中で、ケア会議への出席と情報提供という行為があって初めて加算候補になるものだからです。ベースの点数がどのくらいかも合わせて見ておくと、全体像がつかみやすいですよ。
この加算だけを切り離して考えない
通院医学管理情報提供加算は、通院対象者通院医学管理料という土台があってはじめて成立する加算です。土台となる通院対象者通院医学管理料自体が算定候補かどうかを先に確認しないまま、この加算だけを検討しても意味がありません。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関の条件を、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
通院対象者通院医学管理料に関する条文の注1にこう書かれています。「注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た指定通院医療機関において、法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号による決定を受けた対象者(以下「通院対象者」という。)に対して通院対象者通院医学管理が行われた場合に、当該施設基準に係る区分に従い、1月に1回を限度として、それぞれ所定点数を算定する。」つまり、対象になる医療機関は「指定通院医療機関」であり、かつ厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているとして地方厚生局長に届け出ている必要があります。
みらい(新人医療事務)
「指定通院医療機関」って、普通の届出だけでなれるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこが一般の施設基準届出と大きく異なる点です。指定通院医療機関は医療観察法に基づいて厚生労働大臣から個別に指定を受けた医療機関のことで、法律上の指定手続きを経た医療機関だけが該当します。一般の診療所・病院が施設基準の届出だけで新たに対象になれるものではなく、まず医療観察法上の指定を受けているかどうかが出発点になります。
みらい(新人医療事務)
患者さんの方の条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
対象となる患者は「通院対象者」、つまり医療観察法の審判で通院による医療を受けさせる旨の決定(法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号による決定)を受けた方に限られます。一般の外来患者や在宅患者がこの加算の対象になることはありません。
一般の診療所・病院は対象外の可能性が高い加算です
通院医学管理情報提供加算は、医療観察法上の指定通院医療機関という限られた医療機関だけを対象にした加算です。指定を受けていない一般の診療所・病院では、対象外の可能性が高いといえます。ただし個別の指定状況は施設ごとに異なるため、断定はできません。自院が指定通院医療機関に該当するかどうかは、必ず自院の指定状況で確認してください。
施設基準と届出の考え方
みらい(新人医療事務)
施設基準については、どこまで一次資料で確認できていますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料で確認できているのは、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長に届け出た指定通院医療機関」であること、という枠組みまでです。施設基準の具体的な人員配置などの詳細な数値は、この加算の告示本文には含まれておらず、別途厚生労働大臣が定める基準に規定されています。当サイトが確認した範囲でその詳細数値までは確認できていないため、具体的な人員体制などを断定して書くことは控えます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出済みかどうかはどうやって確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
自院が医療観察法上の指定通院医療機関としての指定を受けているか、そして通院対象者通院医学管理料の施設基準の届出を地方厚生局に対して行っているか、この2点を自院の届出書類や地方厚生局とのやり取りで確認するのが確実です。届出済みであれば、通院医学管理情報提供加算も算定候補として検討できます。
自院で確認する順番
自院が医療観察法に基づく指定通院医療機関としての指定を受けているか確認する 通院対象者通院医学管理料の施設基準を地方厚生局長に届け出ているか確認する 施行令第12条に定めるケア会議に、自院の職員が出席した実績があるか確認する ケア会議の場で、保護観察所を含む関係機関へ通院対象者の医療等の情報提供を行ったかを診療録等で確認する

算定タイミング・回数・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングについて、もう一度整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
条文の表現をそのまま使うと、「ケア会議の開催の都度、所定点数に通院医学管理情報提供加算として1,200点を加算する」となっています。つまり、ケア会議が開かれ、かつそこで関係機関への情報提供という行為が行われた回ごとに、加算の候補になる構造です。月に複数回ケア会議が開催されれば、その都度が算定候補になり得ますが、月あたりの上限回数を定める文言はこの条文には含まれていません。
みらい(新人医療事務)
「ケア会議に出席しただけ」でも加算候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
