抗菌薬適正使用体制加算とは?外来感染対策向上加算との関係から教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「抗菌薬適正使用体制加算」って聞いたことがなくて。どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬では、抗菌薬適正使用体制加算は、外来感染対策向上加算の上乗せ加算として位置づけられています。外来感染対策向上加算を算定している診療所が、さらに抗菌薬の適正使用に取り組んでいる体制を評価するものです。
みらい(新人医療事務)
「上乗せ加算」というのは、外来感染対策向上加算とセットで算定するということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知(令和8年保医発0305第6号)には「外来感染対策向上加算を算定する場合であって、外来感染対策向上加算を算定する保険医療機関が抗菌薬の使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスに参加し、使用する抗菌薬のうちAccess抗菌薬に分類されるものの使用比率が60%以上又は当該サーベイランスに参加する診療所全体の上位30%以内である場合に算定する」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、外来感染対策向上加算の届出がないと、そもそも対象にならないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。まず外来感染対策向上加算を届け出ていることが大前提になります。その上で、2つの追加要件を満たせば算定候補となります。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
何点になるのか、具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬マスター(告示69号)では、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 抗菌薬適正使用体制加算 |
| マスターコード | 111703070 |
| 点数 | 5点 |
| 算定単位 | 月1回 |
| 算定場面 | 外来感染対策向上加算を算定する場合(初診または再診時) |
| 対象 | 診療所 |

みらい(新人医療事務)
月1回5点ということは、外来感染対策向上加算(6点)に上乗せして合計11点が算定候補になるんですね。
あおい(元・医療事務)
理論上はそうなります。ただし算定には「外来感染対策向上加算を算定できる状態にあること」と「抗菌薬適正使用体制加算に係る施設基準の届出」の両方が必要です。また、月1回という制限は外来感染対策向上加算と同じです。
施設基準と算定要件: 「外来感染対策向上加算 抗菌薬適正使用体制加算」の3つの条件
みらい(新人医療事務)
算定するには具体的にどんな条件を満たすか教えてください。「施設基準」という言葉もよく聞くんですが。
あおい(元・医療事務)
施設基準通知(令和8年保医発0305第7号)に基づくと、次の3つが要件として定められています。
抗菌薬適正使用体制加算の施設基準・算定要件(令和8年度)
条件1: 外来感染対策向上加算の届出
- 外来感染対策向上加算に係る届出を行っていること
条件2: サーベイランスへの参加
- 抗菌薬の使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスに参加していること
条件3: Access抗菌薬比率の達成
- 直近6か月における使用する抗菌薬のうち、Access抗菌薬に分類されるものの使用比率が60%以上、または当該サーベイランスに参加する診療所全体の上位30%以内であること
みらい(新人医療事務)
「Access抗菌薬」って初めて聞きました。これって何ですか?
あおい(元・医療事務)
WHO(世界保健機関)が定めた抗菌薬の分類のひとつです。WHOは抗菌薬を「Access(第一選択薬)」「Watch(使用に注意が必要)」「Reserve(最終手段)」の3カテゴリーに分類しています。AccessはAMR(薬剤耐性)リスクが比較的低い抗菌薬で、アモキシシリンやセフェム系の一部などが含まれます。
みらい(新人医療事務)
耐性菌対策のために、できるだけ第一選択薬を使うようにしているかを確認するんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。抗菌薬の適正使用は世界的なAMR対策の一環です。日本でも「AMR対策アクションプラン」に沿って診療報酬で評価されるようになりました。この加算はその取り組みを後押しする仕組みのひとつです。
サーベイランスの確認: どこに参加すればいいですか?
みらい(新人医療事務)
「サーベイランスへの参加」というのは、具体的にどこに登録するんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知に「抗菌薬の使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスに参加していること」と記載されています。代表的なサーベイランスとしては、JANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス)やJ-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム)があります。
みらい(新人医療事務)
JANISはサーベイランス強化加算(1点)の参加要件にもなっていましたよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。サーベイランス強化加算もJANISまたはJ-SIPHEへの参加を要件としています。抗菌薬適正使用体制加算では、さらに「Access抗菌薬比率の達成」という数値要件が加わるのが大きな違いです。同じサーベイランスに参加していても、比率要件を満たさなければ抗菌薬適正使用体制加算の算定候補にはなりません。
サーベイランス参加の注意点
- サーベイランスへの参加だけでなく、Access抗菌薬の使用比率(60%以上 OR 上位30%以内)の達成が別途必要
- 「直近6か月」の使用実績で判定するため、参加直後は要件を満たさない可能性がある
- 比率の算出方法や計算対象については、参加するサーベイランスの仕様を確認すること
届出の確認: 何を提出しますか?
