みらい(新人医療事務)
あおいさん、うちの病院で「放射性同位元素内用療法管理料」ってレセプトに載っているのを見たんですけど、これってどんな管理料なんですか?
あおい(元・医療事務)
放射性同位元素を体内に投与して行う放射線治療(内用療法)を受けている患者さんの、継続的な管理を評価する管理料です。令和8年度(2026年度)の情報でお話ししますね。区分番号はM000-2です。
みらい(新人医療事務)
「内用療法」ということは、注射や内服で放射性物質を体に入れる治療ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。体の外から照射する外部照射とは違って、非密封の放射性同位元素そのものを注射や内服で体内に投与し、その放射能で病巣に直接働きかける治療です。この管理料は、その治療を受けている患者さんを継続的に管理していることを評価する仕組みです。
放射性同位元素内用療法管理料とは何のための管理料か
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな目的でできた管理料なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年度・保医発0305第6号)では、「放射性同位元素内用療法管理料は、非密封放射線源による治療で、放射性同位元素を生体に投与し、その放射能による病巣内照射を行う放射線治療に当たり、当該治療を受けている患者の継続的な管理を評価するものである」とされています。
みらい(新人医療事務)
治療そのものではなく、「管理」を評価している点数なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。内用療法という核医学治療そのものの技術料とは別に、投与後の患者さんの状態観察や説明・指導など、継続的なフォローを評価する管理料という位置づけです。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
制度上は入院・外来を問わず算定できる管理料です。ただ、放射性同位元素内用療法自体を実施するには核医学治療の設備や放射線管理の体制が前提になるので、実務上は放射線治療科・核医学科のある病院での算定が中心になると考えられます。診療所での算定機会は限られると考えておくとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんはどんな方なんですか?
あおい(元・医療事務)
対象疾患ごとに9つの区分が設けられていて、それぞれ算定できる患者さんの条件が細かく決まっています。まず全体像を見てみましょう。
対象疾患の区分(令和8年度・9区分)
- 甲状腺癌に対するもの
- 甲状腺機能亢進症に対するもの
- 固形癌骨転移による疼痛に対するもの
- B細胞性非ホジキンリンパ腫に対するもの
- 去勢抵抗性前立腺癌に対するもの(骨転移のあるもの/PSMA陽性であって遠隔転移を有するものの2区分)
- 神経内分泌腫瘍に対するもの
- 褐色細胞腫に対するもの
- 神経芽腫に対するもの
みらい(新人医療事務)
どの区分も、対象になる患者さんの条件がかなり細かそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。たとえば甲状腺癌の区分(区分1)は、留意事項通知で「甲状腺分化癌の患者(甲状腺分化癌であって、甲状腺組織の破壊、又は甲状腺癌の転移の治療(甲状腺全摘術、亜全摘術後及び手術により摘出できない症例等))に対して行った場合に算定する」とされています。区分ごとの詳しい対象患者は、点数区分のところで一緒に確認していきましょう。
点数区分(令和8年度・9区分)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件)の区分M000-2では、疾患ごとに次の点数が定められています。
| 区分 | 対象疾患 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 甲状腺癌に対するもの | 1,390点 |
| 2 | 甲状腺機能亢進症に対するもの | 1,390点 |
| 3 | 固形癌骨転移による疼痛に対するもの | 1,700点 |
| 4 | B細胞性非ホジキンリンパ腫に対するもの | 3,000点 |
| 5イ | 去勢抵抗性前立腺癌(骨転移のあるもの) | 2,630点 |
| 5ロ | 去勢抵抗性前立腺癌(PSMA陽性であって遠隔転移を有するもの) | 3,000点 |
| 6 | 神経内分泌腫瘍に対するもの | 2,660点 |
| 7 | 褐色細胞腫に対するもの | 1,820点 |
| 8 | 神経芽腫に対するもの | 3,800点 |
みらい(新人医療事務)
区分によって点数がかなり違いますね。1,390点から3,800点まで幅があります。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただ、点数の大小よりも、それぞれの区分でどの患者さんが対象になるか、そして月1回なのか投与日限りなのか、という算定単位のほうが実務では重要になります。次のセクションで確認しましょう。