条文をよく読むと、出席に加えて「関係機関との連絡調整のため、保護観察所を含む関係機関に対して通院対象者の医療等の情報提供を行った場合」という要件が明記されています。つまり、単にケア会議に出席するだけでなく、保護観察所などへの情報提供という行為が伴っていることが条文上の要件です。出席の記録だけでなく、情報提供を行った事実も診療録等で確認しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
併算定について、何か注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
通院医学管理情報提供加算そのものの併算定除外に関する具体的な条文は、当サイトが確認した範囲では見当たりませんでした。資料に明記されていない併算定の可否について、当サイトから断定的に書くことは避けます。個別の算定にあたっては、通院対象者通院医学管理料に関する他の注書き(施設基準の区分や、通院対象者社会復帰体制強化加算など他の加算との関係)も含め、自院の状況で改めて確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、今回の改定で何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の改正履歴を確認すると、令和8年度改定に関する記載として「改正文 (令和八年三月三一日厚生労働省告示第一四六号) 抄 令和八年六月一日から適用する。ただし、別表第1章第1節に一項を加える改正規定(同節の1の注8に係る部分に限る。)は、令和八年十二月一日から適用する。」とあります。この文言が指しているのは、通院医学管理情報提供加算(注9)ではなく、同じ通院対象者通院医学管理料の中にある「通院医学管理事前調整加算」(注8)に関する改正です。
みらい(新人医療事務)
つまり、この加算自体は変わっていないということですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、通院医学管理情報提供加算(注9)そのものの点数・算定要件を変更する改正規定は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省告示ベース)。令和8年度改定で改正が加えられたのは、同じ通院対象者通院医学管理料内の注8(通院医学管理事前調整加算)に関する規定であり、当サイトが確認した一次資料の範囲では、その新設区分の具体的な内容までは確認できていません。通院医学管理情報提供加算(1,200点、ケア会議の開催の都度)自体は、この改正の対象条項には含まれていません。
前回→今回の時系列
令和6年度(2024年度)改定: 通院医学管理情報提供加算の条文自体への言及は、当サイトが確認した改正履歴には見当たりませんでした。令和8年度(2026年度)改定: 通院対象者通院医学管理料の中で改正が加えられたのは注8(通院医学管理事前調整加算)であり、通院医学管理情報提供加算(注9)への変更は確認されていません。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
一番多いのは、通院対象者通院医学管理料そのものが算定候補かどうかを確認しないまま、情報提供加算だけを個別に検討してしまうケースです。この加算はあくまで通院対象者通院医学管理料に付随する加算なので、ベースとなる通院対象者通院医学管理料の算定状況を先に確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
もうひとつ気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
「ケア会議に出席した」という事実だけを記録して、「保護観察所を含む関係機関への情報提供を行った」という部分の記録が抜け落ちてしまうケースです。条文上、この情報提供という行為が要件に含まれているため、出席の記録に加えて、どの関係機関に、どのような情報提供を行ったかも診療録等に残しておくことが望ましいといえます。
施設の指定状況によっては対象外の可能性があります
繰り返しになりますが、この加算は医療観察法上の指定通院医療機関でなければ、そもそも算定候補にはなりません。一般の診療所・病院が「加算の名前が似ているから」といって安易に算定を検討することのないよう注意してください。対象になるかどうかは、自院が指定通院医療機関としての指定を受けているかどうかで判断が変わります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくありそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
「うちは精神科クリニックですが、対象になりますか?」
あおい(元・医療事務)
精神科の診療所・病院であっても、医療観察法上の指定通院医療機関としての指定を受けていなければ、対象外の可能性が高いです。精神科であること自体が対象の条件ではなく、指定を受けているかどうかが判断のポイントになります。
みらい(新人医療事務)
「ケア会議に出席すれば必ず1,200点算定できますか?」
あおい(元・医療事務)
条文上は、ケア会議への出席に加えて、保護観察所を含む関係機関への通院対象者の医療等の情報提供を行ったことが要件です。出席のみで情報提供を伴わない場合に算定候補になるかどうかは、自院の記録と算定要件を照らし合わせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
「前回の改定と比べて点数は上がったんですか?」
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の改正履歴の範囲では、通院医学管理情報提供加算(注9)自体への点数改正の記載は見当たりませんでした。令和8年度(2026年度)改定で変更が加えられたのは、同じ通院対象者通院医学管理料の中の別の加算(通院医学管理事前調整加算・注8)です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。