サーベイランス強化加算とは——「感染情報を地域でシェアする」ための上乗せ加算
みらい(新人医療事務)
外来感染対策向上加算の上に、さらに「サーベイランス強化加算」があると聞いたんですが、どんな加算ですか?
あおい(元・医療事務)
外来感染対策向上加算を届け出た診療所が、JANIS(院内感染対策サーベイランス)やJ-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム)といった地域・全国規模のサーベイランスシステムに参加している場合に、月1回1点を上乗せして算定できる可能性がある加算です(令和8年度・2026年度)。
みらい(新人医療事務)
1点ってちょっと少ない気もしますが、意味はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所単体では気づきにくい感染の流行兆候を、地域全体・全国レベルで把握するための仕組みへの参加を評価するものです。1点単体の金額よりも、「感染情報を地域全体でシェアする体制づくり」に加算が紐づいている点がポイントです。連携強化加算(3点)とセットで取れるかどうかも含め、外来感染対策向上加算を届け出た後の上乗せ検討候補として確認しておく価値がありますよ。
点数・算定コード(令和8年度)
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)告示(厚生労働省告示第69号)に基づく点数を整理しました。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定回数 | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| A000 注13 | サーベイランス強化加算(初診時) | 1点 | 月1回 | 外来感染対策向上加算算定診療所 |
| A001 注17 | サーベイランス強化加算(再診時) | 1点 | 月1回 | 外来感染対策向上加算算定診療所 |
出典: 「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)」
初診料「注13」: 「注11本文に該当する場合であって、感染防止対策に資する情報を提供する体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において初診を行った場合は、サーベイランス強化加算として、月1回に限り1点を更に所定点数に加算する。」 再診料「注17」: 同要件で再診時も月1回1点を加算。
みらい(新人医療事務)
月1回なので、同月に初診でも再診でも1回しか取れないということですか?
あおい(元・医療事務)
外来感染対策向上加算の算定ルールに準じて月1回の制限があります。外来感染対策向上加算自体が月1回の算定なので、サーベイランス強化加算もその診察の際に1回加算するイメージですね。詳細な算定タイミングは公式の留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)で確認が必要です。
外来感染対策向上加算・連携強化加算・サーベイランス強化加算の関係
みらい(新人医療事務)
「外来感染対策向上加算」「連携強化加算」「サーベイランス強化加算」って、名前が似ていて混乱します。
あおい(元・医療事務)
三つは「外来感染対策向上加算を算定している診療所」が起点になる積み上げ構造です。整理するとこうなります。
| 加算名 | 点数(月1回) | 追加で必要な要件の要点 |
|---|---|---|
| 外来感染対策向上加算 | 6点 | 感染防止対策体制の整備・届出(診療所のみ) |
| 連携強化加算 | +3点 | 感染対策向上加算1届出機関へ年4回以上報告 |
| サーベイランス強化加算 | +1点 | JANIS/J-SIPHE等への参加 |
みらい(新人医療事務)
つまり外来感染対策向上加算の届出なしには、サーベイランス強化加算も算定候補にならないということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。requirements(施設基準)にも「外来感染対策向上加算に係る届出を行っていること」が第一要件として明記されています。まず外来感染対策向上加算の届出状況を確認してください。

施設基準(令和8年度)
サーベイランス強化加算の施設基準(令和8年保医発0305第7号より)
施設基準は以下の2点です。届出前に両方を満たしていることを確認してください。
(1) 外来感染対策向上加算に係る届出を行っていること
(2) 院内感染対策サーベイランス(JANIS)、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)等、地域や全国のサーベイランスに参加していること

みらい(新人医療事務)
JANISとJ-SIPHEって、どちらかだけでもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の文言は「JANIS、J-SIPHE等」となっており、いずれかへの参加が条件と解釈されています。ただし「等」の範囲や参加実績の確認方法は、公式の疑義解釈(令和8年3月23日事務連絡「その1」)や施設基準通知で確認することをおすすめします。診療所の規模や診療科によってどちらが参加しやすいかが変わりますので、所管の地方厚生局に問い合わせると確実です。
施設基準の注意点
施設基準の充足判断(JANIS/J-SIPHEへの参加登録・実績の有効性など)は、自院と審査支払機関が確認するものです。「参加登録申請中」の段階での算定可否については、公式の疑義解釈を確認してください。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出はどうやればいいですか?