みらい(新人医療事務)
届出はどんな書類が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知(令和8年保医発0305第7号)では、「抗菌薬適正使用体制加算に係る届出は、別添7の様式1の5を用いること」と規定されています。届出様式は地方厚生局のウェブサイトに掲載されているので、所在地の地方厚生局に確認してください。
みらい(新人医療事務)
外来感染対策向上加算の届出とは別の届出が必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。外来感染対策向上加算の届出(別添7 様式1)に加えて、抗菌薬適正使用体制加算用の届出(別添7 様式1の5)を別途提出する必要があります。届出後は施設基準を継続して満たすことが求められます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
今の加算って、前の改定から何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定における抗菌薬適正使用体制加算の主な変更点について、厚労省の公開情報(告示・通知)をもとに確認した範囲では、令和6年度(2024年度)改定からの主な変更は確認されていません(2026年6月現在・厚労省一次情報ベース)。点数(5点)、算定単位(月1回)、主要な施設基準(外来感染対策向上加算届出・サーベイランス参加・Access抗菌薬比率)は令和6年度改定時と同じ枠組みが継続されています。
みらい(新人医療事務)
安定している加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
構造は引き継がれていますが、AMR対策の状況や疑義解釈の追加によって運用上の注意点が変わることがあります。改定のたびに厚労省の留意事項通知と疑義解釈を確認する習慣をつけておくことをお勧めします。
自院で確認する順番(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
実際に自院が算定できるか確認したい場合、どういう順番でチェックすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
以下のステップで確認するとスムーズです。

自院で確認する順番
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STEP 1: 外来感染対策向上加算の届出確認 — 現時点で外来感染対策向上加算の届出を行っているか確認する。届出がない場合は先に外来感染対策向上加算の施設基準を満たす必要がある
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STEP 2: サーベイランスへの参加確認 — JANIS・J-SIPHEなど、抗菌薬使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスに参加しているか確認する
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STEP 3: Access抗菌薬比率の確認 — 直近6か月の抗菌薬処方データを集計し、Access抗菌薬の比率が60%以上か、またはサーベイランス参加診療所全体の上位30%以内かを確認する
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STEP 4: 届出書類の準備と提出 — 別添7 様式1の5を用いて地方厚生局長等への届出を行う
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STEP 5: 算定開始後の継続確認 — 届出後も施設基準(サーベイランス継続参加・比率の維持)を満たしているか定期的に確認する
みらい(新人医療事務)
STEP 3のAccess抗菌薬比率の計算が一番ハードルが高そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうかもしれません。参加するサーベイランスによってデータの集計・報告の仕組みが異なります。まずはサーベイランスの担当窓口や、地方厚生局・審査支払機関に確認することをお勧めします。
よくある取り漏れポイント
みらい(新人医療事務)
似たような加算で取り漏れが起きやすいケースを教えてください。
よくある取り漏れポイント(令和8年度)
取り漏れ1: 外来感染対策向上加算の届出状況を確認していない
- 抗菌薬適正使用体制加算は外来感染対策向上加算の上乗せ加算のため、親加算の届出が失効・未届出の場合は算定候補にならない
取り漏れ2: サーベイランス参加だけで算定していると思い込んでいる
- サーベイランス参加だけではなく、Access抗菌薬比率60%以上 OR 上位30%以内の数値要件も必要。参加直後で比率未達の場合は算定候補にならない可能性がある
取り漏れ3: 抗菌薬適正使用体制加算の別途届出を忘れている
- 外来感染対策向上加算の届出を済ませていても、抗菌薬適正使用体制加算には別の届出様式(別添7 様式1の5)が必要
取り漏れ4: 月1回の算定上限を管理できていない
- 外来感染対策向上加算と同様に月1回の制限がある。同月に複数来院した患者の場合は算定タイミングに注意が必要
よくある質問
みらい(新人医療事務)
「サーベイランス強化加算(1点)」と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
サーベイランス強化加算はJANISやJ-SIPHEへの「参加」が要件の中心です。一方、抗菌薬適正使用体制加算は参加に加えて「Access抗菌薬比率の達成」という結果指標まで求められます。より踏み込んだ取り組みへの評価という位置づけです。両方を算定候補にするためには、それぞれの施設基準・届出を満たす必要があります。
みらい(新人医療事務)
病院は対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
抗菌薬適正使用体制加算は、外来感染対策向上加算の上乗せ加算として設計されています。外来感染対策向上加算自体が「診療所に限る」という告示上の制限があるため、病院は基本的に対象外とされています。病院向けの抗菌薬適正使用に関する評価は別の体系(感染対策向上加算 等)にあります。
みらい(新人医療事務)
算定できる月に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
月1回という算定制限があります。また、外来感染対策向上加算と同じ月に、同じ患者に算定する形になります。届出時点から算定候補になりますが、届出の効力発生時期は地方厚生局の受理日等によって異なるため、届出後の最初のレセプト作成時期に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
算定に向けての最初のステップは何でしょうか?
あおい(元・医療事務)
まずは外来感染対策向上加算を届け出ているかどうかの確認です。未届出の場合は外来感染対策向上加算の施設基準整備から始める必要があります。既に届け出ている場合は、サーベイランスへの参加状況とAccess抗菌薬比率の確認が次のステップになります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
外来感染対策向上加算との関係や施設基準がわかってきました。自院が算定候補か確認できる方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制の情報を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。抗菌薬適正使用体制加算を含む外来感染対策向上加算グループ全体の取り漏れチェックにも活用できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。