みらい(新人医療事務)
部長、「持続洗浄加算」ってレセプトでたまに見るんですけど、どういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
持続洗浄加算は、J003局所陰圧閉鎖処置(入院)の注2に定められている加算です。入院中の患者さんに対して局所陰圧閉鎖処置を行う際、初回の貼付に限り持続洗浄を併せて実施した場合に、500点を所定点数に加算できます。令和8年度の点数表に基づく整理です。
みらい(新人医療事務)
局所陰圧閉鎖処置って、いわゆる陰圧閉鎖療法(NPWT)のことですよね?そこにさらに洗浄も加えるということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。難治性の創傷に対して陰圧をかけて滲出液を除去するのが局所陰圧閉鎖処置で、それと同時に洗浄液を持続的に流す処置を行った場合の上乗せ加算が持続洗浄加算です。ただし、どんな創傷にでも算定候補になるわけではなく、対象となる創傷の範囲が留意事項で細かく定められています。
持続洗浄加算とはどんな加算ですか
みらい(新人医療事務)
対象になる創傷って、具体的にはどんなものですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項では「局所感染を伴う難治性創傷(局所感染が存在するが、その拡大がなく、沈静化すると考えられる創傷及び汚染創に限り、骨髄炎又は骨膜炎を除く。)に対して、持続洗浄を併せて実施した場合に算定する」とされています。ポイントは「骨髄炎又は骨膜炎を除く」という部分です。骨髄炎・骨膜炎を伴う創傷は、この加算の対象から明確に除かれています。
みらい(新人医療事務)
骨髄炎や骨膜炎があると、この加算は算定できないんですね。じゃあその場合はどうするんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の別項目に「骨髄炎又は骨膜炎を伴う難治性創傷に対して、局所陰圧閉鎖処置と洗浄を行った場合は、『注2』の持続洗浄加算は算定できず、『J040』局所灌流の『2』骨膜・骨髄炎に対するものを併せて算定する」と明記されています。つまり骨髄炎・骨膜炎がある場合は、持続洗浄加算ではなく別の区分(局所灌流)を確認する流れになります。この切り分けは、診療録の記載と合わせて自院で確認が必要です。
対象創傷の切り分けに注意
持続洗浄加算の対象は「局所感染を伴う難治性創傷(骨髄炎又は骨膜炎を除く)」です。骨髄炎又は骨膜炎を伴う創傷は対象外の可能性が高く、その場合は別区分(局所灌流)の確認が必要になります。診療録・摘要欄の記載内容と合わせて、自院で判断根拠を確認してください。
対象医療機関・対象患者はどこまでですか
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
J003局所陰圧閉鎖処置(入院)の留意事項では「入院中の患者に対して処置を行った場合に限り算定できる」とされています。持続洗浄加算はこのJ003の注2加算ですので、入院中の患者さんが対象になります。診療所か病院かという施設種別そのものより、入院での処置かどうかが分かれ目です。
みらい(新人医療事務)
外来では算定候補にならないということですか?
あおい(元・医療事務)
J003には入院外向けの区分としてJ003-2局所陰圧閉鎖処置(入院外)が別にありますが、その注に定められているのは初回加算のみで、持続洗浄加算に相当する規定は含まれていません。当サイトが収集している一次資料の範囲では、入院外の局所陰圧閉鎖処置に持続洗浄加算を組み合わせて算定できる規定は確認できていません。外来での実施を検討する場合は、この点を含めて自院で確認することをおすすめします。

点数・算定コードを整理します
みらい(新人医療事務)
点数はどう組み立てればいいですか?
あおい(元・医療事務)
J003局所陰圧閉鎖処置(入院)は、被覆する創傷面の広さによって基本点数が3段階に分かれています。持続洗浄加算はこの基本点数に上乗せする加算で、初回の貼付に限り500点が加算されます。まず表で整理しますね。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 100平方センチメートル未満 | 1,040点 |
| 2 | 100平方センチメートル以上200平方センチメートル未満 | 1,060点 |
| 3 | 200平方センチメートル以上 | 1,375点 |
| 注2 | 持続洗浄加算(初回の貼付に限る) | +500点 |
みらい(新人医療事務)
初回加算(注1)と持続洗浄加算(注2)って、同時に算定候補になったりしますか?
