外来感染対策向上加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「外来感染対策向上加算」って名前はよく見るんですけど、そもそもどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬では、診療所が平時から感染防止対策をしっかり整えていることを評価する加算です。初診料(A000 注11)または再診料(A001 注15)に月1回、6点が加算される仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「平時から」というのがポイントですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。コロナ禍のような感染症の有事だけじゃなく、普段からマスクの着用促進・患者の動線分離・手指消毒の環境整備などを継続している診療所を評価しています。地域の医療機関が連携して感染症対策に取り組む体制も要件のひとつです。告示には「診療所における、平時からの感染防止対策の実施や、地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策への参画を評価するもの」と記載されています(A400 短期滞在手術等基本料の留意事項通則より)。
みらい(新人医療事務)
診療所限定なんですか!?病院は関係ないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、告示では「診療所に限る」と明記されています。病院には適用されません。その点は要注意です。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか、コードも含めて確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点での点数とコードをまとめるとこちらの表になります。
| 算定場面 | コード | 加算名 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|---|
| 初診時 | A000-注11 | 外来感染対策向上加算(初診時) | 6点 | 月1回 |
| 再診時 | A001-注15 | 外来感染対策向上加算(再診時) | 6点 | 月1回 |

みらい(新人医療事務)
初診でも再診でも同じ6点なんですね。月1回というのは、同じ月に初診と再診の両方でつけることはできないってことですか?
あおい(元・医療事務)
その通りです。同一月につき1回が上限です。初診料で算定した月は再診料での重複算定はできません。「月1回に限り」という制約は公式告示に明記されています。また、外来感染対策向上加算を算定した月に在宅患者訪問診療料等の訪問系診療料を算定した場合、発熱患者等対応加算は別途算定できる場合がありますが、訪問系で外来感染対策向上加算を算定した月は別に算定できない項目もありますので、レセプト作成時にご確認ください。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
算定するには何か届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
必要です。地方厚生局長等への届出が前提となっています。「施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(診療所に限る)」が要件として告示に記載されています。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな施設基準を満たす必要があるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度現在、大きく3つの柱で整理されています。
施設基準の3つの柱(令和8年度)
① 平時からの感染防止対策の実施
- 院内感染管理者の配置
- 感染性患者へのマスク着用の促進
- 感染性患者とそれ以外の患者を分けて診療できる体制
- 診察室に手洗い設備・擦式速乾性手指消毒薬の設置
- N95マスクの常備
② 地域の医療機関等が連携する感染症対策への参画
- 感染対策向上加算1に係る届出を行っている病院等と連携していること
- 院内感染管理者が感染対策向上加算1の届出病院または地域の医師会主催のカンファレンスに少なくとも年2回程度参加していること(複数病院と連携する場合はそれぞれ年1回以上・合計年2回以上)
③ 発熱患者等の外来診療体制の確保(空間的・時間的分離)
- 発熱その他感染症を疑わせる症状を呈する患者に対して、適切な感染防止対策を講じた上で診療できる体制
- 空間的または時間的に他の患者と分離できる仕組み
みらい(新人医療事務)
「院内感染管理者」というのは、どんな資格が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出通知(令和8年3月5日 保医発0305第7号)によると、「専任の医師、看護師又は薬剤師その他の医療有資格者が院内感染管理者として配置されており、感染防止に係る日常業務を行うこと」と規定されています。医師・看護師・薬剤師など医療有資格者であれば対応できますが、医療安全対策加算に係る医療安全管理者との兼任はできません。また、院内感染管理者は職員向けの研修を少なくとも年2回程度行うことも求められています。
みらい(新人医療事務)
なるほど、施設基準の確認のために届出票をチェックするのがよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。届出様式(外来感染対策向上加算)のチェックリストを見ると、実際に何が必要か一覧で確認できます。地方厚生局のウェブサイトに掲載されています。
関連加算: セットで確認すべき4つの加算
みらい(新人医療事務)
この加算を届け出ると、他に取れる加算もあると聞きました。
あおい(元・医療事務)
はい、外来感染対策向上加算を届け出ていることを前提に算定できる関連加算が4つあります。
| 関連加算名 | 点数 | 算定回数 | 主な追加要件 |
|---|---|---|---|
| 発熱患者等対応加算 | 20点 | 月1回 | 発熱患者等に感染防止対策を講じた上で再診・訪問診療を行った場合 |
| 連携強化加算 | 3点 | 月1回 | 感染対策向上加算1の届出病院への過去1年間4回以上の感染症情報報告 |
| サーベイランス強化加算 | 1点 | 月1回 | JANIS(院内感染対策サーベイランス)またはJ-SIPHEへの参加 |
| 抗菌薬適正使用体制加算 | 5点 | 月1回 | 抗菌薬適正使用に関する研修受講・体制整備 |
みらい(新人医療事務)
この4つ、全部取れるとしたら合計いくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
外来感染対策向上加算(6点)+4つすべてを合算すると、月1回の算定で最大35点(6+20+3+1+5)になる可能性があります。ただし、それぞれに施設基準・届出要件があり、患者ごとの算定要件も異なります。一概に全患者に算定できるわけではありませんので、各加算の要件は個別に確認が必要です。
関連加算の注意点
- 各関連加算にも個別の施設基準・届出が必要なものがあります
- 発熱患者等対応加算は「発熱その他感染症を疑わせる症状を呈する患者」が対象
- 連携強化加算は「感染対策向上加算1を届け出た医療機関への報告実績」が必要