みらい(新人医療事務)
レセプトの診療行為コードはどこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
具体的なレセプト電算コードは、医科診療行為マスターでご確認ください。当サイトが確認した一次資料の範囲では区分ごとの数値コードまでは示されていないので、この記事では点数と算定要件のみお伝えしています。
施設基準・届出要件
みらい(新人医療事務)
この管理料、施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、放射性同位元素内用療法管理料そのものに特有の施設基準や地方厚生局への届出は示されていません。ただし、内用療法を実施するには放射線治療・核医学の実施体制、たとえば放射性医薬品の取り扱いや放射線管理の基準などが前提になります。
みらい(新人医療事務)
届出が不要でも、体制面の確認は必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では「放射性同位元素内用療法管理に当たっては、退出基準等、放射線管理の基準に沿って行われるものであること」とされています。また「放射性医薬品の管理に当たっては、専門の知識及び経験を有する放射性医薬品管理者を配置することが望ましい」とも示されています。この配置は「望ましい」という推奨事項であって、必須の施設基準として明記されているわけではありません。
届出・体制確認の注意
届出そのものは、当サイトが確認した一次資料の範囲では求められていません。ただし放射性同位元素内用療法を安全に実施するための放射線管理の基準や、放射性医薬品管理者の配置状況は、自院の運用体制として別途確認が必要です。当サイトが確認していない施設基準が別途存在する可能性もあるため、最新の告示・通知や地方厚生局への確認は必ず自院でも行ってください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングはどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
これが区分によって変わるので、丁寧に見ていきましょう。まず、甲状腺癌・甲状腺機能亢進症(区分1・2)、固形癌骨転移による疼痛(区分3)、B細胞性非ホジキンリンパ腫(区分4)、神経芽腫(区分8)は、いずれも放射性同位元素内用療法を行い、かつ計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定するとされています。
みらい(新人医療事務)
月1回のグループがあるんですね。もう一方は?
あおい(元・医療事務)
去勢抵抗性前立腺癌の2区分(5イ・5ロ)、神経内分泌腫瘍(区分6)、褐色細胞腫(区分7)は、放射性同位元素を投与した日に限り算定するとされていて、月あたりの回数によらず、実際に薬剤を投与した日にだけ算定します。
算定単位のちがい(令和8年度)
- 月1回限りのグループ: 甲状腺癌・甲状腺機能亢進症・固形癌骨転移による疼痛・B細胞性非ホジキンリンパ腫・神経芽腫
- 投与日限りのグループ(回数によらない): 去勢抵抗性前立腺癌(骨転移のあるもの/PSMA陽性遠隔転移)・神経内分泌腫瘍・褐色細胞腫
みらい(新人医療事務)
投与していない月でも算定できることがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「放射性同位元素の内用後4月間は、内用の有無にかかわらず算定できる。ただし、診療報酬明細書には、管理の開始の日付を記載すること」という記載があります。投与後4か月間は、その月に追加投与がなくても管理料自体は算定候補になりうる、という内容です。ただしこれは月1回算定の区分での運用に関わる話なので、自院での適用は診療録・診療報酬明細書の記載とあわせて個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
説明や記録の面で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。「入院・入院外を問わず、患者に対して放射性同位元素内用療法に関する内容について説明・指導した場合に限り算定できる。また、説明・指導した内容等を診療録に記載又は添付すること」とされています。説明・指導を行ったこと、そしてその内容を診療録に残しておくことが算定の前提になります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回、当サイトが確認できた一次資料は令和8年度の告示・留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)の範囲です。この管理料について、点数・対象疾患・算定要件が前回改定(令和6年度)からどう変わったかを直接比較できる一次資料は、当サイトが収録している範囲では確認できていません。