あおい(元・医療事務)
届出は「別添7の様式1の5」を使用するよう定められています(令和8年保医発0305第7号)。外来感染対策向上加算の届出と同様に、地方厚生局へ提出します。施設基準(JANIS/J-SIPHEへの参加証明等)を添付する必要があります。
自院で確認する順番
自院での確認順序(サーベイランス強化加算)
- 外来感染対策向上加算の届出が有効かを確認する
- JANIS(国立感染症研究所運営)またはJ-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム)への参加・登録状況を確認する
- 参加実績(参加登録証・報告実績等)を書面で確認できる状態にする
- 様式1の5(届出様式)を準備し、地方厚生局に届出を提出する
- 届出受理後、初診時(A000 注13)および再診時(A001 注17)に月1回算定できる候補として管理する
みらい(新人医療事務)
外来感染対策向上加算の届出がなければ、先にそちらから手続きが必要ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。順番としては「外来感染対策向上加算の届出 → JANIS/J-SIPHE参加の確認 → サーベイランス強化加算の届出」という流れです。
算定上の注意点・よくある取り漏れ
算定時の注意(留意事項通知より)
サーベイランス強化加算(注13)は、外来感染対策向上加算を算定する場合であって、外来感染対策向上加算を算定する保険医療機関がJANIS、J-SIPHE等に参加している場合に算定します。
出典: 「留意事項 原文(令和8年保医発0305第6号)」
「(28) サーベイランス強化加算「注 13」に規定するサーベイランス強化加算は、(25)の外来感染対策向上加算を算定する場合であって、外来感染対策向上加算を算定する保険医療機関が、院内感染対策サーベイランス(JANIS)、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)等、地域や全国のサーベイランスに参加している場合に算定する。」
みらい(新人医療事務)
「算定している場合に算定する」という条件が二重になっていますね。
あおい(元・医療事務)
要するに「外来感染対策向上加算を算定しながら」かつ「サーベイランスにも参加している」という両方の条件を満たしてはじめて算定候補になるということです。片方だけではダメです。
よくある取り漏れ・確認ポイント
- 外来感染対策向上加算の届出が失効していないか(届出内容の変更が必要なケースも)
- JANIS/J-SIPHEへの参加が「実際に有効」な状態か(申請中・未参加では対象外の可能性)
- 連携強化加算(+3点)の算定可否も同時に確認する(年4回以上の報告体制がある場合)
- 様式1の5の届出を忘れていないか(施設基準を満たしていても届出がなければ算定候補にならない)
- 初診・再診ともに月1回の制限を管理できているか
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
サーベイランス強化加算は令和8年度の改定で何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)告示(厚生労働省告示第69号)で確認できる内容では、サーベイランス強化加算の点数(1点・月1回)および基本的な算定要件(外来感染対策向上加算の算定 + JANIS/J-SIPHE参加)については、前回改定(令和6年度・2024年度)から主な変更は確認されていません(確認日: 2026-06・厚労省一次情報ベース)。ただし、再診料側の「注17」として整理されている点など、条文の整備が行われています。詳細は厚労省の「令和8年度診療報酬改定の概要」「個別改定項目について」でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」という情報も大事ですね。安心しました。
あおい(元・医療事務)
そうです。「変わっていないから今の届出がそのまま有効」という確認のためにも、改定のたびに施設基準通知と告示を確認する習慣をつけておくといいですよ。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
連携強化加算とサーベイランス強化加算は、一緒に届け出ることはできますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準をそれぞれ満たしていれば、どちらも届出して両方を算定候補にすることはできます。外来感染対策向上加算(6点)+ 連携強化加算(3点)+ サーベイランス強化加算(1点)で、合計10点の上乗せが算定候補になります。ただし、連携強化加算には「感染対策向上加算1を届け出た他の保険医療機関へ年4回以上の報告」という要件が必要です。まず自院の連携先の状況を確認してください。
みらい(新人医療事務)
診療所以外でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
外来感染対策向上加算自体が診療所(届出が必要)を対象としているため、サーベイランス強化加算も診療所が主な対象です。許可病床数の少ない病院等については公式の施設基準通知で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
JANIS参加はどこに申請するんですか?
あおい(元・医療事務)
JANISは国立感染症研究所が運営する院内感染対策サーベイランスシステムです。参加申請の方法や手続きは国立感染症研究所の公式サイトでご確認ください。J-SIPHEは地域感染対策連携ネットワークの共通プラットフォームで、参加には所属地域のネットワーク経由での手続きが必要な場合があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
外来感染対策向上加算の届出状況やJANIS参加の有無って、どこで確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。