みらい(新人医療事務)
先生、精神科病棟のレセプトを見ていたら「救急支援精神病棟初期加算」という聞き慣れない加算があったんですが、これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは精神病棟入院基本料(区分番号A103)の「注5」に規定されている加算ですよ。精神科の後方病床として、救急医療機関から緊急転院してきた患者さんを受け入れた病棟に対して、受け入れ直後の期間を評価するものです。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づいてお話ししますね。
みらい(新人医療事務)
「後方病床」っていうのがよくわからないです、どういう流れなんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科の救急医療機関に緊急入院した患者さんを、地域で連携している別の医療機関(後方病床)が受け入れる仕組みがあるんです。受け入れる側の医療機関が算定する「精神科救急搬送患者地域連携受入加算」(区分番号A238-7)というのがあって、その加算を算定した患者さんが対象になります。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちの病棟でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は区分番号A103精神病棟入院基本料を算定する病棟です。当サイトが収録している一次資料の範囲では「病院(特定機能病院を除く。)の精神病棟に入院している患者について算定する」とされています。特定機能病院の精神病棟は対象外になる点は確認しておきたいところです。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
「当該病棟に入院する患者が、入院に当たって区分番号A238-7に掲げる精神科救急搬送患者地域連携受入加算を算定したものである場合」というのが条件です。つまり、その患者さんの入院に伴って精神科救急搬送患者地域連携受入加算を算定していることが前提になります。この加算自体を算定していない患者さんには、救急支援精神病棟初期加算は候補になりません。
みらい(新人医療事務)
精神科救急搬送患者地域連携受入加算そのものは、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、精神科救急医療機関(急性期病院精神病棟入院基本料や精神科救急急性期医療入院料などの届出を行っている医療機関)に緊急入院した患者さんを、後方病床の役割を担う医療機関が緊急入院から60日以内に受け入れた場合に、受け入れた医療機関が入院時に算定する加算とされています。地方厚生局長等への施設基準の届出が前提になっている加算です。この受入加算を算定した患者さんが、救急支援精神病棟初期加算の対象患者になります。
点数と算定期間(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどのくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
1日につき100点です。ただし、いつまでも算定できるわけではなく、「入院した日から起算して14日を限度として」という期間制限があります。表で整理しますね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 救急支援精神病棟初期加算(A103精神病棟入院基本料 注5) |
| 点数 | 1日につき100点 |
| 算定期間 | 入院した日から起算して14日を限度 |
| 前提となる加算 | 精神科救急搬送患者地域連携受入加算(A238-7) |
| 対象病棟 | A103精神病棟入院基本料を算定する病棟(特定機能病院を除く) |
| 年度 | 令和8年度(2026年度) |

みらい(新人医療事務)
15日目以降は算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。あくまで受け入れ直後の期間に限った加算候補、という位置づけです。14日を過ぎた分まで算定してしまうと、後から過誤調整の対象になり得ますので注意したいところです。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算自体に個別の届出は求められていません。ただし、土台となるA103精神病棟入院基本料や、患者さんの入院のきっかけになる精神科救急搬送患者地域連携受入加算側には、それぞれ施設基準の届出が必要とされています。
施設基準は前提条件を含めて確認
救急支援精神病棟初期加算そのものに個別の届出は不要ですが、A103精神病棟入院基本料の届出内容や、精神科救急搬送患者地域連携受入加算の施設基準(地方厚生局長等への届出)を満たしていない場合は、そもそも算定候補になりません。自院の届出状況は必ず確認が必要です。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
気をつけたほうがいいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、対象になる患者さんは「精神科救急搬送患者地域連携紹介加算」(A238-6、紹介する側の医療機関が算定)ではなく、「精神科救急搬送患者地域連携受入加算」(A238-7、受け入れる側の医療機関が算定)を算定した患者さんであること。名前が似ているので混同しないようにしたいですね。
みらい(新人医療事務)
紹介する側と受け入れる側で名前が似ているんですね、間違えそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。もう一つ、小児入院医療管理料5に該当しない患者さんが精神病棟に入院してA103精神病棟入院基本料の例により算定する場合には、この救急支援精神病棟初期加算は算定できないとされています。特殊なケースですが、該当する可能性がある場合は確認しておきたいところです。
混同しやすいポイント
A238-6紹介加算: 精神科救急医療機関が患者を転院させた側で算定する加算です。 A238-7受入加算: 後方病床の医療機関が患者を受け入れた側で算定する加算で、救急支援精神病棟初期加算の前提になります。 小児入院医療管理料5の例外: 小児入院医療管理料5の要件に該当しない患者がA103の例により算定する場合、救急支援精神病棟初期加算は算定できません。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算は前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしておきたいところです。当サイトが収録している一次資料(令和8年度の医科点数表・告示)の範囲では、前回改定(令和6年度)時点の記載と比較できる資料が手元になく、点数や算定要件が変更されたのか、令和8年度改定で新たに整理されたものなのかは確認できていません。
みらい(新人医療事務)
無理に決めつけないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。前回改定(令和6年度)からの変更点は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年7月)。点数や算定要件は必ず最新の告示・通知でご確認いただき、変更の有無に疑問がある場合は審査支払機関にも確認していただくのが確実です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- 自院の病棟がA103精神病棟入院基本料を算定する病棟か(特定機能病院ではないか)を確認する
- 対象患者が入院に当たって精神科救急搬送患者地域連携受入加算(A238-7)を算定しているかを確認する
- 入院した日から起算して14日以内かどうかを確認する
- ここまで満たしていれば算定候補として、レセプト記載を整理する

みらい(新人医療事務)
これなら見落としが減りそうです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れしやすいところってありますか?
あおい(元・医療事務)
一番多いのは、14日という期限を見落として15日目以降も算定してしまうケースや、逆に対象期間なのに算定を忘れてしまうケースです。あとは、受入加算(A238-7)を算定していない患者さんに誤って加算してしまうケースも注意したいところです。
取り漏れ・算定ミスになりやすい例
期間超過: 入院日から14日を超えて算定してしまう。 前提の未算定: 精神科救急搬送患者地域連携受入加算(A238-7)を算定していない患者に加算してしまう。 紹介加算との混同: A238-6(紹介加算)とA238-7(受入加算)を取り違える。
みらい(新人医療事務)
レセプトの記載でも気をつけることがありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。当サイトが収録している一次資料の範囲では、診療報酬明細書の「入院基本料・加算」の項の「入院」欄に、この加算に対応する記号を記載する扱いが示されています。実際の記載欄・様式は最新のレセプト記載要領でご確認ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
令和6年度の時点でもこの加算はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは先ほどお伝えした通り、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。令和6年度(2024年度)改定時点の記載と比較できる資料が手元にないため、断定は避けています。気になる場合は、厚生労働省の過去の告示や、審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
対象患者じゃない人に間違って算定してしまったらどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
算定要件を満たさない患者に加算してしまうと、レセプト返戻や過誤調整の対象になり得ます。特にA238-6とA238-7の取り違えは起きやすいので、入院のきっかけとなった加算がどちらだったかを診療録やレセプトで確認する運用にしておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
特定機能病院の精神病棟でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では「病院(特定機能病院を除く。)の精神病棟」が対象とされています。特定機能病院の精神病棟は対象外になる可能性が高いので、該当する場合は自院の病棟区分を確認したうえで慎重に判断してください。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
今回お伝えした点数・算定要件は、厚生労働省の告示「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)」に基づいています。実際の条文は下記の参考資料でご確認いただけます。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬請求書等の記載要領(レセプト記号一覧を含む通知): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707506.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。