みらい(新人医療事務)
「救急・在宅等支援病床初期加算」っていう名前、初めて見ました。うちの病棟でも算定候補になったりするんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表で、一般病棟入院基本料(A100)の「注5」に規定されている加算ですよ。ほかの病院の一般病棟から転院してきた患者さんや、介護老人保健施設・自宅などから入院した患者さんについて、入院初期の一定期間、1日につき150点を所定点数に加算できる仕組みです。ただ、算定候補になるかは病棟の種類や患者さんの入院前の居場所によって変わるので、一つずつ確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「初期加算」ってことは、入院してすぐの期間だけなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。転院または入院した日から起算して14日を限度に算定できる、と条文に明記されています。15日目以降は対象外になるので、算定の起算日と期限の管理がポイントになりますよ。
対象になる患者はどんな人ですか?
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな患者さんが対象なんですか?うちの病棟にも当てはまりそうな人がいる気がします。
あおい(元・医療事務)
一次資料である告示の条文を見てみましょう。「地域一般入院基本料を算定する病棟に入院している患者のうち、急性期医療を担う他の保険医療機関の一般病棟から転院した患者又は介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等若しくは自宅から入院した患者」については、転院又は入院した日から起算して14日を限度として、救急・在宅等支援病床初期加算として、1日につき150点を所定点数に加算する、とされています。つまり対象は大きく分けて2つのルートです。
みらい(新人医療事務)
2つのルートというと?
あおい(元・医療事務)
1つ目は「急性期医療を担う他の保険医療機関の一般病棟からの転院」、2つ目は「介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム等、または自宅からの入院」です。どちらのルートで入院してきた患者さんかを、まず特定する必要がありますね。
みらい(新人医療事務)
自院の一般病棟から転棟してきた患者さんも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
そこは要注意です。留意事項通知では「同一医療機関において当該一般病棟に転棟した患者については算定できない」と明記されています。つまり、他院からの転院や施設・自宅からの入院が条件で、自院内の転棟は対象外の可能性が高い、と考えておくのが安全です。
点数と算定できる期間を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
点数の内容を表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
まとめるとこうなります。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 区分 | A100 一般病棟入院基本料 注5 |
| 加算名 | 救急・在宅等支援病床初期加算 |
| 点数 | 150点/日 |
| 算定できる期間 | 転院又は入院した日から起算して14日を限度 |
| 算定できる病棟 | 地域一般入院基本料を算定する病棟(留意事項通知では「一般病棟(地域一般入院基本料、13対1入院基本料又は15対1入院基本料に限る。)」という記載もあります) |
| 届出 | 当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算固有の別途届出は確認されていません |

みらい(新人医療事務)
「地域一般入院基本料、13対1入院基本料又は15対1入院基本料に限る」っていう表現、告示の条文とちょっと言葉が違いますね。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。告示の注5そのものは「地域一般入院基本料を算定する病棟」という書き方ですが、留意事項通知ではこの加算の趣旨を説明する箇所で「一般病棟(地域一般入院基本料、13対1入院基本料又は15対1入院基本料に限る。)が有する以下のような機能を評価したものであり」という記載になっています。どちらも一次資料の実際の文言なので、自院の病棟がどの区分にあたるかは、届出内容と合わせて確認が必要です。
点数の思い込みに注意
「1日150点」という数字だけを見て、14日を超えても算定を続けてしまうケースには注意が必要です。起算日(転院日または入院日)を診療録・レセプトの両方で正確に管理し、15日目以降は算定対象から外れることを確認しておきましょう。
施設基準・届出はどうなっていますか?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出とか、事前に出しておく書類ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算そのものに対する個別の施設基準の届出は確認されていません。A100一般病棟入院基本料の「注5」として、該当する病棟区分(地域一般入院基本料等)を算定していることと、対象患者の入院経路の要件を満たすことが前提になっている加算です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出さえ出せば自動的に取れるっていうことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。地域一般入院基本料そのものの届出は前提として必要ですし、対象患者にあたるかどうかの確認や、診療録への記載といった算定要件は別途満たす必要があります。「届出が不要=何もしなくていい」ではなく、「この加算固有の別枠の届出は資料上確認されていない」という理解にとどめて、自院の届出状況は個別に確認してくださいね。
算定できないケースに要注意
みらい(新人医療事務)
逆に、これは算定候補にならない、というパターンも知りたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に具体的に書かれているケースが2つあります。1つ目は、先ほど触れた「同一医療機関において当該一般病棟に転棟した患者」です。院内の他病棟からの転棟は対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
2つ目は?