あおい(元・医療事務)
点数表では、注1(初回加算)・注2(持続洗浄加算)に加えて、注3として新生児・3歳未満の乳幼児(新生児を除く)・3歳以上6歳未満の幼児に行った場合の加算(新生児局所陰圧閉鎖加算・乳幼児局所陰圧閉鎖加算・幼児局所陰圧閉鎖加算)が別に定められています。それぞれ別の規定ですので、条件を満たせば組み合わせて算定候補になり得ますが、個別の算定可否は診療内容次第です。レセプトを組む際は各注の要件をそれぞれ確認してください。
施設基準・届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出っているんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、持続洗浄加算そのものに個別の施設基準・届出は確認されていません。J003局所陰圧閉鎖処置(入院)自体の算定要件(特定保険医療材料の局所陰圧閉鎖処置用材料を併せて使用していることなど)を満たしていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしでそのまま算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。届出の要否は加算ごとに個別に定められているため、念のため自院が把握している届出状況と、地方厚生局に確認した内容を突き合わせておくことをおすすめします。「届出不要そうだから確認しなくていい」ではなく「届出不要と整理されているが、念のため確認する」という順番で進めてください。
併算定の取り扱いを確認します
みらい(新人医療事務)
他の処置と一緒に算定するときの注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
J003局所陰圧閉鎖処置(入院)の留意事項には、併算定に関する規定があります。「局所陰圧閉鎖処置(入院)を算定する場合は、『J001-4』重度褥瘡処置及び『J053』皮膚科軟膏処置は併せて算定できない。『J000』創傷処置、『J000-2』下肢創傷処置又は『J001』熱傷処置は併せて算定できるが、当該処置が対象とする創傷を重複して算定できない」とされています。持続洗浄加算はJ003の加算ですので、この制限がベースにかかってきます。
みらい(新人医療事務)
重複して算定できないというのは、同じ創傷に対して二重に算定しちゃダメということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。表で整理しておきますね。
| 処置 | J003(局所陰圧閉鎖処置・入院)との併算定 |
|---|---|
| J001-4 重度褥瘡処置 | 併せて算定できない |
| J053 皮膚科軟膏処置 | 併せて算定できない |
| J000 創傷処置 | 併せて算定できるが、対象創傷の重複算定は不可 |
| J000-2 下肢創傷処置 | 併せて算定できるが、対象創傷の重複算定は不可 |
| J001 熱傷処置 | 併せて算定できるが、対象創傷の重複算定は不可 |
摘要欄の記載を忘れずに
持続洗浄加算を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載することが留意事項で求められています。骨髄炎・骨膜炎を伴うために持続洗浄加算ではなくJ040局所灌流を算定する場合も、同様に理由と医学的根拠の記載が求められます。記載漏れは査定の対象になりやすいポイントです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったりしたんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、持続洗浄加算(J003注2、500点)そのものの新設・廃止・点数変更・算定要件の変更を示す記述は確認されていません。前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省一次資料ベース)。今後、疑義解釈や訂正通知で取り扱いが更新される可能性はありますので、算定時は最新の一次資料も併せて確認してください。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
おすすめの確認順を整理しますね。
自院で確認する順番
- 入院中の患者に対する処置かどうかを確認する
- J003局所陰圧閉鎖処置(入院)の算定要件(特定保険医療材料の使用など)を満たしているかを確認する
- 対象創傷が「局所感染を伴う難治性創傷(骨髄炎又は骨膜炎を除く)」に該当するかを診療録で確認する
- 初回の貼付時に持続洗浄を併せて実施したかを確認する
- 摘要欄に算定理由と医学的根拠を記載する
みらい(新人医療事務)
①から⑤まで順番にチェックしていけば、算定候補かどうかが見えてくるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に③の対象創傷の該当性は診療録の記載内容によって判断が分かれる部分なので、医師と事務の双方で認識を合わせておくと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、骨髄炎・骨膜炎を伴うケースで持続洗浄加算をそのまま算定候補としてしまい、実際には対象外の可能性が高い区分だったというケースです。逆に、対象外だと思い込んで確認自体をせず見送ってしまうケースもあります。どちらも、留意事項の条件文を都度確認する習慣で防げます。
よくある取り漏れ・確認ポイント
初回の貼付に限る加算であるにもかかわらず2回目以降の処置日にも算定してしまっていないか。骨髄炎・骨膜炎を伴う創傷であるにもかかわらず持続洗浄加算のまま処理していないか。摘要欄への理由・医学的根拠の記載が漏れていないか。この3点は算定前に確認しておきたいポイントです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなことをまとめて聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
持続洗浄加算は1日ごとに何度も算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。留意事項には「初回の貼付に限り」と明記されていますので、複数日にわたって繰り返し算定できる加算ではありません。この点は取り違えやすいので注意してください。
みらい(新人医療事務)
病院でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象は「入院中の患者に対して処置を行った場合」であり、病院・診療所という施設種別そのものでは絞り込まれていません。入院での処置に該当するかどうかで確認してください。
みらい(新人医療事務)
局所陰圧閉鎖処置用の材料を使っていないと、持続洗浄加算も算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。持続洗浄加算はJ003局所陰圧閉鎖処置(入院)の注2加算なので、まずJ003本体の算定要件(特定保険医療材料の局所陰圧閉鎖処置用材料を併せて使用していることなど)を満たしている必要があります。土台になるJ003が算定候補にならなければ、持続洗浄加算も算定候補にはなりません。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)※J003局所陰圧閉鎖処置の点数区分・持続洗浄加算の規定を含む https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(関連通知一覧・留意事項通知はこちらから確認できます) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象創傷の状況や算定要件を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。なお、名前が似ている加算に 切開創局所陰圧閉鎖処置機器加算 がありますが、こちらは手術後の縫合創に使う機器加算で、区分も対象も持続洗浄加算とは異なります。混同しないよう対象の違いだけ押さえておいてください。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。対象創傷の該当性や摘要欄の記載内容についても、自院で必ず確認してください。