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と確定できるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「確認できていない」ことと「変更がなかった」ことは違うので、正確な最新内容は令和8年度の告示・留意事項通知そのものでご確認いただくのが一番確実です。特に区分5ロ(PSMA陽性であって遠隔転移を有するもの)のような特定の医薬品を前提とした治療は、対象薬剤の保険適用状況によって取り扱いが変わることがあるので、注意しておくとよいでしょう。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定できそうか確認するには、どんな順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 対象疾患の確認: 患者さんが9区分のいずれかの対象疾患(甲状腺癌、甲状腺機能亢進症、固形癌骨転移による疼痛、B細胞性非ホジキンリンパ腫、去勢抵抗性前立腺癌、神経内分泌腫瘍、褐色細胞腫、神経芽腫)に該当するか確認する
- 放射性同位元素内用療法の実施状況の確認: 実際に放射性同位元素内用療法を行っているか、投与日を確認する
- 計画的な治療管理の実施状況の確認: 治療管理が計画的に行われているか確認する
- 説明・指導の実施と記録の確認: 患者への説明・指導を行い、その内容を診療録に記載又は添付しているか確認する
- 算定単位の確認: 対象区分が「月1回限り」か「投与日限り」かを確認し、算定回数を誤らないようにする
- 体制面の確認: 放射線管理の基準への準拠状況、放射性医薬品管理者の配置状況を院内で確認する

みらい(新人医療事務)
対象疾患の確認が最初なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。まずは患者さんの疾患がどの区分に該当するかを確定させないと、点数も算定単位も決まりません。ここが一番の起点になります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントはどんなところですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
取り漏れやすいポイント(令和8年度)
- 説明・指導を行っているのに、その内容を診療録に記載又は添付していない
- 「月1回限り」のグループと「投与日限り」のグループを混同し、算定単位を誤っている
- 去勢抵抗性前立腺癌で、骨転移とPSMA陽性遠隔転移の両方に該当する患者さんについて、どちらの区分で算定すべきか確認せずに進めている
- 放射性同位元素の内用後4か月間の管理について、診療報酬明細書に管理開始日を記載していない
みらい(新人医療事務)
去勢抵抗性前立腺癌のところ、両方に該当する場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、骨転移のあるもの(5イ)に該当する患者さんが、PSMA陽性であって遠隔転移を有するもの(5ロ)にも該当する場合には、5イは算定せず、5ロを算定するとされています。両方に当てはまるケースでは5ロを優先する扱いになっている点は確認しておきたいところです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
制度上は入院・入院外や医療機関の種別を問わない管理料ですが、放射性同位元素内用療法自体を実施する核医学・放射線治療の設備と体制が前提になります。実務上は病院での算定が中心になると考えられるため、自院の実施体制を確認してください。なお、高線量の内用療法で放射線管理区域の病室に入院する場合は、放射線治療病室管理加算もあわせて対象になるかを確認しておくとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、この管理料に特有の施設基準の届出は示されていません。ただし放射線管理の基準への準拠など体制面の確認は必要です。最新の届出要否は自院の地方厚生局にも確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
去勢抵抗性前立腺癌の区分は何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
骨転移のあるもの(5イ・2,630点)と、PSMA陽性であって遠隔転移を有するもの(5ロ・3,000点)の2区分があります。両方に該当する場合は5ロを算定するとされています。
みらい(新人医療事務)
月1回のグループと投与日限りのグループは何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
月1回限りのグループは、その月に放射性同位元素内用療法と計画的な治療管理を行っていれば月1回の算定が対象になります。投与日限りのグループは、実際に放射性同位元素を投与した日にのみ算定し、月の回数制限はかからない代わりに、投与日以外は算定できません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象疾患や算定単位、説明・指導の記録状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。