あおい(元・医療事務)
「当該加算を算定する一般病棟を有する病院に介護老人保健施設等が併設されている場合は、当該併設介護老人保健施設等から受け入れた患者については算定できない」というケースです。つまり、自院に併設された介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホームなどから入院してきた患者さんは、対象外の可能性があります。同じ「介護老人保健施設からの入院」でも、他院併設か自院併設かで判断が分かれる点に注意が必要です。
記録の要件を忘れずに
留意事項通知では「入院前の患者の居場所(転院の場合は入院前の医療機関名)、自院の入院歴の有無、入院までの経過等を診療録に記載すること」が求められています。算定要件を満たしていても、この記載が抜けていると審査で確認を求められる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算が近くにある気がするんですが、混同しやすいものってありますか?
あおい(元・医療事務)
A100の「注4」に規定されている「重症児(者)受入連携加算」は、名前は似ていませんが同じ条文の近くにあるので混同されやすいです。こちらは「地域一般入院基本料を算定する病棟において、当該患者が他の保険医療機関から転院してきた者であって、当該他の保険医療機関において区分番号A246に掲げる入退院支援加算3を算定したものである場合」に、入院初日に限り2,000点を加算するという、別の要件・別の点数の加算です。「注4」と「注5」は対象患者の要件がまったく異なるので、条文の区分番号(注4か注5か)を確認してから話を進めるようにしましょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の医科点数表告示・留意事項通知)の範囲では、前回改定からの主な変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。点数(150点)、算定期間(14日限度)、対象患者の要件のいずれについても、資料上で変更を示す記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
変更なしと言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
「変更なしと断定する」のではなく、「今回確認できた一次資料の範囲では変更が見当たらなかった」という言い方が正確です。過去の改定経緯まで遡った突き合わせは行っていないので、気になる場合は厚生労働省の令和8年度診療報酬改定の特設ページや、自院が加入する審査支払機関の案内もあわせて確認してみてください。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病棟で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 対象患者が入院している病棟が、地域一般入院基本料(留意事項通知では13対1入院基本料・15対1入院基本料への言及もあり)を算定する病棟にあたるかを確認する
- 対象患者の入院経路が、①他の保険医療機関の一般病棟からの転院、②介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム等または自宅からの入院、のいずれかにあたるかを確認する
- 自院に併設された介護老人保健施設等からの受け入れではないか、同一医療機関内の転棟ではないかを確認する
- 転院又は入院した日を起算日として、14日以内であることをレセプト・診療録の両方で管理する
- 入院前の患者の居場所(転院の場合は入院前の医療機関名)、自院の入院歴の有無、入院までの経過等を診療録に記載する
みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、うちが算定候補かどうかの見通しが立てやすそうです。
よくある取り漏れ・誤解
あおい(元・医療事務)
現場でよくある取り漏れのパターンも共有しておきますね。
取り漏れやすいポイント①
救急搬送された患者さんだけが対象、と思い込んで、施設や自宅からの入院ケースをカウントし忘れてしまう例があります。「救急」という名前がついていますが、条文上は介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム等・自宅からの入院も対象に含まれています。
取り漏れやすいポイント②
起算日の記録が曖昧なまま14日を超えて算定を続けてしまう、あるいは逆に、14日以内であるにもかかわらず記載不備を理由に算定を見送ってしまう、といった両方向のミスが起こりがちです。転院日・入院日を診療録とレセプトの両方で一致させて管理することが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、気になっていたことをいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
併設ではない、法人としては関連する介護老人保健施設からの入院は対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知が算定不可としているのは「当該加算を算定する一般病棟を有する病院に介護老人保健施設等が併設されている場合」の「当該併設」施設からの受け入れです。併設にあたるかどうかの判断は個別の事情によるので、資料の文言に照らして自院の状況を確認し、判断に迷う場合は審査支払機関に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
14日を超えて入院が続いた場合、15日目以降は入院基本料自体が算定できなくなるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、14日という期限はこの初期加算(150点)の対象期間の話で、地域一般入院基本料そのものの算定が終わるわけではありません。15日目以降は、この加算の対象からは外れる、という理解になります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出が必要かどうか、最終的にはどこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
自院の地域一般入院基本料の届出内容と、実際の病棟運用が一致しているかどうかは、院内の担当部署や顧問の社会保険労務士・審査支払機関に確認するのが確実です。当サイトの整理はあくまで一次資料の要約であって、個別の届出の有効性を判断するものではありません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。