- サーベイランス強化加算はJANIS/J-SIPHEへの参加実績が条件
- 算定可否は自院の届出状況と公式資料で必ず確認してください
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算って何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定では、外来感染対策向上加算(6点・月1回)の点数・算定対象・基本的な施設基準の構造について、前回改定(令和6年度・2024年度)と比較して主な変更は確認されていません(確認日: 2026-06・厚労省告示・施設基準届出通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、令和6年度から継続している加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。令和4年度(2022年度)の改定で新設された加算で、その後の改定でも基本構造は維持されています。ただし、関連する通知・疑義解釈の更新は随時行われていますので、最新の厚労省通知を定期的に確認する習慣が大切です。
改定差分まとめ(令和8年度・前回比)
| 項目 | 令和6年度(2024年度) | 令和8年度(2026年度) |
|---|---|---|
| 点数 | 6点(月1回) | 6点(月1回)変更なし |
| 対象 | 診療所に限る | 診療所に限る 変更なし |
| 基本施設基準 | 3柱(感染防止・地域連携・発熱患者体制) | 同上 変更なし |
| 関連加算 | 発熱患者等対応・連携強化・サーベイランス強化・抗菌薬適正使用体制 | 同上 変更なし |
算定上の注意点・よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよく間違えやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。特に注意が必要なのはこちらです。
算定上の注意点
- 診療所専用の加算です。病院(一般病床を有する保険医療機関で病床数に係わらず)は算定できません
- 月1回が上限です。同月内に複数回来院しても、加算は1回分のみです
- 施設基準の届出が必須です。届出なしで算定すると過誤になりますので、地方厚生局への届出状況を確認してください
- 在宅系診療との関係に注意が必要です。外来感染対策向上加算を算定した月は、在宅患者訪問診療料等と組み合わせる際に算定制限がある場合があります
- 発熱患者等対応加算を別途算定する場合、「発熱その他感染症を疑わせる症状を呈する患者」への診療であることが要件です
よくある取り漏れポイント
- 施設基準を満たしているのに届出が未完了のケース
- 院内感染管理者の研修受講記録が整備されていないケース
- 発熱患者対応の「空間的または時間的分離」体制の記録が不十分なケース
- 連携強化加算の算定を狙う場合に、感染対策向上加算1病院への報告実績(過去1年間4回以上)を追えていないケース
- サーベイランス強化加算のためのJANIS/J-SIPHE参加申請が完了していないケース
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
じゃあ、うちのクリニックが算定できるか確認するには、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
診療所かどうか確認 — 外来感染対策向上加算は「診療所に限る」。診療所(19床以下)であることが大前提
-
地方厚生局への届出状況を確認 — 外来感染対策向上加算の届出が受理されているか、施設基準の届出記録を確認
-
院内感染管理者の配置を確認 — 専任の院内感染管理者が配置され、研修受講記録が保管されているか
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感染防止対策の体制を確認 — 診察室の手洗い設備・速乾性手指消毒薬・N95マスクの常備・患者動線の分離体制が整っているか
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地域連携の実績を確認 — 感染対策向上加算1を届け出た病院との連携カンファレンス参加記録があるか
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レセプト上の算定ルールを確認 — 月1回の上限、在宅系との組み合わせ制限など、具体的な算定ルールを確認
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関連加算の上乗せ可能性を確認 — 発熱患者等対応加算・連携強化加算・サーベイランス強化加算・抗菌薬適正使用体制加算の届出状況も確認

みらい(新人医療事務)
これだけ確認することがあるんですね。自院が算定候補になるかどうか、もっと手軽に確認できたらいいのに。
あおい(元・医療事務)
そんなときは、加算チェッカーが便利ですよ。自院の状況を入力すると、算定候補かどうかの目安を確認できます。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問点も聞いておきたいです。「うちは小さな診療所だから関係ない」と院長が言っていますが?
あおい(元・医療事務)
規模に関わらず、診療所であれば施設基準と届出の要件を満たすことで算定候補になりえます。「感染防止対策に取り組んでいる診療所」という要件ですので、小規模でもすでに体制を整えているクリニックは確認する価値があります。ただし「算定できる」と断言することは私にはできませんので、届出状況と施設基準の充足を公式資料と照らし合わせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
「発熱患者等対応加算(20点)」のほうが点数が高いですが、こちらはどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
外来感染対策向上加算(6点)は「施設基準を満たした診療所で初診・再診を行った場合」に月1回算定できる加算です。一方、発熱患者等対応加算(20点)は「発熱その他感染症を疑わせるような症状を呈する患者に対して、適切な感染防止対策を講じた上で再診等を行った場合」に月1回加算できるものです。外来感染対策向上加算を算定していることが、発熱患者等対応加算の前提条件になっています。
みらい(新人医療事務)
届出の更新はどれくらいの頻度で必要ですか?
あおい(元・医療事務)
原則として、施設基準に変更がない限り毎年度の更新は不要です。ただし、施設基準を満たさなくなった場合(例: 院内感染管理者の異動・退職など)は速やかに変更届出が必要です。また、届出内容が適切に維持されているか、年1回程度の自院チェックをお勧めします。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707246.pdf
- 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第7号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707254.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。加算の算定に際しては、施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。